「まだだよ、まだ扉は開かない。」
「その前にキミの事をもっと教えてよ。」
ソラ、カイリ、リクは幼馴染3人組。
3人は小さな島で暮らしていた。
「キミの旅は夜明けに始まる。」
「太陽が頭上に輝く限り旅は快いものになるだろう。」
「その日は遠くて近い。キミが扉を開くその日は。」
「光に近づけば近づくほどキミ自身の影は大きくなる。」
「けれど恐れないで。」
「そして忘れないで。」
「キミは世界で一番強い武器を持っている。」
「だから忘れないで。」
「その扉を開くのはキミなんだ。」
ソラが砂浜で日向ぼっこをしているとカイリがやって来た。
カイリは赤髪で活発な女の子だ。
「脅かすなよ、カイリ。」
「そっちが勝手に驚いたんじゃない。」
「そろそろサボる頃だと思ったんだよね、ソラは。」
ソラが言う。
「なあカイリ。カイリが子供の頃にいた街ってどんな所だった?」
「覚えてないよ。前にも言ったでしょ。」
「私はここで幸せだから。」
「でもね、見てみたいって気はするな。」
ソラが言う。
「俺も見たいんだよなあ。この世界以外にも世界があるんなら。」
「死ぬまでは絶対見たい。」
カイリが笑顔で言う。
「じゃあ一緒に行こうね。」
そこにリクもやって来る。
「おいおい、俺は仲間外れかよ。」
「しかも真面目にイカダを作ってるのは俺だけだ。」
「カイリも一緒にサボってたろ。」
「バレたか。じゃあみんなで仕上げちゃおう。」
「ね、向こうまで競走!よーい、ドン!」
ここはデスティニーアイランド。
イカダの材料を集め終わると辺りが暗くなってきた。
「もうすぐ日も暮れるし、あとは明日にしよ。」
ソラが言う。
「海の果てまで行ったらカイリの元の世界があるんだよな。」
リクが言う。
「それは分からない。でも行ってみないと分からないままだ。」
「駄目だったら別の方法を考えるさ。」
カイリが聞く。
「ねえ、リクは別の世界に行ったら何するの?」
「ソラみたいに見れば満足?」
「実はそんなに考えてない。」
「ただ俺は、俺達がどうしてここにいるのか知りたい。」
「他に世界があるのなら。」
「どうして俺たちはここでなくちゃ駄目だったんだろう。」
「他に世界があるのなら、ここは・・」
「そう、大きな世界の小さな欠片みたいなものだから。」
「どうせ欠片だったら、ここではない別の欠片でも構わない訳だよな。」
「そういう事だ。」
カイリが言う。
「じっと座っていても何も分からない。」
「自分で動かないと何も変わらない。」
「同じ景色しか見えないんだ。」
「リクっていろんなこと考えてるんだね。」
リクが言う。
「カイリのおかげさ。」
「カイリがこの島に来なかったら俺、何も考えていなかったと思う。」
「ありがとう、カイリ。」
カイリが先に帰った後、突然リクがソラに星型のパオプの実を投げつける。
「お前、これが欲しかったんだろ。」
「その実を食べさせあった二人は必ず結ばれる。」
「どんなに離れていても、いつか必ず。」
「試してみたかったんだろ?」
場面は変わって、ここはディズニーキャッスルという名前のお城。
ドナルドが王様に朝の挨拶に行く。
「おはようございます、王様。朝のご挨拶に・・」
いつもいるはずの王様がいない。
王様のペットの犬、プルートが手紙をくわえている。
「親友ドナルドへ。」
「突然皆の前から消えたことを許して欲しい。事は一刻を争うようだ。」
「どうしてもすぐに出かけなければならない。」
「例の奇妙な事件。夜空の星が消えているのも、すでに始まっている災厄の一部に過ぎない。なんとしても問題を解決しなければ。」
「王として君とグーフィーに頼みがある。」
「この事件の鍵を握っている人間がどこかにいる。」
「彼を探し出し、共に行動して欲しい。」
「我々には鍵が必要なんだ。まずはトラヴァースタウンにいるレオンという男に会ってくれ。」
「追伸、ミニーには君から上手く伝えておいて。」
それを読んだドナルドは大慌てでグーフィー騎士隊長のところに向かった。
「グーフィー騎士隊長!大変だ!」
「誰にも言っちゃ駄目だぞ。ミニー王妃にもデイジーにも駄目。トップシークレット!」
そこにミニー王妃とデイジーがやって来る。
ドナルドは仕方なくミニー王妃とデイジーに事情を説明した。
「一体何が起きているのでしょう。」
「今は王を信じるしかありません。」
ドナルドが言う。
「ご安心を。必ずや鍵を見つけ、王様を連れ戻します。」
ドナルドとグーフィーはグミシップに乗ってトラヴァースタウンへ向かった。
場面は再びデスティニーアイランドに戻る。
完成したイカダの前にカイリがいる。
「これでイカダはほぼ完成ね。あとはイカダに積み込む食料か。」
「ねえ、リク見なかった?」
海ドリのタマゴ、魚、飲み水、キノコ、木の実を集めたソラは小屋の前にいたリクと話をする。
「なあソラ、そういやまだ俺たちの船に名前をつけてなかったな。」
「俺はそうだな、ハイウィンドなんてどうだ?」
「ソラならどんな名前をつける?」
「よし、それじゃあいつもので決めるぞ。」
カイリがやって来る。
「またやるの?じゃあ私が審判してあげる。」
「あの星型の木にタッチして先にここまで帰ってきた方が勝ちね。」
ソラが言う。
「俺が勝ったら船長な。お前が勝ったら・・」
リクが言う。
「カイリとパオプの実を食べる。」
「いいだろ?勝った方がカイリとパオプの実を食べさせあうんだ。」
カイリが高台から声をかける。
「いい?位置について、よーい、ドン!」
次の日、ソラは洞窟の奥で不思議な扉を見つけた。
扉の横にはフードをかぶった謎の人物がいる。
「この世界の扉を見に来た。この世界は繋がった。」
「闇と繋がった世界。まもなく光を失う世界。」
「お前がまだ知らぬ扉の向こう。」
「お前には何も分かるまい。お前は何も知らない。」
「何も知らない者が何を見ても、そう、何も理解出来まい。」
フードをかぶった謎の人物は消えてしまった。
夕方、ソラとカイリは二人で夕日を見ながら話をする。
「リク、ちょっと変わったね。」
「ねえ、このままイカダに乗ってさ、二人だけで行っちゃおっか。」
「なんてね。」
「海の向こうに行くの少し怖かったけど、今はワクワクしてるんだ。」
「どこへ行っても何を見ても、私、必ずここに帰ってこれる。でしょ?」
「ソラは変わらないでね。」
「海の向こう、行けるといいね。楽しみだね。」
その日の夜、ソラが部屋の外を見ると大荒れの天気になっていた。
「やばい、イカダが!」
外に出ると、上空に黒い大きな球体が浮かんでいる。
「何だ、ありゃ。」
すると突然、黒い魔物が現れてソラに襲いかかってくる。
木の棒で魔物を追い払いながら島の中央に行くと、リクがいた。
「リク!カイリは一緒じゃないのか!」
リクが言う。
「扉が開いたんだ。扉が開いたんだよ、ソラ。」
「俺達、外の世界へ行けるんだぜ。カイリも一緒さ!」
「扉をくぐればもう帰って来られないかも知れない。」
「父さんや母さんには二度と会えないかも知れない。」
「でも恐れていては何も始まらない。」
「闇を恐れる事はないんだ!」
ソラとリクは闇に包まれていった。
その時、ソラの前ににキーブレードが現れて、ソラを包み込む闇を振り払った。
キーブレードを手に取ったソラは、次々に襲いかかってくる魔物をキーブレードで倒していく。
洞窟の奥にある扉の前にカイリがいた。
「ソラ・・」
突然扉が開き、カイリは扉の中に吸い込まれていった。
ソラはその衝撃で洞窟の外まで吹き飛ばされて、上空に浮かぶ黒い球体に吸い込まれていく。
気がつくとソラはトラヴァースタウンにいた。
「こんなの見たことない。あ、外の世界?」
街を歩いていると、男性が何者かから逃げている現場に遭遇した。
男性は倒れ込み、男性の胸から赤いハートの結晶が抜け出ていく。
そのハートの結晶は魔物に変わり、ソラに襲いかかって来た。
「こいつ!島に出た魔物!」
ソラがキーブレードで襲いかかってくる魔物を倒すと、レオンが現れた。
「奴らはどこにでも現れる。」
「逃げ回ってもすぐに追いつかれる。」
「お前がキーブレードを持っている限りな。」
「しかし子供とはな。キーブレード、見せてくれないか?」
「あいつらはお前のそのキーブレードを狙ってる。」
「正確にはキーブレードを持ってるお前の心をな。」
「それにしてもお前が選ばれし者とはな。」
「頼りないが仕方がないか。」
「お前の島やこの街の他にも色々な世界があるのは知っているか?」
「世界が交わることは今まで無かった。だから誰も知らなかった。」
「しかしハートレスが現れて事情が変わってしまった。」
「ハートレスはお前を追いかけていた奴ら、心なき者だ。」
「奴らは人の心の闇に反応して襲いかかって来る。」
「誰の心にも闇はある。お前も気をつけろ。」
「お前はアンセムって人物を知っているか?」
「ハートレスの研究をしていた人物だ。」
「その人物のレポートにハートレスのことが色々書いてあった。」
「そのレポートは今、あちこちに散らばっていて手元にない。」
「キーブレードはハートレスにとって邪魔なものらしい。」
「だから持ち主のお前は狙われる。」
「キーブレードが持ち主を選ぶ。お前の意志でそれを手放そうとしても無駄だ。」
「災難だったな、諦めろ。」
再び沢山のハートレスが現れ、ソラがキーブレードで倒しているとドナルドとグーフィーがやって来た。
「鍵だ!」
「探してたって、俺を?」
グーフィーが言う。
「ねえ、僕らの船でいろんな世界に行ってみようよ。」
「リクとカイリに会えるかな。」
ドナルドが言う。
「会えるさ!」
小声でグーフィーに言う。
「知らないけど、あの子がいないと王様に会えないだろ。」
レオンが言う。
「ソラ、行って来い。友達を探すならなおさらだ。」
「行くよ、俺も。会いに行く。」
「僕たちは仲間だ!」
ソラはドナルド達とグミシップに乗った。
「僕らはこのグミシップで世界を飛び回るんだ。」
「怖い顔や寂しい顔は絶対駄目だよ。」
グミシップでワンダーランドに着陸する。
白ウサギが慌てた様子で走っている。
「大変大変、遅刻!あの方きっとお待ちかね。」
「急いで行かなきゃまた叱られる。今度はわしの首が飛ぶ。」
「しっちゃかめっちゃか遅れちまって、歩いてたんじゃ間に合わない。」
白ウサギを追いかけて行くと、ハートの女王の城に着いた。
アリスが裁判にかけられている。
「裁判をするの?どうして?」
ハートの女王が言う。
「この娘が今回の事件の犯人であることは間違いない。」
「なぜなら、私がそう決めたんだから。」
「被告アリス、何か言いたいことがあるかね。」
アリスが言う。
「あります。私悪いことなんてしてないもの。」
「女王だか何だか知らないけど、あなたみたいなワガママな人今まで見たことないわ。」
「お黙り!この私を怒らせる気かい!」
「判決を言い渡す!」
「被告アリスは有罪!」
「ハートの女王である私を襲い、ハートを奪おうとした罪である。」
「この娘の首をはねよ!」
ソラ達が助けに入る。
「ちょっと待ってよ!」
「俺たち真犯人に心当たりがあるんだ。」
「とにかくその子は犯人じゃありません。」
ハートの女王が言う。
「馬鹿をお言いでないよ。なら証拠は?」
「アリスが無実だという証拠を探しておいで!」
「証拠がなければお前達の首もはねてやるからね!」
ソラ達は犯人がハートレスだという証拠を集めてハートの女王に持っていった。
「何者だこやつは。」
「ええいお黙り!私の法律を知らないのかえ?」
「第29条!女王に逆らった者は有罪!」
「この者どもを引っ捕らえよ!」
ソラ達は襲いかかってくるトランプ兵達を倒したが、アリスの姿がどこかに消えてしまった。
するとチェシャ猫が現れた。
「さあて、いよいよ影が来る。」
「心の準備は出来てるかい?出来てないならお気の毒。」
ソラ達の前にトリックマスターというハートレスが現れた。
トリックマスターを倒すと、喋るドアノブの口に鍵穴が出現した。
「まったく騒々しい。落ち着いて眠れやしないわい。」
鍵穴にキーブレードを差し込むと、「ガチャ!」と鍵が閉まる音がした。
「今の音、何か閉まったみたいだった。」
ソラ達はグミシップに乗ってディープジャングルに向かった。
ソラ達の前にターザンが現れる。
「ターザン、行く。」
ターザンについて行くと、テントの中にジェーンがいた。
「あら、あなたは?」
「まあ、言葉は分かるのね。」
「てことはターザンの家族じゃないし、あなたもゴリラの調査に?」
そこにクレイトンがやって来た。
「それも違うようだ。」
「おかしな連中だ。ゴリラの捕獲には役立ちそうもない。」
ジェーンが怒る。
「捕獲じゃなくて調査でしょ、クレイトンさん。」
「学術的な調査よ。」
「でも賑やかなのはいいことじゃない。」
「みんな、ゆっくりしていってね。」
「ターザンはね、このジャングルでゴリラに育てられたらしいの。」
「まだ片言の会話だから詳しいことは分からないんだけど。」
ソラ達はターザンと一緒にゴリラのボス・カーチャックに会いに行った。
ターザンがゴリラ語で言う。
「カーチャック、話を聞いて欲しい。」
「彼らを家へ連れて行きたい。あの場所を見せたいんだ。」
「彼らは僕と同じだ。だから僕は彼らの力になりたい。」
カーチャックは何も言わずにどこかに行ってしまった。
カーチャックを追いかけてジャングルの奥に行くと、ジェーンが洞穴で横たわっているのを発見した。
「クレイトンさんがテントに来て、それから先はよく覚えてないの。」
さらにジャングルの奥に行くと、クレイトンが銃でゴリラを狙っていた。
「やめろ!」
ソラ達は襲いかかってくるクレイトンを倒した。
ターザンはお礼にと秘密の場所に連れていってくれた。
秘密の場所は大きな滝がある綺麗な場所だった。
「友達、いる。友達、会える。」
「友達、心、同じ。」
「クレイトン、心、無くした。」
「心ない、友達見えない。」
ジャングルの木に鍵穴が現れた。
キーブレードを鍵穴にさし、鍵を閉める。
「それじゃ俺達、そろそろ行くね。」
ソラ達はひとまずトラヴァースタウンに戻り、レオンに会いに行った。
「そうか、鍵穴を見つけたか。」
「星の海に浮かぶいくつかの世界にはそれぞれ鍵穴があるはずだ。」
「その鍵穴は世界の中心に続いているらしい。」
「おそらくこの街にもあるだろう。」
「その鍵穴からハートレスが入り込んで世界の中心に何か影響を与える。」
「最後には世界が無くなっててしまうようだ。」
「だからソラ、鍵を閉じるんだ。お前にしか出来ない。」
「お前にとって世界を巡ることは決して無駄ではないはずだ。」
アクセサリーショップにいるシドと話をする。
「おめえら、マレフィセントって知ってるか?」
「今この街に来てるんだとよ。」
「マレフィセントは魔女だ。」
「ハートレスが増えたのは魔女マレフィセントのせいらしい。強いチカラを持った魔女だ。」
「何年も前からハートレスを操っていたようだ。」
「俺達の世界も突然現れたハートレスの大群に襲われて崩壊しちまったんだ。」
「それで俺はこの街に逃げてきたって訳だ。」
「俺達の世界はアンセムという賢者が治めていた。」
「彼はハートレスを研究していた。恐らく弱点を探していたんだろう。」
「アンセムの手記を読めばハートレスを止めるヒントが見つかるんじゃねえか。」
「アンセムの手記は俺達の世界が襲われた時、各地にバラバラに散らばってしまったらしい。」
「おそらく大部分はマレフィセントの手に落ちたろうな。」
「2番街のからくり館の鐘を3回鳴らせば何かが起こるって言い伝えがある。」
「3回鳴らしてみるといい。そうすれば何が起こるかはっきりするぜ。」
2番街にある鐘をを3回鳴らすとオポジットアーマーというハートレスが現れた。
襲いかかってくるオポジットアーマーを倒すと、壁に鍵穴が現れた。
ソラはキーブレードで鍵をかけた。
ソラ達はグミシップに乗り、アグラバーに向かった。
マレフィセントとジャファーが話をしている。
「鍵穴は?」
ジャファーが言う。
「ハートレスどもに探らせておる。」
「焦らずともじきに見つかるであろう。」
「しかしマレフィセント、なぜジャスミン姫を?」
「姫などいなくても鍵穴さえ見つければこの世界も我等のものだろう。」
「最後の扉を開くにはプリンセスが必要なのだ。」
「7人のプリンセスが。」
ジャファーが言う。
「なるほど。そういうことならわしとて協力は惜しまぬ。」
「闇の力に染まらぬよう気をおつけ。」
「でないとハートレスに飲み込まれるよ。」
ソラ達は物陰に隠れていたジャスミンを見つけた。
「私はジャスミン。このアグラバーを治める王の娘。」
「けれどこの街は今やジャファーのもの。」
「あなた達知らないの?」
「大臣のジャファーが邪悪な魔力を手に入れ、アグラバーを支配したのよ。」
「私、逃げ出そうとしたけど見つかって。危ない所をアラジンに助けられて。」
「この先の家に隠れていたんだけど、アラジン、用があるって出て行ったきり帰ってこないから心配になって。」
「アラジンに何かあったんじゃないかしら。」
ジャファーが現れた。
「アラジン?それはどこのドブネズミですかな?」
「ジャスミン姫、あなた様にはもっと相応しい場所をご用意してございます。」
「もっと相応しい人間も。」
「そうか、お前が鍵を持つ少年か。」
ジャスミンを連れて逃げ出したソラ達は、アラジンの部屋で魔法の絨毯を見つける。
ジャスミンと一緒に魔法の絨毯に乗って魔法の洞窟に向かい、洞窟の入り口でハートレスに襲われているアラジンを助けた。
「助かったよ、ソラ。」
「砂漠の先に魔法の洞窟があってね。そこに眠ってる伝説の宝を探してたんだ。」
「あの空飛ぶ絨毯とこのランプさ。」
「この魔法のランプを手に入れた者はランプの魔人に願いを叶えて貰えるんだ。」
街に戻るとジャファーが現れた。
「やめておけ。あくまでもこのわしに楯突くのか。」
「愚かなる振る舞いはジャスミン姫もお喜びになるまいぞ。」
ジャファーの相棒の鳥イアーゴがアラジンのランプを奪って逃げた。
「ではドブネズミの諸君、御機嫌よう。」
ジャファーはランプのチカラでジャスミンを連れ去り、どこかへ行ってしまった。
ソラ達とアラジンは再び魔法の洞窟に向かい、奥にあるランプの間に入った。
ランプの間にはジャファーとジャスミン、そしてマレフィセントがいた。
「例の子供が我々の存在にも気づいているようだ。」
「リクと言ったか。なぜあの少年に真実を教えないのだ?」
「そうすれば我等の計画も・・」
ソラ達を発見したマレフィセントは姿を消した。
アラジンが言う。
「ジャスミンを返せ、ジャファー!」
「そうはいかぬ。彼女はプリンセスの1人だからな。」
「扉を開く力を持つ7人のプリンセスのな。」
「その扉の先を君達が見ることはないが。」
ソラ達は襲いかかってくるジャファーを倒し、ランプを奪い返した。
洞窟の壁に鍵穴が現れたのでキーブレードで鍵をかける。
しかしジャスミンの姿がどこにも見当たらない。
「アラジン、俺達に任せてよ。必ずジャスミンを助けるから。」
ランプからジーニーが現れた。
「落ち込むなよ。まだ願いが残ってるだろ?」
「ほら、言ってくれよ。ジャスミンを探してくれってさ。」
アラジンが言う。
「僕は願う。ジーニーを自由の身にしてくれ。」
ジーニーはランプから解放されて自由の身になった。
「これでいいんだ、ジーニー。どこへ行くのも何をするのも君の自由だ。」
「だけど出来ればソラがジャスミンを探すのを手伝って欲しい。」
ジーニーが言う。
「悪いが俺はもう誰の命令も聞くつもりはないね。」
「だが、親友の頼みってやつはまだ聞いたことがないから試してみてもいいかな。」
「なあアル、俺達は親友かい?任せとけよ、アル。」
マレフィセントとリクがどこかの城で話をしている。
リクのそばにはカイリが眠ったように横たわっている。
「カイリは心を無くした人形だって言いたいのか?」
マレフィセントが言う。
「その通り。カイリの心はハートレスに奪われたんだろうね。」
「7人のプリンセスを集めればいい。」
「そうすれば世界の中心、私は世界の心と呼んでいるがね。そこへの扉が開く。」
「そこは知識の宝庫だ。」
「カイリの心を取り戻す方法は必ずそこで見つかるさ。」
「そうだ、お前にチカラをやろう。」
「ハートレスを操るチカラを。」
ソラ達はグミシップに乗ってハロウィンタウンに向かった。
「降りる前から思ってたけどなんだか不気味なところだねえ。」
「こんなところに住んでいるのはやっぱり不気味な連中なのかな?」
襲いかかってくるハートレスを倒しながらギロチン広場に行くと、ジャックがやって来た。
「なんだかねえ、ハートレスの動きにゾーッとくる不気味さが足りない。」
「身も凍るほどの恐怖が欲しいんだ。」
「フィンケルスタイン博士の所へ行こう。」
ジャックと一緒にフィンケルスタイン博士の研究所に向かう。
「どうして上手くいかないんだろ。」
「さっきの爆発で誘導装置が壊れたんじゃないか?」
フィンケルスタイン博士が言う。
「わしの装置は常に完璧じゃ。」
「分かったぞ、フィンケルスタイン博士。」
「心だ。本物のハートレスは心に反応するんだ。」
「博士、あの装置に心を取り付けられるかい?」
フィンケルスタイン博士が言う。
「心なんてそう複雑な仕組みではないじゃろ。」
「早速作ってやろう。」
「心を作るには鍵付きの箱に・・鍵が開かなくちゃ話にならん!」
ソラがキーブレードで鍵を開けてあげた。
「ワオ!こりゃ凄い!」
「お手柄だぞ、ソラ。」
「今年のハロウィンには君も参加してくれよ。」
「ハートレスは少し前からこの街に現れたんだけど、いくら言っても僕に合わせて踊ってくれないんでね。」
「フィンケルスタイン博士に頼んでハートレスの誘導装置を作ってるんだ。」
「彼は天才だよ。」
「よーし、博士。続けるぞ。」
「心の材料は鼓動、感情、恐怖、悲鳴、希望と絶望。」
「全部をまとめると心の完成だ。」
フィンケルスタイン博士が材料を入れて誘導装置を動かすが上手くいかない。
「材料が足りなかったのかも知れん。」
「記憶も入れてみよう。」
「サリー!サリー!どこへ行ったんだ!」
「わしが作ってやった恩も忘れおって。」
「記憶はサリーのやつが持っとる。」
「サリーを探してきてくれ。」
棺のある墓地にサリーがいた。
「何かあったの、ジャック。」
ジャック言う。
「ああ、サリー。全て順調だよ。」
「今年のハロウィンは素晴らしいものになりそうだ。」
「君の持ってる記憶があれば言うことなしだよ。」
「記憶?これのことかしら。」
ジャックはサリーからワスレナグサをもらった。
「ねえジャック、何だか嫌な予感がするわ。」
「ハロウィンは他の計画の方が良くないかしら。」
「これより面白いハロウィンなんてあるもんか。」
「完全な心を作ればハートレスも思い通り動かせる。」
「サリー、楽しみにしてておくれ。」
ワスレナグサをフィンケルスタインに渡す。
「よしよし、持ってきたか。」
「今度こそ心の完成じゃ。」
すると小鬼達が現れて、フィンケルスタイン博士から心を奪って逃げていった。
小鬼達を追いかけて行くと、ブギーがいた。
「ざーんねん。ちょうど俺のお食事タイムだ。」
ブギーは心を食べてしまった。
「さあ、このブギー様のもとに集まれ!ハートレスよ!」
しかしハートレスは集まってこない。
ソラ達はブギーを倒し、心を取り戻した。
「博士の心はまた失敗作だったのか。」
ソラは地面に現れた鍵穴にキーブレードで鍵をかけた。
フィンケルスタイン博士の研究所に戻る。
「僕はハロウィンの王失格だ。」
サリーが言う。
「気を落とさないで、ジャック。」
「また新しいハロウィンを考えましょう。」
「今度は私も一緒に。」
ソラ達はグミシップに乗って海の世界アトランティカに向かった。
アリエルがセバスチャン、フランダーと一緒に追いかけっこをしている。
アリエルがソラ達に気づいた。
「落ち着いてセバスチャン。この人達は違うみたい。ね、フランダー。」
フランダーが言う。
「そうだね、でも何か変だよ。」
「そう言えばそうね。あなた達どこから来たの?」
ソラが嘘をつく。
「もっと北の海から。何しろ離れてるからこの辺の水には慣れてなくって。」
その時、ハートレスが現れてアリエルに襲いかかる。
ソラはキーブレードでハートレスを倒してあげた。
「あなた達強いのね。パパに会っていって。」
アリエルと一緒にトリトン王の宮殿行く。
「アリエル、宮殿の外は危険だとあれほど言っておいたのに。」
「怪しい奴らがうろついておるのだ。」
「この者達は?」
アリエルが答える。
「ここへ来る途中、助けてもらったの。」
トリトン王が言う。
「いいな、アリエル。もう二度と宮殿の外へ出てはならんぞ。」
ソラはアリエルに頼まれて、一緒にアリエルの隠れ家に向かった、
するとトリトン王がやって来た。
「アリエル!またわしの言いつけに背いたな。」
「宮殿の外へは出るなと言ったはずだぞ。」
アリエルは怒ってどこかに行ってしまった。
「少年よ。お前達は遠くの海ではなく他の世界から来たのだな。」
「ではやはりお前が鍵を持つ者か。」
「アリエルは騙せてもわしの目は誤魔化せん。」
「その不慣れな泳ぎ方ではな。」
「鍵を持つ者なら分かっているはずだ。」
「異なる世界に属する者は互いに干渉してはならない。」
「お前達はそのルールを破ろうとしている。」
「鍵を持つ者は平和を乱し災いを招く。」
「アリエルを助けてくれたことは感謝する。」
「だがわしの海にその鍵は必要ない。」
一人で泣いているアリエルをフロットサムとジェットサムが誘惑する。
「おやおや、深い悲しみに沈んでいるね。」
「可哀想に。我々が力になれればいいんだが。」
「あのお方なら何とかしてくれるかも。」
「きっとお前を助けてくれる。お前の願いを叶えてくれる。」
「アースラなら。」
アリエルの前にアースラが現れた。
「あたしを呼んだかい?お嬢さん。」
「いいのいいの。困っている人を助けるのがあたしの仕事。」
「あんたの願いは・・ああ、外の世界へ?なんてこたあない。」
「あんたと一緒にいたあの子らだって外の世界から来たんだからね。」
「だけどあれは特別。あの不思議な鍵があるからね。」
「おおっと、そんなに悲しまなくてもいいよ。」
「あんたのそばにも特別はあるんだから。」
「いいかい、アリエル。あたしはね、鍵穴は宮殿にあるとふんでるんだ。」
「だからアリエル。トリトン王に内緒でそこまで案内してくれれば、お前を外の世界へ連れて行ってやれるんだけどねえ。」
アリエルはアースラを宮殿に案内してしまった。
「あははははは。ついにトライデントを手に入れた!」
「アリエル、お前のおかげだよ。」
「それじゃ、そろそろ連れて行ってあげるよ。お前が望んだ外の世界。」
「ハートレスの闇の世界へ!」
そこにソラ達がやって来た。
「おや、邪魔が入ったね。」
「けれど少しばかり遅かったようだよ、坊や。」
アースラはトライデントを持ってどこかに消えてしまった。
ソラ達はアリエルを連れてアースラの岩窟に向かった。
「思い知るがいい。あたしがこの海の支配者だよ。」
「海とそこに属する全ての者はみんなこの女王に平伏すのだ!」
ソラ達はアースラを倒してトライデントを取り戻し、トリトン王にトライデントを返した。
「アリエル、お前がアースラの誘いに乗ったのはお前の気持ちを押さえつけようとしたわしのせいでもある。」
「鍵穴を持つ勇者よ。改めてお願いする。鍵穴を封印してくれんか。」
「このトライデントには鍵穴を呼び出すチカラが備わっている。」
「頼ってばかりですまないが。」
ソラはアリエルの隠れ家に出現した鍵穴をキーブレードで閉じた。
「ねえソラ。あなた達の世界ってどんなところ?」
「私でも他の世界へ行けるかも知れないでしょ?」
「私、諦めない。」
「いつか必ず新しい世界に行くわ。」
「誰かを傷つけたりしない私の扉をきっと見つけてみせる。」
ソラ達はグミシップに乗ってネバーランドに向かった。
着陸した時にドナルド達とはぐれてしまったようだ。
フック船長の船にリクとカイリがいた。
「お前から来てくれるとは思わなかったよ。」
ソラが言う。
「また会えて良かった。」
「ドナルドとグーフィーを見なかったか?」
「まだそんな事を言っているのか。」
「そんなに仲間が大切か。」
「お前が捜しているのはあの二人か?」
「見ろよ。お前が遊んでいる間に俺はカイリを見つけたぞ。」
ソラがカイリに駆け寄ろうとすると、フック船長が現れた。
「おっと、俺の船で勝手な行動は慎んでくれ。」
ソラが言う。
「リク、お前何でこんな奴らと一緒にいるんだ!」
「俺はハートレスを操る力を手に入れた。もう恐れるものは何もない。」
ソラが言う。
「ハートレスは危険な力だ。心を呑み込まれるぞ!」
「それは心が弱い奴だけさ。」
「この力でいろんな事が出来るようになった。」
「大切な仲間に会わせてやるよ。」
ソラは船倉に落とされてしまった。
リクがフック船長に言う。
「船はまだ出せないのか?」
「向こうへ着くまでソラをカイリに近づけさせるなよ。」
船倉でドナルド達と合流したソラはピーターパンと出会った。
「ここから出るんだろ。手伝ってやろうか?」
「君らだけじゃまず無理だろうね。」
ティンカーベルがやって来た。
「遅かったじゃないか、ティンカーベル。」
「そうか、そこにウェンディがいるんだな?」
「もう一人?もう一人の女の子がいるのかい?」
「何言ってるんだ。駄目だよ。ウェンディは大切な人なんだから。」
「僕はピーターパン。」
「いいか、一緒に行くのはウェンディを助けるまでだ。」
船長室でリクとフック船長が話をしている。
「ウェンディはプリンセスじゃないってのか。」
リクが言う。
「マレフィセントから聞いただろう。」
「選ばれた7人だけがプリンセスなんだ。」
「船の整備が終わり次第出発する。」
「関係のない者は置いていく。」
「せっかく捕まえたってのに。何でその7人なんだ?」
「マレフィセントは何をしようってんだ?」
リクが言う。
「さあな。俺はカイリの心を取り戻す方法さえ見つかればそれでいい。」
「フン!ご苦労なこった!」
「あの娘の心はハートレスに喰われちまったんだ。」
「心を取り戻すなんて無理だろうな。」
リクが言う。
「カイリの心は喰われたりしていない!」
ソラはピーターパンと一緒に船長室に向かった。
「待てよリク!」
リクはカイリを連れてどこかへ行ってしまう。
フック船長が言う。
「小僧の親友は冷たい奴だな。お嬢さんを連れてさっさと消えちまった。」
「あいつなら廃墟ホロウバスティオンに向かったよ。」
「今は魔女マレフィセントの城さ。」
「ま、お前達には辿り着けないがね。」
ソラ達はティンカーベルの力で空を飛び、フック船長を倒した。
因われていたウェンディを無事助け出すことが出来た。
ソラが言う。
「俺、空を飛んだ。」
「凄いよな、空を飛んだんだ。」
「カイリに話したら信じてくれるかな。」
「信じることが出来れば空だって飛べるんだ。」
「俺、信じてる。絶対カイリに会える。」
「空を飛んだことだけじゃない。島を出てからのこと全部話せるって。」
ソラ達は時計台に行き、11時45分を指している文字盤を12時に合わせ、出現した鍵穴にキーブレードで鍵をかけた。
廃墟ホロウバスティオンでマレフィセントとリクが話している。
「船も使わずにあの子を連れてくるとは無茶をしたね。」
「闇の力に頼りすぎると心を闇に喰われてしまうよ。」
誰かが廃墟ホロウバスティオンにやって来たようだ。
「住んでいた世界が消えても心を失わない者もいる。」
「プリンセスを追い求める心のチカラでここまで辿り着いたようだね。」
「でも安心おし。所詮お前の敵じゃない。」
「お前には力があるんだ。」
「そう、お前自身が気づいていない力さ。」
「さあリク、教えてあげるよ。」
「お前の本当の力を。」
ソラ達は一度トラヴァースタウンへ戻ることにした。
「ソラ、最初の約束を忘れたのかい?」
「怖い顔や寂しい顔は駄目だってば。」
ソラが言う。
「ドナルドは不安じゃないのか?王様の手がかりも見つからないし。心配だろ?」
「ううん、全然。」
「王様は鍵を持つ者と一緒に行動せよって言ったんだ。」
「だからソラと一緒に行けば必ず王様に会える。」
「そう信じているから大丈夫さ。」
カイリの記憶がソラの頭に流れ込んでくる。
カイリが老婆と話している。
「昔々、世界中の人はあたたかい光に照らされて平和に暮らしていた。」
「みんな光が大好きだったんだよ。」
「ところがみんなが光を欲しがって、やがて争いが始まった。」
「するとみんなの心に闇が生まれたんだ。」
「闇はどんどん広がって沢山の心と光を飲み込んだのさ。」
「世界は闇に覆われて消えてしまったんだ。」
「けれど小さな光の欠片が残っていたのさ。」
「子供達の心の中にね。」
「子供達は光の欠片の力で消えてしまった世界を作り直したんだ。」
「それが私達の世界なんだよ。」
「でも本当の光はまだ闇の奥で眠っていてね。」
「だから世界は一つにつながることが出来ずにいくつもの小さな世界に別れてしまった。」
「だけどいつの日かきっと闇の奥に続く扉が開いて光が帰ってくるはずさ。」
「いいかい、もし闇に飲み込まれても闇の奥には必ず光があってお前を助けてくれるんだ。」
「だから闇に負けてはいけないよ。闇の奥の光を信じていれば、お前の心が闇を照らす光になってみんなを幸せにしてあげられるんだよ。」
「分かったね、カイリ。」
ソラ達はグミシップに乗ってホロウバスティオンに向かった。
ソラが言う。
「俺、ここ知ってる。」
「知ってるはずないんだけどな。」
「胸の辺りがあたたかくなってさ。」
浮いている岩を渡って行くと、リクとビーストが戦っていた。
「船もなくハートレスの力も借りず、どうやって来たんだ。」
ビーストが言う。
「私は信じた。ただそれだけだ。」
「私達の世界が闇にのまれたあの時、さらわれたベルのもとへ私も行くと誓った。」
「そして私はここにいる。」
「ここに必ずベルがいると信じている。」
「ベルを返してもらうぞ!」
リクがソラに気づいた。
「ソラ、遅かったな。待ってたんだ、お前を。」
「俺達はいつも何かを取り合ってた。」
「お前は俺のものを。俺はお前のものを。」
「でももう終わりにしようぜ。」
「勇者は二人も要らないんだ。」
「キーブレードが答えてくれる。本当の勇者が誰か。」
キーブレードがリクの手に移った。
「マレフィセントの言った通りだ。」
「お前にカイリを救うことは出来ない。」
「秘密の扉を開き、世界を変える事が出来る本当の勇者だけがキーブレードを使いこなせる。」
ソラが言う。
「それがお前だって言うのか?」
「俺は今までそのキーブレードで戦ってきたんだ!」
「俺に会うまでの暇つぶしだったのさ。」
「ソラ、お前の出番はもうない。」
リクはキーブレードを持ってどこかに消えてしまった。
ドナルドが言う。
「グーフィー、行こう。」
「王様の命令だろ。」
グーフィーが言う。
「あ、そりゃ鍵を持っているのはリクだけど、でも・・」
「ソラ、ごめん!」
ドナルドとグーフィーは行ってしまった。
ビーストがソラに言う。
「お前は何のためにここに来た。」
「私は戦うために来た。」
「たった一人でも出来ることはある。」
「私はそのためにここへ来た。」
「俺は、カイリに・・大切な人に会いに来たんだ。」
ソラはビーストと一緒に城の中を進んでいった。
礼拝堂には「ジャスミン」「シンデレラ」「白雪姫」「オーロラ」「アリス」「ベル」「カイリ」が囚えられていた。
マレフィセントが言う。
「さあプリンセス達よ。鍵穴を呼び出しておくれ。」
意識を失った7人のプリンセス達の胸から光が出て上空に集まっていく。
エントラスホールに入ったソラとビーストの前にリクとドナルド達が現れた。
「なぜ帰らなかった。」
ソラが言う。
「俺はカイリに会いに来たんだ。」
リクが言う。
「闇のチカラで消されたいのか。」
ソラが言う。
「俺の体は消えるかも知れない。」
「でも心は消えない。」
「俺の心は仲間と、みんなとつながってるんだ!」
グーフィーがソラに駆け寄る。
「ソラが消えるなんて嫌だよ。」
「王様の命令は忘れてないよ。」
「でもソラと一緒に旅したいんだ。」
「だって大事な友達だもんね。」
「ごめんね、ドナルド。」
「今度王様に謝っといてよ。」
ドナルドもソラのもとに駆け寄る。
「待て、グーフィー!」
「一緒に謝ろう!」
「まあ、その、友達だしね。」
「さっきはごめんね、ソラ。」
リクが言う。
「武器も持たずに戦う気か?」
「俺の武器はキーブレードじゃない。」
「本当の武器は心なんだ。」
「俺の心はみんなとつながってる。」
「大切な人と、大切な友達と!」
「誰かが俺のことを思っていてくれたら、たった一人でも忘れずにいてくれたら俺の心は消えない。」
「つながる心が俺の力だ!」
キーブレードがソラの手に戻った。
逃げていくリクの前にフードをかぶった謎の人物が現れる。
「真に強い心の持ち主がキーブレードを手に入れるのだ。」
「あの瞬間ではお前の心の方が弱かった。」
「だが人は強くなれる。」
「闇を恐れることなく扉の奥へ進んだお前には勇気がある。」
「さらに深い闇へ突き進むほどお前の心は強くなる。」
「闇に心を開くのだ。それだけでいい。」
「お前の心そのものが全てをのみこむ闇になるのだ。」
リクはマレフィセントがいる礼拝堂まで戻った。
上空には大きな鍵穴がある。
「あれがプリンセス達の力の結晶か。」
マレフィセントが言う。
「そうさ、闇へと通じる鍵穴さ。」
「あれを開けば全世界にハートレスが溢れ出す。」
「だが構うものか。私は闇にのまれたりしないよ。」
「闇の力を利用して世界を支配してやる。」
「たいした自信だ。」
リクの手に黒いキーブレードが現れた。
マレフィセントが喜ぶ。
「おお。」
しかし鍵が開かない。
「何ということだ?プリンセスは揃ったというのに。」
「あの娘のせいか。」
「心を失っていてはプリンセスの力も消えたままだ。」
ソラ達の前にマレフィセントが現れる。
「来るのが少し遅かったようだね。」
「最後の鍵穴が姿を現し、世界はもうすぐ闇に覆われる。」
「もう誰にも止められない。」
「哀れな愚か者め。勝てると思うのか、私に。」
「悪の女王の私に!」
ソラ達のは襲いかかってくるマレフィセントを倒した。
黒いキーブレードを持ったリクが現れる。
「役立たずめ。」
「所詮ハートレスの操り人形か。」
「マレフィセントは最初からハートレスに利用されていたのだ。」
「そのため心の闇が膨れ上がり身を滅ぼした。」
「愚か者が辿る末路だな。」
奥にカイリが倒れている。
「カイリ!」
ソラがカイリに駆け寄る。
「カイリ!カイリ!目を開けてくれ!」
「無駄だ。」
「その娘は心を無くして眠り続けている。」
ソラが言う。
「お前・・リクじゃない。」
「最後のプリンセスが眠っているせいで鍵穴は未完成のままだ。」
「その娘の力なくして鍵穴は完成せん。」
「目覚めてもらうぞ。」
ソラが言う。
「勝手にリクを操って何を言ってるんだ!」
「リクの心を返せ!」
「ならばお前もプリンセスに心を返すがいい。」
「まだ分からんのか?」
「反応しているのだよ。プリンセスの心が。」
「お前の中に眠るカイリの心が!」
「我が目は全て見通している。」
「我が名はアンセム。闇の探求者。」
「さあ引きずり出してやるぞ、プリンセス。」
「その力で鍵穴を完成させ、私を不滅の闇に導け!」
ソラが言う。
「お前なんかにカイリの心を渡すもんか!」
ソラ達は襲いかかってくるアンセムを倒した。
アンセムは黒いキーブレードを置いたままどこかに消えてしまった。
「ソラ!大変だ!鍵穴が不安定になってる!」
ソラがキーブレードで鍵穴を閉じようとするが失敗してしまう。
「どうすればいいんだ?」
グーフィーが言う。
「多分カイリが目を覚ませば・・」
「人の心の扉を開くキーブレード・・」
ソラは黒いキーブレードを手に取り、自分の胸に突き刺した。
黒いキーブレードが砕けたのと同時にソラの体から7つの光の玉が飛び出し、7人のプリンセス達に吸い込まれていく。
ソラの身体が消滅し、カイリが意識を取り戻した。
ソラの意識は暗闇を漂っている。
「俺、どうなるんだろ。」
「消えて・・闇に・・」
カイリが言う。
「ソラ、ほんとに消えて・・」
「ううん、消さない!絶対に消さない!」
カイリ達の前にアンセムが現れた。
アンセムの姿はリクの姿ではなくなっている。
「ようやく目覚めたか。最後のプリンセスよ。」
「だが鍵穴が完成した以上もう用はない。消えてもらうぞ。」
アンセムの中に宿るリクが抵抗してアンセムの体を拘束する。
「俺の体、好きにさせるか!」
「早く逃げろ!ハートレスが来るぞ!」
カイリ達はその場から逃げ出した。
体が消滅し、ハートレスとなったソラはカイリ達を追いかけた。
エントランスホールでカイリ達に追いついた。
「ソラ?ソラなの?」
見た目がハートレスのソラに気づくカイリ。
「今度は私が助けなきゃ。」
カイリはハートレスのソラを抱きしめた。
するとソラが心を取り戻し、元の姿に戻った。
「カイリ、ありがとう。」
ソラがビーストに言う。
「一緒に行こう!」
「私がこの地を離れる時はベルも一緒だ。」
「さあもたもたするな!ハートレスが来るぞ!」
ソラ達は一旦トラヴァースタウンに戻り、ホロウバスティオンの鍵穴についてレオンに報告した。
「鍵穴が闇を吐き出しているのか。」
「食い止める方法は鍵穴を閉じるしかない。」
「だが閉じた時に何が起こるか誰にも分からない。」
「リクのキーブレードは鍵穴と同じくプリンセスの心から生まれたものだろう。」
「カイリの心が欠けていたので不完全だったようだが。」
「キーブレードが砕けたと同時にプリンセスの心は解放されたはず。」
「大丈夫だソラ。お前ならきっと友達を救える。」
カイリと話をする。
「闇の奥の光・・ああ、お婆ちゃんのおとぎ話?」
「そっか、ずっと一緒だったもんね。」
ソラが言う。
「笑っちゃうよな。世界中探し回ったのにこんな近くにいたんだもんなあ。」
「ま、会えたからいいけど。」
「あとはリクだけか。」
カイリが言う。
「また3人一緒に笑えるかな。」
「リクの心は闇に・・」
「俺だってハートレスになったけどカイリが助けてくれたろ。」
「深い闇にのみこまれていたんだ。」
「真っ暗で何も分からなくて。」
「自分のこともみんなのこともどんどん忘れて闇に吸い込まれそうだった。」
「でもカイリの声が聞こえて目が覚めたんだ。」
「カイリのおかげだよ。」
カイリが言う。
「私はソラを忘れたくなかっただけだよ。」
「そうか!俺達の心はつながってる。」
「心のつながりが光になって闇の奥まで届いて俺の心を助けてくれたんじゃないかな。」
「どんなに深い闇でもその奥には必ず光がある。」
「あれはおとぎ話なんかじゃないんだ。」
カイリがソラにお守りを渡す。
「大切なお守りなんだから絶対返してよ。」
「絶対返すよ。」
「約束だよ。」
「約束する。」
カイリが言う。
「忘れないで。私がいつでもそばにいること。」
リクは一人で闇を彷徨っている。
「ソラ・・カイリ・・すまない・・」
「ここは死の世界?」
「まだ消えるわけにはいかない。」
「もう一度ソラとカイリに会うまでは。」
どこからか声が聞こえる。
「リク、聞こえるかい?」
「もうすぐそこに行く。」
「もう一つのキーブレード。こちら側のキーブレードを手に入れた。」
「君にずっと語りかけてたんだ。」
「でも心を覆う闇に阻まれて届かなかった。」
リクが言う。
「誰だが知らないが俺はどうなったんだ?」
「君の心は闇に打ち勝った。」
「でも身体は取り戻せなかった。」
「だから奪われた心が集められたこの闇の側に心だけが取り残されたんだ。」
リクが言う。
「俺はどうすればいい?」
「これから現れる闇の出入りする扉。僕らが出入りすることが出来ないその扉を両側から閉じるためには2つの鍵と2つの心が必要なんだ。」
「もしかしたら君も僕同様、その為にここに来る運命だったのかも知れない。」
リクが言う。
「運命・・何でも知っているんだな。」
「だったらもう一つ教えて欲しい。」
「ソラとカイリは無事なのか?」
「彼らの心は君自身が感じるはずだ。」
「相手が自分にどう写るかなんて自分の心次第なんだ。」
リクが言う。
「ありがとう。」
ソラ達は再びホロウバスティオンに向かい、ビーストと合流した。
「ベルは?」
「まだあの城の中にいる。」
「ベルは自分の意思で城に留まっているようだ。」
「他のプリンセス達もこの地のどこかにいる。」
ソラ達はビーストと一緒に大広間に向かった。
大広間にはベルがいた。
「鍵穴を閉じに来てくれたのね。」
「でも気をつけて。この奥には闇が渦巻いているわ。」
「今は私達の力で封じ込めているけれど、もう保ちそうにないの。」
プリンセス達に話を聞く。
「ソラ、急いで。鍵穴から闇が溢れそうなの。」
「私達の力じゃ闇を防ぐだけで精一杯なの。」
「アンセムはもういないわ。」
「鍵穴が現れた時深い闇が溢れてきて、アンセムは闇に飲まれて消えてしまったの。」
「アンセムが姿を消しても闇の流出は止まらなかった。」
「だから私達で力を合わせて食い止めたのよ。」
「その時のアンセムの顔を忘れられないわ。」
「闇に包まれる瞬間、彼は笑っていたの。」
ソラは開かれた鍵穴「闇の淵」にキーブレードで鍵をかけた。
プリンセス達と話をする。
「ありがとう、ソラ。」
「これでこの世界を覆っていた闇の力も弱まっていくと思うわ。」
「でも気をつけて。時空の彼方にとても大きな闇が現れたの。」
「世界を呑み込む闇の中心よ。」
「アンセムはきっとそこに向かったはず。」
「お願い、ソラ。あなたの勇気でみんなが帰る世界を取り戻して。」
「闇が消えればみんなは世界が消えた時にいた場所へ帰れると思うの。」
ソラ達はグミシップに乗ってエンド・オブ・ザ・ワールドに向かった。
「ハートレスにやられた世界の破片。」
「アンセムをやっつけたら元に戻るよな。」
「でもさ、そしたら元に戻った世界は離れ離れになっちゃうんだろ。」
「ここにいる俺達はどうなっちゃんだ?」
グーフィーが言う。
「ここはハートレスの世界だから消えてしまうかも。」
「でも平気だよ。」
「世界が消えても僕らの心は消えない。」
「心があれば友達のところに帰れる。」
「僕は信じてるよ。」
「果ての塵空」を抜け「巨大クレパス」を下り、「世界の牢獄」へ向かう。
その途中、石碑があったので読んでみる。
「おお、心より生まれ落ちたる心なき闇の子ら。」
「汝ら全ての世界を食らい、果なる世界と成さしめよ。」
「汝ら全ての心を集め、大いなる一つの心とせよ。」
「一つにして全ての心。全てにして一つの心。」
「すなわち王国の心、キングダムハーツ。」
「それこそは大いなる心。秘めたるは大いなる闇。」
「光を封じる一つの闇へ、今こそ帰れ、闇の子よ。」
「キングダムハーツを開くは闇を持たざる心の力。」
「闇なき心は世界に7つ。7つは鍵穴、そして鍵。」
「二人が闇の扉を結ぶ。二つの鍵が扉を結ぶ。」
「光を封じる闇への扉。光ある者を通さぬ扉。」
「闇より生まれし闇のみが扉をくぐり回帰する。心中の闇の中心へ。」
「おお、心より生まれ落ちたる心なき闇の子ら。」
「闇の扉が開く時までありとあらゆる心を貪れ。」
「最後の休息」に行くと扉があった。
扉から声が聞こえてくる。
「気をつけて。安らぎの場所はここが最後だ。」
「この先にはもう君を守る光はない。」
「だけど恐れないで。君の心は何よりも強い武器さ。」
「だから恐れないで。光への扉を開くのは君なんだ。」
扉をくぐると「想い出の島」に着いた。
「闇と繋がった世界。まもなく光を失う世界。」
「お前には何も分かるまい。」
「お前は何も知らない。」
「何も知らない者が何を見ても・・そう、何も理解出来まい。」
アンセムが現れた。
「見るがいい、この小さな世界を。」
「海に囲まれた牢獄と同じ。自由な心の持ち主には狭過ぎる。」
「だからこそリクという少年は新しい世界を求めて、数多の世界を渡る力を求めて心を闇に染めたのだよ。」
「無駄だ。お前の声は届きはしない。心はもう闇に帰った。」
「世界は闇に始まり闇に終わる。心も同じだ。」
「心に芽生えた小さな闇がやがて心の全てをのみ込む。」
「それが心のあるべき姿。」
「あらゆる心は闇に帰るべきなのだよ。」
「そう、心の真の姿とは・・闇だ。」
ソラが言う。
「闇じゃない!」
「心は弱いかも知れない。闇に負ける時だってある。」
「でも、闇の奥には光があるんだ!」
「その光もまた闇に溶けるのだ。」
「無知なる心よ。暗闇で眠るがいい!」
ソラ達は襲いかかってくるアンセムを倒した。
「無駄だ。お前のキーブレードだけでは闇の扉は閉じられん。」
「キングダムハーツよ。私に闇の力を・・」
白く大きな扉が現れ、中から闇が溢れてくる。
「大いなる闇よ・・」
ソラが言う。
「違う!キングダムハーツはどんな闇も消し去ることの出来る心。」
「光なんだ!」
今度は扉から光が溢れ出した。
「なぜだ・・なぜ光が・・」
アンセムは消滅した。
少しだけ開いている扉の中を覗くと、無数のハートレスがいた。
「ハートレス!・・早く閉めなきゃ!」
扉を閉めようとするがビクともしない。
「駄目か・・」
その時、扉の中からリクの声がする。
「諦めるな!」
「何してるソラ!一緒にこいつを閉めるんだ!」
二人で協力して扉を閉めていると、扉の中に王様ミッキーマウスが現れた。
ミッキーの手にはキーブレードがある。
「さあソラ!一緒に鍵をかけよう!」
「大丈夫さ。光への扉がどこかにある。」
「ドナルド、グーフィー、ありがとう。」
リクが言う。
「カイリを頼むぜ。」
閉められた扉に中からミッキーが、外からソラがキーブレードで鍵をかける。
扉は目の前から消えて無くなった。
闇が消えて、消滅していた世界が復活していく。
カイリは復活したデスティニーアイランドに戻った。
「届いてるよ、ソラの気持ち。」
「忘れないで。」
ソラはどこだか分からない世界をドナルド、グーフィーと一緒に旅している。
「これからどうしよう。」
ソラが言う。
「リクと王様を迎えに行かなきゃ。」
グーフィーが言う。
「でも光への扉なんてどこにあるのかなあ。」
プルートが王様の手紙をくわえてやって来た。
「プルート、今までどこにいたんだい?」
「それ、王様の手紙!」
ソラが言う。
「お前、王様に会ったのか?」
「みんな!行こう!」
どこからか声が聞こえてくる。
「忘れないで、ソラ。」
「光への扉を開くのは、君なんだ。」
世界中に散らばっていたアンセムレポートの内容をここに記す。
「長い長い時間をかけて私は多くの知識を身につけてきた。」
「私の知識が力となってこの世界の平和を守っていることを疑う者はいないだろう。」
「民は笑顔を絶やすことなく私を尊敬してくれる。」
「だが賢者と呼ばれている私にも分からないことがある。」
「人の心の奥深くには、かならず闇が眠っている。」
「どんな純粋な者の心にも。」
「たった一欠片の闇が、ふとしたきっかけで大きく膨らみ、やがて心のすべてを闇に染めてしまった例を私は何度となく見てきた。」
「闇。心の闇。どこから来てどこへ行くのか。」
「この小さな世界を治める者の務めとして、どうしても知っておかねばなるまい。」
「闇に囚われた者どもがこの世界の平和を乱す前に。」
「人の心に潜む闇。その正体を暴かねば。」
「数種類の実験を行なう。人の心の闇を取り除く実験。純粋な心に闇を発生させる実験。闇を抑制する実験と逆に増幅する実験。」
「ところが心の領域に手を出したとたん被験者の心はことごとく崩壊してしまった。」
「強い精神力を持つと思われた者も例外ではない。心とはなんと脆いものか。」
「治療を施したものの彼らは回復するきざしを見せず、完全に心を失った。」
「そんな痛ましい姿を民に見せるわけにはゆかない。私は彼らを城の地下に幽閉した。」
「それからしばらく後、城の地下で奇妙な存在を発見した。」
「闇から生まれでたような生物。いや、あれが本当に生物なのか確証はない。あれはいったい何者か。」
「心をなくした者達の影なのだろうか。」
「城の地下深くの暗闇にうごめく影達。あれは心を無くした者の末路なのか。あるいは心の闇が具現化したものか。それとも全く異質な存在なのか。」
「私の知能をもってしても答えは出ない。」
「確かなのは、あれがいっさいの感情を持っていないことだけだ。」
「おそらく彼らの正体や目的が判明すれば心の謎を解く鍵が見つかるだろう。」
「さらなる研究を続けねばならない。幸いサンプルの数に不安はない。彼らは次から次へと発生してるのだ。」
「彼らの呼称が必要だ。よろしい。心なき者、ハートレスと名づけよう。」
「ハートレスは複数で出現し、さらに増殖しているようだ。」
「数種のサンプルを与えてみると生物のみに反応した。」
「ハートレスは生物から何かを吸収して更に増殖。」
「そして対象となった生物は跡形もなく消失した。」
「ハートレスは生物から何を吸収しているのか。」
「私は彼らが心を奪っているのではないかと考えている。」
「ハートレスは心を無くした者から生まれ、他の生物から心を奪って増殖する。」
「ハートレスに奪われた心は新たなハートレスを生み出す糧となる。」
「確証はないが私は自説に自信を持っている。」
「さらに大量の生物を与えて検証しよう。」
「また、ハートレスの行動原理についても研究を進めなければ。」
「感情を持たないと思われる彼らだが知性はあるようだ。」
「しかしコミュニケーションの方法が分からない。」
「ふと思う。あれは私が長年追い求めてきた心の闇そのものではないか。」
「ハートレスの行動原理を探るため1体のハートレスを選び、行動を観察してみた。」
「しばらく触手を揺らしていたがやがて目標を感知したのか、城の奥をめざして歩き出した。」
「やがて城の最深部に到達すると更に何かを探すかのように、触手を振動させる。」
「すると突然奇妙な扉が出現した。」
「私の城にこんなものが隠されていたとは。」
「扉には大きな鍵穴があったが鍵がかかっている様子はない。」
「自ら扉を開いてみた。あれはなんだったのか。扉の奥で見たものは私の知識を超えていた。」
「非常に強力なエネルギー体。その正体は一体・・」
「この夜、多数の流星を観測した。」
「扉を開いたことと関わりがあるのだろうか。」
「ハートレスがめざした扉の奥には巨大なエネルギー体が存在した。」
「恐らくあれこそがハートレスの最終目的だろう。その正体は何か。」
「ハートレスの習性をもとに仮説を立てた。」
「生物の心を奪うハートレスが求める非常に巨大なエネルギー体。」
「あれもまた一つの心。この世界そのものの心なのではないか。」
「確証はない。しかしあの巨大な力を感じた私はすでに確信している。」
「あれは世界の心なのだ。」
「ハートレス達は生きとし生ける者の心のみならず、世界の心までも奪おうとしている。」
「それこそがハートレスの真の目的だろう。」
「だがハートレス達は世界の心を奪いとって何をしようというのか。」
「扉を開いた夜に観測された無数の流星。」
「それを構成していたとみられる物質について研究を進めている。全く未知の物質だ。」
「弾力性に富んでおり断片同士を密着させると容易に結合する。」
「文献をあたってみたものの、このような物質が採取された記録は存在しなかった。」
「私が扉を開いたことによって初めて地上に降りそそいだということか。」
「この小さな世界を包む無限の空間にはこうした物質が無数に漂っているのだろうか。」
「出来ることなら夜空へ飛び立ち真理を探究したいものだ。」
「あの天のどこかに私の知らない世界があるのではないか。」
「好奇心は強まるばかりだ。いや叶わぬ夢を語るのはよそう。」
「世界の外に出る方法は今のところは存在しない。」
「私も他の者達もこの小さな世界にとらわれた囚人でしかない。」
「ハートレスという存在が心と密接な関係があることは間違いない。」
「ハートレスの研究を進めその性質を解明すれば、彼らの目的のみならずこれまで謎に包まれていた心の構造を突き止められるはずだ。」
「手始めにある装置を開発した。」
「ハートレスを人工的に生成する装置である。」
「ハートレスは心を無くした者から自然発生した。」
「ならば心の原理を応用すれば合成できるのではないか。」
「そう考えた私はこれまでの研究の成果を応用して装置を完成させた。」
「試験的に稼動させたところ、なんの問題もなくハートレスが発生した。」
「この装置をさらに改良すれば無から心を生み出すことも可能かもしれない。」
「装置で作り出したハートレスと自然発生したハートレスを比較したところ、その性質や能力には殆ど差がないことが判明した。」
「しかしより正確な実験結果を導き出すためには、この2種類のハートレスは厳正に区別するべきであろう。」
「装置で合成したハートレスには鑑別のためマークをつけておくことにする。」
「驚くべき事件が起きた。外の世界から来訪者があったのだ。」
「彼はある世界を治める王であり、あの流星の破片で作った船に乗ってきた。」
「私があの扉を開いたことで彼と私の世界を往来できるようになったようだ。」
「彼からは実に興味深い話をいくつも聞くことができたが、とりわけ気になるのがキーブレードという鍵に関する話だ。」
「伝説に現れるキーブレードは大きな力を秘めているという。」
「キーブレードを持つ者が世界を救ったとも、逆に世界を混沌にもたらしたとも伝えられている。」
「キーブレードとは一体なんなのか。」
「鍵、すなわち扉を開く力。」
「私が開いたあの扉にも何らかの関係があることは間違いない。」
「人に心があるように世界もまた心を持つ。」
「星空に散らばった数多くの世界、その一つ一つに心がある。」
「それぞれの世界に存在する扉の奥には、その世界の心が隠されているのだ。」
「ハートレスはそれらの心を求めている。」
「心の闇から生まれたハートレスが、より大きな心へ回帰しようとしているのではないか。」
「そうだ。ハートレスは心から生まれた。闇の故郷、それは心だ。」
「世界の心の奥底で。そこはハートレスの世界なのか。私にはわからない。」
「ならば確かめればよかろう。そこには必ず答えがある。私が追い求めた謎、心の謎の。」
「世界の心に触れたその時、私は全てを知る者となるであろう。」
「なすべきことは決まっている。」
「鍵となるキーブレードを持つ者を探し出し、そしてプリンセスたちを。」
「さらにもうひとつ。」
「闇に隠された心の謎を探るためには私の体はもろすぎる。」
「私は行かねばならない。この体を振り捨て、さらなる高みへ。闇の奥へ。」
「心を収めた世界の扉を開くことで世界を覆う壁がくだけ散る。」
「その光景が我々の目には流星として映っていたのだ。」
「グミブロックと呼ばれる物質に異空の世界を飛び越える能力がある理由がこれで理解できた。」
「世界の壁が砕ける原因はハートレスの出現だが、世界の扉を見つけ出すには時間がかかる。」
「更に世界の心を奪うことも同様である。」
「キーブレードと呼ばれる鍵でその扉を閉じられてしまえば、もう二度と世界の心には触れられまい。」
「この世界にキーブレードを持つ者が現れる前に何らかの手を打とう。」
「プリンセスとキーブレードに密接な関係があるとするならば、互いに共鳴しあうであろう。」
「特別な少女を一人選んだ。」
「彼女がプリンセスと呼ばれる者達と同様の能力があるかは分らない。」
「しかしこれは一つの可能性であり、実験である。」
「彼女が鍵を持つ者のいる場所へ私を導いてくれるのか。」
「異空の海に送り出してみよう。」
「心だけの存在となりハートレスへと回帰したはずだが何ら変化は無い。」
「確かに肉体は消滅した。」
「だが他のハートレスとは違い以前の記憶を持ち、ハートレスとしての姿にもなってはいない。」
「まだまだ解明しなければならないことが多いということだ。」
「この世界ではない闇の側へと行くには、世界の心を繋げた場所、キングダムハーツの扉の向こう側へと行かなければならない。」
「世界の心を繋げた奥、闇の世界へと繋がるその場所。まだ知らぬ世界は数が多い。」
「現存する世界。闇の世界、光の世界そして狭間の世界。」
「真の楽園はどこに存在するのか」
「心が肉体を捨て去った時、その肉体の行き先はどこに向かうのだろうか。」
「心と魂は別であり、その魂は肉体に宿ったままとなる。」
「魂が宿りし肉体を滅んだと認識してもよいものか。」
「確かに心がハートレスへと回帰するさい肉体は消滅する。」
「だがそれはこの世界での話しであり、また別の世界でハートレスのように姿を変え存在しているのではないか。」
「だとすれば自分以外にも自分がどこかに存在することになる。」
「闇でも光でもない存在。狭間に生きる存在。心に捨て去られ抜け殻となり、光も闇も恨む者。」
「単純には解明できはしないであろう。」
「心と肉体の関係は複雑である。」
「だが自分がここに存在する以上、それを存在する者だとは呼べまい。」
「ならばこう呼べば良い。存在しない者。ノーバディと。」