ゲーム ネタバレストーリー まとめ

ゲームのストーリーを詳細にまとめています。続編をプレイする時などに役立てて下さい。このブログにはネタバレ要素が多く含まれています。

キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス

光の都―レイディアン・トガーデンの城にある研究施設で警報が鳴り響いている。
慌てた様子でコンピュータの操作をするブライグ。
「おい!これで良かったのか?」
研究員達が倒れている。
「ゼアノート!どうする気なんだ?」


マスター・ゼアノートに身体を乗っ取られ、記憶を失っているテラがマスター・ゼアノートのキーブレードを出現させる。
その様子を見たブライグが驚く。
「お前、記憶が戻ったのか?」
「いや、やっぱり記憶は消えてなかったのか?」


ブライグにキーブレードを突き刺し、心を取り出すテラ。
「俺の名はゼアノートではない。」
「我が名は、アンセム。」


ミッキーがミステリアス・タワーでイェン・シッドと話している。
「イェン・シッド様、ようやくヴェンの心の居場所が分かりそうです。」


「そうか。これであとはテラだけか。」
「次にゼアノートがどう動くかだな。」


ミッキーが言う。
「彼から分かれたハートレスを率いたアンセムもノーバディを率いたゼムナスもソラが倒したはずでは?」


「確かにその二人は消えた。」
「だがその二人が消えたと言うことは、本体であるゼアノートの復活を意味する。」
「ハートレスに囚われていた心が解放され、ノーバディとなっていた肉体が消滅すれば二つは再び一つとなる。」
「すなわちマスター・ゼアノートの帰還だ。」
「ゼアノートは策をいくつも講じる男よ。」


ミッキーが言う。
「でも、もしまた危機が訪れても僕とソラ、そしてリクもいます。」


「確かに彼らは強い。」
「だがマスターは王一人だ。」
「もしゼアノートが一人ではなかったとしたら・・」


ミッキーが驚く。
「え!どういう意味ですか!」


「王よ、ソラをここへ呼んでもらえぬか。」
「そしてリクも。」
「マスター承認試験を行う。」


ソラとリクがミステリアス・タワーに呼ばれた。
ドナルドとグーフィーも来ている。
「マスター・ゼアノートは天才的なキーブレードマスターであった。」
「その類稀なる才能が故に悩み多かった。」
「人の力さえも左右する心とは何なのか。」
「行き着いた答えがキーブレード戦争。」
「古に伝わる光と闇の戦いの中から心にある光と闇の本質を探ろうとした。」
「マスターとしての使命より探求の旅を選んだのだ。」
「長い探求の旅はその姿を幾度も変えさせて光を守護するキーブレード使い達の前に立ちはだかった。」
「だがまだ終わっていない。」
「恐らくこの後更なる脅威がもたらされるであろう。」
「我々は脅威に立ち向かう準備が必要だ。」
「そこでソラとリク、二人にはキーブレードマスター承認試験を受けてもらいたい。」
「本来ならばキーブレード使いとなるには数年の修行を必要とする。」
「しかし今、その猶予はない。」
「ゼアノートの裏をかき、来るべき戦いに備えねばならん。」
「キーブレードとはマスターからの教えを受け扱うものだ。」
「しかしソラとリクはこれまで自らの流儀で使ってきた。」
「キーブレードマスターとなるには正しい方法を学ばねばならない。」
「そこで二人にはこれまでのキーブレードの使い方を忘れ、一から修得し直してもらいたい。」


リクが言う。
「俺の心の中にはまだ闇が潜んでいる。」
「闇の道を歩んできた俺は本当にキーブレードを使うのに相応しいのか見極める必要があると思っている。」


ソラが言う。
「俺もマスター承認試験を受けます。」
「それでリクと二人でキーブレードマスターになります。」


「ではこれよりソラとリクのマスター承認試験を行う。」
「ゼアノートを倒すには王のメッセージにあった―悲しみの中で眠る者―を再びこの地に迎えねばならない。」
「それには7つの眠りの鍵穴を解放し、新たな力を得る必要がある。」
「知っての通り世界には目に見えぬ壁で隔てられ自由に行き来することが出来ない。」
「これまではその壁が砕けた世界やキーブレードによって回廊のゲートを開くことが出来たが、眠りの鍵穴がある―眠りに閉ざされた世界―にはそれらの方法で行くことは出来ない。」
「最初の旅で闇にのまれた世界は再生された。」
「しかしその中には再生が完全ではなく、眠りについたままの世界がある。」
「そこにはゲートが通じず、ハートレスすらも侵入することは出来ない。」
「故に世界の闇の大多数であるハートレスの代わりに眠りに閉ざされた世界には別の闇が存在している。」
「それは夢を喰らう魔物、ドリームイーター。」
「ドリームイーターの中には夢を喰い悪夢を植え付けるナイトメア、悪夢だけを喰う善良なるスピリット、二つの存在があると言われている。」
「ハートレスと世界の心の扉が対の存在だったように、ドリームイーターを探ることが眠りの鍵穴への導きとなるであろう。」
「夢と夢は繋がっている。」
「まずは最初の眠りの地から始めなければならない。」
「二人には闇にのまれ眠る直前のデスティニーアイランドに戻ってもらう。」
「夢に落ちる時、夢を介して眠りに閉ざされた世界へと繋がる。」
「眠りの鍵穴を開くことで新たな力を身につけるとともに、眠りに閉ざされた世界の解放にもなるであろう。」
「純粋な光の数と等しく7つの眠りの鍵穴を解放し、再びこの地に戻って来る事でマスター承認とする。」
「今やおとぎ話の中でしか語られない時代、世界は光で満ち、その光は目に見えぬキングダムハーツの恩恵だと信じられていた。」
「キングダムハーツは対となるχブレードによって守られており、それはまた誰にも触れられぬ言い伝えの中にあった。」
「そんな世界に光を奪い合う勢力が現れ、世界が闇に覆われ始めた。」
「その者達はχブレードを模したキーブレードを生み出し、キングダムハーツを巡る戦いを起こしたのだ。」
「それこそがキーブレード戦争。」
「それによって一度は光を失った世界だったが子供達の心に残った光によって再生され、今もこうして無数の星の輝きとなって光を放ち続けている。」
「χブレードとは光と闇、二つの意志が重なっている。」
「キーブレード戦争で砕けたその欠片は7つの純粋な光の意思と13の純粋な闇の意思に分かれてしまった。」
「そして本当の光、真のキングダムハーツは闇にのまれたままとなったのだ。」
「そのせいで多くの光の世界には未だ闇の存在がはびこっている。」
「光は闇を生み、闇は光を求める。」
「かつては光を奪う為に作り出されたキーブレードであったが、光を守る為に使い始めた者達がキーブレードの勇者だ。」


二人には闇にのまれ眠る直前のデスティニーアイランドに送り込まれた。
「イカダでどこまで行けると思う?」


リクが言う。
「さあな。駄目だったら別の方法を考えるさ。」


二人でイカダを作り沖に出ると嵐に巻き込まれた。
「リク、嵐だ。波も高くなってきた。」
突然、海底からアースラが現れた。
「本当だ、アイツらがいるよ。」
「きっちり借りは返させてもらうからね。」


「アースラ?どうして?これも試験?」


リクが言う。
「ソラ、考えてる暇はないぞ!」
二人で協力してアースラを倒した。
しかしイカダが壊れ、海に落ちてしまった二人。
その時、ソラとリクの前に鍵穴が現れる。
二人はキーブレードで1つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んで行った。


ソラが最初に着いたのはトラヴァースタウンだった。
「え?ここは・・トラヴァースタウン。」
「って服変わってるし。」
「これもイェン・シッド様の魔法かなあ。」
「あ、それよりリクは?」
辺りを見回してもリクの姿はない。
「リクー!おーい、リクー!」
そこにネクというオレンジ色の髪の少年がやって来た。
「うるさいな、酷いノイズだ。」
「お前がソラか?」
ネクがソラの手を掴み掌を確認する。
「参加者って訳じゃないんだな。」
「これはゲームだ。」
ネクの掌には赤い数字が刻まれていてカウントダウンしている。
「参加者には制限時間が刻まれる。」
「俺はこのゲームに絶対勝たなきゃいけない。」
「それにはパートナーが必要なんだ。」


ソラが言う。
「そっか。ゲームってよく分かんないけど俺が手伝おうか?」


ネクが驚く。
「え?お前初対面の相手の事を簡単に信じるんだな。」
「いや、そもそも参加者じゃないお前はパートナーになれない。」
「俺のパートナーは決まってるんだ。」


ソラが言う。
「別にパートナーにならなくても友達として手伝えばいいだろ?」


ネクがそっぽを向く。
「友達なんてそんな簡単に出来るもんじゃない。」


「そうかも知れないけど難しいことじゃない。」


「変なヤツ。勝手にしろ。」
歩き出すネクをについていくソラ。
「そう言えば名前聞いてなかった。」


すると突然ドリームイーターが現れて囲まれてしまった。
「ドリームイーター!」


ソラが言う。
「変わった名前だな。」


「いや、俺じゃないし!こっちだし!」
「囲まれると厄介だ。二手に分かれるぞ。」
「それから、ネクだ。桜庭音操、俺の名前。」


ソラが言う。
「サクラバ、ネク・・面白い名前だな。」


ネクが言う。
「いや、これはそうでもないだろ。」


「じゃあネク、行くよ!」
二人はドリームイーターを倒した。
ネクは猫のようなドリームイーターを操って戦っていた。
「ネクのそれもドリームイーターだよな。」


「ああ。ゲームを勝ち抜くにはこいつらの力が必要なんだ。」
「ソラにも使えるんじゃないか?」
ネクが操っていたのは悪夢だけを喰う善良なドリームイーター、スピリット
だった。


二人は3番街までやって来た。
「ソラを連れてきたぞ!」
「約束を果たせ!」


二人の前にⅩⅢ機関の黒いコートを着てフードを被った謎の人物が現れる。
何も言わずソラに襲い掛かる黒いコートの人物。
「約束が違う!」
ネクはソラを庇って立ちふさがる。


「そいつは危険だ!」
ソラはネクを助けようとするが突然強烈な眠気が襲い、そのまま意識を失ってしまった。


ちょうどその頃、リクもトラヴァースタウンに着いた。
「ここは・・トラヴァースタウンか?」
「服も変わってる。」
「ソラ、どこだソラ!」
「アースラに襲われて海に落ちた後、確か鍵穴を開いたはず。」
「するとここも眠りに閉ざされた世界・・」
「キーブレード・・俺はあの時とっさにキーブレードを持っていた。」
「もう始まってるんだな。」


そこにヨシュアという金髪の少年が現れた。
「ポータルを介さずこの世界に来る事が出来るんだね、君は。」
「僕の名前はヨシュア。」


「俺はリクだ。」


「こんにちは、リク君。」
「ポータルは世界を繋ぐゲートのようなものなんだ。」
「どうやら今僕たちがいるこの世界はそっくりそのまま二つに分けられたらしい。」
「それを繋いでくれるのがポータルなのさ。」
「僕達は一つの世界を共有してるようで、実は人それぞれ自分の世界を持っているだろ?」
「それと同じさ。別に不思議な事なじゃいよ。」
「リク君って言ったね?」
「君に手伝って欲しいことがあるんだ。」
「まあ話だけでも聞いてよ。」
「ライムという女の子を捜していてね。」
「彼女はポータルの要なんだ。」
「ポータルがあれば君の友達のソラ君とも会えるかも知れないね。」


「ソラを知っているのか?」


「興味が湧いたようだね。」
「でも残念だけどソラ君の居場所は分からない。」
「こちらの世界にいないのなら、もう一つの世界にいるんじゃないかと思っただけさ。」


リクが言う。
「ライムって子を捜せばいいんだな。」
「分かった。手伝おう。」
ヨシュアとリクは二人でライムという少女を捜すことになった。


街を歩いているとドリームイーターが襲ってきた。
リクはキーブレードでドリームイーターを倒すが、ヨシュアだけなぜか襲われない。
「ヨシュアはなぜ奴らに襲われないんだ。」


「ドリームイーターの事かい?」
「アイツらは夢を持たない者を襲わないらしいね。」
「おかしいよね。僕にも夢があるはずなんだけど。」


リクが言う。
「夢を持たない者を襲わない・・」
「じゃあ俺にも夢があるのか。」


「夢を持たない人間はいないさ。」
「僕の友達にも夢なんかないって言ってた子がいたんだけど、実際のところ彼は誰よりも強い夢を持っていたんだ。」
「君は彼に似ている気がするよ。」
「君の夢をカタチにしてみよう。」
「この世界では夢のカタチはドリームイーターとなって君を助けてくれるんだ。」


そこにビイトという少年がやって来た。
「見つけたぜ!ヨシュア!」
「お前を倒して俺はライムと一緒に元の世界に帰る!」


ヨシュアが言う。
「ビイト、そんな事をしても意味がないんだ。」
「君は騙されてるんだよ。」
「黒いコートの人物にね。」
「彼は恐らく僕達共通の敵なんだ。」


「うるさい!ややこしい話は好きじゃないんだよ!」
「出ろ!ドリームイーター!」
リクはヨシュアのスピリットを倒した。
「あーあ、やめたやめた。つまんねえ。」


ヨシュアが言う。
「強がるのは疲れるだろ?素直になりなよ。」


「俺は今度こそライムを守りたいんだ。」


「守りたいもの・・」
リクを強烈な眠気が襲う。
「なんだ、この眠気は・・」
リクは意識を失ってしまった。


意識を取り戻したソラ。
「あ!あいつは?」
辺りを見回すが誰もいない。
「ネクもいない。」
「俺が眠ってしまう前、ネクは黒コートに約束を果たせって言ってた。」
「一体どういう事だ?」
「ネクと黒コートは何か関係がある?」
「ネクのパートナーもまだ見つかってないし。」
「とにかくこの辺りを捜してみるか。」


トラヴァースタウンの4番街までやってきたソラ。
するとライムという少女が一人で立っているのを見つけた。
「ねえ君、もしかしてネクのパートナー?」


ライムは名前以外の記憶を失っているようだ。
「分からないんだ。僕の名前がライムって事以外。」
「そんな気にしないでよ。全然平気だから、僕。」
「記憶なんかきっかけさえあればすぐに戻るよ。」


「きっかけか・・」
「そうだ、ネクなら何か知ってるかも知れない。」
「俺について来て!ネクを捜そう!」


ライムを連れて5番街へ進むと植物園の前にネクがいた。
「良かったネク、無事で。」


「ソラ・・まだ俺のことを信じてるのか?」
「俺はソラを騙そうとしたんだぞ。」
「あの黒いコートの奴にソラを連れてくるように言われて。」
「そうすればパートナーと一緒に元の世界に帰してやるって。」
「ごめん。」


ソラが言う。
「もういいって。」
「ネクは俺を助けようとしてくれたじゃないか。」
「それに俺達友達だろ?」
「そうだ、ネク。この子ライムって言うんだけど、ネクのパートナーじゃないか?」


「ううん、違う。」
「ライムは俺のパートナーじゃない。」


突然黒いコートの人物が現れてライムを連れて闇の回廊に消えていった。


そこにヨシュアがポータルを使って移動して来る。
連れ去られたはずのライムも一緒だ。
「やあネク君。ずいぶん久しぶりな感じがするね。」


ネクがソラに言う。
「ヨシュアは俺の友達だ。」


ヨシュアが言う。
「まずはライムの事を説明しよう。」
「僕はライムの夢を預かっていてね。」
「僕のポータルなんだ。」
「要するに世界を繋ぐゲートになると言うことさ。」
「ここはちょっと不思議な街でね。」
「行き場を無くした者が身を寄せる為に現れる。」
「今は訳あって僕の夢から作られてるんだ。」
「だからこの世界の事は何だって知ってる。」
「君がリク君の親友だって事もね。」
「リク君はもう一つのここと同じ世界にいる。」


ソラが聞く。
「もう一つのここと同じ世界?」
「ポータルってのを使えば行けるのか?」


「残念だけど君には行けないんだ。」
「ポータルはライムの夢を預かってる僕にしか使えない。」
「なぜ世界が分かれてしまったのか。」
「恐らく黒いコートの彼が関係してるんじゃないかと思う。」


ちょうどその少し前、リクも意識を取り戻していた。
「何だったんだ・・俺は眠ってたのか?」
「ヨシュアとビイトはどこだ?」


するとドリームイーターに襲われているシキという少女がいたので助けてあげた。
「ありがとう、助かった。」
「あたし、シキ。あなたは?」


「リク。」


「ありがとう、リク。」
「ねえ、こんな所に一人で置いてかないで。」
「か弱いあたしを守ってちょうだい、ナイト様。」
「何か似てるんだよね、アイツに。」
「じゃ、よろしくね。リク。」
シキを連れてトラヴァースタウンの5番街に行く。
「見つけた!」
シキは急に走り出した。
「おい、一人で行くと危ないぞ!」
そして走って行った先でシキの悲鳴が聞こえる。
「キャー!」
慌ててシキを追いかけると黒コートの人物がいた。
リクに近づいてくる黒コートの人物。
「無意識なのか?」
「ならばお前には何も出来ない。」
「目覚めぬ眠りの中を永久に彷徨うことになるだろう。」


そこにビイトとシキが現れる。
「そいつの言葉に耳を貸すな、リク!」
「シキも大丈夫だ!」
「シキに聞いた。そいつが仕組んだことだってよ。」
「シキも元の世界に戻してやるって言われてリクをはめようとしたんだ。」
「今回のミッションはずいぶん手がこんでるじゃねえか。」
「偽死神さんよ!」
黒コートの人物がフードをとって顔を見せる。
黒コートの人物は浅黒い肌で銀髪の男性だった。
リクが尋ねる。
「お前は誰だ?」
黒コートの男性は何も答えず闇の回廊に姿を消した。
シキが言う。
「ごめんなさい、リク。」


「気にするな。」
リクの前にヨシュアの幻影が現れた。
ヨシュアの話を聞いているソラの幻影も見える。
ヨシュアは異なる世界にいるソラとリクに向かって話し始めた。
「ネク、ビイト、ライム、シキ・・彼らは元いた世界で存在を失うことになってしまったんだ。」
「僕は彼らの存在を消すまいとかろうじて残った彼らの夢の欠片をかき集めて退避させる場所を探していたんだ。」
「その時預かっていたライムの夢を介して眠りの世界でこの街を出現させた。」
「ここなら夢の欠片となってしまった親友達を元に戻せるかも知れない。」
「僕はそう思ったんだ。」
「驚いたことに眠りの世界では夢の欠片は実体を持っていた。」
「それで僕は夢の欠片たちの絆を繋げることがそれぞれの存在を補完しあい、再生の助けになるんじゃないかって思ったんだ。」
「結果は見ての通りだよ。」
「人は独りぼっちじゃ存在出来ない。」
「誰かに存在を意識される事で初めて人として存在出来るんだ。」
「その強いお互いの意識の繋がりが彼らを再生させたんだ。」
「勿論君達の協力もあったおかげでね。」


ソラとリクが同時に聞く。
「ヨシュア、君は何者なんだ?」


「ただの友達だよ。」
ヨシュアは背中に大きな白い翼を生やし、どこかに飛んでいってしまった。


ソラとリクの前に鍵穴が出現した。
二人はキーブレードで眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


次の眠りの世界はラ・シテ・デ・クローシュという世界だった。
街の中央には巨大なノートルダム大聖堂がある。
ソラが街を歩いているとフロロー判事に呼び止められた。
「待て。見ない顔だが何者だ?」
「その怪しげな格好、ジプシーだな?」
そこにフィーバス隊長がやって来る。
「フロロー判事、大変です。」


「何事だ、フィーバス隊長。」
「私は今ジプシーを尋問中なのだぞ。」


フィーバス隊長が言う。
「この子がジプシー?」
「まさか。ただの子供です。」
「それよりも魔物です。広場に現れました。」


「魔物だって?俺に任せてよ。」
ソラは広場に走っていった。
「待つんだ!危ないぞ!」
フィーバス隊長も広場に向かって走っていく。


一人になったフロロー判事が呟く。
「えーい、忌々しい。」
「20年もかけてジプシーを始末してきたというのに、今度は得体の知れない魔物が私の街の平和を乱すとは。」


ちょうどその頃、リクもラ・シテ・デ・クローシュに来ていた。
追われていたエスメラルダ・ジプシーという女性を助けてあげるリク。
「フロローがジプシー狩りを始めたせいで追われてたの。」
「私達ジプシーはただ自由を愛しているだけなのに。」
「フロローは規律で縛りつけようとする。」
「ついにはジプシー狩りの為に警備隊長まで呼び出したらしい。」
「その執念には強い闇を感じるわ。」


リクが大聖堂に向かうとカジモドという顔の醜い男がいた。
「僕はカジモドです。」
「あいにく司祭様は出かけておりますので。」


リクが聞く。
「いや、フロローの事を聞きたい。」
「どこにいるか知らないか?」


「ご主人様なら街外れの方へお務めだそうです。」
「ご主人様は外の世界から僕を守って下さるんです。」
「街の人が僕の姿を見れば虐めるに決まってるんだ。」


リクが言う。
「フロローにそう教えられたのか?」
「人は見た目だけで判断できないさ。」
「俺にも心を見抜いてくれた友達がいる。」
「カジモドも外に出てそんな友達を作ればいい。」


ソラが広場に行くとカジモドがドリームイーターと一緒に騒いでいた。
「やっぱりドリームイーター!」
「何をしてるんだ、早く逃げて!」


カジモドが言う。
「逃げるなんてとんでもない。」
「お祭りだよ。僕が王様なんだ。」


そこにフロロー判事がやって来る。
「カジモド!」


フロロー判事の姿を見て怯えるカジモド。
「ああ、ご主人様!」
その時、カジモドと一緒に騒いでいたドリームイーター達が暴れ出す。
「やめろ、やめてくれ。」
「どうして僕の思い通りにならないんだ。」


「早く逃げて!」
キーブレードを構えるソラの所に女性がやって来た。
「手伝うわ。」
「私はエスメラルダ・ジプシーよ。」


「ありがとう、俺はソラ。」
ソラがドリームイーターと戦っている間にエスメラルダ・ジプシーはカジモドを避難させた。


その様子を見ていたフロロー判事が言う。
「ジプシーめ!」


ドリームイーターを倒したソラはエスメラルダ・ジプシーがカジモドと入っていったノートルダム大聖堂の鐘つき堂に向かった。
大きな鐘の前にエスメラルダ・ジプシーとカジモドがいた。
「これがビッグマリーだよ。」


突然3体の石像が喋りだす。
「カジモドは大丈夫。」
「あの子は石よりも強い子だからね。」
驚くソラ。
「うわ!石像が喋った!」


「なんだい?私らが喋っちゃいけないのかい?」


カジモドがエスメラルダ・ジプシーに言う。
「ずっとここにいればいい。」


「駄目、出来ないわ。」


「どうして?ここは聖域なんだよ。」


エスメラルダ・ジプシーが答える。
「でも自由がない。」
「ジプシーは石の壁の中では耐えられない。」


「君は僕を助けてくれた。」
「今度は僕が助ける。」


エスメラルダ・ジプシーが言う。
「でも出られないわ。」
「どの扉も見張られてる。」


「扉からは出ない。」
「いいかい、行くよ。」
カジモドはエスメラルダ・ジプシーを抱きかかえて窓から飛び降りた。
見事な身のこなしで建物の下に降りていく。


ソラが石像達に聞く。
「カジモドのこと、詳しいみたいだな。」


「長い付き合いだからな。」
「もう10年以上にもなりますかね。」
「朝から晩まで。」
「カジはここを出られないんだよ。フロロー判事の言いつけでね。」


石像達はフロロー判事がカジモドに話していた内容をソラに伝える。
「可愛いカジモド。」
「お前は世間の事を知らない。」
「街の人間はお前の姿を笑い、怪物だといじめるだろう。」
「お前を守ってやるのは私だけなのだ。」
「その代りにお前はここから出てはならない。」
「忘れてはならんぞ。ここだけが安全なのだ。」


「要するにフロローはカジモドが醜いからって、ここで守ってやってるつもりなんだ。」
「カジはいつも眺めてただけのお祭りにどうしても行きたかったんだ。」
「それで勇気を出して外に出たまでは良かったんだけどね。」
「まさかあんな魔物が現れるなんて。」
「今度の事で心まで閉じ込めてしまわないか心配だね。」


「心を閉じ込めるなんて駄目だ。」
「俺、カジモドと話してくる。」
ソラはカジモドの所へ向かった。


リクが街を歩いているとフロロー判事とフィーバス隊長が睨み合っていた。
「そこをどきたまえ、フィーバス隊長。」
「この家の者はジプシーを助けたのだ。」
「それだけで十分な罪なのだ。」
フロロー判事の背後に巨大なドリームイーターが出現した。
「これは魔物ではない。神の裁きだ。」
「ジプシー共を根絶やしにする為に神が私に遣わした力なのだ。」


リクがフィーバス隊長の助けに入る。
「ここまで闇に堕ちてしまってはもう戻るのは難しい。」


「この私が闇に堕ちているだと?」
「その目で確かめるがいい。」
「裁きの炎がジプシー共を炙り出すのをな!」
フロロー判事は去っていった。


リクがフィーバス隊長に言う。
「無理しない方がいい。」
「あいつは俺に任せろ。」
「気にしなくていいさ。慣れてる。」


フィーバス隊長が言う。
「確かに俺よりも頼りになりそうだ。」
「すまないが頼むよ。」
「魔物が飛び去った方向からすると大聖堂の方だと思う。」


ソラが鐘つき堂を出るとフィーバス隊長に話しかけられた。
「おっと、君はソラ君だったかな?」
「俺は君と争うつもりはないよ。」
「フィーバスだ。」
「それより彼女はまだここにいるだろうね?」


「エスメラルダのことならカジモドが外へ逃した。」


フィーバス隊長が言う。
「まずいな。」
「フロロー判事の事だ。」
「フロローはジプシー達を始末することに暗い執念を燃やしている。」
「俺はそのやり方に異を唱えて追放されてしまったんだ。」
「俺のことはいい。」
「フロローはジプシー達の隠れ家―奇跡の法廷を見つけたと言っていた。」
「エスメラルダとジプシー達が危ない。」
「フロローが奇跡の法廷に辿り着く前に報せなければ。」


カジモドが戻ってきた。
「カジモド、エスメラルダが危ないんだ!」
「彼女はどこへ?」


「分からないよ。」
「街のどこかへ行ってしまった。」


カジモドがペンダントを持っていることにフィーバスが気づく。
「このペンダントは?」


カジモドがペンダントを見ながら言う。
「彼女はこれを見れば分かると言ってた。」
「このお守りをつけると街は僕のものになる。」
「そうだ。これは街の地図だ。」
「大聖堂がここで、街を抜けて橋を渡った先が奇跡の法廷だ。」


喜ぶフィーバス。
「よくやった、カジモド!」


「うん、僕が彼女を助けるんだ。」


ソラはカジモド、フィーバスと一緒に奇跡の法廷に向かった。
奇跡の法廷にはエスメラルダがいた。
「カジモド?どうしてここへ・・」


「フィーバスが報せてくれたんだ。」
「フロローがここへ来るらしい。」
「すぐ逃げる支度を。」


そこにフロロー判事がやって来る。
「ご苦労、フィーバス隊長。」
「私の予想通りに行動してくれて助かったよ。」
「なあ、カジモド。」
「いつかは役に立つと信じていたよ。」
「やっと捕まえたぞ、この魔女め。」
エスメラルダ・ジプシーを捕らえるフロロー判事。
「広場で火あぶりにしてくれる。」


「フロロー、そんな事はさせない!」
フロロー判事を止めようとソラが駆け寄るが、フロロー判事の闇の力によって気絶させられてしまった。


ソラが目を覚ますと誰もいなくなっていた。
「しまった。」
「カジモド!エスメラルダ!フィーバス!」
「広場で火あぶりって言ってた・・急がなきゃ!」
ソラは広場に向かって走って行った。


ソラが広場に着くとエスメラルダがちょうど火あぶりにされるところだった。
カジモドがエスメラルダを助け出し、大聖堂の中に逃げ込んだ。


カジモドの前にリクが現れる。
「彼女は大丈夫なのか?」
エスメラルダは無事のようだ。
「カジモド、魔物はどこへ行った?」


カジモドが言う。
「大聖堂の屋上。」


「分かった。」
リクが大聖堂の屋上に行くとフロロー判事がいた。
「お前は心の闇に溺れているだけだ。」


「お前も神の裁きを受けるがいい!」
フロロー判事は大聖堂の下に降りていった。
リクは襲いかかってくるドリームイーターを倒す。
するとそこに黒コートの男とハートレスレスになったゼアノート―偽アンセムが現れる。
「お前はアンセム!何故お前が?」


黒コートの男が言う。
「お前の親友だからな。」
「哀れ、闇に溺れた者の末路。」


偽アンセムが言う。
「私は闇を制した者。」
「お前も闇を制することが出来なければフロローと同じ末路が待っている。」


「まだ闇を恐れているんだな。」
黒コートの男と偽アンセムは闇の回廊に姿を消した。


「俺が闇を恐れている?」
「いや、キーブレードはまだ握られている。」
「光に導いてくれている。」


フロロー判事が鐘つき堂でカジモドとエスメラルダを追い詰める。
「そんなジプシー女の為に命まで賭けるとはな。」
「お前の為に命を捨てた母の姿を見ているようだ。」
「お前を始末しておけば良かったんだ。20年前にな!」
「今度こそ神は魔女を滅ぼし、地獄の炎に叩き落としてくれるのだ。」
そこにフィーバス将軍が助けに入り、フロロー判事は大聖堂の下に落ちていった。


ソラがカジモドと話をする。
「僕をここに閉じ込めてたのはフロローじゃない。」
「心を僕自身が閉じ込めてたんだ。」
「僕は心を自由にして外の世界へ出るんだ。」
カジモドは外の世界へと歩き出した。


一人になったソラの前に黒コートの男が現れる。
「フロローの見せた悪夢でカジモドは自分の心を閉じ込めていた。」
「お前も心を閉じ込めているんじゃないのか?」
「お前以外の心をな。」
黒コートの男は闇の回廊に消えていった。
そこに鍵穴が現れた。
ソラはキーブレードで2つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


大聖堂から外に出てきたカジモドとリクが話をする。
「フロローは僕を鐘つき堂に閉じ込めたけど、僕の心は僕自身が閉じ込めていたんだ。」
「リクの言葉で気付かされた。」


リクが言う。
「いや、俺自身のことでもあるんだ。」


エスメラルダがやって来た。
「誰にだって少しくらい心にしまっておきたい事があるものよ。」
「答えはゆっくり自分自身で見つければいいわ。」


一人になったリクの前に鍵穴が現れる。
「俺の心の行く末・・」
リクはキーブレードで2つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


その頃・・光の都―レイディアン・トガーデンの城にある研究施設では不思議な事が起きていた。
ノーバディの集まりであるⅩⅢ機関のメンバーが人間として復活していたのだ。
ノーバディの頃、ⅩⅢ機関メンバーでNo.Ⅷのアクセルも人間として復活した。
アクセルの人間の頃の名前はリア。
「ここは?」
「俺はどうなったんだ?」
「ロクサス!?」
「俺は・・」
側には4人の元ⅩⅢ機関のメンバー達が横たわっている。
「ディラン、エレウス、エヴァン、イェンツォ・・」
「そうか・・人間に戻ったんだな。」
「ここで機関入りしたメンバーだけか。」
「ゼアノートの奴はおいとくとして、あとはブライグと・・アイザ。」


城内を見回るリア。
「あいつらやっぱり城内には帰ってないな。」
研究室に行くとエレウスとイエンツォが作業をしていた。
エレウスはノーバディの時、ⅩⅢ機関のNo.Ⅴでレクセウスと名乗っていた。
イエンツォはノーバディの時、ⅩⅢ機関のNo.Ⅵでゼクシオンと名乗っていた。
「ん?二人の意識は戻ったのか?」


エレウスが言う。
「ディランとエヴェンの意識は戻ったがまだ安定していない。奥で休ませている。」
「外の方も見てみたが他のメンバーは戻っていないようだ。」


リアが言う。
「んー、やっぱどっか他所の世界に飛ばされたりしてるんじゃないのか?」


イエンツォが言う。
「心を奪われた者が再生する時、失った瞬間にいた場所に再生する。」
「仮に再生する世界が失われていた場合、狭間の世界に行き場を無くした者が集う。」
「トラヴァースタウンという世界が形成され、そこに再生される。」
「もしくは・・」


リアが話を遮る。
「いや、いい。」
「つまり俺達がここで再生されたんだから、同じこの場所にいないとおかしいんだよな?」
「あー、面倒くせーなあ。」
「再生されなかったって考えはどうだ?」
「あ、いや、いい。」
「しゃあねえ。俺が捜してくる。」
「嫌な役目はいつも俺だ。」


リクはザ・グリッドという世界にやって来た。
「服が変わってる。特殊な場所なのか?」


そこに警備兵が現れて捕らえられてしまったリク。
移送される途中でサムという男性と出会った。
「君も捕まったのか?」
「俺はサム。ここはグリッドだ。」


リクはクルーという男性のところに運ばれた。
「おめでとう。君にはライトサイクルバトル参加する権利を与えよう。」
ライトサイクルというバイクに乗せられてバトルを強制されるが、何とかゲームから逃げ出すことが出来た。
そこにサムがやって来る。
「良かった。ゲームから逃げ出せたのか。」
「俺はグリッドから脱出する。リクも一緒に。」


リクが言う。
「いや、俺は大丈夫だ。」
「しかしあてはあるのか?」


「ポータルへ行く。」
「俺がこの世界に来た時に開いたゲートだ。」
「現実世界に戻ってクルーを消し去る。」
「そうすれば父さんだって帰ってこられるはずだ。」
「20年前行方不明になった父さんがこのグリッドにいたんだ。」
「でも父さんはクルーに自分のディスクを取られないようにって隠れ家に閉じこもってる。」
「俺が何とかしないと。」


リクが言う。
「そうか。やっぱり俺も一緒に行っていいか?ポータルへ。」
リクとサムはポータルへ向かった。


ポータルに向かう途中でサムの父親ケヴィンとクオラという女性を助け出す。
ケヴィンはマスターキーであるディスクをクルーに奪われてしまったようだ。
「ポータルへはソーラーセイラーで向かう。」
「ソーラーセイラーは地下ドックから出ているはずだ。」
「ディスクを取り返さなきゃ。」
「クルーが外の世界へ出てしまう。」
「そしたら不完全な現実は破壊されてしまう。」


ソーラーセイラーで移動中、サムがケヴィンに話しかける。
「クオラは父さんが書いたプログラムでしょ?」


「一部はな。」
「だがそれ以外はとても理解できない。」
「クオラはISO。まったく新しい生命体。」
「クオラはその最後の生き残りだ。」
「現れたんだよ、突然。」
「どこからという訳ではないんだ。」
「条件がそろえば現れる。」
「彼らは我々が空想に描いてきた人知を超えた純粋な存在だ。」
「システムの中に統制や秩序や完璧さを求めても無駄だったんだ。」
「私がISOの素晴らしさを世界へ届けようとした。」
「そうしたらクルーが動いた。」
「彼は完璧なものしか受け入れない。」
「無限の可能性を秘めたISOを完璧ではないと見なして滅ぼしたんだ。」
「しかしそれは私のせいだ。」
「クルーは私だ。」
「完璧さを求め過ぎて目の前にあるものを見落としていた。」
「大切なものを。」


リクが心の中で呟く。
「人の探究心はその視野を狭くし、ときに周囲を巻き込んで不幸に陥れる。」
「偽アンセムはゼアノートの純粋な探究心が生んだ存在。」
「探究心を持たない人間はいない。」
「人は誰でも偽アンセムを生み出す可能性があるということか。」


そこにクルーが現れ、ポータルへの道を塞いでしまった。
「お前は約束したんだ。」
「世界を一緒に変えると。」
「なのに裏切った。」
「私は完璧なシステムを作ったんだ。」


ケヴィンが言う。
「完璧かどうかなんて我々が決めることじゃない。」
「作り出せるものでもない。」
「はじめから存在していたんだよ。」
「お前は昔の私のままだからそれが分からない。」
「すまなかった、クルー。」
「すまなかった。」
「クルーよ、お前にはやるべき事が他にあるだろう。」
クルーは姿を消した。


リクとケヴィン達は手分けしてポータルへの道を探すことにした。


ちょうどその頃、ソラもザ・グリッドに着いた。
ソラの前に謎の人物が現れるがすぐにいなくなってしまう。
その様子を見ているケヴィン、サム、クオラ。
「トロン・・生きていたのか・・」
「あの子が持ってる武器、不思議。」
サムが言う。
「あれも父さんがプログラムしたんだろ?」
ケヴィンが答える。
「いや、あの武器は知らないな。」


ソラに近づく3人。
「ねえ、その武器よく見せて。」
キーブレードを見るクオラ。
「やっぱりこの武器もこの子も面白いプログラムだわ。」


「プログラム?違うよ。」
「これはキーブレードで俺はソラ。」
「ここってトロンがいた世界だよな?」


ケヴィンが言う。
「トロンを知っているのか?」
「さっき君の前に現れたのがトロンだ。」
「トロンはかつて私の友人だった。」
「一緒にこのグリッドを作り上げたんだ。」
「しかしある時クルーがクーデターを起こした。」
「私は追放されてトロンはクルーに消去されたかと思っていたが・・」
「どうやらリンズラーというプログラムに変えられたようだな。」
「所詮はプログラム。」
「ほんの少しソースをいじるだけで性格や記憶すらも書き換えられる。」


ソラが言う。
「うーん、意味がよく分からないけど、ここは俺の知ってるトロンのいた世界とは違うみたいだ。」
「でももしこの世界にもトロンがいるなら元に戻してやりたい。」


ケヴィンが言う。
「そうだな。私もそう思う。」
「もしかしたらクルーがトロンのソースを保管しているかも知れないな。」
「クルーもプログラムだからな。」
「バックアップは取っておきたいだろう。」


「えっと、そのソースってのをクルーから取り戻せばトロンは元に戻るんだな。」
「クルーのところに行ってくる。」
「あ、場所が分からないや。」


クオラが言う。
「面白いこと言うのね。」
「ケヴィンともサムとも違う。」
「ソラに興味がわいたわ。私が案内する。」


ケヴィンが言う。
「クオラ、私達は先を急がなければ。」


サムが言う。
「そうだよ。またリンズラーが襲ってきたらどうするんだ。」


「先を急ぐならなおさらリンズラーを何とかしないと。」


ケヴィンが言う。
「そうだな。」
「リンズラー・・いや、トロンのことはクオラとソラに任せてみよう。」
「なぜだか私にはソラのことが信じられる。」
「サム、私達は先を急ごう。」


クオラが言う。
「あらためて、クオラよ。よろしくね、ソラ。」
「クルーはレクティファイアという戦艦で指揮をとっているはずよ。」
「地下ドックからソーラーセイラーで向かいましょう。」


ソラとクオラがソーラーセイラーで移動中、リンズラーが現れた。
「お前、トロンって呼ばれてたんだろ?」
「今のお前はクルーに記憶をいじられて本当の自分が分からなくなってるんだ。」
「トロン、思い出してよ!」
リンズラーは何も言わずに攻撃を仕掛けてきた。
クオラはリンズラーの攻撃をまともに受けて、そのまま連れ去られてしまった。


一人になったソラのところに黒コートの男が現れる。
「大事なことは記憶の奥底にしまい込んで忘れてしまう。」
「記憶じゃなく心だったかな?」
「記憶と心は密接だ。」
倒したはずのⅩⅢ機関No.Ⅰ、ゼムナスも現れる。
「感情の形成はその記憶の積み重ねから芽生える。」
「しかしデジタルではいくら記憶を積み重ねても感情は芽生えない。」
「どれだけ記憶を積み重ねてもそれを感じる心を持たないからだ。」
「かつて我が師アンセムは古いプログラムの中から管理データをコピーし、自らのプログラムの管理をさせていた。」
「ここはそのオリジナルデータの世界。」
「そう、データはコピーが出来る。」
「記憶は繋ぎ替え操作する事が出来る。」
「トロンのようなデジタルデータの存在ならなおの事。」
「それは容易ということになる。」
「ソラ、お前はどうだ?」
「心、記憶、データ、そして夢。」
「お前がこれまで経てきた記憶、感情、全てが自分オリジナルのものだと言えるのか?」
「今一度自らの器の奥底を覗いてみることだ。」
「選ばれし者よ。」
ゼムナスは闇の回廊に消えていった。


黒コートの男が言う。
「ここが夢の世界だと信じ込んでいるようだがデータも夢を見ると思っているのか?」
「ここもまた現実。」
「お前は自分がどこにいるのかも分かっていない。」
「すでにお前は別の道を歩んでいる。」
黒コートの男は闇の回廊に消えていった。


ソラが一人でレクティファイアに向かうと、クルーとリンズラーが現れた。
「よく来たな、待っていたぞ。」
「私はクルー。」
「私がトロンのプログラムを書き換えたのだ。」
「話し次第ではトロンを元に戻してやろう。」
「お前はどんな鍵でも開くことの出来るキーブレードというものを持っているな。」
「それと引き換えにリンズラーをトロンに戻してやろう。」


ソラが言う。
「キーブレードは渡せない。」
「これは闇を払う光。」
「みんなを笑顔にする鍵なんだ。」


クルーが言う。
「ならば力尽くで奪うまでだ。」


そこにクオラがやって来る。
「ソラの言葉が届いたおかげで隙きができて逃げられた。」
「あなたの言葉はトロンに届いているわ!」
「ソラ、リンズラーと戦って!」
「その鍵ならきっとトロンを目覚めさせられる。」


ソラはリンズラーを倒し、キーブレードでトロンを目覚めさせた。
しかしクルーの攻撃で地下に落とされてしまったトロン。
「リンズラーを回収しなくては。」
クルーはトロンを追って地下へ降りて行った。


クオラがソラに声をかける。
「ソラとその鍵の力のおかげね。」
「私もお友達になれたかしら。」


一人になったソラの前に鍵穴が現れる。
「俺の記憶が真実じゃない・・」
「いや、トロンもそうだった。」
「たとえ道を間違っても心は必ず真実に繋がる。」
ソラはキーブレードで3つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


その後、リク、ケヴィン、サム、クオラはポータルの前で合流した。
そこにクルーが現れる。
ケヴィンは捨て身でクルーからディスクを取り戻し、サムに渡す。
クルーを隔離し、サムとクオラをポータルに逃がすケヴィン。
「サム、時間だ!」
「クオラを頼む。」
「じゃあな、ぼうず。」
サムとクオラはポータルを使って外の世界に脱出した。


それを見届けたケヴィンはクルーを自らの身体に取り込み、消えてしまった。


一人になったリクの前に鍵穴が現れる。
「ポータルは消えたか・・」
「異世界を繋ぐゲートはそれを通った者に試練を与えるのかも知れない。」
「俺達はこの先も続く試練を乗り越えて行くんだ。」
「そうだよな、ソラ。」
リクはキーブレードで3つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ソラはプランクスターズ・パラダイスという世界にやって来た。
ジミニー・クリケットが歩いている。
「まったく、ピノキオときたらいつもゼペットさんに心配をかけて。」
「思えばゼペットさんが作った木の人形が女神様のおかげで動き出した時は驚いた。」
「正直に生きてきたゼペットさんの願いが叶えられたのだろうな。」
「私がピノキオに良心を教えてあげられれば、もしかしたらもっと大きな願いが・・いやいや、先のことは考えまい。」
「まずはピノキオを捜し出さなければ。」


ジミニーに声をかけるソラ。
「ジミニー、何してるんだ?」


ジミニーはソラのことが分からないようだ。
「君は誰だい?子供がここに入っちゃいけない。」


「え?どうしたんだ、ジミニー。」


「私の名前を知っているのか。」
「ふむ、どうやらこのジミニー卿の名も知れ渡ってきたようだな。」
「君とは初対面だが名前を聞いた気がするな。」


「あ、そっか。」
イェン・シッドが言っていた言葉を思い出すソラ。
「眠りに閉ざされた世界では本来の時間は流れていない。」
「世界を眠りから覚まし元の世界に戻さない限り、いつまでも夢を見ている状態になる。」
「もし訪れた先で知人に出会ってもそれは夢の住人でしかない。」
「現実ではその世界の住人も世界自体も眠った状態でその世界の中に閉ざされている。」
「仮にその世界に既に存在していない住人でも世界が夢の世界に存在を作り出す。」


ソラが呟く。
「現実のジミニーはこの世界に閉じ込められていない。」
「これは世界が見ている夢の中のジミニーってことか。」


「何をブツブツ言ってるんだ?」


ソラが言う。
「うん、はじめましてだよね、ジミニー。」
「そうだジミニー、ここに入っちゃいけないって言ってたよね?」


「それにしても君にそんなふうに言われると初対面じゃない気がしてくるな。」
「この場所の事だったな。」
「ここは恐ろしい場所なんだ。」
「子供達を遊び呆けさせてロバに変えてしまうんだ。」
「私の大事なピノキオもここに迷い込んでしまったらしい。」
「おお、そうだ。ピノキオだ。」
「あの子から君の名前を聞いたんだ。」
「黒い服の人がここでソラと遊べと言ったらしい。」
「それより早くピノキオを見つけないと、あの子もロバにされてしまう。」


「分かった。俺もピノキオを捜すのを手伝うよ。」
走っているピノキオを見つけるソラ。
「あ!あそこにピノキオがいる!」


ソラとジミニーはピノキオを追いかけていった。
ドリームイーターに襲われていたピノキオを助けたが、ピノキオの耳はロバの耳になっており、しっぽも生えていた。
「ともかく二人は早くここから逃げるんだ!」
ピノキオとジミニーを逃すと、ソラの前にゼムナスが現れた。
「ゼムナス!どうしてお前が?」


「心のない人形にも心が宿るか。実に面白い。」
「お前も我々と似た存在であることを忘れるな。」
ゼムナスは闇の回廊の中に消えていった。


ソラの前に女神様が現れる。
「あなたはソラですね?」
「悪い報せです。」
「ゼペットさんがピノキオを捜しに行ってモンストロという怪物クジラに呑まれてしまったのです。」
「ピノキオとジミニーはゼペットさんが海の底にいるモンストロのお腹の中でまだ生きていると手紙で知って助け出す為に後を追いました。」


「そんな、無茶だ!」
「俺も後を追います!」
ソラはピノキオとジミニーを追うが間に合わず、ピノキオとジミニーはモンストロに呑まれてしまった。


「そうか、この後この世界は闇にのまれてピノキオ達はモンストロと一緒に異空の海に投げ出されて、トラヴァースタウンに。」
「そしてまたモンストロのお腹の中で俺達は本当に出会うんだ。」
「ここはイェン・シッド様の言っていた世界が見ている目覚めない夢の中。」
「眠りを覚まさないと元の世界には戻らない。」
ソラの前に鍵穴が現れた。
ソラはキーブレードで4つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


リクもプランクスターズ・パラダイスにやって来が、リクが着いたのはモンストロの腹の中だった。
ゼペットが頭を抱えている。
「リク君というのか。可哀想に。」
「君もモンストロに呑み込まれてしまったんだね。」
「私はゼペット。ピノキオの父親じゃよ。」
「ピノキオとはここで再会出来たんだが、またどこかへ行ってしまったんだよ。」


「ゼペットさん、ピノキオは俺が捜してくるよ。」
リクのところにジミニーがやって来る。
「私はジミニー・クリケットだがどこかで会ったかな?」
「まあいいか。そんな事よりピノキオのことだ。」
「ピノキオは誰かについて行ってしまったようなんだ。」
「確か黒いコートを着ていたな。」
「私も一緒に行くよ。」
「ピノキオに良心を授けるのが私の役目だからね。」


ジミニーと一緒にモンストロの奥に進んで行くと、フードを被った黒いコートの人物とピノキオがいた。
「僕、ごめんなさい。」
「またお父さんとジミニーに心配かけちゃったよね。」


リクが黒いコートの人物に話しかける。
「何者だ?」


黒いコートの人物がフードをとると、リクだった。
黒いコートを着たリクは何も言わず闇の回廊に消えていった。
「あれは俺の闇の部分だ・・」
「過去に俺は闇に堕ちた。」
「それ以来、何度か形を変えて俺の前に現れる。」
「俺の身体を乗っ取った闇の探求者。俺の闇をコピーされた人形。」
「そして俺自身。」


ピノキオと一緒にゼペットのもとに帰る。
「過去に飛ばされたのは出発したデスティニーアイランドだけなのに、この再生された世界はまるで過去の時間だ。」
「これがイェン・シッド様の言っていた、再生が完全でなく眠りについたままの世界。」
「覚めない夢の中にいるようなものなのか。」
リクの前に鍵穴が現れた。
リクはキーブレードで4つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ミッキー、ドナルド、グーフィーはイェン・シッドと共にミステリアス・タワーで二人の事を心配していた。
「ソラとリク、大丈夫かなあ。」


そこに一羽のカラスが飛んでくる。
「マレフィセントの使いだな。」
カラスはミニー王妃の王冠と手紙を置き飛び去って行った。
ミッキーが手紙を読む。
「ミニーがマレフィセントにさらわれたらしい。」
「マレフィセントはディズニーキャッスルに戻るよう指示している。」


イェン・シッドが言う。
「王よ、一刻も早く向かうのだ。」


「では行って参ります。」
ミッキーはドナルド、グーフィーとともにディズニーキャッスルに向かった。


イェン・シッドが言う。
「この機にマレフィセントが動き出すとは。」
「闇の勢力が呼応しているのか。」
「もしやゼアノート・・」


ミッキー、ドナルド、グーフィーがディズニーキャッスルに向かうと、ミニー王妃がマレフィセントとピートに捕らえられていた。
「卑怯だぞ、ピート!」


マレフィセントが言う。
「私達には全ての世界を手に入れるという大きな目的がある。」


ミッキーが言う。
「君達には悪いけど、そう思い通りにはならないよ。」


「この状況をよく考えて言うんだね。」
「王妃がどうなってもいいのかい?」


ミッキーが言う。
「マレフィセント、一体何が望みだ!」


「そうだね。まずはこの世界を私達の住みやすい場所にしてもらおうかね。」
「ここは眩しくていけない。」


「マレフィセント、君がそんな事でここまで来たとは思えない。」
「本当の目的は何なんだ?」


マレフィセントが答える。
「さすがだね。」
「私が外の世界を知るきっかけを作った人物、ゼアノートを知っているだろう?」
「彼に聞いたのさ。心を闇に引き入れる方法。」
「そして世界の7つの純粋な光の心。」
「その7つの光を手に入れれば世界も手に入るとね。」
「でも私の思惑とは少し違っていてね。」
「世界は思った以上に複雑で上手くはいかなかった。」
「だからね、思ったのさ。」
「私は私のやり方で世界を手に入れようと。」
「お前達は確か世界のデータとやらを持っていたね?」
「それを渡してもらうよ。」


ピートが言う。
「この前俺が閉じ込められていたやつさ!」
「あれをこっちによこせ!」


ミッキーが聞く。
「データをどうするつもりだ?」


「お前に教えるつもりはないよ。」
「どうやら要求には素直に応えるつもりはないようだね。」
「こうなれば消えてもらうよ。」


そこにリアが闇の回廊を使ってやって来てピートに攻撃を放つ。
ミニー王妃はスキをついて逃げ出すことが出来た。
「マレフィセント!観念するんだ!」


「また出直す事にするよ。」
「欲しいものがここにあることはわかったからね。」
マレフィセントとピートは闇の回廊を使って去っていった。


ミッキーがリアに言う。
「闇の力を使ってここに?」
「無茶なことを。」
「でもまさか君に助けられるとはね。」
「アクセル。」


「違うな。」
「俺の名前はリア。記憶したか?」


ソラは再びトラヴァースタウンにやって来た。
ヨシュアがいる。
「戻ってきてくれたね、ソラ君。待ってたよ。」
「君達を待ってたのは・・」


ソラが言う。
「君達ってことはもしかしてリクも?」


「うん、君達はまだ会えてないようだね。」
「でも信じていれば会えるよ。リク君が言ってた。」
「その言葉の通りネク君達もパートナーに会えたんだ。」
「でも彼らは一度存在を失った。」
「本来なら死神に魂を奪われるところだったんだ。」
「でもこの世界で再生し、パートナーとも再会出来た。」
「ネク君達が元の世界に戻る為にはいくつかの死神のゲームミッションをクリアしないといけない。」
「それが元いた世界のルールだからね。」
「でも今回のミッションはかなり厄介でね。」
「仲間を呼ぶ能力を持つドリームイーターが現れてキリがないんだ。」
「それで君達の力をまた貸してあげて欲しいと思ってね。」
「ドリームイーターに有効な武器、キーブレードを持つソラ君とリク君に。」


ソラが言う。
「やっぱりリクもここに来てるんだ。」


「そうだね。でも二つに分かれたもう一つの世界は何だか近くて遠いところにある気がするんだよね。」
「時間や距離では測れない場所。」
「ポータルで隔てられている事で余計にあやふやになってる。」


ソラが言う。
「大丈夫、会えなくてもリクとはいつも心で繋がってるから。」


「君達が羨ましいな。」
「さて、噴水広場でネク君はパートナーと応戦している。」
「頼めるかい?ソラ君。」


リクもトラヴァースタウンに着いた。
「トラヴァースタウン・・戻ったのか?」


ヨシュアがやって来る。
「君達を待っていたよ。」
「ちょっと問題が起きてね。」
「君達の力を借りたいんだ。」


リクが言う。
「ソラももう来てるのか?」


「さすがリク君。ソラ君と違って話が早いね。」
「さて早速その問題なんだけど、厄介なドリームイーターが現れてね。」
「両方の世界を行き来してる。」
「しかも他のドリームイーターを呼ぶ能力があるんだ。」
「それがなかなか手強くてさ。」
「今みんなでミッション中なんだけど、状況は厳しい。」


リクが言う。
「そうか、シキ達も参加してるのか。」


「そうなんだ。今はみんなパートナーに会えて、シキ君はもう一方の世界で戦ってる。」
「向こうではソラ君にも頑張ってもらってるよ。」
「ちょうどそいつがこの先の噴水広場に現れたところなんだ。」
「こっち側にはビイトに行ってもらってる。」
「それと君に言っておきたいことがあるんだけど。」
「ポータルを介した二つのトラヴァースタウン―ずっと二つは並行した世界だと思ってたんだけど、どうも間違ってたみたいなんだ。」
「ちょっと複雑な話なんだけど君達がこの世界を去った直後、シキ君もビイトもパートナーと出会えた。」
「ミッションへの参加者は手のひらにカウントが刻まれてるんだけど、向こう側に行ったシキ君の時間はパートナーより遅れていて、こちらの世界に来たビイトのパートナーの時間は進んでたんだ。」
「でも世界の全てが時間の流れが違う。」
「シキ達が元いた世界とトラヴァースタウンでも言えることだ。」
「その理屈は分かってる。」
「ただ同じトラヴァースタウン同士なら時間の流れは同じはず。」
「この二つは単純な並行世界ではないということだよ。」


リクが言う。
「例えば過去と未来とか?」


「いや、それも違う。」
「二つの世界は明確に別々で、時間だけの隔たりじゃない。」
「違う世界同士では時間の流れが違う。」
「つまり二つは全く同じようでまるで違う世界なんだ。」
「答えは僕にも分からない。」
「同じだけど全く違う別の世界。」
「一つだけ思い当たるとすればこれはまるで・・夢。」
「僕や僕の友達には重要な事ではないのかも知れないけど、君とソラ君には大事な事かも知れないと思ってね。」
「とりあえず今は噴水広場に。」


ソラが噴水広場に行くとネクとシキがドリームイーターと戦っていた。
ソラが加勢する。
「お待たせ!」
「やっとパートナーに会えたんだな。」
「次は元の世界に一緒に帰らないとね。」
ソラはドリームイーター達を倒した。


ソラがシキに話しかける。
「君がネクのパートナーだよね。」


「うん、私シキ。あなたソラでしょ?」
「話はネクから聞いてるよ。」


ソラが言う。
「そっか。ネクはシキのことすっごく捜してたんだよな。」


ヨシュアがやって来た。
「トラブルだ。」
「今のドリームイーターの一部がもう一つの世界に逃げたみたいだ。」
「向こうではリク君達が戦ってくれている。」
「でもこのままでは行ったり来たりを繰り返すだけだ。」
「だから同じ場所で待ち構えて挟み撃ちにするんだ。」
「その場所は3番街だ。」


リクが噴水広場でドリームイーターを倒すとヨシュアがポータルを使ってやって来た。
「リク君、3番街だ!」
「両方の世界からあいつを追い込む。」


リクが3番街に行くと、ビイトとライムがドリームイーターと戦っていた。
リクが加勢してドリームイーター達を倒すと、ヨシュアがやって来た。
「ビイトのフルネームは尾藤大輔之丞君だっけ?」
上空に鍵穴が現れた。
「リク君、気をつけてね。」
「もし本当に夢だとしたら、現実だと信じさせようとして夢は嘘をつく。」


「ああ、分かった。」
リクはキーブレードで5つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ソラは3番街に向かい、逃げ出したドリームイーターを倒した。
しかしまたどこかの世界に逃げてしまう。
ヨシュアがやって来た。
「どうやらこのトラヴァースタウン以外の世界へ逃げたようだね。」
「もう僕の力は届かない世界だ。」


シキが聞く。
「ミッション失敗ってこと?」


ソラが言う。
「俺が追いかけるよ。」
「今更ゲームの参加者じゃないから駄目とか言わないよな?」
「じゃあ行ってくる!」
上空に鍵穴が現れた。
ネクが言う。
「ソラ、ありがとう。」
「ソラの言う通り難しいことじゃなかった。」


シキが言う。
「何だかネク、変わったよね。」
「格好良くなったよ。」
「お友達と会えたら今度は私達の街にも来てよ。」
「シブヤで待ってるよ。」


「ああ、約束だ。」
ソラはキーブレードで5つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ソラはカントリー・オブ・ザ・マスケティアという世界にやって来た。
ミッキー、ドナルド、グーフィーがドリームイーターと戦っている。
そこにソラが助けに入り、ドリームイーターを倒してあげた。
「王様!何でこんなところに?」


ミッキーが言う。
「え?僕のことを知ってるの?」


ソラが呟く。
「ああ、これはジミニーやトロンと同じなのか。」
「いや、でもここはディズニーキャッスルじゃないし、あの世界は眠りに閉ざされていない。」
「どうなってるんだ?」


ミッキーが言う。
「ん?君はその鍵・・」
「分かってる。他の世界から来たんだね。」
「僕はミッキー。」
「実は僕も訳あって、今はこの世界で銃士をしている。」


「うーん、ここは俺が知らない時間に王様がいた世界?」
「その世界が眠りに閉ざされていて、王様が・・」


ミッキーが言う。
「僕達にはプリンセスの護衛任務がある。」
「行くよ、ドナルド、グーフィー。」


ソラが言う。
「待って!俺にもそれ手伝わせてよ。」


「分かったよ、ありがとう!」


リクもカントリー・オブ・ザ・マスケティアにやって来た。
ピートを見かけるリク。
「あれはピートか・・」
「どういう世界なんだ、ここは。」
「どんな世界にせよあいつは放っておく訳にはいかないな。」


ソラ達がミニー王女を護衛していると突然ドリームイーターに襲われ、ミニー王女はどこかへ連れ去られてしまった。


リクがピートを追いかけていくと、宝箱の中に閉じ込められているミニー王女を見つけた。
ピートの子分達を倒し、ミニー王女を助け出す。
「ありがとう、助かりました。」
「あなたは?」


「リク。ミッキーの友人だ。」


ミニー王女が言う。
「舞台に危険な仕掛けがしてあって、ミッキー達を誘い出して罠に陥れようとしているのです。」
「装置はここで操作出来るのですが。」


リクはキーブレードで装置を破壊した。
「良かった。ありがとう、リク。」
「まるで銃士隊のような働きでしたね。」


一人になったリクの前に鍵穴が現れる。
リクはキーブレードで6つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ソラはミッキー達と一緒にドリームイーターを追いかけ、ミニー王女を助け出す。
「ソラ!ありがとう。」
「君のおかげで王女様を助けることが出来たよ。」


ドナルドが騒ぎ出す。
「大変だー!」
「隊長がプリンセスを狙ってたんだ!」


ミッキーが言う。
「まさか。隊長が僕らを銃士にしたのに。」


「あれは嘘だったんだ。」
「隊長の悪巧みを止めよう!」


そこにピートが現れる。
どうやら隊長はピートだったようだ。
「知らない奴がいるみたいだな。」
「おい、おまえら。相手をしてやれ!」


ソラ達はピートが放ったドリームイーターを倒した。
ミッキーが言う。
「ピート隊長!銃士に与えられた力によってあなたを逮捕します。」
ミッキーはピートを逮捕した。


ミニー王女がミッキー達に言う。
「今回の素晴らしい働きを讃えてあなた達を正式に近衛銃士に任命します。」
「みんなありがとう。」


一人になったソラの前に鍵穴が現れる。
ソラはキーブレードで6つ目の眠りの鍵穴を解放し、次の眠りの世界へと進んでいった。


ミッキー達はリアを連れてミステリアス・タワーに戻ってきた。
イェン・シッドが言う。
「ソラとリクが旅立ってすぐに違和感があった。」
「もしかするとかなり早い段階からゼアノートに勘づかれていたのかも知れん。」
「今回の試験は本来の承認試験とは全く異なる。」
「しかし彼らが今後成すべき事を考えれば不可欠なこと。」
「純粋な光の数7つの扉を開けば新たな力を手に入れここに戻るだろう。」
「その時点でマスターの資格は得ているはず。」
「それ故、試験と言うには厳しく危険ではある。」
「二人の力を考えれば無理なことではない。」
「だが気配は引き続き探っているがどうもおかしい。」
「ゼアノートは巧妙な策士だ。」
「こちらの動きはある程度想定済みだったのかも知れん。」
「かつての機関のメンバーがこうして人間に戻った。」
「それはゼアノートも同じはず。」
「こうなった以上、ゆっくり考える猶予はない。」
「ゼアノートの想定外の一手、こちらも裏をかく必要がある。」
イェン・シッドがリアに言う。
「もう一度聞くが、決して楽な道ではないぞ?」


「ああ、さっさと始めてくれ。」


ソラはシンフォニー・オブ・ソーサリーという世界にやって来た。
ミステリアス・タワーがある。
「イェン・シッド様のところに戻ったのか?」
「何か違うな・・」


いつもイェン・シッドが座っている椅子にミッキーが座っていた。
「それはキーブレード?君は誰の弟子なんだい?」
「僕は魔法使いの弟子をしているミッキー。」


ソラが呟く。
「弟子?」
「ここは王様がまだ修行時代にいた世界?」
「じゃあこの世界も今は眠りに?」


ミッキーが言う。
「楽譜の中に魔物がとりついて、魔物から漏れ出した闇が楽譜へ入るのを防いでいる。」
「闇を払うには音の力が必要なんだ。」


どうやらトラヴァースタウンから逃げて行ったドリームイーターが原因のようだ。
「音の力はどうやって手に入れればいいんだ?」


ミッキーが言う。
「え!君が行ってくれるのかい?」
ミッキーの前にある楽譜が光りだす。
「この楽譜の中で闇を払う音の力を手に入れられるはずなんだ。」
「でも気をつけて。この楽譜の中に魔物がとりついてるから。」


ソラが楽譜の中に入ると黒コートの男が現れた。
「ずいぶんと深い眠りに堕ちてきたな。」
「ここは美しい世界だ。」
「まるで夢のようだな。」
「気づいてないのか?」
「それともこれがまだ試験だと思っているのか?」
「俺も夢の一部だと思っていたなら、やはり聞いていた通り気楽な奴だ。」
「だがそれももうすぐ終わる。」
「眠りの先で待っている。」
黒コートの男は闇の回廊に姿を消した。


リクもシンフォニー・オブ・ソーサリーにやって来た。
ミステリアス・タワーに入り、ミッキーと話をする。
「その楽譜の闇は力尽くでは払えない。」
「僕は魔法使いの弟子をしているミッキー。君は?」


「リクだ。」
「力尽くが駄目ならどうすればいい?」


ミッキーが言う。
「僕のことを助けてくれるのかい?」
「いずれ君とはお互いの事を助け合う友達になれそうな気がするよ。」
ミッキーの前にある楽譜が光りだす。
「この楽譜の中で闇を払う音の力を手に入れられるはずなんだ。」
「頼めるかい?」


リクは楽譜の中に入っていった。
黒コートの男がリクの前に現れる。
「キーブレードに選ばれし者、リク。」
「はじめに選ばれたのはお前だ。」
「しかし闇を制御できず闇に堕ち、手にするはずだったキーブレードもソラに移った。」
「そう、お前はいつも誰かにとってのお荷物だ。」


リクが言う。
「そうかもな。だからこそ今ここにいる。」


黒コートの男が言う。
「今回も想定内だったが、お前の力は思った以上だ。」


「そこまで話すならそろそろ種明かしをしたらどうだ?」


黒コートの男が言う。
「どうやら本当にお前は闇をその心に閉じ込める術を知ってしまったようだ。」
「闇への耐性を持ってしまったお前は必要ない。」
「深淵の時は近い。」
黒コートの男は闇の回廊に消えていった。


ソラが楽譜の世界で音の力を手に入れて戻くる。
「音の力を手に入れてくれたんだね。」
「さあ、音の力を開放しよう。」


ソラは音の力を使ってドリームイーターが取り付いている楽譜の中に入っていった。


リクも楽譜の世界で音の力を手に入れて戻ってきた。
「ありがとう、リク。さあ、音の力を解放しよう。」


リクは音の力とキーブレードを使って楽譜の闇を払った。
ミッキーが言う。
「これは一体どういう事だろう。」
「楽譜の中の魔物も消えてしまった。」


リクが言う。
「ソラだ。」


ミッキーが言う。
「リクとソラ、君達が解放してくれた音の力が合わさって音楽という強い力が生まれたんだね。」


「あいつはどんな状況も楽しんで驚くような事を平気で成し遂げる。」
「結果、周りを笑顔にするんだ。」


ミッキーが言う。
「そうか。ソラは音を楽しんだのかも知れないね。」
「やっぱりソラがそうやって自由でいられるのはリクのおかげだと思うよ。」
「君達はきっと自分を預け合っているんだ。」
「だから安心して心のままでいられる。」
「いつか君達の力に加わりたいな。」


「ああ、待っている。」
ミステリアス・タワーの外に出たリクの前に鍵穴が現れる。
リクはキーブレードで最後の眠りの鍵穴を解放した。


ソラはトラヴァースタウンで取り逃がしたドリームイーターを倒し、ミッキーのところに戻った。
「ありがとう、ソラ。君のおかげで助かったよ。」
「そうだ、水汲みの途中だった!」
「急がないと叱られる!」
「また会おう、ソラ。」
ミッキーは走って行ってしまった。


一人になったソラの前に鍵穴が現れる。
ソラはキーブレードで最後の眠りの鍵穴を解放した。


7つの眠りの鍵穴を全て解放した二人は、ⅩⅢ機関のアジトがある「存在しなかった世界」に飛ばされた。


ミステリアス・タワーではミッキー達がソラとリクを心配して待っている。
リアは一人でキーブレードの修行に旅立ったようだ。
「イェン・シッド様、彼は大丈夫でしょうか。」


「うーん、かなり無理矢理ではあるが。今、大いなる魔法使いと妖精達に時の流れの違う場所で取り急ぎ使えるくらいまでにはしてもらっている。」
「あとは本人の思いの強さと体力次第だろう。」


ミッキーが言う。
「そうですか。それとソラとリクの方は?」


「うむ、仮にゼアノートがこちらの動きに勘づいていたとしてもデスティニーアイランドが闇にのまれたあの時、あの場所にいなければ、どんな力を持っていようがソラとリクには近寄れないはずだが。」


ミッキーが言う。
「ゼアノートがそこまで読んで行動していた可能性もあるんですか?」


「さすがにそこまでは不可能であろう。」


グーフィーが言う。
「ソラとリクのように時間を超えて見てきたのかな。」


「時を超えるにはその時代、その場所に自分がいる必要がある。」
「ゼアノートが肉体を自由に行き来させる術は持たぬであろう。」


ミッキーが言う。
「あ!まさか・・」
「ゼアノートは肉体を自ら失い、その後向かった先でリクの肉体を乗っ取った・・」


イェン・シッドが驚く。
「何ということだ・・」
「まさかこれまでの全てが計算された事だと言うのか・・」


ミッキーが言う。
「僕らが彼らを助けに行ってもいいでしょうか?」


「しかし夢の世界に入ることは出来ない。」
「どこに向かうと言うのだ?」


ミッキーが言う。
「全てゼアノートの計画の内なら、最後まで夢の世界にはいないでしょう。」
「きっとどこかこちら側の世界に現れるはずです。」
「そしてその場所は限られる。」
「後は心の繋がりを辿って。」
「かつてマスター・アクアに教わった事です。」
「今回は僕一人で行くことにします。」
「今回はこれまでと違うかなり危険な戦いになる。」


「王よ。ソラの気配を感じることは出来ないが、かすかにリクの気配は狭間の世界に感じる。」
「あとは心のままに進むのだ。」


「分かりました。」
「必ず二人を無事に連れて帰ります。」
ミッキーは狭間の世界に旅立って行った。


存在しなかった世界に飛ばされたソラ。
「ここは機関の・・」
「この世界は眠りに閉ざされてないはずだよな。」
「もう7つの鍵は解放したし、やっぱり元の世界に戻ってるはずだよな。」
「何でここなんだろう。」


そこに元ⅩⅢ機関のメンバーのNo.Ⅱでノーバディの頃シグバールと名乗っていたブライグが現れる。
「まだ寝ぼけてるのか?」
「ちょっと面倒な段取りだったが、ここで仕上げってハナシだ。」
「種明かしは順番にしようぜ。ソラ・ロクサス。」
「まず本来なら元の世界に戻る予定だった。」
「だがどうしてこの世界にいるのか。」
「答えは簡単。俺達がここに招待した。」
「お前が眠りに落ちる瞬間を利用してな。」
「あの瞬間から同行し、誘導してきたってハナシ。」
「時を超え眠りに落ちる瞬間の世界に行くには、その時その場所に過去の自分が存在しなくてはいけない。」
「お前も過去に会ったはずだ。ローブの人物に。」
「そう、あの時から今日ここに来ることは決まっていたのさ。」
「こんな話、出来過ぎてて信じられないよな?」
「だからお前達には見抜けなかった。」
「そしてお前達の予定は狂ったのさ。」
「その証拠に現実に戻っても姿は元に戻っていない。」
「もう目覚めないんだよ、お前は。」
「つまりここが現実だろうが夢だろうが関係ないってハナシ。」


ソラが言う。
「分かったよ、関係ない。」
「だけどあんた達が敵だって事ははっきりした。」


「相変わらずいい目で睨みやがる。」
「だがここで選手交代だ。」
「色々と段取りが複雑でな。」
ブライグは姿を消し、代わりに黒コートの男が現れた。
「一緒に行こう。」
ソラは急激な眠気に襲われ、意識を失ってしまった。


ソラは夢の中でデスティニーアイランドにいた。
黒コートの男もいる。
「そう、始まりはここだ。」
「この時はまだ自分自身だとは気づかなかった。」
「まさか俺を旅立たせる為に自らの姿を捨てるとは。」


心だけの存在になった偽アンセムが黄色のフードを被り、銀髪の青年を旅立たせようとしている。
「あれは心だけになったゼアノート。」
「お前達がアンセムと呼んでいた人物だ。」


今度は偽アンセムがソラを誘導している。
「そう、これがさっきシグバールが言っていた時。」
「この世界が闇にのまれる少し前のお前だ。」
「時間を超えるには肉体を捨てる必要がある。」
「アンセムはまず俺を旅出させ、そしてこの時この場所に来た。」
「これで今日までが決まった。」
「全て知っていた訳ではないがな。」
「この後アンセムはリクの身体を乗っ取り、そのまま時の流れを経験した。」


気がつくとソラはトラヴァースタウンにいた。
「ここは何度も訪れた。」
「最初の旅、記憶の中の旅、データの中の旅、そして夢の中の旅。」
「デジャヴのように繰り返す。」


リクも存在しなかった世界に飛ばされてきた。
「どうしてここに?」
「鍵穴は7つ開いたはず。」
「なぜ元の世界に戻らない?」
リクが存在しなかった世界を進んでいくと、大きな透明の球体に包まれたソラが眠りについていた。
「ソラ!」
「目を覚ませソラ!」
「ソラ、夢を追っちゃ駄目だ!」
「夢の中で追い続けると深淵に向かって目覚められなくなるぞ。」
「なぜソラは目覚めない。悪夢は消えてないのか?」


リクの中に存在する偽アンセムが語りかけてくる。
「その通り。」
「ソラはもう目覚めない。」
「お前がいくらソラの悪夢を喰らおうが、夢の深淵へと堕ちた者は眠りから目覚める事はない。」
「記憶は夢となり、夢は眠りの中にある。」
「そしてその眠りは闇の中だ。」
「ソラの心は闇に堕ちたのだよ。」


リクが言う。
「ソラが闇に落ちるなんて信じられるか!」


「お前も感じているはずだ。」
「この世界を。悪夢の中、闇の深淵を。」
「なぜお前は現実の世界に戻っていない?」
「夢の夢、悪夢の中の悪夢。」
「お前はずっとソラの夢の中を旅していた。」
「そしてこのまま闇の中の闇へと堕ちる。」
リクの身体が闇に引きずり込まれていく。
「この旅の始まり。あの小さな島から旅立つ時、ローブ姿の私を見たお前はとっさに異変を察知し、無意識の内にソラの夢の中へとダイブした。」
リクの背中にドリームイーターの印が浮かび上がる。
「そしてお前はその背中の印の通り、ソラを悪夢から守るドリームイーターの役目となったのだ。」
「しかしお前はソラを守れなかった。」
「かつて大事な者を守る力を望み、せっかく手に入れた闇の力を閉じ込めてしまったばかりに。」


リクが言う。
「でもまだ終わりじゃない。」
「俺はソラを助ける。」


「ならば答えは得られたな。」
「もう一度闇の力を解放し、友を助けるがいい。」


リクが言う。
「アンセム・・いや、ゼアノート。」
「お前もかつてはキーブレードの使い手だった。」
「しかし闇に心を失い、キーブレードも失った。」
「だからこそ今回の旅で俺は確かめたかったんだ。」
「心に闇を抱えた自分がキーブレードを使うのに相応しいのか。」
「心に闇を閉じ込めてもお前はこうして現れる。」
「この旅で分かった。」
「心に闇を閉じ込めるのはやめよう。」
「なぜかお前と対峙すると秘密の約束を思い出す。」
「小さかった頃のかすかな記憶。」
「俺が外の世界に旅立つ事を夢見るようになった彼のことを。」
「俺の旅はこれから始まる。」
「元の世界に戻り、ソラを助ける。」
「その為なら俺は闇を喰らい光に溶かす。」
「アンセム、俺の心の一部となり光となれ!」


「まだ分からないか?」
「お前はずっと闇の手の内にある。」


リクが言う。
「大事な者を守れる力。」
「キーブレード・・」


リクは存在しなかった世界に戻ってきた。
「ここは・・夢の世界から抜け出せたのか。」
「旅立ちの時から俺とソラが分断されたのは全てがアンセム・・いや、ゼアノートの企みの内。」
「俺達はイェン・シッド様に課せられた承認試験から外れてしまっていたんだな。」
「ともかくソラはここにいるはず。」
「捜さないと。」


ソラはまだ夢の中にいた。
ソラの前にナミネが現れる。
「君はナミネ?」
「君に伝えたいことがあったんだ。」
「全てが終わったら伝えようと思って。」
ナミネの姿がシオンに変わる。
「え?君は・・誰?」
逃げるシオンを追っていくと今度はロクサスが現れた。
「ロクサス・・」
「君もいるってことは夢なのか?」
ロクサスが首を横に振る。
「何か答えてよ。」


ロクサスが言う。
「俺がお前であっても良かったはずだ。」
「でもお前じゃなきゃ駄目なんだ。」
「お前の心にはいくつもの心が繋がってる。」
「お前は俺で、俺の思いも抱えている。」


ソラが言う。
「違う。ロクサスはロクサスだろ。俺とは違う。」
「俺、言いたかったんだ。」
「ロクサスはロクサスとして存在すべきだって。」


ロクサスが微笑む。
「ソラ、だからお前じゃないと駄目なんだよ。」
ロクサスがソラの手を取ると、ソラの中にロクサスの記憶が一気に流れ込んできた。
そしてロクサスは消えてしまう。
「これもアイツらの仕業なのか?」
「俺に何を見せたいんだ!」


進んだ先にリクとカイリがいた。
「リク、カイリ、やっと会えた!」
するとリクの姿はテラに、カイリの姿はアクアに変わった。
「ヴェン。」
ソラの姿もヴェントゥスに変わる。
二人を追うソラ。
気がつくと存在しなかった世界に戻っていた。
ブライグが現れる。
「危ない、危ない。」
「せっかく二度寝させたのに起こされるところだったな。」


ソラが言う。
「やっぱり俺に幻を見せてたのはお前達だったのか。」


ブライグが言う。
「いや、お前が見ていたのは幻じゃなく夢だ。」
「こっちは眠りのきっかけを与えただけでそこまで関与していない。」
「お前が信じている心って奴に聞いてみる事だな。」


「ああ、心は苦しかった。」
「だから追ってきたんだ。」


ブライグが言う。
「おう、お前の心のおかげでこっちの計画通り進んだって事か。」
「厄介なもんだねえ、心ってやつは。」


「お前達だって心があるんじゃないのか?」
「アクセルもロクサスもナミネも、あの女の子も・・」
「ロクサスから感じた感情の中でみんな笑ってた、怒ってた。そして悲しんでたんだ。」
「彼らが流した涙がその証拠だ。」


ブライグが言う。
「ようやく気づいたな。」


そこにⅩⅢ機関のNo.Ⅰゼムナスと名乗っていたゼアノートが現れる。
「そう、我々は心を無くしたままではなかった。」
「個体差はあるが中には心が生まれようとしていた者もいた。」
「心とは芽生え育むもの。」
「ハートレスを生み出す実験とは、精神を支配して自我を放棄させる試み。」
「そうやって心を失わせても人は何度もその器たる肉体に心を宿す。」
「我々も心と肉体、ハートレスとノーバディに分かれたが再び心を宿すことは分かっていた。」


「だったらどうして彼らに心が無いと偽ったんだ!」


ブライグが言う。
「ゼムナス―ゼアノートの機関結成の真の目的はキングダムハーツを媒介とし、心を放棄させた抜け殻に同じ心と意識を植え付けること。」
「機関のメンバーを全員ゼアノートにすることだ。」


ソラが言う。
「全員ゼアノートに・・」
「仲間を騙してそんな・・」
「お前は自分が自分でなくなる、そんな事を望んだのか?」


ブライグが言う。
「俺はすでに半分はゼアノートだ。」


ゼアノートが言う。
「だが力の足りぬ者、意を解さぬ者、謀反を企てる者、機関に選んだ者達のほとんどが案の定我らの目的に適わなかった。」
「だがそれも想定済み。」
「心の愚かさも知り他の目的も達成出来た。」
「そして今回で機関の任務も最後となる。」


「ふざけるな!」
「心はお前達の実験や企みの道具じゃない!」
「人との触れ合いで生まれる気持ちとか、どんなに離れていても思い合うことで繋がることの出来る絆なんだ。」
「それが俺の力になってくれる。」


ブライグが言う。
「それだ。」
「お前は誰かの心と繋がることでそんな力が出せたって訳だ。」
「お前自身はキーブレード使いの器じゃない。」
「だが安心しろ。俺達が器として仲間に迎えてやるってハナシ。」


「俺自身にキーブレード使いの力が無くてもかまわない。」
「俺を通してみんなの心が力になればいい。」
「それがキーブレードの力。」
「繋がる心が俺の力だ!」


ブライグが言う。
「どんなに強がってもお前はもう・・」
苦悶の表情を浮かべるブライグ。
「大丈夫だ。」
「どんな力だろうがここでは・・」
「ゼムナス!仕上げを頼む。」
ブライグは姿を消した。


ソラは襲いかかってくるゼアノートを倒した。
するとソラの前に黒コートの男が現れる。
「お前は素直すぎる。」
「勝ったつもりかも知れないが、ここまでダイブした時点で負けだ。」
「眠りの深淵まで堕ち、そこまで疲労してしまってはな。」
「もう元の世界に戻ることは出来ない。」
「言ったはずだ。」
「お前は眠りの鍵穴に導かれてここまで来たのではない。」
「始めから誘導されていた。我々の手の内にあったんだ。」
ソラの胸に大きなバツ印が浮かび上がる。
「その胸に刻んだ異端の印がその証拠。」
「そう、その異端の印のおかげでお前の居場所をいつでも知ることが出来た。」
「お前は疑問に感じていたな。なぜつきまとうんだと。」
「それはお前が必要だったからだ、ソラ。」
「いや、正確にはお前という抜け殻。」
「13番目の闇の器を。」
「どうして今日ここにお前が来ると決まっていたか。」
「それは自分が進む道を辿り、こうして今この時間までを見て知っていたからだ。」
「時間を超えても事実を変えることは出来ない。」
「今日ここに全ての時間の姿を変えた自分が集い、そしてお前を13番目として迎える。」
黒コートの男は若い時のマスター・ゼアノートだった。
「全ては決まっていた事だ。」
「俺が知っているのはここまでだ。」
「全ての俺がここに揃った。」
「これ以上先の時間は見れない。」
「俺ももうすぐ元の時間に戻り、本来の時間の流れのままに進む。」
「今この時間に存在する自分は知っていても再び元の時間に戻ればこの記憶も経験も無に戻る。」
「しかし辿るべき道は心に標として残り、俺は心のままに外の世界に旅立つ事になる。」
「お前の心は闇の奥で永久に眠り、その肉体は新たな俺の器の一つとなるだろう。」
「光は闇に堕ちた。」
「おやすみ、ソラ。」
ソラは深い眠りに落ちてしまった。


リクは存在しなかった世界の最奥に辿り着いた。
「道はここまでか。」
「現実の世界には戻ったが、まだドリームイーターの力は使える。」
「やはりソラは目覚めていない。」
「どこにいる、ソラ・・」


上空に巨大な城が浮かんでいる。
中に入ると真っ白い部屋に高さの違う椅子が円卓状に並んでいる部屋に着いた。
リクは一番低い椅子にソラが座っているのを見つけた。
ソラに近づこうとすると黒コートの男―青年のゼアノートが現れた。
「新たな器に触れるな。」
「初めはお前にするつもりだった。」
「だがお前は心に闇の耐性を持った。」
「だからキーブレード同様、次を選んだ。」
「ロクサス―器に相応しい存在。」
「しかし余計な自我を持ちソラの元に還った。」
「ⅩⅢ機関の本来の目的はゼアノートの心を13の器に分けること。」
「お前達のおかげでいくつかの器が欠落することは分かっていた。」
「だがそれらはもう補われている。」
「13番目の器となるソラを手に入れる事で完成する。」
他の10人のゼアノートが現れる。
「俺はこの中でも一番過去のゼアノート。」
「先の時代の自分からいくつかの世界で分離融合した自分を今日この場に集わせる役目を受けた。」
「時間を超えるにはいくつもの制限がある。」
「初めに超えるには肉体を捨てなければならない。」
「時を超える先に自分が存在しなくてはいけない。」
「超えた先からは時の流れの通り一方向にしか進めない。」
「その時間で起きる事実は書き換えられない。」
「もうすぐ一番先の俺がここに帰って来る。」
「そうなればそれぞれの時間は元の流れに戻り、俺も本来の時代から時間の流れに従うことになる。」
「彼に聞くがいい。」


一番高い椅子にゼアノートが現れようとしたその時、ミッキーが現れて時を止める魔法「ストップガン」を発動する。
リクとミッキー以外の時が止まった。
「どうやら間に合ったようだね。」
「ともかく早くソラを連れて帰ろう。」
「長くは止めていられない。」


しかし青年のゼアノートがすぐに動き出してしまい、ミッキーを吹っ飛ばした。
「触るなと言ったはずだ。」
青年のゼアノートがキーブレードを出現させる。
「消え去れ!」
襲いかかってくる青年のゼアノートを倒すリク。
ミッキーも無事だったようだ。
そこに年老いたマスター・ゼアノートが現れる。
「マスター・ゼアノート!やはりあなたが!」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「ここまでは決まっていた。」
「こうして12人の我が分身に迎えられ、人としてここに復活する。」
「ここから先はまだ見ぬ世界。」
「古の時代、光は目に見えぬキングダムハーツの恩恵だと信じられていた。」
「キングダムハーツはその対となるχブレードによって守られていたが、光であるキングダムハーツの支配をめぐりキーブレード戦争が起きた。」
「熾烈な戦いでχブレードは砕け散り、7つの光と13の闇に分かれてしまった。」
「そして真のキングダムハーツも闇にのまれたままとなったのだ。」
「かつて私は純粋な光と闇を代用しχブレードを完成させようとしたが失敗に終わった。」
「機運に流され、正しい方法を見失ってしまったのだ。」
「認めよう。私の早計であったと。」


ミッキーが言う。
「そんなあなたのせいであの時3人の若者の運命が変わってしまった。」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「全ての運命に偶然などない。」
「あやつらの運命もまた必然。」
「一人はχブレードになり損ない、一人は友を救うために闇に堕ち、そして一人は我が器となる運命だったのだ。」


ミッキーが言う。
「救うことが出来なかった・・」
「でも彼らのおかげであなたの計画は潰えたと思っていた。」
「僕はなんて甘かったんだろう。」
「マレフィセントが7つの純粋な心を集め始めた時に気づくべきだったんだ。」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「そう、全ては我が計画。」
「魔女を使い純粋な7つの光の心を集めさせ、一方で13の器を用意し純粋な闇を注ごうとした。」


リクが言う。
「残念だったな。その計画とやらは全部ソラが阻止した。」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「そう、およそキーブレードの使い手には程遠い、そこにいるソラという普通の少年に。」
「だがまだ計画は終わっていない。」
「7人の光の守護者と13人の闇の探求者・・」


ミッキーが言う。
「7人の光の守護者・・」
「キーブレード使いは僕とリクとソラ、そして行方不明の3人で6人。」
「あと一人は・・」
「そして13人の闇の探求者・・」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「さすが王よ、話が早い。」
「しかしソラともう一人の二人はこちら側。」
「つまり光は3つ欠落している。」
「だが案ずるな。光の守護者はおのずと選ばれる。」
「そして選ばれし7つの光と13の闇はぶつかり合い、その果てに生まれるもの・・χブレード。」
「まずは13の闇を完成させよう。」
「座席は全て埋まった。」
「最後の一つの器に我が心を分けよう。」


そこにリアが現れてソラを助け出す。
「間に合った。」
「アクセル?違うなあ。」
「俺はリア。記憶したか?」
「約束しちまったからな。俺が何度でも連れて帰るって。」
「それと想定外ってやつ?」
「お前ら全部分かってたんだろ?」
「だがここまでは読めてなかった。」
「さあ次の一手はどうする?」


椅子に座っていた元ⅩⅢ機関のメンバーNo.Ⅶでノーバディの頃サイクスと名乗っていたアイザがリアに襲いかかる。
「アイザ・・」


そこにドナルドとグーフィーも助けにやって来た。
「二人共、来てくれたんだね!」


年老いたマスター・ゼアノートが言う。
「時が来た・・」
他の10人のゼアノート達が消えていく。
その中にはブライグとアイザも含まれている。
「光と闇は欠落したまま我々はそれぞれの場所へと帰る。」
「しかし7と13が揃う刻は近い。」
「ではお互いに光と闇の完成の暁に彼の地でまみえるとしよう。」
年老いたマスター・ゼアノートも姿を消した。


ミッキー達は眠ったままのソラを連れてミステリアス・タワーに戻ってきた。
事の顛末を聞いたイェン・シッドが言う。
「7つの光と13の闇・・」
「マスター・ゼアノートはそこまで・・」
「ソラの眠りは今までと状況が違う。」
「今回の承認試験で7つの眠りの鍵穴を解放した。」
「これによって眠りに閉ざされた世界を目覚めさせ、眠りし心を解放する術を会得した事になる。」
「リク、お前はソラの夢の中で7つの鍵穴を解放してきた。」
「つまりその力を使えばソラの心を目覚めさせる可能性がある。」


ミッキーが言う。
「もう一度眠りの中にダイブを?」
「ソラの心は深淵の闇の底。上手くいかなければリクは今度こそソラと一緒に閉じ込められてしまう。」
「僕が行きます。」


イェン・シッドが言う。
「確かに王にも出来るかも知れない。」
「ただ実際にソラの心にダイブしていたリク以上には適正ではない。」


リクが言う。
「ミッキー、心配してくれてありがとう。」
「でも俺がソラを起こしに行くよ。」
「こいつの寝顔、まったく呑気なもんだ。」
「みんなでこんなに心配してるのに。」
「あの時もそうだった。」
「3人でイカダを作ろうって言ってるのにソラはいつだって砂浜で昼寝ばかりしてて。」
「だから俺が行ってひっぱたいてくるよ。」
「お前、承認試験でも寝てる気かって。」
「俺が行かないと駄目なんだ。」
「ソラは俺を救ってくれた。」
「そして確かに俺を呼んだ。」
「俺が行きたい。」


ミッキーが言う。
「うん!僕達は強い絆で繋がっている。」
「もし行き先が暗闇でも絆を辿れば思いは必ず届く!」


リアが言う。
「もし闇に堕ちてもよ、俺が迎えに行ってやっから。」
「まあ俺の得意ジャンルだからな。」


リクが言う。
「みんな、ありがとう。」
「必ずソラを連れて帰って来るよ。」
リクはソラの夢の中にダイブしていった。


夢の奥に進んでいくと突然、ヴェントゥスの鎧に身を包んだソラに襲われる。
リクがキーブレードでソラの闇を払ってあげると賢者アンセムが現れた。
「まさか君が来るとはな。」
「償いのつもりだったのかも知れない。」
「いくら詫びても許されない事は分かっている。」
「ただせめて何かを残せればと思い、私とその研究をデータ化してソラの中に隠しておいたのだ。」
「君達や失われた仲間を取り戻す手掛かりくらいにはなるかも知れない。」
「心とは生まれ育むもの。」
「光に触れ自然を感じ人と繋がる。」
「それらの積み重ねによって心は形成されていく。」
「それは心を持たぬノーバディであっても同じ。」
「ソラは唯一本体に戻ってもノーバディをそのまま存在させられた。」
「それは彼の心に繋がる人々の思い、心の繋がりの強さ。」
「おそらく彼と繋がる者はその心を失ったとしても消えた心や存在でさえ取り戻し、生み出せるのではないか。」
「自分だけの宝物、もの言わぬ人形、森の木々、風に揺れる花々。」
「何にだって心が宿る可能性があるのだ。」
「特別な能力が必要なのではない。」
「誰もが子供の頃に持っていた心の光。ただ真っ直ぐな思い。」
「それがソラの信じて疑わない純粋な心の強さ。」
「誰かがそこに心を感じれば心は存在する。」
「失われた心さえ再び繋ぐことが出来るかも知れない。」
「ここまで多くの心を感じ、受け入れ、そして救ってきた。」
「そしてなおソラの心に眠るいくつかの心。」
「闇に堕ち、闇に奪われ、闇の奥で眠り、ソラに溶けた心。」
「それらを救うにはソラがこれまで通り心のままに進む事で為し得るだろう。」
「彼の思いが唯一の方法だ。」
賢者アンセムがリクに研究データの入った小瓶を渡す。
「詳しくはその中だ。」


「分かった、預かるよ。ありがとう。」


賢者アンセムが言う。
「いや、ところで君は何故ここに?」


「ああ、ソラを目覚めさせる為に。」


賢者アンセムが言う。
「彼はまた眠ってしまったのか。」
「ソラは大丈夫だ。ここにはいない。」
「君は悪夢に覆われていたソラを助けたはずだ。」
「ロクサス、ヴェントゥス、シオン、この3人の若者が最後の目覚めの鍵。」
「もうソラは目覚める。」
「さあ、帰りなさい。」
「そうだ、君の名前をまだ聞いていなかったな。」


笑いながら答える。
「リクだ。」
リクは眠りの鍵穴を解放し、現実世界に戻ってきた。


目覚めたリクの前には元気な姿のソラがいた。
「良かったリク!」
抱きついてくるソラにリクが言う。
「いや、それはこっちのセリフだし。」
「まあ、いいや。」
「それより大丈夫なのか?」


ソラが言う。
「ああ、俺は大丈夫。」
「何が起きてるのか眠りの中で夢を見てた。」
「ずっとリクの声が聞こえてたんだ。」
「ありがとう、リク。」
「みんなもありがとう!」
「あ、そうだ!承認試験は?」


イェン・シッドが言う。
「うむ、二人とも。よくぞ帰ってきてくれた。」
「まずゼアノートの企みの中、無事に帰ってきてくれたことを何より感謝する。」
「また、リアの行動力にも感謝している。」
「そしてその策略を見抜けず危険な試験となってしまったことを許して欲しい。」
「今回いくつかの真相も明らかになり、これから闇との戦いは更に熾烈になるであろう。」
「それに備え、新しい力を持つキーブレードマスターをここに承認する。」
「ソラとリク、どちらもその称号に相応しい。」
「しかし最後に再び眠りの鍵穴を解放し、ソラを見事に連れ戻したリクを今回はキーブレードマスターとして承認する。」


喜ぶソラ。
「やったな、リク!」
「リクならきっとなれると思ってた!」
「俺すごく嬉しいよ!」


「俺がキーブレードマスター・・」
「みんなありがとう。」


リアが言う。
「まあ俺もすぐに追いついてやるさ。」
「俺もキーブレード使いになる為にここに来たんだ。」
「今回カッコ良くキーブレードを持って登場する予定だったんだよ!」
「でもさすがにまだ出せなかったわ。」
「思ったほど簡単にはいかねえなあ。」
右手にキーブレードを出現させるリア。


「えええーー!!」


ソラが旅立ちの準備をしている。
「俺、寝ちゃってただろ?」
「だからやり残したことがあってさ。」
「すぐ戻るよ。行ってくる。」
ソラはトラヴァースタウンにやって来た。
「良かった。やっぱりこの世界は消えてない。」
「もういないのかな・・」
ヨシュア達はいなかったが、ソラの手助けをしてくれたスピリット達が出迎えてくれた。


デスティニーアイランドで青年のゼアノートが海を見ている。
ー闇は目覚めー
「この世界は狭すぎる」
ー闇の中の光はー
アクアが闇の世界の海岸で闇の海を見ている。
ー最後の鍵へと繋がるー


グーフィーとドナルドがミステリアス・タワーでソラの帰りを待っている。
「ソラ遅いね、大丈夫かな?」


ドナルドが言う。
「リアはレイディアントガーデンに帰っちゃったし、リクもイェン・シッド様に何か頼まれてどっか行っちゃっうし。」
「僕達の出番はないのかな?」


リクが帰ってきた。
「ん?ああ!おかえり、リク!ってあれ?」
リクはカイリを連れていた。


キーブレード戦争のことを話しているイェン・シッドとミッキー。
「真のキングダムハーツは闇にのまれ、対をなすχブレードも砕けた。」
「そのキングダムハーツの代わりとして、子供達の心に残っていた光から今の世界は再生され7つの純粋な光の心となった。」
「故に同時に砕けたχブレードから分かれた光の数もそれを守護する7つとなった。」
「その7つの純粋な光の心は世界の根源。」
「失えば世界は再び闇に閉ざされる。」
「我々がキーブレード戦争を回避する為7つの光を揃えずとも、ゼアノートは再びその7つの純粋な光の心を狙いχブレードを完成させるだあろう。」


ミッキーが聞く。
「では7つの光と13の闇の衝突・・キーブレード戦争の始まりは回避できないのですか?」


「7つの純粋な光の心を守るには、13の闇に対抗しうる7つの光を揃えねばならない。」
「あと一人の光の守護者・・」


リクがカイリを連れて部屋に入ってきた。
「イェン・シッド様。言われた通り来てもらいました。」


イェン・シッドが言う。
「そなたもキーブレードが使えると聞き、ここに来てもらった。」
「プリンセス・カイリ。」