ゲーム ネタバレストーリー まとめ

ゲームのストーリーをまとめていきます。

キングダム ハーツ キーバックカバー

研究室でマスター・オブ・マスターがルシュという弟子と話をしている。
ルシュの名前のスペルは「LUXU」。
「ってことで君は重要な7人目なわけ。」
「ああ、弟子は6人だけど俺含めて7人目って意味ね。」
「あれ、釈然としてないのってそこじゃない?」
キーブレードを出現させてルシュに渡す。
「じゃ、これ。」
マスター・オブ・マスターがルシュに手渡したキーブレードはマスター・ゼアノートが持っていたキーブレードと同じだった。
そのキーブレードの先端には青い目がついている。
「見つめる目?」


マスター・オブ・マスターが言う。
「そういう名前じゃないよ。」
「名前は無いな。ノーネームってわけ。」
「まあそれはどうでもいいんだけど、君に与えたそのキーブレードは俺の片目を用いて作ったのよ。」
「今キモっ!て思わなかった?」
「まあいいよ。」
「ともかくそのキーブレードが君の弟子から弟子へと受け継がれ、遙か先の未来まで見つめ続ける我が目となる訳よ。」
「俺が未来を書き綴った予知書は既に存在する。」
「つまりちゃんと君は先の時代まで弟子を育て、そのキーブレードを継承して使命を果たしたって事さ!」
「何でそんなキョトン顔なのよ。」
「君凄いことしたんだよ?」
「まあ実感はないよね。まだ何もしてないもんね。」
「まあそういう訳で君は他の5人とは違って先の時代に進んでもらわなきゃいけない。」
「だから予知書の写しも渡せないのよ。」
「君が未来のこと知ってたらパラドックス的なまずいことになりかねないから。」


ルシュが言う。
「俺だけが先の時代へ?他の5人は・・」


「まあまあ、そこは気にしなくていいから。」
マスター・オブ・マスターは大きな黒い箱を机の下から取り出した。
「ともかく君はそのキーブレードとこの箱を持って身を隠して。」
「後は5人にこれから起きることをちゃんと自分の目で確認すればそれが合図だから。」
「君は旅立って使命を果たして下さい。」
「この箱の中身、やっぱり気になっちゃう?」
「でもなあ、中身はなあ。」
「これ絶対開けちゃいけないやつなんだよなあ。」
「じゃあ、特別に君にだけ教えるから。」
「この先絶対開けちゃ駄目だし、中身を他言するのもNGね。」


マスター・オブ・マスターはルシュに黒い箱の中身を教えた。
「・・なぜそんな?」


「サプラーイズ。」
主はいつものいたずらっ子みたいな調子で弟子の一人ルシュに重要な使命を与えた。
こんな軽いノリではあったけど、この使命をきっかけに全てが繋がっていくんだ。
全ての世界はまだ隔たりがなく一つだった。
いつかおとぎ話の世界と呼ばれる時代。
この夜明けの街から始まった。
マスター・オブ・マスターである主は未来を見る目を持っていた。
そして先で待つ未来を憂い、6人の弟子のうち5人に未来を記した予言書を与えた。


マスター・オブ・マスターのところに弟子のイラがやって来た。
「予言書にはもう目を通した?」


イラが言う。
「はい。しかし考察などはまだ。」


「イラっちは真面目だね。」


イラが言う。
「いえ、そんなことは。」
「それよりあの最後の一節は本当なのでしょうか。」


「そうそう、あれね。ヤバいよね。」
「それでさ、もし俺が突然消えることになったらイラっちからみんなに心配しないように伝えといてね。」
「ぷらっと、ふわっと、ぱぱっと?」
「まあ、もしもの話だからそう決まった訳じゃないし。」
「そんなに気にしないで。」
「世界は光に満ちている。」
「いくつもの世界が無限に繋がり隔たりもない。」
「しかし世界を満たす光は一つ。」
「その大いなる光が各々の世界に光を与えている。」
「世界の運命は全て共通だ。」
「そう、世界はキングダムハーツ次第。」
「世界中の人々はその光を永遠と信じて疑っていない。」
「でももしキングダムハーツが失われれば世界は闇に覆われる。」


イラが言う。
「その為に我々がマスターから授かったキーブレードを使い光の守護者としての意思を世界に広げ、キングダムハーツを闇から守り・・」


「いや、キングダムハーツを守る為じゃないよ。」
「予言書の最後の一節、彼の地の大戦によって光は敗北し消滅する、世界は永遠の闇に覆われることとなる。」


イラが言う。
「それこそ我々キーブレード使いが回避させるのではないのですか?」


「いや、無理だろ。」
「未来を変えるとは傲りじゃない?」
「問題は闇に覆われた先。予知書の後の世界。」
「それまでの世界は考える必要はないのよ。」


イラが言う。
「でもそれではこの今の世界を生きている人々を、いや、その待ち受ける未来に繋がる全ての人を見捨ててしまうことになるのでは。」


「逆にたった7人じゃ世界中の人々なんて救えないだろ。」


イラが食い下がる。
「ならば意思だけでなく同士を!キーブレード使いを増やして・・」


「うーん、やれるかなあ。」
「じゃ、イラに任せた。それでよろぴく。」


こうしてユニコーンの仮面を被った堅実なイラには自分の代わりに弟子達をまとめる使命を与え、同様に蛇の仮面を被った高潔なインヴィには4人を公正に監視する使命を与えた。
熊のマスクを被った勇猛なアセッドにはリーダーとなるイラのサポート役としての使命を与えた。
狐の仮面を被った慎重なアヴァには後の世界にキーブレード使いを残す使命を与えた。
豹の仮面を被った冷徹なグウラには予知書に書かれた謎の解明の使命を与えた。
そして最初に使命を与えられたルシェが6人の弟子全員に使命が伝えられるのを待っていたかのように姿を消した。
それから間もなく主も本当にぷらっと、ふわっと、ぱぱっと消えたんだ。
ここから君達の知る君達自身の物語が始まった。


予知書の写しを授かり使命を受けた5人の弟子達は主の教えに基づき各々にユニオンを組織した。
キーブレード使いとなる君達のような同志を集め、闇の魔物ハートレスを倒すことで光を集め始めたんだ。


弟子達が集まって話をしている。
「この中に裏切り者がいる。」
黒いチリシィという猫を見せるイラ。
「これがコソコソと嗅ぎ回っていた。」


黒いチリシィを見たインヴィが驚く。
「まさかナイトメア?」


弟子達はマスター・オブ・マスターとのやり取りを思い出した。
チリシィを手に持っているマスター・オブ・マスターに近づくアヴァ。
「この子、マスターが作ったんですか?すごーい!」


マスター・オブ・マスターが言う。
「これから何やかんやで忙しくなると思うから、このスピリットのチリシィが大活躍してくれる予定。」
「まあ犬とか猫みたいな感じ。スピリットっていう生き物ね。」
「もし今後同志が増えてもチリシィもその分増えてくから。」
「みんなの使い魔として仲良くしてあげて。」
「あー、でも一つ注意ね。」
「もし誰か悪意、いや、心を闇に染めてしまうとその者に付き従うスピリットは黒く染まりナイトメアになってしまう。」


イラが言う。
「それはつまりナイトメアが現れたら誰かが闇に堕ちた証・・」


「そうだな。その時は早めに誰の使い魔か突き止めないとナイトメアは更に他者にも悪意を植え付け、自らの仲間を増やそうとしていくから気をつけて。」


アセッドが言う。
「では万が一ナイトメアを発見した場合、早急に始末せねばな。」


アヴァが言う。
「駄目、そんなの可哀想!」


グウラが言う。
「アセッドが一番危険だろ、顔的に。」


マスター・オブ・マスターが笑いながら言う。
「そうだよ、アセッド君はどう見てもいい者顔だよ。」


「完全に笑ってるじゃないですか!」


そういう事があったのもあり、真っ先に否定するアセッド。
「俺じゃない。」


グウラが言う。
「この中の誰かの使い魔なら、ここで全員のチリシィを呼び出せば分かるだろ。」


インヴィが言う。
「我らは各々ユニオンの多くの同志を従えているわ。」
「言うなればその数のチリシィを従えているのも同然。」
「まだナイトメアになっていないチリシィを呼び出すのも容易なことよ。」


アヴァが言う。
「だったら逆にこの中の誰かが裏切り者って決まった訳じゃないよね?」
「ユニオン内のキーブレード使いの誰かかも。」


イラが言う。
「突如キーブレード使い達に与えられた見覚えのない罪を回収する道具。」
「彼らが何を入手し何を使おうが我らは関与しないことになっているが、あれを広めた使い魔はナイトメアだと思われる。」


アヴァが言う。
「どうして?あのバングルが皆に広まった時、罪の回収は悪いことではないってここでそういう結論になったよね?」


イラが言う。
「回収だけならばな。」
「しかし罪を力に変えていれば闇の力を利用しているようなもの。」


グウラが言う。
「上手く利用されたな。」
「使い魔チリシィの見た目は皆同じ。」
「キーブレード使いの数だけ存在する。」
「ユニオンの区別もつかない。」


アヴァが言う。
「あのバングル・・もうみんなつけちゃってるよね・・」


アセッドが言う。
「それでどうする?犯人捜しでもするというのか。」


イラが言う。
「一介のキーブレード使いが用意できる道具ではない。」
「やはりこの中の誰かと考えるべきだ。」


インヴィが言う。
「待って。答えを急ぐのは危険だわ。」
「あれが闇の力を利用するものだという確証もないし、ましてやナイトメアの仕業ともこの中の誰かと決まった訳じゃない。」


アセッドがイラに言う。
「イラ、お前はリーダーとして疑心という闇の種を皆に植え付けただけではないか?」
「お前の告発で裏切り者が手を挙げるとでも?」
「浅はかだな。」
「マスターの判断は間違っていたのかも知れないな。」


弟子達は帰っていき、イラとインヴィの2人だけになる。
「そう簡単ではないか・・」


インヴィが言う。
「らしくないわね、イラ。何を焦っているの?」


「ロストページ・・予知書から欠落した一片があるようだ。」
「我々が持つ予知書にはこの先に起こる全ての出来事が記されているはず。」
「だが今回の一件、私の予知書のどこにも記されていなかった。」


インヴィが言う。
「つまり欠落のない完全な予知書を誰かが持っていて、それを持っている者が裏切り者だと?」


イラが言う。
「不審な動きがあってそれを隠すかのようにページが欠落していた。」
「そのことを利用してロストページを持っている者が何か企んでいるのではないか。」
「闇に堕ちた裏切り者がいると考えても不思議ではあるまい。」


インヴィが言う。
「私の予知書にも今回の一件は記されていない。」
「確かに筋は通っている。」
「もしかして最初からマスターのお考えだったという可能性は・・」
「あえてそのページの写しを一人にしか与えなかった。」


イラが言う。
「それを確かめる術はない。」
「もうマスターはいないんだ。」


インヴィが言う。
「あなたの考えは分かった。」
「私も裏切りの兆候を見逃さないように皆の動向により注意しておくわ。」
「マスターに与えられた私の使命だから。」
「あなたも鍵が導く心のままに。」


インヴィはマスター・オブ・マスターとのやり取りを思い出した。
「そういう訳で君はみんなの監視役宜しく。」
「話した通りイラが俺の代役になるかもだけど、遠慮しなくていいから監視は公平にしてね。」
「監視って言ってもただ見てりゃいいんじゃなくて、どうせみんなもめちゃうから君は常に冷静に軌道修正して仲良くさせて。」
「俺がいなくなるかはまだ分からないし。」
「あれ?それともいなくなった方が良い?」
「冗談冗談。」
「まあ環境が変わるってのは不安だわな。」
「でも動かなければ景色は変わらない。」
「変わらない景色をいつまでも眺めていても、ただ時間の中に取り残されていくだけだ。」
「未来に起きる事実を知りインヴィ、お前の心はどうだ?」
「鍵が導く心のままに。」
「いつも言ってるけど、心が命じたことには逆らえないってこった。」


数日後、アセッド、グウラ、アヴァの三人が話をしている。
「イラには失望した。」
「奴ならマスターの代わりを務めてくれると期待していたのに。」
「それでお前達はどう見る?イラの話、信じられるか?」


グウラが言う。
「唐突、それに説得力がない。」
「インヴィが言っていた通りさ。」
「提示されたのは状況証拠だけで推論に過ぎない。」
「それを俺達の中の誰かに結びつけるってのは推理が飛躍してるよ。」


アセッドが言う。
「事情がどうあれ仲間に疑いの目を向けるなど許されるものか!」
「俺のユニオンと同盟を結んでくれ。」


グウラが言う。
「それは禁止されているだろ。」
「やっぱりね、そんな話じゃないかと思ってたよ。」
「それでどうするの。イラを問い詰めてみる?」


アセッドが言う。
「堅実なイラのことだ。そう簡単にはいかないな。」
「闇の動きがあることは確かだろう。俺もそれは感じている。」
「だが俺達の中に裏切り者がいるとは思えない。」
「だからと言ってイラのように考えてばかりで行動力がない奴では手遅れになるかも知れない。」
「俺達が今しなければならないのは皆で結束して闇の脅威に備えることだ。」


アヴァが言う。
「闇の脅威に備えるのには賛成だけど、ユニオンの同盟はマスターに禁止されていたことだし・・」


アセッドが言う。
「マスターはもういないんだ。」


グウラが言う。
「いいよ。ただ今のところ俺とアセッドの二人の間だけだ。」
「ユニオンのメンバー達にはまだ伝えない。」


アヴァが言う。
「私はマスターの教えを守りたい。」


アセッドが言う。
「そうか。無理強いするつもりはない。」
「本来はそれが正しい選択だ。」


そこにインヴィがやって来た。
「話があるそうね?」
「グウラ、アヴァ・・あなた達まで。」
「一体どういう事?」


アセッドが言う。
「聞いてくれ、インヴィ。」
「俺はユニオンの統合を考えている。」
「グウラとは同盟を結んだ。」
「インヴィ、お前も賛同してくれ。」


インヴィが言う。
「マスターの教えに背くというの?」
「私達はマスターから別々の使命を与えられて、それぞれのユニオンが独立行動するように命じられている。」
「力の不均衡は征服欲を呼び闇に通じるというマスターの教え、あなた達も学んだはずよ。」
「アセッド、あなたの心に闇の兆しがあるんじゃない?」


アセッドが怒る。
「俺の心に闇だと?」
「だったらお前はどうだ!」
「俺達の事を監視してイラに報告してるんだろ。」
「そんなスパイのような事をして後ろめたくないのか?」


インヴィが言う。
「それは私の使命だから。」


アセッドが言う。
「監視はな!だがイラへの報告は必要ないはずだ。」
「お前の方こそイラと結託して何か企んでるんじゃないのか?」


「戯言を。」


一人になったアヴァが噴水広場で考え事をしている。
「このままだとみんな敵同士になっちゃう。」
そこにエフェメラというユニオンのメンバーがやって来た。
「マスター・アヴァ。隣いいですか?」
アヴァの隣に座るエフェメラ。
「どうしたんですか?浮かない顔をして。」


「うん、ちょっとね。」
「あのさ、君は前に言ってたよね。」
「どうしてユニオン同士は協力しないで競い合ってるんだって。」
「本当は私もそう思うんだよね。」


エフェメラが驚く。
「え?でも以前はそういう教えだからって。」


「うん、それは守らなきゃいけないの。」
「そういう教えだから守らなきゃいけない。」
「けど本当はそれじゃ駄目なんだよね。」
「君はこの世界の仕組みに疑問を持って、自らその謎を調べたいって言ってたよね。」
「そういうものだからって言われて何も疑問を持たずにいるのは良くないんだよね。」


エフェメラが言う。
「あら?今日は何だか弱気ですね。」
「じゃ、予知書の秘密、教えてくれるんですか?」


「それは駄目。」
「私が一番話しやすい予知者だからってからかってる?」
「まあいいけど。」
「でも君みたいにユニオンに縛られない仲間って考え方は間違ってないよ。」


エフェメラが言う。
「今日俺、他のユニオンの友達が出来たんです。」
「何か無口で変な奴なんですけどね、明日また会う約束してて。」
「じゃあお先に失礼します。」
「よく分からないけど元気だして下さいね。」


一人になったアヴァが呟く。
「もしもの事があったら君みたいにユニオンに縛られないこの子達に託そう。」
「風に乗って遠くまで飛んでいって・・ダンデライオン・・」


イラのところにインヴィがやって来た。
「インヴィか。何か分かったのか?」


インヴィが言う。
「アセッドとグウラのユニオンが同盟を結んだわ。」


イラが言う。
「やはりアセッドが裏切り者だったのか。」


「いいえ、私はそうは思わない。」
「アセッドは闇の脅威に備える為にユニオンを統合したいそうよ。」
「その思いは心が闇に堕ちたとは思えない。」


イラが言う。
「だがユニオンの同盟はマスターの教えに背くことだ。」


「ええ、マスターの教えは絶対。」
「だからグウラを同盟から抜けるように説得しようと思うの。」
「私が話すわ。」
「あなたが出ていくとアセッドが過敏に反応しそうだし。」
「それと私もあなたへの報告を控えようと思う。」
「アセッドが私達の結託を疑っている。」
「そんな事実はないけど、念の為にね。」


「そうだな。」


数ヶ月後、アセッドとグウラが二人で話をしている。
「もういいかな。」
「同盟のこと。もう解消してもいいかなって。」
「もとはと言えばアセッドが闇の脅威に備えるためにユニオンを統合しようって話に乗ったんだ。」
「でもここしばらく裏切り者の動きもないみたいだし、ユニオンの統合も進んでないでしょ?」
「潮時かなって。インヴィにも言われたし。」


アセッドが怒る。
「インヴィだと?インヴィが同盟を解消しろと言ってきたのか?」


グウラが言う。
「まあね。でも決めたのは俺の意志だし、理由はさっき言った通り。」


「まだ裏切り者の正体すらつかめていないんだぞ!」


グウラが言う。
「だからだよ。」
「やっぱり単独の方が身軽でいいしね。」


「フラフラとそんな根無し草のような事を言ってる場合か!」


「じゃあそういう事で。」
グウラは立ち去っていった。


一人になったアセッドが呟く。
「インヴィ・・余計な事を・・」


アセッドがマスター・オブ・マスターとのやり取りを思い出す。
「いやあ、悪い悪い。待った?」
「それで何だっけ?」


アセッドが焦る。
「いや、お忘れですか?」
「マスターに呼ばれたのですが・・」


「ウソウソ。憶えてるって。」
「やだなあ、全然忘れてないし。お前のこと試しただけだし。」
「で、と。アセどんに使命を伝えたいんだけどさ。」
「イラっちのサポートをすることね。」


アセッドが言う。
「イラのサポートというのはどういう意味ですか?」


「イラっちには俺がいなくなった時のリーダー役を頼んだからさ。」
「そのサポートってこと。」
「ほいじゃ、宜しく。」


アセッドが言う。
「待ってください、マスター!」
「イラがリーダーってどういう事ですか?」


「え?イラっちがリーダーじゃ不満?」
「アセどんリーダーやりたいの?」


アセッドが言う。
「それは私に任せて頂ければリーダーとしての使命はまっとうしますが。」


「超やりたそうじゃん。」
「そういうやる気が前面に出ちゃってるタイプってさ、無能な指導者だと相場は決まってるんだよね。」
「おう、君はやる気があっていいねーなんつって。」
「リーダーに据えちゃった後、下が苦労しちゃうのよ。」
「アセどんみたいなタイプはリーダーのサポート役で一番光るんだよね。」


アセッドが言う。
「確かにイラは私達の中では一番優秀です。」
「最もリーダーに相応しいでしょう。」
「しかし私達の中ではということです。」
「マスターの代わりというのはどういう事ですか!」
「もう私達を導いてくれないのですか?」


「俺、消えるかも知れないからさ。」
「まあさ、俺が消えるとかはとりあえず置いといてよ。」
「まだ決まった訳じゃないから。」
「ともかくさ、イラっちを守ってあげてね。」
「イラっち真面目過ぎるだろ?」
「頭の中だけで色々考えちゃって動きが鈍くなる事もあるだろうからさ。」
「アセどんの自信に満ちた助言で背中を押してあげてよ。」
「何かちょっとキツい事も言っちゃったけどアセどんが一番鍵を握っているからさ。」
「ごめんね。」
「そりゃそうだよ。あくまでイラっちのリーダーは俺が机上で決めただけで、実際君らだけになった時イラっちイマイチだよなあってなったらアセどんがリーダーやらないと。」
「その為にイラっちとは違うタイプのアセどんをサブにしたんだから。」
「それが本当の意味での使命。」
「鍵が導く心のままに。」
「そういう事な、アセどん。」


―数カ月後―
「マスターが不在になって一年以上、俺の本当の使命を果たす時。」
アセッドとインヴィが戦っている。
「インヴィ!なぜ俺の邪魔をする!」


インヴィが言う。
「邪魔をしてる訳じゃない。」
「マスターの教え通りユニオンの均衡を保って欲しいの。」
「あなた一人が暴走してるのよ!」


アセッドが言う。
「予知書に記された光が敗北する結末。」
「予知書に従っていてはその運命は避けられない。」
「俺達は予知書のマスターの筋書きから抜け出さなくてはならない。」
「マスターはもういない。」
「マスターの予知を阻止して俺が世界の救世主になる。」


「傲るな!」
インヴィはアセッドの攻撃を跳ね返し、アセッドを吹っ飛ばした。


そこにグウラとアヴァが駆けつける。
「インヴィ、アセッド。どうしてこんな事に?」


インヴィが言う。
「裏切り者の正体が分かったわ。残念だけど。」


「鍵が導く心のままに。」
アセッドはキーブレードを構え、3人に襲いかかっていった。


戦いが終わった後、グウラは1枚の予知書を見ながらマスター・オブ・マスターの言葉を思い出していた。


「えっとー、あったあった。ここだ。」
マスター・オブ・マスターが予言書の1枚を破りグウラに手渡す。
「まあ読んでみ。」
「お前達の予知書には無かったページだ。」
「お前の使命はそれに書かれている裏切り者を捜し出し、その企みを止めること。」
「裏切り者の兆候が分かるように・・」


グウラが言う。
「真実を読み違え秘密に踏み込んだ裏切り者がこの世界を終わらせるきっかけになる・・」
「そしてその一振りによって最後の戦いを告げる鐘が鳴る。遂に戦いが始まるのだ。定められた刻が、異端の印・・」
「そうか、だからマスターは俺達に別々の使命を与えたのか。」
「使命が違えば行動理念も違ってくる。」
「その違いを見極めれば裏切り者を見つけられる。」
「さすがです。」


マスター・オブ・マスターが言う。
「お前頭良すぎて嫌。」
「ここはさ、俺の考えた仕掛けがバーンって明らかになってお前はズガガーンって衝撃を受けるところだろ。」
「ま、お前のそういうところを当てにしたんだけどな。」
「誰が裏切り者であっても対処は冷徹にな。」
「最後は自分だけを信じろ。」


「俺の使命を果たす時だ。」
グウラは手負いのアセッドが隠れている倉庫に入っていった。
「俺の使命って何だと思う?」
「俺達の予知書には欠落した一片、ロストページがある。」
「そこには裏切り者の予知が記されていた。」
「これが俺の使命。裏切り者をあぶり出すこと。」


アセッドが言う。
「怒りを抑えられない。」
「刃を向けられたからじゃない。」
「お前は最初から裏切り者の存在を知っていて黙っていたのか。」
「仲間が騒動に翻弄されるのを陰でせせら笑っていたんだな。」
「許さんぞ、グウラ。」
「舐めるな、小僧!」
アセッドはグウラをキーブレードで叩き切った。


そこにアヴァが駆けつけ、倒れているグウラを庇う。
「もうやめて!」


「お前もか。」
アセッドは足を引きずりながらどこかへ行ってしまった。


アヴァが呟く。
「もう戦いは避けられない。」


足を引きずりながら歩いているアセッドの所にイラがやって来た。
「今仕掛けられたら勝ち目はないな。」


イラが言う。
「私は争いを望んでいる訳じゃない。」
「マスターに与えられた使命を果たしたい。それだけだ。」
「マスターは予知書に記された結末を変える為に我々に使命を与えたのではない。」
「その先の未来へ光を繋ぐために我々があるのだ。」
「欠落は埋められない。」
「光は5つしかないのだ。」


アセッドが言う。
「俺も光の一つと数えてくれるのか。」


イラがアセッドの肩に手を添える。
「勿論だ。」


アセッドが言う。
「お前はこんな局面でもいい奴だな、イラ。」
「まあ俺はお前のそんなところを認めたんだがな。」
「だが欠落が一つ出そうだ。」
「グウラには気をつけろ。」
「奴はロストページというものを利用している。」
「そこには俺達の予知書にはない予知が記されているそうだ。」
「グウラの使命は裏切りを止めることと言っていたが、本当のところどうだか。」
「もう俺達にはそれを確かめる事が出来ない。」
「俺は奴が裏切りの予知を知っていて黙っていた事が許せない。」
「それこそ仲間への裏切りだ。」


イラが言う。
「グウラもマスターからの使命を果たしたかっただけだと思いたいが、この件、私が預かろう。」
「調べがつくまで他言無用だ。」


イラはアセッドの元を去っていった。
「ロストページを手に入れなければ・・」


数日後、インヴィとアヴァが橋の上で話をしている。
「どうしてイラに話したの!」
「私達が隠れていた場所はインヴィにしか教えてなかったのに。」
「そんな不用意な行動が疑心の火種になるってことがどうして分からないの?」


インヴィが言う。
「確かにあなたは用意周到ね。」
「自分の従えるユニオンとは別に全ユニオンから優秀なキーブレード使い達を集めて、誰も目に届かない場所で訓練し組織してる。」


アヴァが言う。
「それが私の使命だからよ。」


「そうだったのね。」
「ごめんなさい、言い過ぎたわ。」
「イラが何かしたの?」


アヴァが答える。
「ううん、何も。」
「ただグウラを引き渡せって。」
「でもイラの目が怖かった。」
「グウラに何かされるんじゃないかって。」
「だからグウラの事は教えなかった。」
「そしたら何もせずに帰って行ったの。」


インヴィが言う。
「そう。それでグウラの容態はもういいの?」


「もうここにはいない。」
アヴァはグウラとの会話を思い出した。


「何かあったのか?」


アヴァがグウラに言う。
「イラが来た。グウラを引き渡せって。」


グウラが言う。
「やっぱりそういう事になってきたか。」
「みんなロストページの事を知りたがってるんだ。」
「マスターが俺にだけ託した予知書から欠落した一片のこと。」
「そこには裏切りがあることが記されていた。」
「唯一の手掛かりは異端の印を持つ者という記述。」
「ただそれだけでは何を意味しているのか分からない。」
「俺の使命は裏切り者をあぶり出すこと。」
「俺はアセッドに目星をつけて仕掛けたんだけど、このザマだ。」


アヴァが言う。
「私はそんなの知りたくない。」
「マスターの教えを守って使命を果たすことで精一杯。」


グウラが言う。
「いつだってアヴァは正しいな。」
「ロストページに記されていたのは掴み所のない不確かな情報。」
「そんなものに振り回されること自体がおかしいんだよ。」
「だから確かめようと思う。」
「マスターに聞くんだ。」
「キングダムハーツを出現させる。」
「そうすればマスターが帰って来るはずだ。」


アヴァが言う。
「キングダムハーツの出現は禁忌よ!」


「だからこそなんだ。」
「禁忌を犯せばマスターは帰還せざるを得ない。」
「このままだと本当に予知書通りの結末になってしまう。」
「でもキングダムハーツを出現させるには光が・・ルクスが全然足りない。」
「いつも正しいアヴァなら分かるはずだ。俺に協力してくれ!」


アヴァが言う。
「たとえマスターの帰還が目的だったとしても、キングダムハーツの出現でどんな影響があるのか分からない。」
「だからマスターは禁忌としていた。」
「協力は出来ません。」


「そうか・・」
「鍵が導く心のままに。」
グウラは一人でどこかに行ってしまった。


アヴァがインヴィに言う。
「グウラはルクスを集めようとしている。」


「そう、だからアセッドもイラもルクス集めに走っているのね。」
「均衡を保とうとしているんだわ。」
「でもこれまでのように示し合わされた均衡じゃない。」
「皆が自信の思惑のままルクスを回収している。」
「キーブレード使い達の無秩序な争いの先にあるのは・・キーブレード戦争。」
「そしてその結末は予知書通り、光の消滅。」
「私もルクスを集めるわ。」
「もうそうするしか均衡を保つ術はない。」
「アヴァ、あなたもそうしなさい。」
「少しでも結末を先に延ばす為に。」
インヴィは去っていった。


一人になったアヴァがマスター・オブ・マスターとのやり取りを思い出す。
「予知書に記された結末は避けられない未来。」
「世界は闇に覆われて消えてしまうだろう。」
「お前に与える使命が、あるいは消滅の運命を回避する希望になるかも知れない。」
「争いに巻き込まれないよう各ユニオンの隔たりを超え優秀なキーブレード使いを選び、自らのユニオンとは別に組織してくれ。」
「そしてタンポポの綿毛のように外の世界へと旅立たせるんだ。」
「光の守護者を途絶えさせてはならない。」
「アヴァ、お前にしか出来ない事だよ。」
「そのユニオンの名前はダンデライオン。」
「ダンデライオンだけになってもユニオンを維持できる5人を選ぶんだ。」
「そしてユニオンリーダー達5人以外には世界の全てが消滅してしまってもその事は秘密にするんだ。」
「悲劇の記憶は先の時代に必要はない。」
「このことは別の世界で、悲劇のない時間を追体験してもらうんだ。」
「出来るってことになってるから大丈夫。」
「まずはこの5人。」
マスター・オブ・マスターはアヴァに予知書の1片を手渡した。
「そこに書かれた5人をダンデライオンに加え、来るべきタイミングでリーダーに任命して。」
「で、この赤で丸をしている子にだけいずれ予知書を引き継いで欲しいんだ。」
「予知書によって色んな先の世界を今の世界に形成してるからさ。」
「それがないと追体験出来なくなっちゃうでしょ。」
「その赤丸の子以外が見ちゃうと危険だよ。」
「だからその子にだけ秘密で渡さないと。」


アヴァは後の光を守るキーブレード使いの集団「ダンデライオン」のメンバーを噴水広場に集めた。
エフェメラはダンデライオンのユニオンリーダーに成長していた。
「今日もまたこれまでの任務に準えた訓練になります。」
「既に体験した事の追体験になりますが、それはまるで夢の中の世界。」
「こことは別の空間での。」
「あなた達は希望です。」
「いずれ争いが始まる。」
「同じ光を守護したいと願う者同士がただユニオンの隔たりというだけで競い合った友人と敵同士になってしまう。」
「私もどこまで正しい導きを続けられるか分かりません。」
「自らの闇に飲まれ、争いの中心でキーブレードを振るうかも知れません。」
「でもこの戦いに勝者はいない。」
「全てが消滅するだけです。」
「だけどあなた達は希望の種として残って欲しい。」
「もしこの先その争いが起きた時、あなた達だけは争いに参加せず外の世界に旅立って下さい。」
「日々こうして別の訓練を繰り返すのはその為です。」
「あなた達にキーブレード使いの未来を、光の世界を託します。」
「鍵が導く心のままに。」


その後、ユニオン同士での光の奪い合いによる争いが起こった。
アセッドがユニオンのメンバーに言う。
「戦いはもう始まっている。」
「もはや信じられるのはユニオンの結束のみ。」
「同じキーブレード使いでもその心が闇か否かの判断は出来ない。」
「強いユニオンこそが正義。戦って証明するしかない。」
「アヴァが裏でやっているダンデライオンという組織。あれも結局は力の誇示だ」


そこにイラがやって来た。
「マスターともあろう者が、キーブレード使い達に争いを勧めるとは何事だ!」


アセッドが言う。
「戦いは最初から始まっていた。」
「それを激化させていったのはお前達の方だ。」
「待っているぞ、決戦の地でな。」


その頃、アヴァはルシュを見つけ出していた。
「今までどこにいて、何をしていたの?」


ルシュが言う。
「ただ見てた。」
「俺は5人と違い予知書を授からなかった代わりに、その予知に書かれた先の時代へと進まなければならない。」
「この世界の終わりを見届けて旅立つんだ」
「アヴァはキーブレード戦争を回避したいんだよね?」
「でも無理だよ。この世界は終わるようになってる。」


アヴァが聞く。
「ルシュ、何を知ってるの?」


ルシュが答える。
「欠落した一片であるロストページ、アヴァ達の知らない予知。」


「ロストページには何が書かれているの?」
「ルシュ、あなたが世界をこうなるようにしたの?」
「あなたが裏切り者なの?」


ルシュはアヴァに裏切り者の名前を告げた。
「そんな・・」


ルシュが言う。
「だから運命に従うしかない。」
「もしも別の答えがあるとしてもそれは戦いの果てにある。」
「マスターは世界の行く末より我ら弟子が鍵にどう導かれていくかを知りたいんじゃないかな。」


「世界より私達?そんなはずはない!」
「あなたはマスターの意思を利用している。」
「マスターがそんな事を望むはずがない!」
アヴァはそう言うと、キーブレードをルシュに向かって振り下ろした。
それと同時に鐘が響き渡る。


数か月後、荒野にイラ、インヴィ、アセッド、グウラ、アヴァの5人と各ユニオンのキーブレード使い達が終結した。
そこには「ダンデライオン」のメンバーの姿はない。
予知書通りキーブレード戦争が始まってしまったのだ。


弟子達5人に起きた事を自分の目で確認したルシュは、キーブレード「ノーネーム」と黒い箱を持って旅立った。
「鍵が導く心のままに。」