ゲーム ネタバレストーリー まとめ

ゲームのストーリーを詳細にまとめています。続編をプレイする時などに役立てて下さい。このブログにはネタバレ要素が多く含まれています。

ドラゴンクエストVII | エデンの戦士たち

キーファという金髪の少年が主人公に言う。
「さてと、今日もここに来ることは誰にも言ってないだろうな、主人公。」
「俺達が勝手にここに出入りしてるってお城の誰かにバレたらまずいからな。」
「けど俺は必ずこの島の謎を解き明かして見せるぞ。」
「世界にはこの島だけしか存在しないなんて、絶対信じないからな!」
「さてと、今日はこれくらいでそろそろ城に戻るとするか。」
「さあ、主人公。いつものようにいっせーのせ!でこの石の蓋を押すぞ。」
「行くぞ!いっせーのっ、せ!」
「でもいいな?家に帰ってもこのことは誰にも喋るなよ。」
「俺の親父にも内緒だからな。」


物語はフィッシュベルという漁師村から始まる。
夜の港で話しをているマリベルという少女と主人公。
「ふーん、そうなんだ。じゃあどうしても教えられないっていうのね?」
「だったらもう聞かないわ。でもあたしは諦めないよ。」
「あんた達が何をしようとしてるか、いつかきっと暴いて見せるから。」
「あ、いけない。明日は年に一度のアミット漁の日だったわ。」
「じゃあね、主人公。あんたも家に帰って早く寝た方がいいよ。」


教会へ向かい神父に話しかける。
「おや、主人公じゃないか。ふむ、さてはまた海の向こうの話かね?」
「確かにわしも若い頃は海の向こうに何があるのか、もしや別の国や村があるのではなどとよく考えたものじゃ。」
「それで船をしつらえて海に出たこともあったのう。」
「しかし行けども行けども海ばかり。島も国も村もなーんにもありゃせん。」
「寂しい気もするがの。この島が世界のすべてなんじゃ。わかったの?」
「さあもう家へお戻り。明日は年に一度のアミット漁の日。」
「早く自分のベッドで眠って、明日は早起きしないと漁の船が出てしまうぞ。」


主人公は自宅に戻り、2階のベットで寝た。


次の日の早朝、母親のマーレに叩き起こされる。
「そらそら!今日は年に一度のアミット漁の日でしょ。」
「父さんはもうとっくにアミットさんの港へ出掛けていったよ。」
「主人公も早く起きて支度しなさい!」


1階に降りる。
「支度は出来たかい。漁師の息子が寝坊したんじゃ話にならないからね。」
「早くアミットさんの港へ行って、父さんを手伝っておやり。」
家を出ようとした所で呼び止められる。
「あ、ちょっとお待ち!父さんにこれを届けてやっておくれ。」
「父さんの好きなアンチョビサンドを作っておいたからね。」
「港のアミットさんの船までちゃんと届けるんだよ。さあ、行っといで!」


主人公はアンチョビサンドを受け取り、家を出た。
教会に立ち寄り、神父と話をする。
「おお、主人公じゃないか。今日は父さんの手伝いだな。」
「しかし早いものじゃのう。お前ももう16歳。こんなに元気に育って。」
「マーレがお前を産んだ時のあの騒ぎが昨日のようじゃ。」


港に停泊しているアミットの船に行く。
アミットが父親のボルカノと話をしていた。
「ふーむ、ボルカノ殿の意見ももっともだが、行き先の漁場を変えるのはどうかね。」
ボルカノが言う。
「いや、アミットさん。この潮の流れだからこそなんだ。」
「こういうのもなんだが、魚たちのご機嫌についちゃあ俺ら漁師が専門家だ。」


「それは勿論そうだがね・・ん?おや、主人公じゃないか。」
「父さんの手伝いに来たんだな。」


ボルカノが主人公に言う。
「うん?主人公。遅いじゃねえか。全く、毎日遊び歩いていやがって。」
「母さんのサンドウィッチは持ってきたんだろうな!」
主人公はアンチョビサンドを渡した。
「おほ!これこれ。これを食わなきゃ漁に出るって感じがしねえんだ。」
ボルカノはその場でアンチョビサンドを全部食べてしまった。
「なにしてんだ、主人公。ぼーっと見てねえで、船室の掃除でもやって来い!」


主人公が船室に向かい掃除をしていると、物陰にマリベルが隠れていた。
「シーッ!大きな声で話しかけないでよ。」
「あたしがここにいることバレちゃうじゃない!」


そこへコック長がやって来た。
「あれ?そこに誰かいるのか?」
「やや、マリベルお嬢さん!またそんな所に隠れたりして。」


「もう、いいじゃないの。あたしが漁について行ったって。」
「ね、見逃してよコック長!あなたの作るシチューって最高よ!ウフフ。」


コック長が言う。
「わしにお世辞を言っても無駄ですぞ。」
「さあ、お父上に叱られないうちに船をおりなさい。」
「ああ、それから主人公。ちょうど良かった。芋の皮むき、手伝っとくれ。」


コック長は厨房へ戻っていった。
「きいー!何よ、主人公の馬鹿!」
「あんたはいいわよね。いつかは船に乗ってこの島の外へ行けるんだもん。」
「どうせ行ったってまわりは海だけしかないって言われてるけど、でもそれって、実は嘘かも知れないじゃん。」
「もういいよ!あんたとキーファ王子の秘密の場所、バラしちゃうから!」
マリベルは怒りながら帰っていった。


船の厨房に向かう。
「おお来たか、主人公。」
「いや実はもう芋の皮むきはほとんど終わっとるんだよ。」
「お互い、マリベルお嬢さんには手を焼くなあ。ハッハッハ。」


父親のボルカノに船室の掃除が終わったことを報告する。
「主人公、いよいよ出航の時間だ。」
「お前も早く漁に出たいだろうが、今はまだ足手まといにすぎない。」
「まあ焦らず修行をすることだな。そうすりゃお前のような男だって、いつかは立派な漁師になれるさ。」
「なんたって、この俺の息子なんだからな。わっはっは。」
「主人公よ。俺のいない間、母さんのことしっかり頼んだぞ!」
主人公は船をおりた。
「出航だー!イカリを上げろー!」


村へ戻ると城の兵士が主人公を探していた。
「ああ、こちらでしたか。主人公殿。」
「王様がなんとしても主人公殿と話したいと申されて。」
「いつも通り、村の外の道を真っ直ぐ北に進み、グランエスタード城までご足労頂けますか?ではお願いしますぞ。」


マリベルが駆け寄ってくる。
「フフフ、聞いたわよ、主人公。またお城へ呼ばれたのね。」
「あたしも一緒に行くわ。いいわよね?さあ、行くわよ。」


一旦マリベルの自宅に寄る。
マリベルはアミット家の令嬢だ。
「あら、マリベルったら。何処へ行くの?もうすぐお花のお稽古の時間よ。」
「あまり遅くならないようにね。」


主人公の家に立ち寄り、母親に行き先を告げる。
「おや、主人公。何処に行ったかと思ってたらマリベルさんと一緒だったのかい。」
「いつもマリベルさんはしっかりしてそうでいいわねえ。」
「それに比べて主人公ときたら、いつまでも頼りなくて。」
「あ、そうそう。お城からの使いの兵士さんにもう会ったかい?」
「王様がお呼びのようだから早く行ってさしあげなさい。」
「けど王様やキーファ王子がいくら仲良くして下さるからって失礼なことをしちゃいけないよ。」
「あ、それからこれを持っておゆき。」
主人公は小さな包みを受け取った。
「小魚の佃煮だよ。キーファ王子の好物でしょ。さあ、行っておいで。」


主人公はマリベルと一緒にグランエスタード城に向かった。
「あー、外に出るの久しぶり!」
「ねえ、あんたとキーファ王子、よくここから西の洞穴をくぐった先の浜辺でコソコソ集まってるでしょ。」
「あそこは昔、お城の王様が船遊びに使っていた場所で、今は立ち入り禁止のはずよ。」
「今度あんた達があそこに出入りしてるのを見たらパパに言いつけるからね。」
「さあボヤボヤしないでグランエスタード城へ行くわよ!ここから道沿いに北だからね!」


グランエスタード城下町へ着いた。
「じゃあ、あたしはここで。」
「え?帰り?うーんと、そうね。」
「いいわ。帰りは帰りでなんとかなると思うから。じゃあね、主人公。ありがとね。」
マリベルは何処かへ行ってしまった。


城下町で井戸端会議をしている女性に話しかける。
「おや、誰かと思えば確かフィッシュベルに住むボルカノさんのとこの。」
「ボルカノさんは立派なのに、その弟のボンダラときたら。」
「と、甥っ子の主人公にこんなこと言っても仕方なかったわねえ。」


老婆に話しかける。
「この国には困ったことが2つある。」
「この城下町の北の隅っこに暮らすホンダラと、それからお城のキーファ王子じゃ。」
「何とかならんもんかのう。」


武器屋に入ると、オルカという青年と話をしてるマリベルがいた。
「あら主人公。あたしのことが気になって様子を見に来たんでしょ?うふふ。」
「でも安心していいわよ。あたしとオルカは別に恋人同士とかじゃないから。」
「あーあ、モテる女の子は辛いなあ。」


オルカの母親に話を聞く。
「うちの息子のオルカときたら、最近フィッシュベルの娘さんと付き合ってるみたいだけど、あたしはあの娘をあんまり好きになれないね。なんだかワガママそうだし。」


教会のシスターに話しかける。
「大きな声では言えませんが、キーファ王子は困ったお人です。」
「そろそろ次の国王様としての自覚が出てきてもよろしいお年頃。」
「それなのにお城を抜け出してばかり。」
「お父上のバーンズ王はどれほど頭を悩ませていることでしょう。」


グランエスタード城に入ると、入り口の隅にキーファ王子が隠れていた。
「よう、主人公!・・あ、シーッ!大きい声出すなよ。」
「上にいる親父に聞こえたらヤバイからさ。」
「また俺のせいで親父に呼び出されたみたいで悪いな。」
「なあ、俺達の目的を忘れちゃいないよな。」
「今までフィッシュベルの西のあの海辺の祠でボロ船を修理しようと頑張ってきたけど、どうしても俺達だけじゃ最後までは修理できそうもないって分かっただろ。」
「だからさ、後はやっぱりこの島中をまわって何処かに謎を解く鍵がないか探すしかないぜ。」
「世界には本当にこの島しかないのかってことをさ。」
「実はこの城の倉庫を探してみたら怪しい古文書を見つけたんだよ。」
「それによると、どうやらこの島の東の山奥に復活の神殿と呼ばれるものがあるらしい。」
「そしてその扉は、『太陽の輝き』というものによって開くらしいんだな。」
「どうだ?絶対怪しいだろ?」
「ともかく俺はその東にある神殿とやらを探して見るからさ。」
「お前は悪いけど親父のところに行って、城の兵士が俺を探しに来ないよう時間稼ぎをしておいてくれよ。」
「じゃあ俺は行くぜ。頼んだからな、主人公。」
キーファ王子は走って行ってしまった。


玉座の間に向かっている途中、偶然、バーンズ王に出くわした。
「キーファ!キーファ王子はまだ見つからんのか!」
「むむむ!あの大馬鹿者め。今度という今度は許さんぞ!」
主人公の姿に気づくバーンズ王。
「ん?主人公!いつからそこにいたのじゃ?待ちかねておったぞ!」
「まあよい。ささっ、こっちじゃ。」
バーンズ王に腕を引かれて玉座の間に連れてこられた。
「とにかくそこに座るが良い。」
玉座に座らされる主人公。
「主人公よ。わしの目をしっかりと見るのじゃ、良いかな?」
「ズバリ聞くぞ!主人公よ、このわしに何か隠しておろう。」
「ふーむ、やはり何か知っておるのだな。」
「近頃のキーファはまるで何かに取り憑かれたように落ち着かぬ様子であったが。」
「今日はとうとうあの大馬鹿者は大事な妃の形見の指輪を持ち出しおった。」
「一体あの馬鹿は何を考えているのか。」
「なあ主人公よ、お願いじゃ。そなたからもキーファに言ってくれぬか。」
「いつまでもフラフラと遊んでばかりおらんで、少しは王子らしくしてくれとな。」
「わしも若い頃は無茶をしたが、今のキーファの年頃にはしっかりしておったぞ。」
「ん、何やら言い訳臭くなってしまったな。」
「まあ良い。ともかくそういう事じゃ。もう帰って良いぞ。」


グランエスタード城を出て、フィッシュベルの東にある遺跡へ向かう。
遺跡にキーファがいた。
「えーと、これをその像に・・」
キーファが主人公に気づく。
「お、主人公。やっと来たか。」
「お前一人でここへ来られるかちょっと心配してたところだ。」
「ついに禁断の地とやらに来てしまったな。もう後には引けないぜ。」
「おっと、そんなことよりこれこれ!これを見てくれよ!」
主人公は王家の古文書を受け取った。
主人公はズッシリと重い古文書の表紙を開けてみた。
そこには、たたずむ1人の賢者の絵が記されており、賢者の持つ杖の先には輝く太陽の光が描かれている。
さらにページをめくると、何やら石版のようなものが描かれている。
あとは古代文字のようでとても読めそうにない。
「どうだ、主人公。そこに描かれた賢者の絵はこの像にそっくりだろ?」
「俺の勘が正しければ、ズバリ、この像に何かをすれば何かが起こるってことだぜ!」
「その絵を見る限り、キーワードは太陽だ。そこでこいつの出番ってわけさ。」
「じゃーん、これこそ我が王家に伝わる宝珠、太陽石の指輪!」
「こいつをこの像の杖にはめれば、きっと何かが起こるはず!」
「よし、それじゃこの指輪を杖の先にはめるぜ。いいな、主人公?」
「何が禁断の地だ。何が王家の墓だ。」
「そんな言葉で終わらせてそれ以上研究しなかった学者たちは怠慢だよな。」
「俺はずっと思っていたんだ。この島の遺跡には何か秘密が隠されているって。」
「それも俺の運命を変えてしまうような何かが。」
「よし、行くぞ!よっと。」
キーファは賢者の像の杖の先にあるくぼみに太陽石の指輪をはめた。
「あれ?何も起こらないみたいだな。」
「主人公、悪い。どうやらこの指輪をはめるのは間違いだったようだ。」
「しかしどう考えてみても太陽が関係していることは間違いないはずなんだがなあ。」
「やっぱり古文書の他のところもちゃんと読まないと駄目かなあ。」
「けど読めないしな・・」
「そうだ!城下町の地下から行った崖っぷちの家に変な爺さんが住んでただろ?」
「あの爺さんならその古文書を読めるかも知れないぞ!」
「よし、お前がその古文書を城下町の崖っぷちの爺さんのところへ持って行ってくれ。」
「え?俺?俺はあの爺さん苦手なんだよ。」
「何かやたらと昔の事とかに詳しくてさ。俺の親父がいろいろ相談したりしてて仲がいいんだよ。」
「だから頼むよ。俺はこの太陽石の指輪以外にそれっぽい物がないかもう一度探してみるよ。」
「じゃあな、主人公。崖っぷちの爺さんに宜しくな。」


主人公は古文書を持って崖っぷちの家に住む老人に会いに行った。


「なんじゃお前さんは。人の家に勝手に入ってきて何様のつもりじゃ?」
「わしは忙しいんじゃ。とっとと出ていってくれ!」
主人公はキーファ王子から預かった古文書を老人に見せた。
「お前さんは物売りかい?わしが古い本なら何でも買うと思ったら大間違い・・・」
「・・分かった。500ゴールドでどうじゃ?」
「なんと、売りに来たんじゃなかったか。」
「ときにお前さん、この本をどこで手に入れたね?」
「ほう、あの王子からか。」
「ということはおおかた城の宝物庫にでもあったんじゃな。」
「どれ、見せてみなさい。ふむふむ。賢者の絵に輝く光か。」
「何じゃと?この絵を見た王子が東の神殿の像に太陽石の指輪を?」
「ふん、あの王子、ボンクラと聞いておったが、ボンクラは城の学者たちかも知れんの。」
「よし分かった。この古文書はわしが預かろう。嫌とは言わせんぞ。」
「もともとそのつもりでここに来たんじゃろ。」
「話はついたな。わしはこれの解読にかかるから、しばらくしたら戻ってくるとええじゃろう。」
「そうじゃな、せっかくだからキーファ王子も連れてきたらどうだね。」
「駄目な王子だが、この古文書を探し出した本人なんじゃからな。」
「王子を連れて来る頃には、わしの解読も終わっとるじゃろう。」


グランエスタード城へ戻り、2階の西の部屋でキーファと話をする。
「主人公か。いやー、今日は何回この城と遺跡を往復したかな。」
「俺さ、太陽に関係がある物で考えられる限りの物を全部試したんだぜ。」
「もたもたしてると親父にバレるから、そりゃあものすごいスピードで頑張ったさ。」
「何しろお前の叔父さんが持っていたホットストーンとかいう怪しい石まで試したんだぞ。」
「貸してくれって頼んだら5000ゴールドよこせって言うから、それはもちろん断ったけどさ。」
「実はお前の叔父さん、酒場で飲んだ後はいつも部屋で眠りこけてるって聞いたから、こっそり借りてきたんだ。」
「悪いけど主人公、後で叔父さんに返しておいてくれよ。」
主人公はホットストーンを受け取った。
「まあそんなこんなで大変だったんだけど、でも全然駄目。」
「古文書にあった太陽の輝きって一体何なんだろうなあ。」
「ところでお前はどうしてたんだ?」
「ん?古文書を爺さんに?」
「あ、そうだった!お前には古文書を崖っぷちの爺さんに渡してって頼んだんだよ。」
「悪い悪い。太陽のことで頭が一杯で忘れてたよ。」
「で、どうだった?何か分かったのか?」
「え?解読中?うーん、もうそんなに時間もないのになあ。」
「仕方ない、俺も行くよ。爺さんを急かして早く解読してもらおうぜ。」


主人公はキーファを連れて、再び崖っぷちの家に住む老人に会いに行った。
「おお来たか。ちょうど今、解読が終わったところじゃぞ。」


キーファが驚く。
「ええ?解読が終わった?で、何が解ったんだよ爺さん!」


「ん?なんじゃお前さんは。ああ、そうか。お前さんがあの王子さんか。」
「今から言うから落ち着いて聞けよ。」
「わしが解読したところ、この絵に記された光の輝きは、太陽とは関係がないようじゃ。」
「ここに描かれた光は、心の輝きと熱意を示しておる。それも選ばれた者のな。」
「選ばれた者・・恐らくはあの神殿を作った存在だろう。」
「ここに書かれた方法を教えてやろう。良いかな?読むぞ。」
「大いなる意志が心清き熱き思いを受け入れた時、そなたの進むべき道が必ずや示されるであろう。」
「さあ、あの東の神殿へ行き、像の前でお前さん達の情熱をかけて祈るがよかろう。」
「誰が何のためにあの神殿を残したのか・・」
「気をつけて行くんじゃぞ。土産話を楽しみにしておるからな。」


地下道を通って東の神殿へ向かおうとすると、キーファを探していた城の兵士に呼び止められた。
「お、王子。こちらにいらっしゃったんですか。随分探しましたよ。」
「王様がお呼びです。どうか我々と一緒に来て下さい。」


キーファが口答えする。
「親父が?どうせさっきの小言の続きだろ。俺は行かないよ。」


「お願いです、王子。今日の王様はとてもご機嫌が悪いらしくて。」
「王子をお城にお連れしないと、我々はクビになっちゃうんです。」
「王子、私には年老いた母が・・」


キーファが言う。
「あー、もう分かったよ!」
「主人公、ちょっと行って来る。後で行くから家で待ってろよ。」


主人公は自宅に帰り、キーファが来るのを待っていた。
そして夜が更けた。


主人公は待ちくたびれてベットで寝ていると、夜中にキーファがやって来た。
「おい、主人公。起きろよ!主人公ってば!」
主人公が目を覚ます。
「おう、やっと起きたか。ごめんな、主人公。こんな時間になっちゃって。」
「あれからみっちり親父に説教されたあげく、部屋に閉じ込められちゃってさ。」
「いやー、まいった。ハッハッハ!」
「親父も歳だよな。ちょっと指輪を借りたくらいであんなに怒らなくてもいいのにさ。」
「でもまあ、それだけあの指輪を大事にしてたってことなんだろうけど。」
「まあいいや。夜が明けないうちに出掛けちまおうぜ!」


村を出て東の遺跡へ向かう。
「ついに来たな、主人公。」
「さあ始めるぞ。心の準備はいいか?」
「この島の遺跡には絶対に何かある。特にこの東の地には。それはずっと感じてた。」
「たとえこの先にどんな苦痛が待ち受けていても、俺は必ず乗り越える!」
「お前も一緒だ。主人公、とことん俺に付き合ってくれるよな?」
主人公は力強く頷いた。
「爺さんが言ったように、本当に心の輝きで道が開けるなら、俺達にその資格があるらなば、どうか俺達を受け入れてくれ!俺達に新たな道を開いてくれ!」
二人は賢者の像に祈りを捧げた。
すると賢者の像が持つ杖が青白く輝き、遺跡の扉に光を照射する。
遺跡の封印が解け、扉が開いた。
「すごい、すごいぞ!どうやっても開かなかった扉はこんな仕掛けになっていたんだ!」
「主人公、俺達ついにやったんだよな!」
「くー、この奥に何があるのか楽しみだぜ。」
「さあ行こう、主人公。本当の冒険の始まりだ!」


遺跡の中に入り進んでいくと、奥に半透明の妖精がいた。
「ホウ、ホウ。お前、オイラが見えるのか。」
「もう何十年、何百年、どれだけ待ったか忘れたぞ。」
「ここは復活の神殿。この神殿に入れるのは選ばれし者だけ。」
「だからお前たち、多分神に選ばれし者。」
「オイラの後ろの扉は、この部屋の4聖者が開けてくれる。」
「さあ、4聖者の像の声を聞け。」


主人公は聖者の像を調べた。
「第一の聖者は大地を司る者。」
「それは遙かなる時であり、生きとし生けるものであり、大地そのものである。」
「そしてその身を覆い尽くす鎧こそがまた、大いなる大地とならん。」
「第二の聖者は風を司る者。」
「風は時として真空の刃。己自信を傷つけることもあろう。」
「その身を守るべく、その手に掲げるものは何ぞや。」
「第三の聖者は炎を司る者。」
「炎の聖者が怒りに燃える時も、湧き上がる魂の炎は何者にも抑えることは出来ぬ。」
「神たる理性で怒りを抑えよ。」
「その頭上を飾るべきは聖なる勇気の守りなり。」
「第四の聖者は水を司る者。」
「険しい滝は我等の盾となり、邪悪な霊を薙ぎ払う。」
「真に強きは怒りか、愛か。」
「その答えは恐らく聖なる剣が示すその先にある。」


再び妖精と話をする。
「選ばれし者よ。4聖者が道を示すには彼らの装備が必要だ。」
「この神殿のずっと北、グランエスタードのすぐ東に閉ざされた遺跡の扉が残されていたはず。」
「その石扉は先程開かれた。」
「先へ進み、2つの小遺跡で地下への扉を4つ探すがいい。」
「2つの小遺跡にある4つの地下室に聖者たちの装備一つずつ眠ってる。」
「オイラはこの神殿から出られない。それがオイラの役目だからさ、ホウ。」
「だから選ばれし者よ。地下室から聖者たちの装備を持ってくるといいぞ。ホウ、ホウ!」


主人公とキーファはグランエスタードの東にある大地と炎の遺跡へ向かった。
遺跡に隠された謎を解き明かし、「聖者の兜」と「聖者の鎧」を手に入れる。


大地と炎の遺跡を北に抜け進んで行くと風と水の遺跡があった。
隠し階段の奥から「聖者の剣」と「聖者の盾」を手に入れる。


フィッシュベル東の謎の神殿に戻り、妖精に報告する。
「ホウ、ホウ!お前たちは見事に全ての装備を手に入れてきた。」
「さあ、4聖者の像に彼らの装備を返してくれ。」
「それぞれの装備にふさわしい像へ話しかければいい。ホウ、ホウ!」


4聖者の像に各装備を捧げると、妖精の後ろにある扉が開いた。
「ホウ、ホウ!もう何十年、何百年、どれだけ待ったか忘れたぞ。」
「オイラは選ばれし者を待った。そして選ばれし者は扉を開いた。」
「これで神様もやっとオイラを許してくれるぞ。ありがとう。」
妖精は扉の中へ入っていった。
主人公達も妖精の後を追って扉の中へ入ると、何処からか不思議な声が聞こえてくる。
「復活の間へ訪れし者・・」
「選ばれし者達よ・・」
「迷いし時はそこの者より我が声を聞け。」
「さすれば新たな道が開かれるであろう。」


キーファが言う。
「何なんだ?頭の中で声がしたような。」
「そこの者ってアイツのことか?」
「まあいいや。アイツに話を聞いてみようぜ、主人公。」


妖精の姿は半透明ではなくなっていた。
「ヨッホウ!ついにこの復活の間が開いたぞ!」
「オイラは復活の間の管理人。神様に命じられてそうなった。」
「こう見えて、おいらは300・・500・・まあ年はどうでもいい。」
「そんなことよりオイラの足元!ずーっと下に浮かんでいる4つの巨大な石柱を見ろ。」
「4つの石柱の上にはお前たちを導く神秘の台座が並んでいる。」
「お前たち何処かで石版の欠片を見つけたか?見つけたならオイラに話しかけろ。」
「そうすればオイラがあの石柱に働きかけて台座に石版をはめ込む手助けをしてやるぞ。」


この部屋を調べると、「不思議な石板・黄」が2枚落ちていた。
案内人の妖精に話して黄色の石柱に石版をはめる。
黄色の石版の欠片はあと1枚足りないようだ。
「聞こえる、神様の言葉。オイラそれ伝える。」
「ヨッホウ!何処かにまだ残された欠片があるって聞こえてきたぞ!」
「大きな船のある所。その近くに欠片が来たらしいぞ。」
「お前たち、探しに行くといい。」


キーファが言う。
「うーん、石版をはめては見たものの何も起こらないな。」
「やっぱり欠片が足りなかったら駄目なんだろうな。」
「よし、主人公。とりあえず一旦、外に出てみようぜ。」


外に出ると、夜が明けて朝になっていた。
「うわ、朝日が眩しいな。もうこんな時間になってたのか。」
「主人公、俺はこれから城に戻って石版を探してみる。」
「けど城の中はもうほとんど探しちゃったから望みは薄いなあ。」
「あとは変わったことと言えば、そろそろアミット漁が終わる頃だよな?」
「お前もとりあえずフィッシュベルに戻った方がいいんじゃないか。」
「何か見つけたら必ず俺の所に来てくれよ。じゃあまた後でな!」


主人公はフィッシュベルの自宅へ戻り、アミット漁から帰って来ていた父親のボルカノに話しかける。
「お、帰ったか主人公。俺も帰ったぞ。わっはっは!」
「今年の漁は塩の読みが思いのほかうまくいってな。」
「これほどの大漁は、確か10年以上も昔のお前が生まれたあの年以来だ。」
「いや、あの年は今年以上だったかも知れんが。」
「漁から戻ってみるとお前が生まれていたんで、そっちの方に気を取られちまった。」
「たった6ヶ月で生まれたのにケロッとして、俺の顔を見たらいきなり泣き出したっけな。」
「・・ゴホン。まあとにかく大漁で良かった。」
「今夜は久しぶりにぐっすり眠れらあ。」
「ういー、今日は気分がいいな。」
「ん?どうした主人公。お前もジュースでも飲むか?」
「え?俺が何か拾わなかったかって?」
「おお、そうそう。忘れるところだった。」
「アミにまぎれて来たんだが、おかしな物を拾ってな。ええと・・」
「何か古い石版のような物なんだが、一応お城に報告した方がいいかも知れん。」
「確かお前、王子と仲が良かったな。」
「よし、これはお前に任せることにしよう。頼んだぞ。」
主人公は「不思議な石版・黃」を受け取った。
「いや、それにしても母さんの魚料理は最高だな。このスパイスがたまらん。」


主人公が家を出ようとすると、父親の弟ホンダラが話しかけてきた。
「やい、主人公。帰ってやがったのか!」
「お前、俺の大事な大事なあの石を持ってっただろ?」
「何だと?しらばっくれるつもりか?」
「誰が好き好んで俺の家をあさったりするもんかい。」
「お前しかいねえだろ。ホントはお前が持ってったんだろ?ああ?」
ゴチーーン!!主人公はホンダラに大きなゲンコツをもらった。
はずみでホットストーンが床に転がり落ちた。
「やっぱりお前だったか。全く油断ならねえなあ。これは返してもらうぜ。」
ホンダラはホットストーンを持って何処かへ行ってしまった。


主人公はグランエスタード城へ行き、キーファに石版を手に入れたことを話す。
「え?何だって?アミット漁のアミに?」
「そうか、これはすごい偶然だぞ、主人公。」
「もうこうなると運命を感じずにはいられないな。」
「行こう主人公。今すぐあの謎の神殿へ!」


謎の神殿に着くと、マリベルが待ち伏せしていた。
「ウフフ、見たわよ!近頃ずっと走り回っていたのはそういう訳だったのね!」
「ひどいじゃないの、主人公。こんな面白そうなことをあたしに教えてくれないなんて。」
「とにかく主人公、あんたはあたしに一杯借りがあるはずよね?」
「あたしも一緒に行くわ。いいでしょ、主人公。」


キーファがため息をつく。
「はあ・・しょうがないなあ。行こうぜ主人公。」


3人で謎の神殿の案内人の所へ行き、黄色の石柱に石板の欠片を全てはめた。
すると黄色の石柱が青白く輝き始める。
「え?ちょっと何なのよ。この光は。」
「うわー!」
3人は森の中に転送された。
この森が何処なのか全く見当がつかない。
「何だったのよ、今のは。」


キーファが言う。
「見たことのない場所だな。島にこんな所があったのか?」


「何言ってんのよ。あったに決まってるじゃない。現にこうしてあるんだし。」
「にしても、どうしてここってこんなに空が暗いのよ。」
「それでなくても気分が悪いのに、もうホントに最低な気分だわ。」
「さてと、じゃああたしは家に帰るからね。」
「主人公、キーファ。遊んでくれてありがと。つまらなかったわ。じゃあね。」
マリベルは森の奥へ一人で行ってしまった。


「さて、俺達もいつまでもここにいても仕方ないしな。」
「行こう、主人公。」


主人公達も森の奥へ進んで行くと、マリベルがスライムに襲われていた。
「なんなのー!?」
主人公達が助けに入り、なんとかスライムを倒すことが出来た。


「何なのよ、ここは。どうして魔物なんかいるのよ。」


キーファが言う。
「魔物?今のが魔物なのか?」


「じゃなかったら今の薄気味悪い生き物は何だって言うの?」
「とにかく、こんな事になったのはあんた達のせいだからね!」
「あんた達が無理矢理あたしをこんな所に連れてきたからいけないのよ!」
「主人公、あんたちゃんと責任をとってあたしを無事に家まで送り届けるのよ!」


キーファが何故か喜んでいる。
「魔物・・おい、主人公!ちゃんと見たよな!今のは本物の魔物なんだぞ!」
「クウー、なんだか知らないけどワクワクしてきたぜ!」


「馬鹿!どうしてこんな時にあんたは喜んでんのよ。」
「とにかくあたしはいつまでもこんな所にいたくないわ。」
「さっさとあたしを連れて家に帰るのよ!いいわね!」


森の中を進んでいくと、小さな広場に出た。
そこには墓があり、墓の前に武具を装備した女性がいた。
「あなた達は誰?」


キーファが答える。
「驚かせてしまってすみません。僕たちは怪しい者じゃありません。」
「僕の名前はキーファ。グランエスタードの王子です。」


女性が驚く。
「・・エスタード?まさか・・」


「あ、それとそこにいるのが主人公とマリベル。僕の仲間たちです。」


女性が言う。
「申し遅れました。私の名前はマチルダです。」


マリベルが言う。
「マチルダさんはこんな暗い所で草むしりでもしていたの?」


「いえ、この草はそこにある墓に供えようと摘んでいたものです。」


マリベルが聞く。
「お墓に供えるって、ねえ、それって雑草じゃない?」
「雑草をわざわざお墓に植え直すの?」


「この草は花の代わりです。見ての通り、この辺りには花が咲かないのです。」
「なので、せめて雑草でもと思って。」


マリベルが言う。
「あ、そうだ!花ならあるわよ!」
「・・って種だけど。」
「グランエスタードの森で拾ったの。家の周りにでもまこうかと思って。」


「花の・・種・・」
「すみません。もし宜しければその種を少し分けて頂けませんか。」


マリベルが言う。
「もちろん!全部あげるよ!」


マリベルはマチルダに花の種が入った袋を全部あげた。
「ありがとうございます!では早速この種をお墓の側にまいてみますわ。」
マリベルはお墓の周りに花の種をまいた。
「これで死んだ者の魂も少しは癒やされましょう。」
「ところであなた方はこれから何処に向かうおつもりでしょう?」


「んー、何処って言うか、とりあえずそれぞれの家の方に戻りたいと思うんですけど・・」


マチルダが言う。
「申し上げにくいのですが、今すぐにあなた方の住む場所に戻ることは出来ませんわ。」
「ですが、この森を抜けた先にある村ならあなた方の休める場所もありましょう。」
「種を頂いたお礼にその村に着くまであなた方のお供を致しますわ。」


マチルダが仲間に加わった。
「さて、では行きましょう。村はこの森を出てすぐ東ですわ。」


森を出て、すぐ東にあるウッドパルナの村へ着いた。
マチルダの姿が見えないことにマリベルが気づく。
「ねえ、主人公!ちょっと待って!」
「マチルダさんの姿が見えないわ。何処に行っちゃったのかしら。」


辺りを見回すキーファ。
「本当だ。急いで家に戻ったのかな?どうせこの村の人なんだろうし。」


「ふーん、一言もなく?冷たいわね。」
「それにしてもなんなの、この村は。あちこち壊れているじゃないの。」
「なんでもいいわ。とにかく家に帰れる方法がないか村の人に聞いてみましょ。」


畑にいる農夫に話を聞く。
「もうおしまいだべ。オラのほがらか農園もこれでおしまいだ。」
「あんた達、見てほしいだよ。オラの畑の真ん中にあんなでかい穴が開いちまっただ。」


キーファが穴を見る。
「本当だ。一体誰がこんなひどいことをしたんだ。」


農夫が答える。
「何言ってるだ。これはオラがやったに決まってるだよ。」
「いくら嫁っ子と娘っ子のためとは言え、これでオラはおしまいだべ。」


家を壊している男性に話を聞く。
「何をやってるのかだって?見りゃ分かるだろ。」
「オレっちの家を壊してんのさ。」
「何のためにだと?おまえ俺に喧嘩でも仕掛けてんのか?」
「カミさんのため以外にどうしてオレっちが自分の家を壊す理由があるんだ?」


教会にいる老人に話を聞く。
「ここは森の中にひっそりとある、大人しく平和な村だったのじゃ。」
「しかしある日突然魔物たちが現れ、村の女を何処かへ連れ去ってしまいましての。」
「そして残された男たちに魔物はこう命令したのですじゃ。」
「自分たちの手でこの村を二度と立ち直れないくらいまでに壊し続けろ。」
「さもなくば、連れ去った女たちの命は無いものと思え、と。」
「もはやこの村はどうにもならん。あんたらも早く自分の住処に帰った方が宜しかろう。」


宿屋の屋上にいる男性に話を聞く。
「グランエスタードから来たですって?へえ、そんな名前の国は聞いたことがないですね。」
「あれ?エスタード?確かそんなような地名があった気もしますが、はて。」


口ひげを生やした男性に話を聞く。
「折角この村に来られたのです。村の英雄パルナの伝説をお聞かせしましょう。」
「実はこの村は20年ほど前にも魔物に襲われたことがあるのです。」
「私たちは話し合い村人みんなで力を合わせ、その魔物を倒すことに決めました。」
「そしてまず最初に一人の勇気ある青年が魔物の元へと向かったのです。」
「私たちは魔物の元へ向かう青年にこう約束しました。」
「他の村人もすぐに行くから、と。」
「しかし村の人間は誰も青年を助けに行きませんでした。死を恐れ、勇気がわかず。」
「後から来るはずの助けが来ないことを知らないまま青年は魔物と戦い始め、その魔物と共に自分もその場に命を落としたのです。」
「その死んでしまった青年こそが、この村の伝説の英雄パルナです。」
「それから私たちはパルナへの感謝の気持ちを永遠に忘れないようにと、この村をウッドパルナと名付けたのです。」


村の北部にある家に入るとパトリックという少年がいた。
「誰?・・なんだ、人間だよね。とにかく中に入ってよ。」
パトリックは家の扉に施錠した。
「驚かせてごめん。この家が魔物に気づかれたのかと思ってビックリしちゃってね。」
「僕はパトリック。・・そうだ!それよりお兄ちゃん達、旅の人なんでしょ?」
「だったら何処かでマチルダっていう女の人に会わなかった?」
主人公はマチルダに会ったことを伝えた。
「ほんと?良かった。」
「マチルダは今、この村を魔物から守ってくれている人なんだ。だけど最近姿を見なくて。」
「お父さんも怪我をしてるこんな時にマチルダまでいなくなったら・・」
ベッドで寝ているパトリックの父親が唸り声をあげる。
「お父さん、大丈夫?傷が痛むの?」
「ああ、ごめんね。話の途中で。ここに寝ているのは僕のお父さんなんだ。」
「お父さんはこの村の戦士。女の人を助けるために魔物と戦ってこんな怪我を。」
「この怪我を治すには緑色の宝玉の輝きが必要なんでってお医者様が言ってたんだけど、それが採れる南東の鉱山も今は魔物がいっぱいで誰も行けなくってね。」
「だからマチルダに会ったら緑色の宝玉を取ってきて欲しいってお願いしようと思ってたんだ。」
「お兄ちゃんたちも何処かでマチルダに会ったらそう伝えてくれないかな?」
「僕もマチルダを探しに行きたいけど、お父さんをみてなくちゃいけないから。」


キーファが言う。
「なあ主人公。その緑色の宝玉ってやつ、俺達で取りに行かないか?」
主人公が頷く。
「だよな!お前ならそう言ってくれると思ったぜ!」


マリベルが言う。
「ちょっと、何言ってんのよ!何で私たちが行かなきゃいけないわけ?」


「まあまあ。どうやらマチルダさんの姿も見えないし、俺達も帰り道を探さなきゃだし。」
「もしかしたらその鉱山で何か見つかるかもしれないぜ。」


マリベルが考えている。
「そうかしら?あんたが真面目な話をする時ってロクなことがないんだけど。」
「まあいいわ。こんな田舎に一人でいても退屈だし、あたしも一緒に行ってあげる。」


「よし、決まりだな。」


翌日、カラーストーン採掘場へ行き奥へ進んでいくと途中でマチルダと出会った。
「主人公さんたち。またこんな所でお会いするとは。」


マリベルが言う。
「こんな所でって、そういうマチルダさんこそこんな所で何してるの?」


「私はこの奥から魔物の気配を感じたのでこうして見に来たのです。」


「あ、そうだ。マチルダさん、そう言えば・・」
キーファはパトリックの願いをマチルダに告げた。


「そうですか。あの少年が父親のために緑色の宝玉を。」
「緑色の宝玉ならば緑色のカラーストーンがあれば必ず採れるはずですが、はたしてこの鉱山にまだ緑色のカラーストーンが残っているかは分かりません。」
「・・では、私は急ぐ身ですのでここで失礼致します。」


立ち去ろうとするマチルダにマリベルが声を掛ける。
「・・ってマチルダさん!一緒に探してくれないの?」


「冷たいと思われるかも知れませんが、私もあの少年だけにかまってはいられないのです。では。」


マチルダが去っていった後、キーファが言う。
「うーん、マチルダさんって本当に冷たいかもなあ。」
「仕方ない。俺達だけで緑色の宝玉を探すことにするか。」


採掘場の奥で何とか緑色のカラーストーンを見つけることが出来た主人公達。
しかし見つけたカラーストーンは巨大だった。
「やったぜ!こいつが緑色のカラーストーンだな!」
「・・って、こんなでかいのをどうやって持って帰るんだ?」


そこにマチルダが現れた。
「よかった。どうやらご無事のようですね。」
「あの後、やはり皆さんが心配になり戻ってきたのです。」
「先程はどうもすみませんでした。私もどうかしていたようです。」
「あの少年が緑色の宝玉を探しているのでしたね。ならば是非、私にも協力させて下さい。」
マチルダは緑色のカラーストーンに手をかざし、意識を集中している。
緑色のカラーストーンから一つの破片がこぼれ落ちた。
「さあ、これをあの少年の所にお持ち下さい。」
主人公は緑色に輝く美しい宝玉を受け取った。
「急ぐ身であることは変わりませんので、すみませんが私はここで失礼しますわ。」
「辺りには魔物がいます。帰り道もお気をつけて下さい。では。」
「・・そうだ、忘れるところでしたわ。」
「主人公さん達にこれをもらって頂きたいのです。」
主人公はマチルダから木の人形をもらった。
「その人形は、私がまだ少女のころ兄からもらった物です。」
「ずっとお守りとして大事にしてきたのですが、今の私には似合いませんから。」
「気に入らないようなら捨てて下さい。それでは本当に失礼します。」


主人公はウッドパルナの村へ戻り、パトリックに緑色の宝玉を渡した。
「ありがとう、主人公さん!それにマチルダにも会って手伝ってもらえたんだね!」
「すぐにその緑色の宝玉をお父さんの側に置いてみよう。」
パトリックは受け取った緑色の宝玉を父親が寝ているベッドの上に置いた。
「これでお父さんの怪我が早く治るといいんだけど。」
「それにしても鉱山に入って無事に持ってきてくれるなんて、主人公さん達も強いんだね。」
「そう言えばまだマチルダのことを話してなかったよね。」
「マチルダはね、僕とお父さんの命の恩人なんだ。」
「お父さんが魔物と戦った時、僕は心配で一人で東の塔まで行ったんだ。」
「そしたら塔の入り口でお父さんが倒れていて、その隣にマチルダが。」
「マチルダはね、父さんを助けるために魔物と戦ってくれたんだよ。」
「もしマチルダがいなかったら今頃・・」
「いや、そんなことよりも今はお父さんが早く治ることを考えた方がいいね。」
「主人公さん達も今日は疲れたでしょ?」
「主人公さん達が泊まるって宿屋に言ってあるから、今日はそこで休むといいよ。」


主人公達はウッドパルナの宿屋に宿泊した。
ベッドで寝ていると、不思議な夢を見た。
少女が青年と話している。
「待ってよ、お兄ちゃん!」
「やっぱり一人でなんて危ないわ。行くのならみんなと一緒に行くべきよ。」


「はっはっは。そうしたいのはやまやまだ。」
「だがな、すぐに誰かが行かなくてはまたあの魔物を見失ってしまうかもしれない。」
「まず俺があの魔物を足止めし、村の皆が戦いの準備を整えてすぐ加勢してくれる。」
「皆がチカラをあわせれば魔物と言えども、それほど恐れることはない。分かるな?」
「ではもう行くぞ。・・おっと、そうだ。」
「お前にやろうと思ってこれを作った。ほら。」
青年は木でできた人形を少女に手渡した。
「見てくれは悪いかも知れんが、それでも頑張って作ったんだ。大切にしろよ。」
「それじゃあ、行ってくる。」
「いい子にしてろよ、マチルダ。」


翌朝、パトリックに会いに行くと父親の怪我がすっかり良くなっていた。
「主人公さん達、見てよ!お父さんの怪我が治ったんだよ!」


パトリックの父親が言う。
「これは皆さん。ようこそおいでくださいました。」
「私の名はハンクといいます。私が怪我で伏せていた時の話はパトリックから聞いております。」
「見ず知らずの私のために危険をおかして緑色の宝玉を取ってきて下さったとか。」
「ただただ、心から礼を言わせていただきます。」


パトリックがハンクに言う。
「お父さん!それとマチルダもね!」
「マチルダは怪我をしたお父さんを塔からこの村まで運んでくれたんだから。」


「マチルダというのが、さっきお前が言っていた女戦士のことか。」
「ならばいずこかで会った時には礼を言わねばならんな。」
「それはさておき、主人公さんがたは何故このような村にまいられたのか?」


マリベルはこれまでの経緯をハンクに話した。


「そうでしたか。自分の国に戻ることが出来ず困っておられたとは。」
「私もあなた方のチカラになりたいと思いますが、はたして何をどうすればよいやら。」
「しかしこの地に根付いた悪しきチカラを払えば、あるいは活路が見いだせるやも知れませんな。」
「よし、主人公さんがたへの礼となるか分かりませんが、すぐに魔物退治に出るとしましょう。」
「主人公さんがたのおかげで傷は完全に癒えております。心配は御無用です。」
「それより主人公さんがたが自分の国に戻れる機会がいつあるやも知れません。」
「主人公さんがたのことは私が守ります。東の塔まで私についてきて下さい。」
「このハンク、今度は決して魔物などに屈しませんぞ。」


ハンクが仲間に加わった。


「魔物のいる塔は東の岩山を北から越えた先です。さあ、急いで行きましょう。」


ハンクと共に東の塔に行き、最上階を目指して登っていく。
途中、宝箱の中に「不思議な石板・赤」が入っていたので拾っておく。


最上階に着くと、そこにはチョッキンガーという魔物がいた。
「うぐぐぐ。全く人間というのはどこまで卑怯な生き物だ!」
「お前たち!親方様がいないと知っててわざとこんな時に来やがったな!」
「だがな、たかが人間ごとき、親方様の手を借りなくとも俺様一人で潰してやるぜ!」


主人公は襲いかかってくるチョッキンガーを倒した。
「ぐうう、畜生!親方様さえいればこんな事にならなかったのに。」
そこへマチルダがやってくる。


マチルダを見たチョッキンガーが言う。
「ああ!親方様!!」
ハンクがマチルダに言う。
「ようやく元凶が現れたようだな。」


チョッキンガーがマチルダに言う。
「親方様!トドメをお願いしやす!あっしがだいぶ痛めつけておきやしたんで。」


マチルダは突然チョッキンガーに剣を振りかざし、真っ二つに切り裂いてしまった。
「主人公さん達。驚かせてしまいましたね。」
「しかしその者の言う通り、私こそがこの災の元凶。」
「村の女が戻らぬよう、あの方より鍵の役を授かった魔物の一人。」
マチルダはおぞましい魔物に姿を変えた。
「これが今の私の本当の姿。」
「ですが主人公さん達、出来ることならあなた方にはこれだけは信じて欲しいのです。」
「あの時、私が誰のものとも知れぬ墓に花を供えたいと思ったこと。」
「その心までも嘘だったわけではないのです。」
「私の心に人間だった頃の想いが蘇り、自然とああせずにいられなかったのです。」
「そしてこの私に人間の心を思い出させたのが、ハンク、あなたの息子です。」
「あなたの息子はあなたを助けるため、たった一人でこの塔まで来たのです。」
「危険をかえりみず・・私が幼かった頃、死んだ兄を追ったのと同じように。」


ハンクが言う。
「マチルダ?そうか。どこかで聞いた名だと思っていた。」
「お前は死んでしまった村の英雄、パルナの妹。」


「兄を追った私はあの方に囚われ、言いくるめられ、そしていつしか兄を裏切った村の人間を恨むようになっていたのです。」
「心の迷いは、やがてこの姿までも魔物のものとし・・」
「ハンク、あなたの息子には私と同じ運命を背負わせたくはありませんでした。」


ハンクが言う。
「英雄パルナの妹よ。息子との約束だ。お前に礼を言わねばならん。」
「そして願わくばお前を斬りたくはない。」
「一度だけ言おう。」
「連れ去った女たちを無事に村に戻し、この島をすべて元の姿に戻せ。」
「そうすれば息子と主人公殿に免じて命だけは助けてやる。」


マチルダが言う。
「それは叶いません。」
「村の女達をこの世界に解き放つ鍵は、私の命。」
「この命を絶たねば、女達が村に戻ることはありません。」


「そういうことなら遠慮はせん。斬らせてもらうぞ。」


マチルダに斬りかかるハンク。
防戦一方のマチルダは力尽き、人間の姿に戻ってしまった。
ハンクが主人公達に言う。
「これ以上あなた方に辛い思いをさせるわけにはいきませんな。」
「トドメを刺すので、あなた方は見ないでいて下さい。」


キーファが言う。
「なあ主人公、本当にこれで良かったのか?」
「いくらなんでも、このままじゃマチルダさんがかわいそすぎるだろ!」


主人公がマチルダの前に立ちふさがり、止めに入る。
「主人公殿、私を止めようと言うのですか?」
「理解して下さい。私とて村の英雄の妹を斬ることを本意とは思いません。」
「しかし、誰のさしがねかは知らないが、女が戻らねば私の村は死ぬのです。」
「村を救い、この島の闇を払う手段がこれしか無いのなら、私はあの女を斬らねばならない。」


マリベルも止めに入る。
「ちょっと待ちなさいよ!あんた、女を斬る気なの?」


マチルダが言う。
「マリベルさんと言いましたね。」
「ありがとう、あなたは心の優しい人だわ。」
「主人公さん達。初めて私と出会ったあの森を覚えていますね?」
「あの森の奥をもう一度お尋ね下さい。これが私に出来るすべて。」
「マリベルさん、花の種、嬉しかったです。ありがとう。」
マチルダは自分の身体に剣を突き刺し、消滅してしまった。


空を覆っていた闇が晴れていく。
「空が・・綺麗に晴れ渡りましたな。」
「しかし、とてもではないが心までスッキリと晴れた気分にはなれん。」
「いや、ここで愚痴を言っても始まりませんな。」
「村に女達が戻っているかも知れない。行きましょう。」


ウッドパルナの村に戻ると女達が無事に帰ってきていた。
パトリックに会いに行く。
「お父さん!良かった。無事に帰ってきてくれたんだね!」


ハンクが言う。
「ああ、パトリック。心配をかけてすまなかった。」
「だがこれでもう魔物に怯える必要はない。」


「そうだ、お父さん。外でマチルダに会わなかった?」
「マチルダにも教えてあげたいんだ。もう魔物に怯える必要はないんだって。」


ハンクが言う。
「マチルダか。ああ、会えた。」
「お前との約束通り彼女には礼を言っておいた。」


「ほんと?じゃあ僕はマチルダを探しに行ってくるよ!」
「マチルダも絶対に喜ぶと思うな。」
パトリックはマチルダを探しに何処かへ行ってしまった。


「闇は払われ、女達も無事に村に戻ってきた。すべては元に戻ったのです。」
「だというのに、この報われない気持ちは一体何なのでしょうな。」
「英雄パルナの妹。出来ることならこの村で平和に生きさせてやりたかった。」
「さて、いつまでも私の無駄話にあなた方を付き合わせるわけにはいきませんな。」
「英雄パルナの妹があなた方に言っていましたな。出会った森の奥へ行けと。」
「そこに行けばあるいは、あなた方が自分の国に帰る手がかりがあるやもしれません。」
「もしも何もなければ、その時は私があなた方を生涯お守りいたしましょう。」
「主人公さんがた、命を救っていただいた御恩はこのハンク、決して忘れません。」
「寂しいですが、あなた方が自分の国に帰り、これが長い別れになることを祈っております。」
「さあ行かれるといい。さようなら、主人公さんがた。」


森に入り、マチルダと出会った墓の前に行くとパトリックがいた。
墓のまわりには色とりどりの花が咲いている。
「あ、主人公さん達。見てよ。この辺にだけ花が咲いてるんだ。」
「あーあ、マチルダにもこれ、見せてあげたいのに何処に行っちゃったのかなあ。」
主人公は木の人形をパトリックに渡した。
「え?マチルダがこれを僕にって?」
「ありがとう、主人公さん。大切にするよ。」


森のさらに奥へ進んで行くと、旅の扉があった。
主人公たちが旅の扉に入ると、謎の神殿の案内人の前にワープした。
「ん?ここは確か・・」
「どうやら戻ってきたみたいだな。」
「確かその変な奴と話して、石版を台座にはめてもらって、俺達は・・」


案内人が言う。
「ムッ!変な奴とか失礼だぞ!オイラはこう見えてもれっきとした神様の・・まあ細かいことはいい。」
「お前たち、よく戻った。」
「ホウホウ!お前たちの望み通り冒険が出来てよかったろ?」


キーファが言う。
「え?ああ、まあそれはそうだけど。」
「にしても、一体あそこは何処だったのか。」
「それとも俺達は夢でも見てたのだろうか。」


マリベルが言う。
「キーファ、あんたバッカじゃないの!」
「あれが夢なわけないじゃないの。」
「だいいち、3人共同じ夢を見るのも変だし。」
「ともかくはっきりしてるのは、あんた達のせいであたしが危ない目にあったということね。」
「ん?主人公、まだぼんやりしてるみたいだけど、あんた分かってるの?」


その時、大きな地響きが起き、海の上に新たな大陸が出現した。
「あれ?揺れはおさまったかな。」
「いやあ、びっくりしたな。またあっちの世界に戻るんじゃないかと思ったぜ。」


マリベルが言う。
「ちょっと冗談じゃないわよ。ただの軽い地震でしょ。」
「まあいいわ。無事に戻れたわけだし、ちょっとは刺激的だったから。」
「さてと、あたしは家に帰るわ。ママがうるさいからね。」


キーファが言う。
「げ!俺も!また親父を怒らせちまう!」
「じゃあな、主人公。また連絡するから!」
キーファは一人で帰っていった。


案内人が言う。
「お前たち、今不思議な体験をしたはず。でもあれは夢じゃない。」
「そしてお前たちも少しは分かったはず。」
「お前たち、もっともっと石版の欠片を集めろ。」
「そうすればきっと、オイラが言いたいこと、分かるはず。」
「ホウホウ!オイラ、少しだけお前たちの手助けをしてやろう。」
「これ、石版の欠片を探すのにきっと役に立つ。」
「欠片が近くにあると淡く光り、より近くにあると強く光る。」
「さあ、これを受け取れ。」
主人公は石版レーダーを受け取った。
「ホウホウ!お前たち、今は一度家に戻るといい。」
「そして欠片を集めたら、またオイラのところに来い。」
「欠片がそろった時、新たな道が開けるぞ。」


マリベルが言う。
「ねえ主人公、分かってると思うけどあたし、これでもかなーり疲れてるのよ。」
「だから寄り道せず、さっさとあたしを家まで送り届けてよね。」


マリベルをフィッシュベルの家まで送り届ける。
「やっと戻ってこれたね。なんだか疲れちゃったわ。」
「ということで、じゃあね、主人公。」


主人公も自宅に戻り、母親のマーレと話をする。
「おや、主人公。一体どこをほっつき歩いていたんだい?」
「キーファ王子やマリベルさんの姿も見えないって、そりゃ心配して。」
「・・たく、皆にあまり心配をかけるんじゃないよ。」
「おやおや、妙に素直だねえ。お前、何か母さんたちに隠してないかい?」
「ああ、そうだったわ!それどころじゃなかったんだわ。」
「聞いているかも知れないけど、この島の側で新しい島が見つかったっていうのよ。」
「そのことで父さん、アミットさんと二人でお城に行ったんだよ。」
「けどホントにそんなことがあるのかねえ。母さんには信じられないわ。」


崖っぷちの家に住む老人に話を聞きに向かうと、家の前でキーファが待っていた。
「あはは、やっぱり来たな主人公。そろそろだろうって思ってたよ。」
「お前ももう大体の話は聞いているだろう。新しい島と調査団のことだ。」
「そのことで珍しくここの爺さんまでが城に呼ばれたんだぜ。」
「なのにだ、俺達は蚊帳の外ってわけ。調査団にも入れてもらえない。」
「納得行かないだろう?勿論俺もだ。」
「そんなわけで、ついにあれを使う時がやって来たと俺は思っている。」
「じゃあ一足先に例の場所に行ってるからお前も後で来てくれよ!」
「分かってると思うけど、フィッシュベルの南西にある海辺の祠だからな。待ってるからな!」


海辺の祠に向かうと、キーファが待っていた。
何故かマリベルもいる。
「フフン!あたしの勘がやっぱり当たったわね。」
「このあたしにはあなた達のやることくらい全てお見通しってことよ。」


キーファが頭を抱えるが、すぐに立ち直る。
「ま、いいか!主人公、じゃあ始めようぜ。」
「分かっていると思うけど、いつものように二人でそこの石の蓋を向こうに押すぞ!」
「せーの!」
二人で石の蓋を押すと、隠し階段が現れた。
「・・たく、こんな事をして階段を隠していたわけ。」
「まあいいわ。はやく下りましょ。」


階段を下りて地下へ降りると、そこは港になっていた。
船も停泊している。
「ジャーン!どうだ?すごいだろ?ついに修理が終わったんだよ!」


マリベルが停泊している船を見る。
「これってもしかして、ずっと昔うちで使ってた船・・」
「相当ボロくなったんで廃船にしたってうちのパパは言ってたのに。」


キーファが言う。
「お前にも時々手伝ってもらったよな。何年かかったっけ?2年・・3年・・」
「途中俺達だけじゃ無理かと思ったんだけどさ。」
「爺さんに相談したらいい方法を教えてもらって、なんとか完成したんだよ。」
「まあいいや。とにかく乗り込むぞ!」


船に乗り、新しく出現した大陸に上陸する。
新大陸にはなんとウッドパルナの村があった。
村に入りパトリックの家に行ってみると、パトリックの姿はなく、知らない女性が住んでいた。
「この家のすぐ外の村の真ん中に高い見晴らし台があるのをご覧になりましたか?」
「使われなくなった呼び名ですが、あの見晴らし台にはご先祖様の名前がつけられていたのです。」
「見晴らし台の名前はハンクの塔。かつてこの村を救ったという偉大なご先祖さまの名なのです。」


家を出るとキーファが言う。
「主人公、今の女の人の話、ちゃんと聞いたよな。」
「これってどういう事だ?やっぱここはウッドパルナみたいだけど。」
「なんか俺、頭が痛くなってきちゃったよ。」


主人公は石版レーダーを使い、新大陸を探索して「不思議な石板・赤」を全部で3枚集めた。
謎の神殿へ行き、案内人に頼み赤色の石柱に石版の欠片をはめる。
すると赤色の石柱が青白く輝きだし、主人公達は別の大陸に転送された。
転送されている最中に夢を見た。
赤いドレスを着た女性が火山に何かを投げ入れる。
すると大きな地震が起き、火山が大噴火した。


転送された場所は、また森の中だった。
キーファが言う。
「主人公、お前も見たか?なんだったんだ。今のは。」


マリベルも同じ夢を見たようだ。
「あんた達も見たの?確かに向こうに火山っぽいのはあるけど、でも今は何も起きていないわよ。」


キーファが言う。
「もしかしたらこれから起こることを見たとか?」
「うーん、考えてもよく分からないな。」
「とりあえず近くに人のいる場所がないか調べてみようぜ。」


森を抜けると、エンゴウの村があった。
村人に話を聞く。
「この村の北に大きな火山があるのはご存知かしら?」
「あれこそが私たちの神がおわす炎の山よ。」
「こんな北の土地でも寒さに凍えずに暮らせるのは全て炎の山のおかげですわ。」


大きな民家に住んでいる老婆と話をする。
「おやおや、旅のお方かね。こんな遠い所までよく来たもんだ。」
「ほっほっほ。今年の祭りは久方ぶりに旅のお方にも加わってもらえそうだね。」
「この村じゃ年に一度、ほむら祭りが行われるんだ。」
「祭りの最後を飾る火送りの儀がこれまた見ものでなあ。」
「あたしも今から楽しみで仕方ないんだ。あんた達も楽しみにしといで。」


2階にいる長老に話を聞く。
「おお、おぬし達は旅の者か。エンゴウの村へよく来たのう。」
「おや・・」
大きな地震が起きたが長老は全く動じていない。
「ふむ、これで今日は何度目の揺れじゃったか。もうすぐじゃな。」
「おや、どうしたんじゃね。何か言いたそうじゃな。」
「何?火山が爆発する?わはは、何を馬鹿な。」
「我等は神の怒りを買うような事をした覚えはないぞ。」
「炎の部族であるエンゴウの民を炎の神が自らの炎で襲うことなどありはせんわ。」
「ましてやもうすぐ炎の神を称えるほむら祭りが行われると言う時なんじゃぞ。」
「ふむ、さてはおぬし達、炎の山のお姿を見てちょっとビビりおったな?」
「わはは。気持ちは分かるがなに、心配することなぞありゃせんよ。」
「時が来れば炎の神はその身をより一層激しく震わせ、我等に教えてくれるじゃろう。」
「それまでこの村に宿を取り、しばらく泊まってみてはどうじゃ。」
「そうすればおぬし達の心配が意味のないことと分かるじゃろうて。」


村の宿屋に泊まり朝になると、井戸の前に人だかりが出来ていた。
パミラという予言師の老婆が村人たちと話をしている。
「皆の者、今一度聞いてくれ。わしは見たのじゃ!」
「炎の山が紅蓮の炎の柱を噴き上げ、村が、大地が、溶けた岩に飲み込まれるさまを!」
「火送りの義が終わる時、この地も終わりを迎えることとなってしまうのじゃ!」
「ほむら祭りを行ってはならん。絶対にならん!」


大きな地震が起きた。
パミラの話を聞いていた村人たちが言う。
「炎の神が怒っているんだ!パミラ様がおかしなことを言うからだ!」
「そうだわ!今のはきっと祭りの知らせなんだわ。ほむら祭りの時が来たのよ!」
「そうだ、そうだ。祭りをやめるなんて、それこそ炎の神が許しちゃくれないぜ。」


長老がやって来た。
「騒々しいぞ。一体何をやっておるか。」


村の女性が言う。
「あの・・パミラ様が炎の山が爆発するって占いを・・」


「なんじゃと!そんな馬鹿な・・むむ・・」
「うむ、とりあえずは落ち着くのじゃ、村の者たちよ。騒ぎを大きくするでない。」
「旅の方も不安そうにしておる。パミラよ、その話はわしの家で聞くとしよう。」
「気になるなら旅の方も家に来られるといいぞ。さあ、他の者は帰った帰った。」


村人たちは、ある者は不安を胸に、ある者は不吉な占いなど全く気にせぬ様子でいつも通りの生活に戻っていった。


主人公は長老の家に向かった。
「何故あんなことを皆の前で言ったんじゃ。」


パミラが答える。
「今朝、神のお告げがあった。それを民に伝えるのが予言師たるわしの役目じゃ。」


長老が言う。
「予言師?おぬしは薬師でなかったかな。」
「まあどちらでも良いわ。いきなりあんな不吉な予言を聞かされては村の者も・・」


パミラが話を遮る。
「未来は予言の中にある。今はその不幸な未来をどう変えるか考える時じゃ。」
「祭りを行ってはならぬ。祭りを取りやめにすることが未来を変える始めの一歩じゃ。」


「祭りをやめることは出来ん。それこそ村の民が炎の神の怒りを恐れて怯えてしまうぞ。」
「祭りは今夜行うとする。先程の揺れはまさに祭りの時が来たという知らせじゃ。」
「そうじゃ、祭りじゃ。良い祭りを行えば炎の神はわしらをお許しになるはずじゃ。」


帰ろうとするパミラが主人公達に気づく。
「おぬしらは・・そうか、旅の者じゃな。ならばさっさとこの村を・・」
「!!」
「いや・・見える・・・おぬしらなら出来るやも知れぬ。」
「おぬしら、後でわしの所へ来てくれぬか。よろず屋の奥じゃ。」
「頼む、この村を救ってくれ。」


よろず屋の奥にいるパミラに会いに行った。
「おお、来てくれたか。旅の者達よ。」
「まず名前を聞いておこうか。あー、わしの名はもう知っておるようじゃからよいな。」


主人公達は自分の名を告げた。
「俺はキーファ。キーファ・グランだ。」
「あたしはマリベルよ。宜しくね、おばあ様。」


「ふむふむ、では早速じゃが主人公よ。おぬしはわしの予言を信じるか?」
「いや、おぬしらが信じようと信じまいと、予言は現実のものとなる。」
「しかし予言は未来を告げるもの。そして未来は変えることが出来る。」
「おぬしらにはこの村の未来を変えて欲しいのじゃ。そのチカラがおぬしらにはある。」
「どうじゃ、やってくれぬか。おぬしらにしか頼めぬことなんじゃよ。」
主人公は頷いた。
「うむ、わしも炎の神がその意志で炎の山を爆発させるとは思えぬ。」
「何かが炎の山で起こっているとわしは睨んでおるのじゃが。」
「炎の山へは祭りの時を除いてわしや長老でさえも立ち入りを許されておらぬ。」
「まずは祭りの時を待たねばならぬじゃろうな。」
「祭りは今夜行われる。それまでは宿で休み、英気を養っておくが良いじゃろう。」
「今なら宿屋も祭りの前で浮かれておるから、きっとタダにしてもらえるじゃろ。」


宿屋で夜まで休み外に出ると、祭りがすでに始まっていた。
村の中央で長老と話をする。
「おうおう、おぬし達か。どうじゃ、我が村のほむら祭りは。楽しんでもらえとるかな?」
「祭りの本番はまだまだこれからじゃ。」
「火送りの義が始まるまでゆっくりと食べて飲んで楽しむと良いぞ。」


パミラに会いに行く。
「うむ、おぬしらか。いよいよほむら祭りが始まってしまったな。」
「そして祭りの最後、火送りの義が行われる時、炎の山への道が開く。」
「その時こそ、おぬしらのチカラを借りる時じゃ。心してかかってくれ。」
「まあそれまでは祭りを楽しんでおくのも良いじゃろう。ハメをはずさん程度にな。」


村人たちは皆、頭に炎が灯された帽子をかぶっている。
長老に話を聞く。
「なんじゃなんじゃ、おぬし達。まだ儀式の炎を受け取っておらんではないか。」
主人公達は儀式の炎を受け取り、頭にのせた。
「ふむ、これで村の者たち皆に炎が行き渡ったかな?」
「ではそろそろ火送りの義を始めるとしようかのう。」
「おぬし達にも是非参加してもらいたいからの。用意は良いかな?」
主人公は頷いた。
「うむ、では皆にも知らせを。」
「さあ皆の者!火送りの義を始めようぞ。」


火送りの義が始まった。
「おお、我等エンゴウの民が拝めし炎の神よ。」
「我が民を守りし聖なる炎、お返しする時が参りたもう。」
「我等エンゴウの民、この炎持ちて、汝、炎の神住みたる炎の山へ向かわん。」
「願わくば新たな炎の守りを我等に授けんことを。」


村人たちと共にエンゴウの村を出て北西にある炎の山へ向かう。
長老と共に炎の山の火口までやって来た。
「ここが炎の山の火口じゃよ。この火口におぬし達の持っている炎をこうやって投げ入れるんじゃ。」
長老は頭にのせていた儀式の炎を帽子ごと投げ入れた。
「これで長い間、わしらを守ってくれた炎は神の元へ還っていたというわけじゃ。」
「さ、おぬし達もその炎を神の元へ還してやってくれまいか。」
主人公達は一人ずつ儀式の炎を火口に投げ入れた。
「うむうむ、それでは今度は村の者たちの番じゃの。」
「おぬし達は先に村へ帰っても構わんぞ。ご苦労じゃったな。」


火口付近にある洞窟の入口の前にパミラがいた。
「おぬしらか。遅かったな。とうとう火送りの義が始まってしまいおった。」
「もう一刻の猶予もない。おぬしらは急いでこの炎の山の奥へ向かうのじゃ。」
「そこできっと、何か異変が起こっておるに違いないのじゃが。」
「炎の山の奥には恐ろしい魔物たちが住むという。危なくなったらここへ戻れ。」
「傷はわしの薬であらかた治せるじゃろう。神官の真似事も出来るしな。」
「ただし、時間がないことを忘れてはいかんぞ。出来るだけ急ぐのじゃ。」


洞窟に入り一番奥まで進んでいくと、炎の巨人がいた。
「ぬっふっふ。もうすぐ終わる。」
「存在もせぬ炎の神を崇め儀式を行うなど、人間というのはくだらぬ生き物だな。」
「人間たちが最後の炎を我に与えし時、かの方に頂いたこの闇の炎のチカラを解き放ってくれよう。」
「さすれば火山は一気に炎を噴き上げ、この地を燃やし尽くす。」
「人間たちはそれを炎の神の怒りと思い、絶望の闇に沈んでいくのだ。」
炎の巨人が主人公達に気づいた。
「さて、そこの人間よ。我の邪魔をしようと言うのであろう?」
「愚かなり。灼熱の炎で身を焦がされる事を望むとは。」
「肉も骨も魂も焼き尽くしてやろうぞ。」


主人公達は襲いかかってくる炎の巨人を倒した。
「ぬはあ!我がこのような者に打ち負かされるとは。」
「ぐぬぬ、しかし!この闇の炎は我が死しても消えはせぬ!」
「しばし待てば闇の炎は必ずやそのチカラを解き放ち・・ぬがあ!」
炎の巨人は爆発し、消滅した。
闇の炎が火口に浮かび上がる。
急いで外に出てパミラに報告する。
「おお、おぬしらか。一体奥で何があったというのじゃ?」
主人公は山の奥での出来事について話した。
「ふむ、なるほどな。だとすればこの炎はそう簡単には消えんじゃろうな。」
「しかもこのまま放っておいたら何が起こるか分かったもんじゃない。」


パミラは予言を始めた。
「見えた!ふむ、これは・・こきたない部屋が見える。おお、だらしのない顔の男が・・」
「手に何か持っておる。ツボ・・いや瓶か。液体が入っておるな。」
「おや・・あれは主人公。主人公の姿が見えたぞ。」
「わしに見えたのはそれだけじゃ。」
「どうやらその男の持っていた瓶の液体に、この黒い炎を消し去るチカラがあるらしいな。」
「主人公、その男に何か心当たりがあるじゃろう?」
「ならばすぐにその男と会い、瓶を手に入れてきてくれ。」
「わしらが行くよりは旅慣れたおぬし等の方がきっと早いはずじゃ。」
「あの黒い炎が何かを起こす気配はないようじゃが、急いでくれ、主人公。」


主人公は一旦エンゴウの北にある旅の扉から元の世界に戻り、グランエスタードの城下町でホンダラに「すごい聖水」を貰って戻ってきた。
「さあ、早速その瓶をあの黒い炎に試してみてくれ!」


主人公はすごい聖水を振りまいた。
すると闇の炎は瞬く間に消えてしまった。
「おお!黒い炎が消えたぞ!」


パミラが言う。
「やれやれ。結局、最後の最後まで主人公達の世話になってしまったようじゃな。」
「これでもう、わしの予言が現実のものとなることはないじゃろう。」


長老が言う。
「さあ主人公。おぬし達はこの村を救ってくれた英雄じゃ。」
「村の者みんなでおもてなしをせねばならんからの。早いとこ村へ参ろうぞ。」


こうして無事、火送りの儀を終えた人々は村へと戻っていった。
人々はそれまで感じていた不安をすべて吹き飛ばしたかのように、歌い、踊り、騒ぎ続けた。
主人公達は村の人々と山のような料理に囲まれ、共に楽しんだ。
やがて祭りの時は過ぎ、そして夜が明けた。


長老と話をする。
「おお、おぬし達か。いや、本当におぬし達にはなんと礼を言ったら良いやら。」
「わしが素直にパミラの予言を信じておればもっと打つ手もあったのじゃろうが。」
「結局おぬし達に全てを押し付ける形になってしもうた。」
「今となっては、何故炎の山にあのような恐ろしい魔物が現れたのか分からぬが、それはわしらの炎の神への感謝の心が足りなかったせいなのかも知れん。」
「これからは今以上に炎の神を崇めて暮らしていくことにしようと思うとる。」
「もう一度何か起こった時、おぬし達がここにいるとは限らんからな。」
「わしらの村はわしらが自分のチカラで守れるようにならなくてはいかんのじゃよ。」
「おぬし達は気兼ねなく自分たちの旅を続けて行って欲しいのう。」


パミラと話をする。
「む、おぬしらか。昨夜はよく眠れたようじゃな。」
「おぬしらには本当に世話になったからな。何か礼をせねばと思ってな。」
「わしに出来る礼はないかとちょっと占っておったところじゃ。」
「でな、一つだけあったよ。わしに出来る礼がな。」
「これを受け取ってくれ。」
主人公は「不思議な石版・青」を受け取った。
「なんぞ占いの役に立つかと思って持っておったものなのじゃが、その石版はわしよりおぬしらに持たれたいようじゃ。わしの占いは当たるでな。」
「まあ何かあったら出来るだけチカラになるからたまには顔を出しとくれ。」


エンゴウを出て北に進み、旅の扉から元の世界へ戻る。
「うーん、火山が爆発しなかったんだから、あの村はあれで良かったんだよな。」
「ってことは、これで世界にまた新しい島が出来てればいいわけだな。」
「城の人間たちなら新しい島が現れたかどうかも知ってるかもしれない。」
「よし主人公。すぐに城に戻って確認してみようぜ。」


グランエスタード城の3階の玉座の間に向かった。
アミットとボルカノも来ているようだ。
バーンズ王と話をする。
「キーファよ。そして主人公、マリベル。よくぞ戻って来た。」
「お前たちがわしに隠れ、何をしていたかはそこの老人が全て話してくれたぞ。」
「その老人の話が全て本当なら、この世界にはかつて沢山の島があり、何らかの理由により消えてしまった島を世界に戻す冒険をしているのだそうだな。」
「そしてお前たちが再びこの城に戻った時、新しい島が現れるはずだと。」
「正直わしは半分疑っているが、一応調査団にその島を探させている。」
「もしも本当に新しい島が現れていたなら、キーファ、お前のことも、そこの老人の言葉も信じよう。」
「早ければ調査団も、もうまもなく戻るころだ。・・ん?」
調査団が戻ってきた。
「調査団よりバーンズ王に報告致します!」
「先日現れた北西の島よりはるか北に新たなる島、火山の大陸を発見しました!」


バーンズ王が言う。
「これでどうやら間違いないようだな。」
「世界には本当は沢山の島があり、何故かこの島だけが世界に残った。」
「そして今、我等人間のチカラで消えた島を世界に取り戻すことが出来る。」
「老人よ、全てはそなたの言った通りだったな。」
「先日の会議ではそなたを信じず、すまなかった。心よりわびさせてもらおう。」
「そしてキーファよ。お前たちの働きがなければ、このことは永遠に分かることはなかったかも知れん。」
「大活躍だったな。礼を言うぞ。」
「だがな、お前が今後も旅を続けることはわしは断じて認めん。」
「よいなキーファ。たとえ何があろうと、お前は将来この国の王となる身だ。」
「世界を元に戻す旅は他の人間に任せ、お前はこの国のことだけを考えるのだ。」


アミットが近づいてくる。
「うむ、マリベルも王様の言う通りだぞ。」
「お前は女の子なんだ。危険な旅などわしは許さん。」
「さあ、帰るぞ。」
マリベルはアミットに引っ張られ、家に帰っていった。


ボルカノがやってくる。
「主人公よ。オレはむしろお前にそんな勇気があったことを嬉しく思うが、男なら引き際も肝心だ。さあ、今日のところは家に帰るぞ。」


主人公はボルカノと共にフィッシュベルの自宅へ帰ってきた。
「慎重な男だとばかり思っていたお前がこんな事をするとは予想外だったな。」
「まあオレはバーンズ王やアミットさんのように頭ごなしに反対はしないが、いずれにしても人に心配をかけて冒険をするのはあまり感心しないな。」
「で、お前としてはどう思っているんだ?今後も冒険を続けたいのか?」
「たとえ一人きりでも行きたいと思うほど、その決意は固いのか?」
主人公は頷いた。
「そうか、分かった。ならばオレもお前を引き止めるのはよそう。」
「お前も男だ。一人でどこまでやれるか試すのもいいだろう。」
「ただし決して無理をしては駄目だぞ。危険だと思ったら逃げることも一つの勇気だ。」
「さあ何にせよ今日はもう遅い。今夜はゆっくり寝るんだぞ、主人公。」


2階のベッドで休み、翌日家を出るとマリベルがやって来た。
「やっと起きたのね。全く、どれだけ人を待たせれば気が済むのよ。」
「こっちはパパを説得するのに徹夜したっていうのに。」
「主人公、どうせアンタのことだから一人ででも旅に出ようとか考えてたでしょ。」
「言っとくけど楽しいことを独り占めしようったってそうはいかないんだからね。」
「主人公、当然あたしも一緒に行くよ。」
「確かずっと北の方に火山の大陸がどうとかって昨日言ってたよね。」
「さて、じゃあ早速そこに行くわよ、主人公。」
「あ、そうそう。キーファのことだけどさ、あいつのことは、まあしょうがないわよ。あれでも一応王子なんだから。」
「ここから先はあたし達だけで行くことにしましょ。」


船のある洞窟に向かうと、キーファが来ていた。
「へへへ、どうやら間に合ったみたいだな。」
「待たせたな、主人公!マリベル!さあ、冒険の続きと行こうぜ!」


マリベルが言う。
「何言ってんのよ、あんた。お城の方はどうするつもりなのよ。」


「実はな、また兵士連中の目を盗んで抜け出して来たんだ。」
「昨日親父に言ったんだよ。自分の納得がいくまで俺は何度でも城を抜け出すってな!」
「だからこれでいいんだよ。誰がなんて言っても、どうせ俺は行くんだからな。」
「昨日聞いたずっと北の大陸に行くつもりだったんだろ?」
「よし、それじゃ張り切って行こうぜ!」


洞窟入口の蓋をどけ、奥にある船に乗って北の新大陸エンゴウの村へ向かった。
エンゴウの村にはパミラという占い師がいた。
「おお、お客さんか。いらっしゃい。わしが占い師のパミラだよ。」
「おや?わしの名前、何か変だったかね?」
「この名はわしの家系の中でも占いのチカラを持つ者に与えられる特別なものなんだよ。」
「なんでも昔、この地が災いに覆われそうになった時、初代のパミラ様が炎の神の使いを導いて災いを取り払ったとか。」
「それに初代のパミラ様は薬師としても有名だったようだね。わしはさっぱり駄目だけどね。」
「おっといけない。あんた達、占いに来たんだろ。どれどれ、顔を見せてごらん。」
「おや、これは驚いた。何も見えないぞ。」
「しかしあんたからは何やら不思議なチカラを感じる。」
「どうやらそのチカラがわしの占いの目を届かなくしているようだね。」
「ふう、わしの見たとこはこんなものだね。」


石版レーダを使い、新大陸で「不思議な石板」を集めた主人公。
謎の神殿へ行き、案内人に頼み青色の石柱に石版の欠片をはめる。
すると青色の石柱が青白く輝きだし、主人公達は別の大陸に転送された。


主人公は転送先の近くにあるダイアラックの町に入る。
ダイアラックの人々は石化していて、石像になっていた。
「これってもしかして、本当の人間が石になってるって考えるのが普通よね。」


北の井戸の前にいる老人と話をする。
「おお、なんと珍しい。このような所に旅の方とは。」
「目は衰えておりますが分かりますぞ。どうやらさぞ名のある方のようですな。」
「してこのような荒れ果てた地に一体何の御用で参られましたか。」


キーファはこれまでの旅の経緯を老人に話した。
「実は僕たちもまだ分からないことが多いんですが・・」


「なんと!では時をこえて失われた世界を再び元の姿に戻そうと。」
「しかしこの町のことはお忘れになって下さい。今ではすでに遅すぎたようです。」
「ご覧になったと思いますが、この町の人間は全て石となっております。」
「そしてこの恐ろしい呪いを解く方法は、もはや一つも残されてはいないのです。」
「私はここに座ったまま、この町の最後を見定めるつもりゆえ。」
「さあ、新たな旅に向かわれなさい。」
「今後もまだ旅を続けなさるおつもりなら、これを持っていかれるがよい。」
主人公はキラキラと光る小瓶を受け取った。
「それは天使の涙と言って、石にされた人々の呪いを解くと言われる伝説の秘薬です。」
「ならば何故私がその薬を使わないかと思われるでしょう。」
「見ての通り、この町の石像は長年風にさらされ、見る影もなく朽ち果てております。」
「この状態になっては天使の涙はもはや効かないのです。」
「私がもっと早くその薬を手に入れられれば・・」
「町の者は私を恨んでいることでしょう。」
「事実、夜になると・・いや、今の話は忘れて下され。」
「とにかく旅の方よ。この村は今も暗いですが、夜にはさらに辺りが暗くなります。」
「もしもこの村で宿につくなら、くれぐれも夜は外に出ないことです。」
「さあ足止めをして失礼した。今度こそ行かれるが良い。」


宿屋のベッドで一晩泊まる。
主人公は外から聞こえる悲しげな声に目を覚ました。


外に出ると少女の石像が光っている。
石像は何かを語りかけるかのようだ。
石像の放つ光が次第に強くなり始め、少女の過去の記憶が見えた。


ヨゼフという少年がいる。
「よし、あとはこの事をメモして本の間にでも挟んでおけば完璧だな。」
石像の少女はレナという名前のようだ。
「あー、ヨゼフが落書きなんてしてるー!いけないんだー!」


ヨゼフが慌てている。
「ばか!大きい声出すなよな。」
「いいんだよ、これは目印なんだから。」
「そうだ。それよりさ、またすごいのを発見したんだぜ。今度のは前よりすごいぜ。」


レナが言う。
「前のって、あの秘密基地のこと?」


「そうさ!もうあんなの問題じゃないくらいすごい大発見なんだ。」
「明日教えてやるから、雨乞いの時うちに来いよ。遅れたら先に基地に行ってるぞ。」


少女の石像は光を放たなくなった。


美しい女性の石像が何かを語りかけるようにさみしげな光を放っている。
石像の放つ光が次第に強くなり始め、女性の過去の記憶が見えた。


女性はミリーという名前のようだ。
「遅いなあ・・」
そこへクレマンという男性がやって来る。
「ごめんごめん、遅くなったね。」


ミリーが言う。
「ううん、それはいいけど・・それで、どうするか決めたの?」


クレマンが答える。
「ああ、やっぱり買い出しには今年も僕が行こうって決めた。」


「そんな!今は外には魔物がいるのよ!あなたにもしものことがあったら・・」


クレマンが言う。
「だからこそだよ。自分たちじゃ野菜も作れないこんな貧しい町だから、どんなに危険でも誰かが買い出しには行かなくちゃならないんだ。」
「だったら他の人間より少しでも戦える僕が行くべきだ。違うかい?」
「それにもう一つ決めたんだ。」
「この買い出しが済んだら僕たちの結婚を町のみんなに報告しよう。」
「雨乞いの頃には戻ってくるよ。」


石像は光を放たなくなった。


北の井戸の前にいる老人と話をする。
「旅の方、まだここにおられましたか。」
「ならばご覧になってしまわれたことでしょう。石像達の光る姿を。」
「あの石像達は恐らく私を恨み、ああして光を放っているのです。」
「この町のことを少しだけお話しましょう。今からもう50年以上も昔の事です。」
「この辺りは古くより雨が少なく、そのため年に一度、町の皆で雨乞いを行っていたのです。」
「そしてその年の雨乞いの日、私は遠く離れた町まで一人で買い出しに行っていました。」
「その帰り道、遠目に見えるこの町が深い紫の雲に覆われていたのです。」
「そして町には激しく雨が降っていました。ひどく濁った灰色の雨が。」
「灰色の雨はすぐに上がり、私がここに着いた時には町の人々は今のご覧の有様でした。」
「町の人々は元の体に戻りたいとさぞ願ったことでしょう。可能なら私もそうしたかった。」
「しかし私はそんな皆の願いを叶えてはやれなかったのです。」
「いっそ私自らも石となり、ここで朽ちてしまいたいと、今はただそう思うばかりです。」
「灰色の雨は恐怖の雨。多くの人々はいまだこの雨の存在すら知らんのでしょう。」
「え?私の名ですか?私の名はクレマンといいます。」


民家の本棚から子供の字で書かれたメモを見つけた。
「秘密基地に続いてまたまた大発見。町にあんな場所があるなんて。」
「お父さんがよく行く店の下の崖。僕の落書きのすぐ近く。とんがった木の北側の入り口。」


宿に戻り朝まで寝て、翌朝クレマンに話を聞く。
「おお、まだここに残っておられたとは。」
「天使の涙を手に入れた時にこんな話を聞きました。」
「天使の涙は空気に溶けてゆっくりと落ちて行く物だとか。」
「これはどういうことなのか。例えば高い所から・・いや、また無駄な話でしたな。さあ、この地のことは忘れて新たな地に向かわれるがよい。」


キーファが言う。
「高い所・・そういえば町の真ん中に立つ岩ってかなりの高さがあるよな。」


落書きの少し南西の地面を調べると隠し階段を発見した。
奥へ進んで行くと町の真ん中に立つ岩の上に出ることができた。
ここで天使の涙を使うと町全体に効果がありそうだ。
主人公は、天使の涙を使った。
すると、ヨゼフだけが姿を現した。
ヨゼフに話を聞きに行く。
「あれ?お兄ちゃんたちは誰?」
「僕の名前はヨゼフ。ねえ、お兄ちゃん、何処かで町のみんなを見なかった?」
「おかしいなあ。さっきまで雨乞いの大人たちがわいわい盛り上がってたのに。」
「もしかして何かあったのかな?ねえ、お兄ちゃんたちは何か知ってる?」
主人公はヨゼフにこの町で起こったことを話した。
「ええ?この町のみんなは石になってて、それから50年が過ぎてるだって?」
「お兄ちゃん、冗談言うならもっと本当っぽいこと言ってよね。」
「しっかし、ほんとに誰もいない感じだなあ。」
「とにかくみんなを探そう!お兄ちゃんたちもちょっと手伝ってよ。」


ヨゼフと一緒にクレマンの所に向かった。
「旅の方よ。どうやら先程天使の涙を使われたようですね。かすかにそんな香りがしました。」
「それはそうと、何やら急に辺りが明るくなったような気がしますが。」
「わしの目もいよいよおかしくなってしまったのかも知れませんな。」


ヨゼフが言う。
「そのおじいちゃん、誰?」


クレマンが驚く。
「旅の方よ。その少年は一体・・」
「いや、答えんでもええ。その声、その姿、確かに見覚えがあるぞ。」
「確か酔いどれキーンのせがれ。名は確かヨゼフといったか。」
「お前、一体今まで何処におったんじゃ?」


ヨゼフが答える。
「地下の秘密基地だよ。」


「地下・・そうか。それで今まで風にさらされず、姿は無事のままで。」
「旅の方!奇跡だ!町はまだ死んでなどおらんかったのだ!」
「これもあんたらのおかげじゃ。あんたらが諦めずに天使の涙を使ってくれたから。」
「心から礼を言わせて下され。この年寄り、今日ほど嬉しい日はありませんぞ。」
「今宵は祝杯をあげましょう。さあ旅の方。共に新しい町の命を祝って下され!」


新しい希望を手にした老人の顔はみるみるうちに生気を取り戻した。
町の人は今はもういない。
少年もやがてその事を真実として受け止めはじめた。
老人は自分がヨゼフを引き取りたいと申し出た。
ヨゼフもすぐに老人に打ち解けたようだった。
そして夜が明けた。


「全く皆さんにはなんとお礼を言って良いやら、言葉が見当たりませんな。」
「皆さんが行かれたら、私たちも後からすぐに度に出ようと思っております。」
「そして灰色の雨という存在を知らずに生きる者にその恐怖を伝えて歩くのです。」
「それによって尊い命が一つでも救われるなら私の人生にも意味があったと思えましょう。」
「そして灰色の雨の語りべとして旅をしながら、出来ることならこの町の人々を元に戻す方法も探して歩くつもりです。」
「この地に人はいなくなりますが、町の命とは場所を守ることではないでしょう。」
「私とヨゼフが生きていれば同じように町の命も生き続けるのだと思うのです。」


過去のダイアラックを出て現代の世界に戻る。
船で新しく出現した大陸に行くと、ダイアラックではなく移民の町があった。
移民の町にはティアという女性がいた。
「あら?こんな所に旅人さんなんて珍しいですね。」
「あ、申し遅れました。私はティアと申します。」
「突然ですが、その・・皆さんを旅人さんと見込んでお願いなのですが聞いてもらえますか?」
「実は私、ここに町を作ろうと思っているんです。」
「しかもただの町じゃなく、人間になることを夢見たモンスターさんがのびのびと暮らす町なんです。」
「モンスターというと人を襲うイメージが強いですが、モンスターの全てがそうではありません。」
「きっとただ人間になって生きたいと思っているモンスターさんも世界中に沢山いるはずなんです。」
「だから私はそんなモンスターさんのためにここに町を作ろうと思ったのです。」
「幸い旅の途中でそんな元モンスターだった人と出会いここまで来たのですが、困ったことに何処かではぐれてしまったようなんです。」
「そこで皆さんにはその人を見つけてきて欲しいんです。」
「その人は元々はスライムなのですが、詩人として各地を放浪している間にお魚が好きになったみたいなんです。」
「もしかしたらどこかお魚の美味しい所にいるかも知れないんです。」
「私はここで町を作る準備をしてますので、どうかお願いします!」


フィッシュベルの港にスラランという旅人がいた。
「ピキー!この村は魚が美味しくてすっごく居心地がいいラン。」
「でも何か大事なことを忘れているような気がするラン。」
「なんとなく女の子が一緒だったことは覚えているランが。」
どうやらこの人はティアが探していた人のようだ。
主人公はスラランにティアの事を教えてあげた。
「ピキー!そうだった!僕、ティアちゃんと一緒に町を作るんだったラン。」
「教えてくれてありがとうラン。僕はスラランだラン。」
「お礼をしたいけど、今はとにかくティアちゃんの所に急ぐラン。」
「きっとお礼はするから皆もティアちゃんの所に来て欲しいラン。」
「それじゃあ先に行って待ってるラン!」


移民の町に戻り、ティアと話をする。
「あ、皆さん!お陰様でスラランもここに来ることが出来ました!」
「それでその、引き続きのお願いなのですが、スラランみたいな方を世界の何処かで見かけたらこの場所を勧めてあげてもらえないでしょうか。」
「あ、そういえばスラランからお礼を預かってたんです。」
「どうやら石版のようですが、たしかここの地下に不思議な台座があったはずです。」
「もしかしたらそこにはめられるのかもしれませんね。」
「台座への場所は町の北西の木の根元にありますので行ってみてはいかがでしょうか。」
「それとどうやらここに来るような人はそれと似たような石版を持っているみたいなんです。」
「よくは分からないのですが、それを持っていると心が落ち着くそうで。」
「だから人間になった元モンスターさんも同じじゃないかって、スラランが言ってました。」
「そんな人達が来ることで、ここは町としてどんどんと発展していくはずです。」
「それではすみませんが、この町のためご協力をお願いしますね。」


主人公は石版レーダを使い不思議な石版を集め、緑の石柱の台座に石版をはめてワープする。
ワープした先にはオルフィーという町があった。
町の人に話しかけるが、誰も何も話してくれない。
オルフィーの町には動物たちが沢山いる。


村の北東部の小屋に入ると、少年が鎖につながれていた。
首輪がきつくしまって苦しそうだが、しかっりと鍵がかかっていて外せそうにない。
キーファが言う。
「こんな子供を鎖につなぐとは、なんてひどいことをするんだ。」


マリベルが言う。
「動物と話ができたらこの町に起きたことが分かるのに。」
「何が起きたのかが分からないとどうすることも出来ないわ。」
「ここはやっぱり、動物と話せる人でも連れてくるしかないわね。」


一旦元の世界に戻り、フィッシュベルの西にある木こりの家に行く。
「おお、お前さん達か。そんな真面目な顔しちまって、今日は一体何の用だね?」
「なんだって。動物だらけの町を見つけただって?」
「わっはっは、何を言ってるだね。」
「いくらオラがこんな森の奥に住んでるからってからかっちゃいけないだよ。」
「この島の動物たちから大概の事を聞いちゃいるが、そんな話は知らないだ。」
「まあ、分かった分かった。」
「主人公の話が本当ならば、ここはオラの出番って訳だな。よし、そこまで案内するだよ。」
木こりが仲間に加わった。


木こりを連れてオルフィーの町へ行き、動物たちに話を聞くが木こりは動物たちの言葉が分からないようだ。
仕方がないのでもう一度町の人に話を聞いてみると木こりが驚く。
「んん?こいつはぶったまげただよ。こんな馬鹿なことがあるのかね。」
「こいつは人間じゃないだよ。姿は人間だが中身は馬だ。」
「よし、こいつとなら話が通じるだよ。」
「ふむふむ、何だって?」
「はるか昔、一匹の恐ろしい魔物にこの町が襲われた時、土地の守り神達が現れたんだと。」
「それは伝説の白い狼。彼らはチカラを合わせ、その魔物に戦いを挑んだらしいだよ。」
「だけんど魔物のチカラは強く、次々と白い狼達は命を落としていったんだと。」
「白いオオカミたちはやっとのこと神の山にある魔封じの洞窟に魔物をおびき寄せ、見事入り口の岩戸を閉めて魔物を封じ込めたんだそうだよ。」
「だけんどその時の戦いで生き残ったのはお腹に子供を身籠ったメス一頭だったんだと。」
「白い狼達の多くの犠牲によって封印が成功したってわけだね。」
「こいつはえらいこった。もっと人間の姿をした動物たちから話を聞くだよ。」


別の人間の姿をした動物に話を聞く。
「つい先日この町は恐ろしい一匹の魔物に襲われたんだそうだ。」
「その魔物が魔法のチカラで人間と動物の姿を入れ替えたんだってよ。」
「その魔物はこの町の西にあるという神の山の方から来たらしいだよ。」


鎖に繋がれている少年の所へ行き、木こりがナイフで鎖を解いてあげる。
話を聞こうとすると、少年は走って何処かへ行ってしまった。


町の西にある神の山に行くと、山の入り口に一匹の狼がいた。
狼の後を追って神の山を登って行くと、途中でその狼が倒れていた。
その狼の側には大きな石棺がある。
すると町で助けてあげた少年が現れた。
「主人公、気をつけるだ。やっぱり近くに魔物がいるようだよ。」


石棺からデスアミーゴという魔物が現れた。
「ぐははは!また新たな客のお出ましか。」
「ここの様子を見に来るとは貴様らもあの白いチビの仲間に違いなかろう。」
「くそったれ!俺様をこんな所に封印した憎き白い狼達め。」
「こんな薄汚い穴ぐらに長い間封じ込めおって、恨みは必ず晴らしてやるわ。」
「奴らが守ろうとしたあの町はすでに俺様が変わり果てた姿にしてくれた。」
「だが全ての白い狼を倒さねば腹の虫がおさまらん。」
「あのチビが最後の1匹のはず。つまらん隠し立てするとただではすまさんぞ!」


木こりが少年から話を聞く。
「驚いただよ、主人公。」
「つい先日、白い狼のチビがこの魔物と戦ったんだと。」
「だどもそのチビはひどい怪我をしちまったって。」


「ええい、やかましい!何をゴチャゴチャ騒いでおる!」
「あのチビの居所を教えぬつもりなら貴様ら全員ぶち殺してくれるわ!」


主人公は襲いかかってくるデスアミーゴを倒した。
「ぐは!これしきでこの俺様を倒したなどと思わぬことだ。」
「油断はしたが本番はこれから。さあ、お前たちも皆、動物に姿を変えてやるわ!」
そこへ少年がデスアミーゴに飛びかかる。
「ぐあっち!この小僧め、何をする!そんなことでこの俺様を・・」
「ぐ!身体がしびれる・・身体が言うことをきかん。ぐう・・」
「こんな真似が出来るのは白い狼だけのはず・・くっ・・」
「ぬ?まさかこの小僧は!」
「そうか!あの時、町の人間と一緒に俺様の魔法で姿を・・」
「自分でしでかした事に気づかぬとは、俺様も間抜けなことよ。」
「貴様は白い狼。恐らくあの時倒しそこねたチビに違いない。」
「貴様だけは許すものか!この先ずっとそのままの姿で暮らすがいい!でやあ!」
デスアミーゴは少年に魔法をかけて石棺の中に入っていた。


木こりが言う。
「主人公、今だよ!この石の蓋を閉めちまって、もう一度こいつを封印するだ!」
主人公達は石棺の蓋を閉める。
するとオルフィーの町にかかっていた魔法が解け、動物が人間に、人間は動物の姿に戻った。
倒れていた狼も意識を取り戻したようだ。


木こりが言う。
「その昔魔物との戦いで生き残ったたった一匹の白い狼ってのはこの子の母親だったんだそうだ。」
「だども、この子を生んですぐ戦いの傷がもとで亡くなったんだそうだよ。」
「まだ目も開かない子供の狼を、このメスの狼が親代わりになって育てたんだとよ。」
「そんでよ、そーと、この子の名前は・・」


少年が言う。
「ガボ!」


キーファが驚く。
「さすがは伝説の白い狼だ。人間の言葉を喋れるのかい?」
どうやら少年は自分の名前だけ言えるようだ。


木こりが言う。
「さてと、あの魔物をまた封印したから、きっと町の人も戻ってるはずだ。」
「主人公、オラあこの子とメスの狼を引き取って一緒に暮らすだよ。」
「いくら伝説の狼とは言えこの子は母親を失くして寂しい思いをしているだろうから。」
「それじゃあ早速出掛けるとしよう。」
「森の皆もきっとお前さん達を歓迎してくれるだあよ。」


皆で現代に戻る。
「無事帰ってきただな。しっかしなんとも不思議な経験をしたもんだ。」
「人に話してもとても信じちゃくれなかろうよ。わっはっは。」
「そんじゃ、主人公達とはここでお別れだなや。」
「オラはガボ達さ連れて一足先に失礼するだあよ。」


ガボがその場を離れようとしない。
「ガボ、どうしただ?主人公達にもっとお別れが言いたいのかい?」


「ガボ・・行く・・主人公、一緒!」


「何だって?主人公達と一緒に行くってのかい?」
「そうか、分かっただ。きっとお前が正しいだな。」
「主人公、ガボがこう言ってるだ。」
「神の岩戸を開けてあの魔物を出した奴が必ずいる。」
「どんな奴だか分からないが、おそらく放ってはおけない強大な存在だろうってな。」
「主人公、オラからも頼むだ。ガボ達を連れてってやってくれや。きっと役に立つだあよ。」
「悪い奴をやっつけて2人で帰ってくるまでオラ、森で待ってるだよ。」


ガボと狼が仲間に加わった。


新しく出現した大陸の神の山に登りると、山頂に大きな石棺があった。
調べてみると、石棺から声が聞こえる。
「何者だ。このワシを眠りから覚まそうとするのは。」
「本当にこのワシを眠りから覚まそうというのか。本気なのだな?」
石棺の蓋が開きかかっていたので主人公は開けてみた。
「クックック。ワシを起こそうとはいい度胸だ。」
「だが命は大事にしたほうがいい・・」
石棺の中から髭を生やした普通のおじさんが現れた。
「やや、あなた達はあの時の!」
「私ですよ、私!覚えてませんか?ほら!」
「やだなー、昔ここで皆さんと戦った魔物ですよ。」
「あの時は私、偉そうにして背中に羽なんか生やしてぐはははとか言ってましたしね。」
「まあ分からなくても無理はないですね。へへ。」
「あの時魔力を使い果たして長いことこの中で寝てたらこんな姿になっちゃったんですよ。」
「バチが当たったんですかね。もうすっかり普通の人間になっちゃいました。とほほ。」
「誰かにいじめられると怖いから、こうやって隠れて来る人を脅かしていたんです。」
「やや、そこの坊っちゃんは!伝説の白い狼さんでしょ?ああ、やっぱりそうだ。」
「あの時は私のせいでそんなに醜い姿にしちゃって、本当にご迷惑をかけました。」
「そうだ、今からでも遅くない。もう一度元の姿に戻してさしあげましょう。」


ガボが大きく首を振る。


マリベルがおじさんに言う。
「ちょっとあんた!余計なことしなくていいんだってば!」


「いやいや、遠慮なんかいりませんよ。私が悪かったんですからね。」
「それじゃあいきますよ。戻れ戻れ~元の姿に~でやあ!」
おじさんはガボに魔法をかけたが何も起こらない。
「あれれ、変だな。元の姿に戻りませんね。」


突然ガボが喋りだす。
「こらー!オイラこのままのカッコでいいんだってばー!」
「余計なことするとまた閉じ込めるぞー!」
「あれ?オイラどうしたんだ?急に喋れるようになっちまったぞ。」


「ぐああ、何てことだ。」
「長い時間経つうちに、私の魔法まで錆びついてしまったのか。」
「元の姿に戻すどころか、ますますガボさんを人間に近づけちゃいました。」
「とほほ、私ってもう何の役にも立ちませんね。」


ガボが喜んでいる。
「おいらこれがいいぞ。すっごく嬉しいぞ。」
「これで主人公達とちゃんと話が出来るようになったんだもんな。」
「わーい、喋れるー!ひゃっほー!」


「あ、何か喜んでもらえました?よかったあ。」
「じゃあこれもあげちゃいます。特別プレゼントです!はい!」
主人公は「不思議な石版・青」を受け取った。
「よく覚えていないんですけど、多分それって皆さんが必要なものだったんでしょ?」
「私が魔物だった時にこの棺の中に隠したようなんです。」
「どうぞお持ち下さい。その石の欠片が何かの役に立つといいですね。」


主人公は謎の神殿へ行き、青の石柱の台座に石版をはめてワープする。


ワープ先から南東に進んで行くと、フォーリッシュの町があった。
町のいたるところにからくりの兵隊がいるが、ぴくりとも動かない。
どうやら壊れているようだ。


教会の下の部屋に行くと、兵士たちが何かの作戦会議をしていた。
「・・以上で作戦会議を終わる。何か質問あるか?」


兵士長のトラッドが主人公達に気づく。
「うむ?お前たちは何者だ?町が雇った傭兵か?」
「命のないからくりなどに無駄に命をくれてやる必要はない。お前たちも無理はするなよ。」


兵士達に話を聞く。
「くそ、敵のアジトが分かったってのに手も足も出せないってのか。」
「東にあるすり鉢状の大地。あそこがからくりどものアジトに違いないんだ。」
「偵察に行った兵士の話では、アジトの周りを何十体ものからくり兵が囲んでいるらしい。」
「たった数体を相手にするのも辛いのに何十体も。とても手を出せるもんじゃない。」


町の女性に話を聞く。
「あなた達は旅の人?」
「ふーん、よく生きてこの町へ辿り着けたわね。」
「今このフォーリッシュの町は謎のからくりの兵隊たちに襲われていて大変なのよ。」
「どうせならフォロッドのお城まで行ったほうがいいわ。あっちの方がまだ安全よ。」
「ここもいつまで持つか分からないもの。」


フォーリッシュの町を出てフォロッド城へ向かい、城の兵士と話をする。
「お、こりゃ珍しいな。あんたら旅の者か?」
「北東にある川の橋が壊されてからこっちへの旅人もめっきり減っちまった。」
「もっとも今のこの時に外をうろつくなんざ、正気の沙汰じゃないけどな。」
「あんたらの旅にはよっぽど大事な目的があるんだろうな。」


城の詰め所で兵士と話をする。
「君たちはもしかして傭兵の志願者ですか?」
「これはありがたい。今我が城では猫の手も借りたい状況なのです。」
「強い者ならなお結構。早速君たちの腕前を見させてもらいますよ。」


フォロッドの兵士と戦い、戦闘に勝利した。
「その腕ならばからくりどもと互角に渡り合えるだろう。是非ともチカラを貸してくれ。」
「これからこの国を守るため、共に戦っていきましょう。宜しく頼みます。」
「さて、とりあえず今すぐ君たちにやってもらうことはありません。」
「まもなく兵士長のトラッド殿がフォーリッシュの町からお戻りになるはずです。」
「その前に城へ行き、王様にご挨拶しておくと良いでしょう。」


城門の兵士と話して中に入り、玉座の間で王様と話をする。
「ここへ来れたということは、そなた達が先程傭兵に志願したという者たちだな。」
「本来なら旅の者のチカラを借りるなど王家の恥と言われても仕方のないことだが、今この国が謎のからくり兵団の侵略を受けていることは知っておろう。」
「わしはどのような手段を使おうとも、この国を守らねばならぬのだ。」
「そなた達の役目については、トラッド兵士長に聞くが良い。」
「そなた達の働きに大いに期待しておるぞ。」


入口まで戻り、詰め所に戻っていたトラッド兵士長と話をする。
「ではこれより作戦会議を始めたいと思う。」
「私は先程最前線でもあるフォーリッシュの町へ赴いてきた。」
「皆も知っての通り、あの町はからくり兵の進行を止める砦となっており、この城より送った兵士や町の者たちの疲れも限界まで達している。」
「このままではやがてフォーリッシュは突破され、この城も襲われる事になるだろう。」
「そしてこのフォロッドが落ちたなら、この国にはもう未来はない。」
「ゆえに、なんとしてもからくり兵の進行を我々のチカラで阻まねばならない。」
「しかしからくり兵のチカラとその数による進行を止めるためには戦力が足りない。」
「そこで作戦が必要だ。諸君らに何か良い考えはないか?」


ヘインズという兵士が言う。
「兵士長、からくり技師のゼボットさんに協力を頼んでみてはいかがでしょうか。」
「こうなった以上、ゼボット殿の知恵をお借りするしかないと思うんです。」


兵士長トラッドが言う。
「ふん、あんな偏屈、何の役にもたたんよ。」
「まあ好きにしろ。作戦会議はこれで終わる。各自解散。」


ヘインズに話を聞く。
「兵士長とゼボット殿の間で何かあったのであろうか。」
「何はともあれ、ゼボット殿の協力は必要となるであろうな。」
「さて、どうしたものか。」
「おおそうだ。おぬし達は先程傭兵になったばかりであったな。」
「初仕事としてゼボット殿の元へ使いに行ってもらえぬかな。」
「ゼボット殿はこの城より西に行った所に研究所を構えている。」
「そこへ行き、ゼボット殿に我々に協力してくれるよう頼んできてくれまいか。」
「おぬし達なら無事に研究所まで辿り着けよう。頼んだぞ。」


フォロッドを出て西へ進み、研究所でゼボットと話をする。
「ゼボットは僕だよ。ふ、そうか。トラッドの奴の差金でやって来たんだな。」
「僕にからくり兵を何とかさせようと言うのだろう?」
「帰ってくれ。城や町の人間がどうなろうと僕の知ったことじゃない。」
「僕としては戦いしか知らぬからくり兵に同情しているくらいだ。」
「真に悪と言える存在が彼らではないということが人間たちには分からんのさ。」
「さっさと城へ帰ってトラッドの奴に言っておけ。二度と人などよこすなとな。」


フォロッドへ戻り、詰め所でヘインズに報告する。
「うーむ、やはり一筋縄ではいかぬと見えるな。」


トラッド兵士長がやってくる。
「ふん、あいつが我々に協力するなどあり得んことなのだよ。」
「私はあいつをよく知っている。だから分かっていたことなのだ。」
「主人公よ。諸君らには続いて見張りの任を与える。」
「この上の見張り塔に向かい、兵士と交代するように。」


見張り塔に向かうと、見張りをしている兵士が慌てている。
「あれは!?」
傷ついた兵士が城へ来たようだ。
「こりゃ大変だ!すまないが君たちもすぐに詰め所まで来てくれ!」


詰め所に戻ると、トラッド兵士長が傷ついた兵士から事情を聞いていた。
「なに!するとフォーリッシュの町が落ちたと言うのか?」


傷ついた兵士が言う。
「は、全滅ではありませんが、もはやからくり兵を防ぐだけのチカラはなく、すでにこの城へ・・」


トラッド兵士長が言う。
「全兵士と傭兵に戦いの用意を急がせろ!」
「主人公、諸君らにはもう一度私と共にゼボットの所へ行って欲しい。」
「もう時間がない。こうなった以上、あいつのチカラを借りるのも仕方ない。」
「さあ急ぐぞ。ゼボット研究所は西にある。」


トラッド兵士長と共に再びゼボットの研究所へ向かう。
「ゼボット、もう一度だけ俺の話を聞いてくれ。」
「ついにフォーリッシュの町の守りが崩れてしまった。次は城が襲われるだろう。」
「もう一度頼む。からくり兵を倒すためにお前のチカラを貸してくれ。」


ゼボットが言う。
「しつこいな、トラッドは。前に言っただろう?そんな気はさらさらないって。」
「滅びてもいいじゃないか。人間はどうせいつか死ぬ。」
「今死んでもいつ死んでも同じさ。」


トラッド兵士長が言う。
「主人公、やはりこの男に協力など頼んでも無駄なようだ。」
「すぐに城に戻るぞ。こうしている間にも城に奴らが迫ってきているかもしれん。」


ゼポットの研究所を出ようとするとからくり兵がいた。
「なんということだ。こんな所にまでからくり兵がやって来ているとは。」
「・・止まっている。どうしたのだ?」
どうやらからくり兵は故障しているようだ。


騒ぎを聞きつけ、ゼボットが研究所から出てきた。
「何を大声を出している。騒ぐならよそで・・うん?」
「ほう、こいつが例のからくり兵か。ふむ、なるほど。これは・・」
「かなりのダメージを受けているようだな。しかしこれなら・・うむ。」
「トラッド、手伝え。こいつを僕の部屋へ運ぶぞ。」


トラッドが驚く。
「何をする気だ、ゼボット。・・ふむ、そういう事か。よし分かった。手伝おう。」
「主人公達は一足先に城へ戻れ。もしもの時は頼んだぞ。」


フォロッド城へ戻ると、城はからくり兵に襲われていた。
次々に押し寄せてくるからくり兵を倒していると、突然からくり兵達が仲間割れを始めた。
城の入り口にトラッド兵士長とゼボットが来ていたので話を聞く。
先程の壊れていたからくり兵も直っているようだ。
「こいつの思考回路から破壊の言葉を全て取り除いた。」
「もうこいつは人を襲うことはない。自由になったんだ。」
「ついでにからくり兵は何者かに特別な音で操られていると分かったんでね。」
「ちょっとこいつを使ってその音をいじってみたんだが、どうやら上手くいったようだ。」


トラッド兵士長が言う。
「このからくり兵を使えば敵のからくり兵はもう敵ではない。」
「これで敵のアジトへ乗り込むことが出来る。」
「作戦会議を開くので一緒に詰め所に来てくれ。」


詰め所でゼボットと話をする。
「このからくり兵は一体誰がどうやって作ったか分かるかい?」
「こいつは恐らく魔の力を持つ者が作ったんだろうな。」
「だからこそすべてを壊し、人を襲う。そんな命令が下されていたんだ。」
「本当に哀れで可哀想なのはこいつらさ。この国の人間たちじゃない。」


トラッド兵士長と話をする。
「うむ、来たな主人公。では作戦会議を始めよう。」
「ついにこの城がからくり兵共に襲われる事態となったが、皆のチカラとゼボットのからくり兵のおかげでなんとか凌ぐことが出来た。」
「しかしすぐに新たなからくり兵がやってくることは明白である。」
「そこで我々は一気に敵からくり兵の拠点を叩くべく行動を起こしたい。」
「ゼボットのからくり兵には敵からくり兵の動きを狂わせるチカラがある。」
「これを使えば敵からくり兵に阻まれずに拠点に侵入できるはずだ。」
「そして拠点に潜んでいるであろう敵の親玉を叩く。そうすればこの国は救われる。」
「諸君らには城を頼む。入れ違いに敵からくり兵が襲ってくるかも知れんからな。」
「これは潜入作戦となる。人数は少ないほうが良い。」
「潜入は主人公達に任せたい。出来るな?」
「主人公達は先行部隊として敵の拠点へと向かってもらう。」
「敵の拠点はフォーリッシュの東にある。私はゼボットのからくり兵を連れて後を追う。」
「会議は終了!各人は城の守りを固めてくれ。皆、頼んだぞ。」


からくり兵の整備をしているゼボットと話をする。
「それにしてもこいつの動力源は一体何なんだ。永久に動き続ける装置。」
「この装置の謎が解ければ僕の夢は叶うのか。永遠の命が。」
「よし、エリー、もういいよ。」
「トラッド、調整は終わったぞ。」


トラッドが言う。
「エリーか。やはりまだあの時の事を忘れることは出来んのだな。」
「エリーはもういないと言うのに。」
「さて、調整も終わったようだし、そろそろ出発しよう。これが最後の戦いだ。」
「ゼボット!からくり兵は借りていくぞ。いいな?」


ゼボットが言う。
「僕も行くぞ。エリーを一人にはしておけない。」


フォーリッシュを出て、東にあるからくり兵団拠点へ向かう。
エリーが発する特別な音でからくり兵達が混乱しているすきに最奥に行くと、マシンマスターがいた。
「何!貴様たちどうやってここへやって来たのだ?」
「まさかあれだけの数のマシン兵達を全て倒したと言うのか?」
「いや、馬鹿な。人間風情がいくら束になったとてそんなことはあり得ん。」
「いや、それは試してみればたやすく分かることだ。いけ!マシン兵達よ!」
主人公は襲いかかってくる3体のマシン兵達を倒した。
「何!どうしてマシン兵達が言うことを聞かんのだ?」
「ぬぬう、こうなったら仕方ない。貴様らごとき、このワシ自ら引導を渡してくれるわ!」


主人公は襲いかかってくるマシンマスターを倒した。
「ぐぐう・・魔界で最強のマシンマスターと呼ばれたこのワシが負けるとは・・」
「魔王様より預かったマシン兵団で人間を恐怖のどん底に叩き落とすこの計画。」
「よもやこんな形で失敗するとは・・ぐふ!」
「こうなればもうどうにでもなれ。この大陸ごと消し飛ぼうとワシの知ったことではないわ。」
「来たれ!最強のマシン兵よ!わははは!!」
「魔王様の命令など知ったことか!人間どもなど全て滅びてしまうがよいわ!」
マシンマスターは消滅した。
そして最強のマシン兵デスマシーンが現れた。
襲いかかってくるデスマシーンを倒す主人公達。
そこへトラッド兵士長がやって来た。
「先程の凄まじい音を聞いてもしやと思ったんだが、いや、さすがは主人公達。」
「こうも見事に敵の親玉を倒してしまうとは何という強さよ。」
「礼を言うぞ、主人公。これでこの国からからくり兵の恐怖は消え去ったのだ。」
「私はこの喜びを皆に伝えるため城へ一足先に戻るとしよう。」
「諸君らはゆっくりと帰ってくれば良い。」


フォロッド城に戻り、玉座の間で王様と話をする。
「おお、主人公よ。やっと戻ってきたか。待っておったぞ。」
「たった今トラッド兵士長より事の次第の報告を得た。そなた達の活躍もな。」
「傭兵主人公とその仲間、キーファ、ガボ、マリベル。」
「そしてわがフォロッド王国兵団兵士長トラッド並びにその弟ゼボットよ。」
「今回の戦いでそなた達の活躍、実に見事であった。」
「この国の王として、民を代表して礼を言わせてもらうぞ。誠にご苦労であった。」
「傭兵主人公よ。そなた達にはこれを贈ろう。」
「我が王家に伝わる毒牙のナイフじゃ。」
「これで斬りつけると敵が麻痺するというすぐれものじゃぞ。」
主人公は毒牙のナイフを受け取った。
「重ねて言うが、本当にご苦労であった。」


ゼボットと話をしようと研究所に行くと、扉の向こうから声が聞こえてきた。
フォロッド国の王女が来ているようだ。
「そうですか。このからくり兵にエリー姉さまの名を・・」
ゼボットの声がする。
「いいんだぞ笑っても。お前が笑っても僕は気にしない。」


「いえ・・エリー姉さまのこと、まだ許して頂けないのですね。」
「あれは事故だったのですよ。エリー姉さまだって恋人のあなたを置いて一人で行くなんて。」


ゼボットが言う。
「分かっているさ。でも僕はエリーを許せない。」
「僕を置いて行ってしまうなんて、許せるわけがない・・」


「だからからくり人形で自分を慰めているのですね・・」


研究所を出て、北にある旅の扉を通って現代へ戻る。


移民の町の東に新大陸が出現したので行ってみる。
新大陸にはフォロッド城があり、玉座の間に行くと大臣が学者たちを集め、叱責しているところだった。
「ぬぬぬ、まだ出来ぬと申すか!」
「この上一体何人の知恵を寄せれば良いと言うのか!」
「ええい、不甲斐ない!国王様に顔向けが出来ぬわ!」


フォロッド王が言う。
「はっはっは、そんなに大声を出すと血圧が上がるぞ、大臣。」
「この私が急がせすぎたのかも知れん。」
「いにしえのからくりより新たなからくりが生まれたゆえ期待しすぎたのかも知れん。」
フォロッド王が主人公達に気づく。
「旅の者か。我がフォロッド城へよくぞ来た!」
「今我が国は他のいかなる国にも先駆け、未来を見つめた研究をしておる。」
「そなた達が国に帰ったなら伝えるが良い。」
「我が国を見習い、同じ道を共に歩むなら明るい未来は約束されるとな!」


玉座の間に兵士が走り込んでくる。
「王様に申し上げます!ついに見つけましてございます!いにしえのからくり兵を!西の外れに!」


フォロッド王が喜ぶ。
「ほほう!やはり禁断の地というのはそのような意味を持っていたのだな。」
「これは面白くなってきた。よし!兵を表にそろえよ。ただちに出発するぞ!」
「すまぬな旅の者。大事な用件で出発せねばならぬ。」
「では大臣、行って来る。後は任せたぞ。」


城の階段の前でアルマンという老人と話をする。
「すまぬが旅のお方。私の話を聞いて下され。」
「西の外れの岬の辺りは、はるかいにしえより禁断の地とされております。」
「誰も行ってはならん、誰も邪魔してはならんのです。たとえどんな理由があろうとも。」
「お願いですじゃ、旅のお方。わしの足では国王に追いつけん。何とか国王を止めて下され。」
「この老い先短い年寄りの願いを聞いて下され。」


フォロッドを出て西にある研究所へ向かうと、からくり兵のエリーがいた。
死んで骨になっているゼボットに話しかけている。
「ゼボット、今日も動かない。何も喋らない。」
「スープ冷めた。作り直す。」


そこへフォロッド王がやって来た。
「やや、そなた達は!一体どうしてここにいるのだ?ここは禁断の地であるぞ!」
「いや、ここで旅の者に禁断の地を説いても仕方あるまい。」
「恐らくアルマンに何か吹き込まれて来たのであろうが、まあそれはそれで良い。」
「理由はどうあれ、私の邪魔立てはしないでくれよ。」


エリーを見たフォロッド王が喜ぶ。
「おお、これか!これがいにしえのからくり兵か!」
「信じられぬ。未だしっかりと動いているではないか。」
「素晴らしい!これで我が国の研究は一気に進展をするはず!」
「よし、早速このからくり兵を城に持ち帰るぞ!」
「大事に扱ってくれよ。こいつは国の宝なのだからな。」
エリーは兵士達によって城へ運ばれていった。
「これで空白だった数百年の時が一気に埋め尽くされるのだ。」
「そなた達、実は大変な歴史的瞬間に立ち会ったのかもしれんな。」
「さあ、これから時代が動き出すぞ!」
「はっはっは!人の世の明るい未来が見えるようだな!」
フォロッド王も城へ帰っていった。


フォロッド城の玉座の間へ行くとアルマンがフォロッド王と話をしていた。
「なりませぬ、国王様!お願いでございますからエリーを元の所へとお返し下され。」


フォロッド王が兵士を呼びつけた。
「アルマンを地下牢へ連行しろ。」
「気の毒だがアルマンよ。しばらく城の地下で待っていてもらおう。」
「今は一刻も早くからくり兵の謎を解き明かしたいのでな。」
「そなたからは後でゆっくりと話しを聞かせてもらうぞ。よいな。」


アルマンは地下牢へ連行されていった。
「アルマンは何かを隠しているようだが、そんなことは大した問題ではない。」
「今私は未来を手に入れた!我が国民、いや世界中の人々が幸せに暮らせる、そんな時代がやって来るのだ。」
「からくり人間が完成しさえすれば夢は叶う。明るい未来が訪れるぞ!」


アルマンを追って地下の牢屋へ行き、話を聞く。
「いやはやかたじけない。すっかりあなた方には迷惑をおかけしましたな。」
「その迷惑ついでと言っては申し訳ないのですが、わがままを聞いてくださらんか。」
「実はあのからくり兵は、はるか昔に我が一族のゼボットという者が造ったものなのですじゃ。」
「未だエリーはゼボットが死んだことが分からず、主人の亡骸に尽くしておった。」
「それを知った時、わしは心に決めましたのじゃ。そっとしておいてやろうと。」
「詳しい話はともかく、何とかエリーを元の家に帰してやりたいのです。」
「今エリーは城の表にある研究室にいるはず。ささ、何はともあれ、エリーの所へ参りましょう!」


牢の番をしている兵士を説得し、アルマンと主人公達は研究室に向かった。
エリーを連れ出そうとしていると、フォロッド王に見つかってしまう。
「アルマン!そなた地下を抜け出しここで何をしているのか!」
「・・まあよい。そなたはそこまでこのからくり兵の事を。」
「アルマンよ。そして主人公達よ。すまなかったな。」
「我が夢のため、そなた達には何かと迷惑をかけたようだ。」
「といって私の方針は間違ってはいない。」
「エリーのことは諦めるとしても、からくり人間を諦めた訳ではないのだ。」
「先人の知恵を借りずとも、必ずや成し遂げてみせよう!」
「その日が来たらエリー、お前の友達を造ってやるぞ。楽しみに待ってるが良い。わっはっは!」


アルマンからお礼にと「不思議な石板・赤」を受け取った主人公は謎の神殿に行き、赤の石柱の台座に石版の欠片をはめる。
すると石版が青白く輝き出し、新たな場所へとワープした。


ワープ先から北東に進んでグリンフレークの町へと入る。
ダイアラックと同じように町の人々は皆、石化して石像のようになっていた。
町の中央にある大きな家の最上階に「あめふらし」という魔物がいた。
「チューチュー。石っころになった人間を眺めながら吸う蜜の味は最高だな。・・ん?なんだ?」
「キキ!お前たち、人間だな。まだ石になっていないやつがいたなんて驚きだぜ。」
「キキ。花の蜜ほど甘くはないが、人間の血もなかなかのもんだそうだ。」
「餌になってもらうぞ。覚悟しろ、キキ!」


主人公は襲いかかってくるあめふらしを倒した。
「キキ・・油断したぜ。」
「けど俺を倒したくらいで人間どもにかけられた呪いが解けると思うなよ。」
「ざまあみろ。ここの人間どもは永遠に石っころのままだ。キキキ・・・」
あめふらしは消滅した。


この場所からは町全体を見渡すことが出来る。
主人公は天使の涙を使った。
すると町にかかっていた石化の呪いが解けた。


ボルック邸の2階の窓からイワンという男性が外を見ている。
「くう、頭がクラクラする。くそう、どうしたってんだ。」
「は!そうだった。」
「俺はぺぺを見ていたんだ。ぺぺの野郎、俺のリンダにちょっかい出しやがって。」
「げげ、リンダの上にぺぺが乗っかってるぞ。」
「リンダを襲うなんて、ぺぺめ。正気でなくなったか。」
イワンは外へ駆け出していった。


ボルック邸の1階に降りて行くと、ボルックと町の人が話をしていた。
「おや?ボルックさん、いつの間にか晴れ間がのぞいていますよ。」


ボルックが言う。
「おお、そうか。何事もなく灰色の雨が止んでくれてよかったわい。」


「しかし雨にあたっただけで人間が石になっちまうなんて本当ですかねえ。」
「とにかく無事で何よりです。俺はちょいと外の様子でも見てきますよ。」
「でもおかしいなあ。さっきから妙に身体がギクシャクするんだよなあ。」


ボルックに話を聞く。
「勝手に屋敷で雨宿りしたことなんかで、わしは怒ったりせんよ。」
「そんなことよりも大事なわしのハーブ園は大丈夫だろうか。」
「灰色の雨のせいでハーブが枯れていなければいいが。」


外に出ると、町の人達が騒いでいる。
「誰か来てくれ!大変だ!逃げ遅れたやつがハーブ園で石になっちまってるぞ。」
ハーブ園に人だかりができている。
石になっているのは庭師のぺぺのようだ。
リンダという女性にイワンが詰め寄る。
「落ち着けよリンダ。何があったのか分かるように説明してくれ。」
「ぺぺが力ずくで女をねじ伏せる奴だなんて思いもしなかった。」
「うちの庭師の分際で、俺の可愛い許嫁にちょっかい出しやがって!」


リンダが泣きながら言う。
「ぺぺが・・灰色の雨から私を庇ってこんな事に・・うう・・」


ボルックがハーブ園にやって来た。
「よかったよかった。ハーブ園に被害はないようだな。・・おや?イワンか。」
「どうしたんだ、イワン。こんなところで何をやっている。」


イワンが答える。
「聞いてよ父さん!ぺぺが灰色の雨を浴びたんだ。」
「石にはならなかったみたいだけど、意識を失ってて全然目を覚まさないんだよ。」


「何だと!それならそうと、ボサッとしとらんでぺぺを家に運んでやれ!」
「すまんが旅のお方。ぺぺを家まで運ぶのに手を貸して下さらんか。」


主人公はぺぺを運ぶのを手伝った。
そしてボルックに事の経緯を説明した。
「主人公さん、その話は本当なのですか。」
「町のすべての人間が石になっていただなんて、わしには信じられん。」
「疑っているわけではないが・・しかしなんということだ。」
「以前町を訪れた子連れの老人が語った通り、人間が石になってしまうとはな。」
「一つ納得できんのは、わしらはこうして助かったのに何故ぺぺだけが。」


リンダが泣きながら言う。
「みんな私が悪いの。私を庇ったせいでぺぺは灰色の雨を直接浴びてしまった。」
「どうしてよ、ペペ。いつもは私に冷たいくせに、なんであの時だけ・・」


イワンが言う。
「おっと忘れるところだった。リンダ、俺は見てたんだぞ。」
「ハーブ園でペペと一体何をやっていた?説明してくれよ。」
「聞かせてくれ。それとも婚約者の俺にも言えないようなことなのかい?」


リンダが怒る。
「イワンの馬鹿!私は何もしてないわよ。もうほっといて!」


一旦その場を離れた主人公はボルック邸の2階でイワンと使用人カヤの話を盗み聞きする。
「随分お疲れのようで。またリンダのことであれこれ悩んでいるのかしら?」
イワンに抱きつくカヤ。
「リンダとペペだってこれくらいやってるわ。」
「しょっちゅうリンダがペペのいるハーブ園に通うのはどうしてだかおわかり?」
「リンダはペペのことが好きなのよ。」


道具屋の2階にいるリンダに話を聞く。
「辛い時に人から優しくされるのってとてもありがたいことだけど、今は誰に何をされても心が痛むだけなのよ。」
「相手の優しさに答えられるだけの余裕がないから。」
「石になった私たちを救ってくれたのは皆さんだと聞き及びました。」
「どうかお願いです。ペペを治す薬を私の代わりに探して頂けないでしょうか。」
「そんな薬なんて、旅をすることに慣れていない私なんかじゃ手に入れられそうにないから。」


ペペの父親に話を聞く。
「どんな病をも治す秘薬の産地は東の険しい山々を越えた先にあるそうじゃよ。」
「そこで旅のお方よ。東へ旅立つ用事があるのなら秘薬を買ってきてはくれまいか。」
「老いたワシより先に息子が寝たきりになるなど見るに忍びないんじゃ。」
「そうじゃ。たしか酒場にその産地からハーブを買いに来た男がいたはずじゃ。」
「その男に聞けば、産地の事を詳しく聞けるかも知れん。」


酒場の男性に話を聞く。
「俺はパミラの婆さんに頼まれて薬の材料を買いに来たってのに。」
「いつの間にかエンゴウに帰れなくなってるなんてよう。こんなことあってたまるか!」


主人公は謎の神殿から過去のエンゴウの町に行き、パミラと話をする。
「おうおう、主人公らか。久しいのう。」
「旅は滞りなく進んでおるのか?おや・・」
「どうやら何か困りごとがあるようじゃな。わしでよければ話してみい。」
主人公はハーブ園のペペのことをパミラに話した。
「ほう、人が石と化すとは恐ろしい呪いじゃな。」
「しかし身体が生身のものに戻っておるのならわしの薬が効くかも知れんな。」
「おぬしらの話から効きそうな薬はこれじゃな。さあ、持っていくが良い。」
主人公はパミラの秘薬を受け取った。
「そいつはわしの薬の中でもとっておきの強力な薬じゃ。そいつなら大丈夫じゃろう。」
「さあ、はやくそいつをその可哀想な男の所へ持っていってやるんじゃな。」


グリンフレークに戻り、ハーブ園の小屋で寝ているペペに薬を使う。
「うう、身体が・・」
ペペは意識を取り戻し、動けるようになった。


「ねえ、ぺぺ、わかる?私だよ。リンダだよ。」


ペペが言う。
「ああ、無事だったのか。よかった。石になってなくて。」


「ううん、違うよ。一度は町の全員が石になっちゃったのよ。」
「そしてみんなが助かった後も、何故かペペだけが寝たきりになってたの。」
「ここにいる主人公さん達が秘薬を持って来てくれて、助けてくれたの。」


ペペが主人公達に礼を言う。
「そうだったのか、ありがとう。皆さん。」
「すっかりお世話になったようで。」


ハーブ園でお祝いのパーティーが始まった。
ボルックと話をする。
「皆さん、何処かでペペを見かけませんでしたか?」
「どうもペペのやつ、わしの気づかぬうちにこっそりと席を外したみたいで。」
「病み上がりだからまだ身体のほうが本調子ではないのでしょうか。」


ペペとカヤがハーブ園の裏で話をしている。
「馬鹿言ってんじゃないよ。そんなこと俺に出来るわけないだろ。」


カヤが言う。
「絶対うまくいくわ。第一、あなたにはハーブがあるじゃない。」
「リンダと二人でこの町を出ていったとしてもやっていけるわよ。」


「駆け落ちなんかしてみろ。残された父さんと弟たちがどうなるか想像つくだろ。」


カヤがなおも言う。
「リンダと一緒になれるのよ。だったら家族のことなんでどうだっていいじゃない。」
「私はイワン様のもとでメイドとして生活を続けていきたいだけなの。」


「だから僕にリンダと駆け落ちしろってのか。ハン、冗談じゃない。」
「悪いが断る。駆け落ちなんて身勝手なこと僕に出来るもんか。」


カヤが言う。
「あなた、リンダがイワン様の妻になるのを側で見ていて平気なの?」
「悔しいって思わないの?」


ペペは何処かへ行ってしまった。


ハーブ園に戻って、再びボルックに話しかける。
「おお、ちょうど良かった。皆さん、何処かでペペを見かけませんでしたか?」
「困ったな。どうしたものか。」
「ペペがいなくともこのままリンダとイワンの結婚の日取りを発表してしまうべきか・・」


すると突然雨が降り出してきた。
皆、また石になりたくないと怯え、家に帰っていった。


ハーブ園の裏でリンダがペペと話している。
「さあ答えて。時間も経てば考え方も変わってくるでしょ。」
「一緒にこの町を出ようよ。」
「ハーブのこと、沢山勉強したんだよ。あなたの役に立てるようにって。」


ペペが言う。
「それでも駄目だ。駆け落ちなんかしたらみんなを裏切ることになる。」


「みんな、みんなって、なんで周りのことばっかり気にするのよ!」
「あんたの気持ちはどうなの?」


ペペはうつむいたまま何も答えない。


「そう、分かったわよ。この意気地なし!」
「あんたなんか、ずっとここで雇われ庭師をやってればいいのよ!」
「イワンの奥さんになったら、あんたをうんとコキ使ってやる。覚悟してなさい!」


ペペが言う。
「早く家に帰れ。でないと風邪を引くぞ。」


「馬鹿!あんたなんかいなくなればいいのよ。もう顔も見たくない!」
リンダはその場から去っていった。


ペペに話を聞く。
「皆さん、お世話になりました。」
「僕は一人で町を出ようと思います。さようなら。」


キーファが止める。
「待てよ、ペペさん。ボルックさんに今からでも頼んでみろよ。あの人なら分かってくれる。」


「あなたの言うとおりだ。もっと早くそうすべきだった。けどもう遅い。」
「僕は要領が悪すぎた。」
ペペは走って町を出ていってしまった。


ペペの父親に報告する。
「そうですか。息子はそんなにまでリンダのことを想っておったのですか。」
「じゃがわしらの事を考えてリンダと町を出ることまでは出来んかったようですね。」
「息子のことを含めて皆さんには世話になりっぱなしで本当に申し訳ない。」
「不肖の息子の分までお礼を言わせて下さい。今まで有難うございました。」
「聞けば皆さんはこの町には旅の途中で立ち寄っただけとか。」
「もしこの先、旅の途中で息子に出会うことがあったら、父は元気でやっているとお伝え下さい。」
「多分ペペはここには2度と帰ってこないでしょうから。」


町人から西の洞くつに石板がありそうだという話が聞けたので行ってみる。
洞窟の最奥には「洞窟魔人」がいた。
「おやおや、また欲深い奴らが宝を目当てにやって来たのか。」
「宝物の噂などただのデタラメだと知らずにご苦労なこった。」
「ここに来た人間どもは皆、屍になるのが運命だ。宝を夢見て死にゆくがいい。」
主人公は襲いかかってくる洞窟魔人を倒し、「不思議な石版・緑」を手に入れた。


グリンフレークの南西にある旅の扉から現代へ戻り、エンゴウの東に出現した新大陸に向かう。
新大陸を探索し不思議な石版の破片を見つけた後、謎の神殿に行き緑の石柱の台座に石版の欠片をはめる。
新たな場所へとワープすると、その先には「ユバール族の休息地」があった。


休息地にいる人たちに話しを聞く。
「やや、あなた方は我等ユバールの者ではありませんな。」
「ほほう。このような所にまだ生き残りの旅人がおいでだったとは。」
「本来なら丁重にお迎えするのが我等一族の習わしだが、今は神聖なる儀式の最中。すまぬが旅のお方、しばし待たれよ。」


「あら、旅の人なんて久しぶりね。しかもこんな夜になんて。」
「今夜は私たち一族の跡継ぎとなる踊り子が決まるのよ。」
「ライラの踊りならきっと族長様も認めてくださるもの。」
「私もライラみたいに大地の精霊様の血を引いていればなあ。」


「やれやれ、大地のあちこちが闇に包まれちまったせいでろくな食べ物もないよ。」
「あるのはあたしらの命の水、ビバ=グレイプだけ。」
「でもまあユバールに伝わるこの飲み物と歌と踊りがありゃ、あたしら皆、陽気にやれるのさ。」


「大地の精霊ははるか昔、神様が封印される前に解き放った4大精霊の一つと言われていてね。」
「そしてライラの胸にあるアザは大地の精霊のチカラを受け継ぐ者の印だそうな。」
「それは重い宿命だけど、ユバールの民にとってはとても光栄なことなのさ。」


「今回の儀式はずいぶん時間がかかってるな。」
「何しろ60年ぶりだから無理もないか。」
「しかしライラもまだ17歳。その若さで一族の宿命を背負うことになるとはな。」


「我々ユバールの民は、もう何十年もの間探し続けて来た。」
「この世のどこかにあるという神の封印された祭壇を。」
「そしてついにその言い伝えの場所の近くまでたどり着いた。」
「あとは山脈を越えるだけだ。」


「かつて封印された神様を復活させること、それが私たち一族の使命です。」
「極稀に大地の精霊様のチカラを強く受け継ぐ娘が生まれることがあって、その娘が一族の跡継ぎの踊り手となるのです。」


「おお、儀式が終わるようだ。申し訳ないが通り道を開けて頂こう。」
テントの中から族長とライラが出てきた。
「皆の者!集まっておくれ!」
「我等がユバールの民、新たな踊り手の誕生じゃ!」
「ライラや。前へ出なさい。」
ライラが前に出る。
「皆の者!このライラが我等の明日を引き継ぐ新たな踊り手じゃ!」
「そしてジャン、お前もライラの隣へ。」
ジャンも前に出る。
「ジャンも良い音を奏でるようになった。」
「これからはライラと共に我等一族を率いてゆくがええ。」
「さあ皆、明日への祝じゃ!ゆっくり飲んで歌って楽しむが良い!」


「旅のお方、大変おまたせ申した。」
「ベレッタ殿と族長様に紹介しますゆえ、どうぞこちらへ。」
ダーツという男性について行き、テントの中へ入る。
「族長様、ベレッタ殿。先程こちらにおいでになった旅のお方をお連れしました。」


ベレッタが驚く。
「今何と申した?ダーツや。旅のお方だって?」
「おやまあ驚いた。こんな時代にこの山奥で旅人に出会うとはね。」
「族長様。我等のテントに旅人が訪れるなんて何年ぶりでしょうね。」
「族長はこう見えても我等にとってなくてはならないチカラの持ち主なのです。」
「何か困ったことがありましたら遠慮なく族長に話して下され。」


族長が言う。
「ふぉっほっほ。人生は飛びゆく矢の如し。毎日を楽しんで生きるべきじゃ。」


西のテントの中でライラと話をする。
「あら、あなたは旅の人ですね。私はライラ。ユバールの民の踊り子です。」
「あなたは・・そう、主人公さんというのね。」
「いきなり儀式の時にいらっしゃって驚いたでしょう。私たちって少し変わってるのよ。」
「もうずっと昔から神様を復活させるための宿命を背負って、厳しい掟も守ってきたの。」
「そして私もその宿命と共に生きるんだわ。この胸のアザがそうすべきだと言っているから。」


ジャンがテントに入ってきた。
「あ、なんだ!あんた達は!」
「旅の者がライラのテントで何をしているんだ!」
「ライラに取り入って何をするつもりだ!」
「全く油断もスキもありゃしないぜ。」
「大事な婚約者に手を出されて引き下がるわけにはいかないな。よし、表にでろ!」


恐るべきジャンのヤキモチであったが、その場は主人公がどうにかおさめた。
ジャンは自分の非を謝り、その後は和やかに語り合うことが出来たのだった。
そして勧められるまま、主人公はビバ=グレイプを飲み干し、いつしか眠りに誘われていた。
こうして夜も更けていった。


主人公が夜中にふと目を覚ますと、キーファが魔物と戦っていた。
キーファが何とか魔物を撃退するが、ライラの父親ダーツが傷を受けてしまった。
「いや、すまないライラ。わしとしたことが油断して。」
「なあに、大した怪我では・・うっ!」


ライラが駆け寄る。
「無理しちゃ駄目よ。今ベレッタ様をお呼びしてくるから。」


キーファと話をする。
「いや参ったよ。雑魚とはいえ、魔物がここに入ってくるなんてさ。」
「さっきふと目を覚ましたら、テントの中にライラさんがいないから外に出てみたんだよ。」
「そしたらそこに彼女がいたから二人で話してたんだけどさ。」
「いきなり暗がりから魔物が襲ってきて、俺が戦ってたらダーツさんが来てくれたんだ。」
「けど背後からこっそりやって来たもう1匹にダーツさんも不意をつかれちまって。」
「お前がぐうぐう寝てる間に、俺、結構大変だったんだぜ。」


ライラがベレッタを連れてきた。
ベレッタは何やら呪文のような言葉をつぶやき始める。
「おやおや、これはかなりの毒をもらったようだね。命に別状はないけれど。」
「とりあえず傷の手当はしたけど、もう2~3日は休んだほうが良かろうね。」


ライラが言う。
「でも明日は神の祭壇への出発の日ですわ。父はここに残らなくてはいけないのですか?」


「しかたあるまい。お前も父さんについていておやり。」
「神の祭壇への道中はジャンの魔除けのトゥーラでなんとかしのげるでしょう。」
「お前たち二人をここに残しておくのは心配なんだけどねえ。」


キーファが言う。
「あ、それなら俺もここに残りますよ。」
「俺達魔物との戦いは慣れてるし。神の祭壇へは主人公達が同行しますよ。」


ベレッタが喜ぶ。
「それは大変心強い。本来なら一族以外の方に甘えるわけにはいきませぬが、明日からの旅はこの世界の運命をも左右することになるかも知れぬ大事な目的のため。」
「有り難くそのお言葉受けさせていただきますよ。」


こうしてキーファはライラ達とテントに残り、主人公達は皆と神の祭壇へ出発することとなった。


族長が言う。
「神の祭壇は西の山脈を越えた向こうの湖。道中、宜しくお願いしますぞ。」


途中、湖畔で休憩を取る。
ジャンと話をする。
「神の祭壇にたどり着いたらすぐにでも神を復活させられると思っていたが、どうも違うようだな。」
「湖の畔の洞窟の奥から二つの神器を取ってきて儀式を行うそうだが、洞窟では魔除けのトゥーラもあまり効き目がないんだ。あんた達が頼りだな。」


女性に話を聞く。
「ライラ達も今頃は出発したかねえ。ジャンがずいぶん心配してたけど。」
「ジャンは本当にライラが好きなんだよ。」
「自分の身体に精霊様のアザがないことは本当は不名誉なのにジャンは喜んでいてさ。」
「だって、そうでなきゃアザのあるライラとは結婚できないからね。」


少年と話をする。
「あのね、主人公達なら僕らユバールの一族じゃないから話してもいいかな。」
「僕、見ちゃったんだ。ジャンの胸にライラと同じアザがあったの。」
「母さんが言ってたけど、アザのある人同士は結婚しちゃいけないんでしょ。」
「だからみんなには絶対言わないんだ。だって僕、ジャンもライラも好きだもん。」


族長と話をする。
「我々が神の封印を解くため必要な二つの神器は洞窟ではなく祭壇にあるとか。」
「このワシが古文書を読み違えていたようでしてな。わっはっは。」
「今皆が集まって、祭壇へ行く方法を考えておりますじゃ。」


ジャンと話をする。
「祭壇は湖に沈んでいる。」
「湖の水を引くのに必要なものがわかったから、すぐに洞窟に出発するぜ。」
「なんでも、大地の鈴で洞窟の仕掛けが動くらしい。」
「この大地の鈴は我等ユバールに伝わるもので、一族以外の者が鳴らすことは出来ない。」
「だから洞窟へは俺もお供させてもらうよ。宜しく頼むぜ。」


ジャンが仲間に加わった。


湖の洞窟へ行き、大地の鈴を使って最下階へ向かう。
途中、古代文字が刻まれている石碑があった。
ジャンが石碑を読む。
「お?ここに古代文字が刻まれているみたいだな。」
「ええと・・禁欲はやがてそなたを神の道へと導くであろう、か。」
「ん?なんだよ、主人公さん。何か言いたそうな顔して。」


主人公は石に刻まれた古代文字を眺めた。
すると主人公の右腕が輝き出した。
「禁欲はやがてそなたを神の道へと導くであろう。」
主人公はその古代文字を理解することが出来た。
ジャンが驚く。
「何だよ、主人公さん。あんた古代文字が読めるのか。」
「へえー、不思議な事もあるもんだな。」
「でも何だか顔色が悪いぞ、主人公さん。」
「あんまり慣れないことして無理すんなって。」


最下階にあった石碑に大地の鈴を供えると、湖の水を引かせることが出来た。
神の祭壇へ向かい、族長と話をする。
「おお、主人公殿。おかげで湖の水が引いてこの通り。」
「心より感謝しますぞ。あとはこの祭壇内より二つの神器を持ち出すのみ。」
「さて、どうやら二つの神器、大地のトゥーラと清き衣はこの祭壇の中のようじゃ。」
「ここまでチカラを貸してくれた主人公殿に是非取ってきて頂きたい。」
「もうそろそろライラ達も到着するでしょう。」


石碑を調べ、古代文字を読んだ。
「大地のトゥーラが金色に輝く時、その音色にて大地を目覚めさせよ。」
「清き衣をまとった巫女の踊りにて神の怒りをなだめさせよ。」
ジャンと共に祭壇の中へ入る。
祭壇の奥には大地のトゥーラと清き衣が祀られていた。
「なあ、見てくれよ。これが古文書にあった二つの神器だ。」
「大地のトゥーラ、これを俺が弾いて、巫女のための清き衣。これをライラが身にまとって踊る。」
「俺とライラで儀式を執り行い、神を復活させる。そうすれば俺は自由だ。」
「もう俺達ユバールの宿命なんかに左右されず、自分の行きたい道を歩けるのさ!」
ジャンは祭壇から清き衣と大地のトゥーラを外した。
「さあ、これを持って皆の所に戻ろうぜ。」
「あんた達にも礼を言わなきゃな。」


そこへキーファとライラがやって来た。
ライラは右足を怪我しているようだ。
「ハアハア・・遅くなったな、主人公。」
「途中でライラさんが足を挫いちゃって、ここまで背負ってきたもんで。」


ジャンが怒り出す。
「何!ライラが足を挫いたって!」
「あんたがついていながら何てことだ!もし儀式で踊れなかったら・・」


ライラが言う。
「やめて、ジャン。キーファがいてくれたから足を挫いたくらいで済んだのよ。」
「儀式なら大丈夫。ちゃんと踊れるわ。もう痛みも引いてきたし。」
「それが清き衣と大地のトゥーラね。さあ、儀式の準備をしましょう。」


族長が大地のトゥーラを見て言う。
「ふむ、やはり今はまだ復活の時ではないようじゃな。」
「見なさい、このトゥーラを。祭壇の石碑には大地のトゥーラが金色に輝く時と記されていたであろう?」
「だが今、このトゥーラは何の輝きも放っておらん。」
「何故かは分からぬが、今はまだその時ではないらしい。」


ジャンが言う。
「しかしせっかくここまで来たのに諦めるって言うのですか?」
「俺は諦めないぞ。現に神は俺達をここまで導かれた。」
「今が復活の時でないなんてそんなはずはない!」
ジャンは大地のトゥーラをその手に抱え祭壇に上がる。
「さあライラ。俺はこのトゥーラを弾くよ。その清き衣で踊っておくれ。」


ライラは清き衣を着て踊り始めた。
そしてジャンは大地のトゥーラを奏でる。
しかし何も起こらない。
「ふむ、残念だがどうやら今は儀式の時ではなかったらしい。」
「ジャンよ。これで気が済んだであろう。」
「もう祭壇から降りてきなさい。」
「ジャンよ。そうがっかりするではない。」
「平和を求め、神の復活を願うあまりに焦ったのは仕方のないことじゃ。」
「それに望みが閉ざされた訳ではない。」


ジャンが言う。
「違うんです、族長様。」
「俺は、そりゃ平和を望んではいるけど、それより自分の事ばかり考えていた。」
「神さえ復活すればユバールの使命も終わり、掟に関係なくライラと結婚できると。」
「何故って・・俺には、いや、俺の身体にも宿命のアザがあったから。」
ジャンが皆に胸のアザを見せる。


ベレッタが驚く。
「そのアザは!なんてことだい、ジャンよ!」
「でもお前が生まれた時、いえ、子供の時もそんなアザはなかったはず。」


「そうですとも、ベレッタ様。俺自身、この目を疑った。」
「ほんの数年前、自分の胸にこのアザが浮かぶのを見た時にはね。」
「そしてその時、俺はすでに心からライラを愛していたのです。」
「だからこそ俺は焦った。神が復活して一族の使命も終われば自由になれるのだと。」
「しかしそれもすべて俺だけの勝手な想いでした。ライラの気持ちも考えず。」
「それに理由がどうあれ、一族の皆を欺いた罪は重い。俺は一族を出てゆきます。」
ジャンは族長の手に大地のトゥーラを返して立ち去っていく。


「待って、ジャン!」
ライラが追いかけようとするが族長が止める。
「待ちなさい、ライラ。追いかけてどうする?」
「お前は本当にジャンを愛しておるのか?」


ライラが目をそらす。
「族長様・・それは・・」


「同情はジャンを傷つけるだけじゃ。」
「それに可愛そうだが、あのアザがあってはお前との結婚も許されぬ。」
「ともかく残念だが、今は神の復活の時ではない。」
「我等の旅はまだ続くようじゃな。」


ベレッタが言う。
「では族長様。再び祭壇の封印を。」


「うむ。元通り湖に沈めておいた方がよかろう。」
「主人公殿、あなた方には何か縁のようなものを感じる。」
「すまぬが、また洞窟の奥へ入って湖の水を元通りにしてきてくれないじゃろうか。」
「大地の鈴を仕掛けから外せば、この湖が再び聖なる水で満たされるはずじゃ。」


ベレッタが言う。
「ライラ、お前足を痛めているね?私の目は誤魔化せないよ。」
「踊り子が大切な足にそんな無理をさせてどうするつもりだい?」


キーファが口を挟む。
「おいおい、さっきから黙って聞いてりゃずいぶんじゃないか?」
「一族の使命や掟が大事なのは分かるけど、ライラだって苦しんでるはずだ。」
「なのにそんな厳しいこと言わなくたって。」


ベレッタが言う。
「ふむ、どうやらライラには良き理解者が現れたようだね。」


主人公達は再び洞窟へ行き、大地の鈴を奥の祭壇から外した。
湖には再び水が満ち、神の祭壇は湖底へと沈んでいった。
儀式で使われた大地のトゥーラと清き衣は族長の手に預けられ、ユバールの民と主人公の一行はまた共に旅をしてはじめの休息地へと戻った。
儀式は失敗であったが、主人公は礼を言われ、その夜はささやかな宴が開かれた。
そしてその夜更け・・枕元でキーファの声がする。
「おーい、主人公。もう寝ちゃったのか?」
「まあ寝てるんでもいいや。これは俺の独り言だ。」
「こんなことあまり話さなかったけど、お前の腕にあるそのアザ。実は気になってた。」
「ライラさんとは違うけど、多分お前も何か運命を背負ったやつなんだろう。」
「それに引き換え、俺はただ王子って身分に生まれついただけの男だ。」
「俺、ほんとはお前が羨ましかったんだぜ。」
「こんなこと言ってもお前は笑うかも知れないけどな。」
「けど俺はずっと探してたんだ。俺にしか出来ない何かがあるはずだって。」
「こんなふうに思ったのもお前のおかげかも知れないな。ありがとよ、主人公。」
「独り言はこれで終わりだ。おやすみ。」


翌朝、テントの外へ出るとキーファとダーツが剣を交えて決闘していた。
「止めてくれるなよ、主人公!」
「ダーツさんに勝てば俺がユバールの守り手として認められるんだ!」
「そこだ!とりゃー!」
キーファが強烈な一撃を放ち、ダーツをふっ飛ばした。
倒れ込んだダーツが言う。
「うーむ、確かにいいウデをしておられる。いや、参りました!」


「さて族長様。これで俺を守り手として認めてもらえますね。」


決闘を見ていた族長が言う。
「うむ、もちろんこちらからお願いしたいくらいじゃ。」
「さあキーファ殿、こちらへ。主人公殿とお仲間の皆さんもこちらへどうぞ。」
「皆の者!ここにたくましく、頼もしい若き守り手が誕生した!」
「我等一族の新たな仲間となるキーファ殿、そして我等を神の祭壇へと導いて下さった主人公殿!」
「その勇気に感謝の歌を捧げる!」


キーファが言う。
「悪く思うなよ、主人公。俺がお前と旅をするのはここまでだ。」
「俺はこの一族と共にこの時代に残る。」
「ほら、この剣を見てくれ。刃先に紋章が刻まれてるだろ。」
「これは神の守り手だけが持つことを許された伝説の剣だ。これを俺にって。」
「俺はこのままユバールのみんなと共に神の祭壇を守ってゆくよ。」
「この俺も一端の伝説を背負う男になるわけだ。分かってくれ、主人公。」
「さてと、そろそろ主人公の村に戻るだろ。」
「旅の扉まで送っていくよ。」
「今まで一緒に旅ができて本当に楽しかったよ。」
「元の世界に戻って俺の親父に会ったら伝えておいてくれないか。」
「あんたの息子はやっと自分の進む道を見つけたって。」


キーファと別れ現代に戻る主人公。
グランエスタードに行き、王様にキーファのことを報告する。
「いや、そんな・・まさか・・」
「何が自分の進む道を見つけた・・だ!」
「子供のくせに分かったような口を聞きおって。10年早いわ!」
「あの馬鹿、わしの気持ちも知らずに・・」
「本当はキーファが帰ってきたらこれをわしの手から渡してやるはずだった。」
主人公は「不思議な石版・青」を受け取った。
「その石版はな、先日偶然島の者に拾われ、この城に届けられた物なのだ。」
「キーファがそんなに冒険を続けたいのならわしもそろそろ許してやろうと思って帰りを待っていたのに、まさかこんな話を聞かされるとはな。」
「主人公、、よく伝えてくれた。礼を言うぞ。」
「すまんが少しだけわしを一人にしてくれんか・・すまんな。」


謎の神殿に行き青の石柱の台座に石版の欠片をはめると、主人公達は新たな場所へとワープした。


旅の扉から西に進んで行くと、ダーマの神殿があった。
神殿の中央にいる神官と話をする。
「転職する者も新たに職に就く者も聖なる泉で身を清めるのがダーマのしきたりなのだ。」
「まずは祭壇の奥にある聖なる泉に浸かるが良い。職に就くのはその後だ。」
聖なる泉に浸かるが何も起こらない。
逆になんだかチカラが抜けていくようだ。
「まだ分からぬと言うのか?騙されたとも知らずめでたい奴らよのう。」
「そのありがたい泉はな、人間どもの呪文や特技を奪うためのものなのだ。」
「さあ、地上の牢獄で嘆き悲しみながら生きてゆくがいい。」


主人公達はふきだまりの町に飛ばされた。
北東部の地下階段の所でカシムとフーラルの会話を聞く。
「さすがは盗賊。こんな高価な薬まで手に入れてくるとはな。」
フーラルが言う。
「約束は果たしたぞ。今度はあんたが俺の望みを叶える番だぜ、魔法戦士殿。」


「ああ、分かっているとも。確かダーマの親衛隊に入りたいって話だったな。」
「その夢を叶えたいならもう一働きしてくれないか。」


フーラルが怒る。
「約束が違うぞ!その薬を手に入れるのにどんだけ苦労したと思ってんだ。」


「そう怒りなさんな。私の仲間になりたいのだろう?」
「じゃあまた後でな。」
カシムは立ち去っていった。


酒場で町人に話を聞く。
「ネリスって病弱だから起きてる時間より寝ている時間のほうが長いらしいの。」
「そんなわけでネリスが寝込む度に彼女の弟のサジが看病するそうよ。」


神官の格好をした男性と話をする。
「誰も信じてくれんが、わしはダーマの神官なんだ。本当だぞ!」
「見張りの目をかいくぐり、命からがら逃げてきたというのに誰にも相手にされんとはな。」


別の男性に話を聞く。
「ダーマの神官は、神殿が奪われた時に一人残らず皆殺しにされたって噂だぜ。」


町を北に進んでいくと魔物が現れる。
「さあ誰か!名乗りをあげる者はいないか。我こそはという者はいないか。」
「魂の剣に己の未来を託す勇者はいないか!」


男性の戦士が魔物に聞く。
「魂の剣だと?それは一体何だ。」


魔物が答える。
「人の魂より造りし魔剣だ。」
「その魂の剣を用いて5つの魂を砕いてみせよ。」
「さすればその者の勇気を称え奪ったチカラを返し、自由を与えてやろう。」
「現ダーマの主、悪魔神官アントリア様は平等を重んじるお方だ。」
「たとえ人間であろうとも勇気ある者には称賛を惜しまないお方である。」
「さあ、己の魂をかけて魂砕きに挑戦する猛者は今すぐ名乗り出るがいい。」


スイフーという男性が声を上げる。
「さっさと失せやがれ!魔物の誘いに乗るやつなんざこの町にはいやしねえぞ!」


スイフーを見た魔物が怯む。
「ぬう、邪魔が入ったか。」
「だが人間たちよ、忘れるな。」
「この地上の牢獄から出たければ魂砕きに挑むほかないことをな。」
魔物は去っていった。


スイフーが主人公達に近づいてきた。
「畜生、魔物共め。昼間っから堂々とナメた真似をしやがって。」
「さてと、お前らか?新入りってのは。ようこそ、ならず者の町へ。」
「俺はこの町を束ねるスイフーってもんだ。」
「へへ、すまねえな。挨拶しに来るのがちいとばかり遅れちまってよ。」
「さあ、歯を食いしばんな。剣と拳が俺の挨拶だ。いくぜ!」


スイフーが突然襲いかかってきた。
特技を奪われている主人公達は手も足も出ずに負けてしまった。


気を失った主人公達が目を覚ますと、サジの声が聞こえてきた。
「大体姉さんはお人好しすぎるんだよ。」
「あんな奴らなんか放っておけばよかったんだ。無視すれば良かったんだよ。」


サジに姉さんと呼ばれているネリスが言う。
「あのままあの方たちを放っておいたら身ぐるみを剥がされてしまっていたわ。」


サジが言う。
「どうでもいいじゃないか。どうせ他人なんだし。」


主人公達はネリスに話しかける。
「まあ、皆さん。もう動いても平気なんですか?」
「お強いのね。さっきまでぐったりしていたというのに。」
「もし私が皆さんと同じ目にあっていたら、しばらく起き上がれないと思うわ。」


サジが言う。
「姉さんは身体が弱いんだ。本当なら寝てなきゃいけないのに、お前たちのせいで・・」


2階からカシムが降りてきた。
「ネリスいるか?薬を持って来てやったぞ。」
「見ろ、世界樹のしずくだぞ!これを飲めば胸の痛みも治まるだろうよ。」


ネリスが世界樹のしずくを受け取る。
「有難うございます。でもそんな高価な薬をどうやって手に・・」


サジが言う。
「カシムさん、薬をありがとう。」
「姉さんはこの人達の看病でへとへとなんだ。今は早く休ませてあげたい。」


カシムが言う。
「そう怖い顔するな。私はネリスの病気を心配して薬を届けに来ただけなんだよ。」
「じゃあな、ネリス。しっかり養生するんだぞ。」


カシムが帰った後でサジに話を聞く。
「今薬を持ってきたカシムっていう男はさ、姉さんに気があるようなんだ。」
「それで頼みもしないのに勝手に僕たち姉弟の保護者を気取ってるんだ。」
「もちろん目当ては姉さんで、僕はついでなんだろうけど。」


ネリスの家を出た所でカシムとフーラルの会話を立ち聞きする。
フーラルがカシムに言う。
「これさえ上手くゆけば今度こそ俺を親衛隊に入れてもらえるんだな。」


「大神官が捕まっている今、親衛隊は無くなったも同然だ。だから何としても囚われのフォズ大神官を救出しなくてはならない。」
「しかしおかしな奴だな。こんな時に親衛隊に入りたいだなんて。」


フーラルが言う。
「おかしかねえよ。ピンチの時だからこそチャンスなんだ。」
「俺みたいな盗賊でも手柄さえ立てれば親衛隊に取り立ててもらえると思ったんだ。」


カシムが言う。
「期待を裏切るなよ。盗賊としてのお前の腕前を見込んだ私の期待をな。」


カシムが去っていった後、フーラルに話しかける。
「お前らさっき、スイフーと戦った奴らだよな。いい戦いっぷりだったぜ。」
「そこで実はな、お前たちの腕を見込んで是非頼みたいことがある。」
「一緒に西の洞窟へ行って欲しいんだ。」
「この地上の牢獄から脱出するには、西の洞窟からダーマ神殿に抜けるしかねえ。」
「もちろん礼はするぜ。ほら、これをくれてやる。」
主人公は奇跡の石を受け取った。
「そいつは戦闘中に使うと立ちどころに傷を治してくれるすぐれもんだ。」
「というわけで仲間に入れてもらうぜ。今後とも宜しくな。」


フーラルが仲間に加わった。


主人公はフーラルと共に西の洞窟の一番奥まで進んでいった。
「待ちなお前たち。この先はとんでもなく強い魔物が道を塞いでいる。」
「バカ正直に正面から突っ込んだんじゃ叩きのめされるのがオチだ。」
「だからよ、ここは一つ俺様に任せてお前たちはここでじっとしててくれ。」
フーラルは物陰に隠れ、わざとコインを魔物に投げつけた。


「やや、なんだ今の物音は!!」
魔物たちが主人公の方に近づいてくる。
「そうか、さっきの音は貴様たちの仕業だったのか。」
「ちょうどいい。アントリア様から授かったこのチカラで貴様らを血祭りにあげてやる。」


フーラルはそのすきに一人で洞窟の奥へと走っていった。
主人公達は襲いかかってきたイノップとゴンズに負けてしまった。


主人公達が目を覚ますと、ネリスの家だった。
「あ、皆さん。もう起きても平気なんですか?」
「皆さんが大怪我をして町に戻ってきたと神父様から聞いた時はビックリしました。」
「せめて元気になるまで家で休んでもらおうと思い、ここにお連れしたんです。」
「もう夜も遅いので、どうぞ今日はこのまま家に泊まっていって下さい。」


サジがやって来た。
「姉さん、話があるんだけどちょっといいかな。」


ネリスが言う。
「皆さん、ごめんなさい。少しの間家を空けるので留守番をお願い致します。」


家を出ていったネリスとサジを追いかけ、話を盗み聞きする。
「薬を手に入れることくらい僕にだって出来るんだ。」
「だからもうあの男に色目を使うのはやめてよ。」
「あのキザ男が優しいのは姉さんに下心があるからだよ。」


ネリスが怒る。
「下心だなんて、あの人のことをそんなふうに安っぽく言わないでちょうだい!」


「今までずっと姉さんと僕と二人だけで誰にも頼らず生きてきたじゃないか。」
サジは走って何処かへ行ってしまった。


サジを追いかけて酒場へ行くと、サジとカシムが話をしていた。
「遊びで姉さんに近づくのはやめてくれ。姉さんが傷つく。」


カシムが言う。
「傷つくのは君だろ。それにネリスのことは本気だ。遊びのつもりはないよ。」
「しかしなあ、君もいい年なんだからいい加減、姉離れしろよ。」
「それとも私がネリスを諦めたら、君は私に何かしれくれるのか?」
「人は見返りなしじゃ他人の言うことなんか聞かないもんだぜ。」


「くそう、どうしていつも僕を小馬鹿にするような言い方ばかりするんだ。」
「よく覚えとけ!あんたがいなくたって姉さんを守ることぐらい僕一人で充分だってことをな。」
サジは走って何処かへ行ってしまった。


外へ出ると一人の戦士が魂砕きにを行っていた。
戦士は町の人々を次々と魂の剣で殺していく。
それをスイフーが止めに入る。
「おのれ・・あと一歩で魂砕きが成功するところだったというのに・・」
戦士がちょうど近くにいたネリス見つけ、殺そうとする。
間一髪の所でサジがネリスをかばい、サジが魂の剣をまともに受けてしまう。
「やったぞ!5つの魂を砕いたぞ!さあ、魔物よ。姿を現せ。」
「約束通り私から奪ったチカラを返してもらおう!」


魔物が現れた。
「人間よ。貴様の勇気の証、しかと見届けたぞ。」
「だが未だ5つ目の魂は砕かれていない。」
「完全に魂を砕くには、身体の奥深くまで魂の剣を差し込まねばならん。」
「貴様の最後の獲物は傷が浅すぎて魂を砕くには至らなかったようだ。」
「だが人間にしてはなかなか骨のあるやつだ。」
「特別に奪ったチカラを返してやろうではないか。」
「さて、生贄となった5つの魂の抜け殻には別の役目を与えるとしよう。」
魔物はそう言うと、戦士とサジを含む5人の魂を砕かれた人間を連れて何処かへ消えてしまった。


駆けつけて来たカシムがネリスに言う。
「弟を助けに行くか?それはここにいる皆さん次第だが。」
「西の洞窟を守る魔物は強敵だが、私と彼らが組めば勝てるかもしれない。」
主人公は頷いた。
「よし、それでは君たち。俺とネリスで一足先に西の洞窟へ向かうよ。」
「4階の広間で魔物が通路を塞いでいるはずだ。そこで待ち合わせるとしよう。」


西の洞窟を進み4階の広間でカシム達と合流するが、何故か魔物がいない。
洞窟を抜けて、その先にある山肌の集落へ入った。
神官の男に話を聞く。
「ふもとの町から来た者だな。なに、その格好を見ればすぐに分かるよ。」
「この集落にはダーマの神官と魔物に操られている者達しかいないからね。」
「魔物に悪意を吹き込まれ、その手先となった者達にはくれぐれも気をつけたまえ。」


宿屋にいる神官に話を聞く。
「ここで寝たきりになっているのは皆、魂を砕かれた人達です。」
「彼らは魔物の手先にこそならなかったが、そのかわり寝たきりになってしまった。」


神官長の家の前でカシムとフーラルが話をしている。
「大神官の無事を確かめるのが精一杯で、助け出すのにしくじった。」


「だが大神官の存在が確認できただけでも上出来だ。」
「これでフォズ大神官を救出できれば生き残りの親衛隊が集まってくるかもしれん。」
カシムはそう言うと神官長の家に入っていった。


フーラルに話しかける。
「げげ、お前らか!」
「まさか俺に仕返しをするためにここまで追ってきたってのか?」
「うーむ、そうであっても仕方あるめえ。俺は恨みを買うだけのことはしたしな。」
「でもよく覚えときな。騙されるやつが馬鹿なんだ。どうだ、いい勉強になったろ。」
「あっはっは、てなわけで悪く思うなよ。」


ネリスと話をする。
「ここには魂を砕かれた人が大勢いると聞きましたが、どこを探しても弟のサジが見つからないのです。」
「ああ、どうしてサジだけがここにいないのでしょうか。」


カシムと話をする。
「魂を砕かれた人間を神官たちの監視役に利用していたとはな。」
「大神官は洞窟の一番下の牢獄に監禁されている。」
「ダーマを取り戻すには、まず大神官を助けねばならない。私たちと共に戦ってくれ。」
カシムとフーラルが仲間に加わった。


牢獄へ続く洞窟の奥でフォズ大神官を見つける。
フォズ大神官は小さな女の子で、結界で拘束されている。
それを見たフーラルが言う。
「ダーマの本当の大神官がこんな小さな女の子だったとは。」
「何度剣で叩いても、この結界には傷一つつけられないな。」


奥の部屋へ行き結界装置を壊し、フォズ大神官を救出する。
「有難うございます。あなた方のおかげでこの牢獄から出られました。」
「まだ幼い身でありますが、ダーマ神殿の大神官の職を務めさせて頂いてます。」
「しかし魔物に神殿を乗っ取られた今となっては、私も名ばかりの大神官です。」
「こうしている間にも偽の大神官が人々を騙し続けているのですから。」


そこへイノップとゴンズが現れた。
「むむ、なんだなんだ。やけに騒々しいな。ここは牢獄のはずだぞ。」
「おい見ろ。この間、洞窟を抜け出したやつだ。こんな所に隠れていたか。」
主人公達は襲いかかってくるイノップとゴンズを倒した。
フォズ大神官が言う。
「ご苦労さまです、皆さん。」
「追手が来ないうちに早くこの場を離れましょう。」


フォズ大神官を連れて山肌の集落まで戻る。
「このような辛い生活を皆に強いる結果になったのはすべて私の責任です。」
「監禁されていた私は今まで皆と同じ苦しみを同じだけ味わってきました。」
「だがそれも過ぎたこと。」
「今から我等の家であるダーマを取り戻すために、共にチカラを尽くしましょう。」


神官長の家に行くとサジが帰ってきていた。
カシムが驚く。
「私達が留守の間に君の弟がひょっこり戻ってきたというのか?」
「魔物に連れ去られたんだぞ。自力で脱走してきたとは到底考えられん。」
ネリスが言う。
「そんなこと言われたって、この子ったら一言も喋ろうとしないんだもの。私にだってわかりません。」


サジは小声で何かを呟いている。
主人公はサジの口元に耳を近づけてみた。
「姉さんがいない。姉さんは何処に行ったの。僕を一人にしないでよ。」


フォズ大神官と話をする。
「旅のお方にお頼みするのはあまりにも心苦しいのですが、あえてお願い申し上げます。」
「どうかダーマを乗っ取った偽の大神官を倒して下さい。」
「この鍵があればターマの地下へ通じる道が開けるはずです。」
主人公はダーマの鍵を受け取った。
「そして偽の大神官が人々を騙して奪ったチカラについてですが、何やらダーマの地下に奪ったチカラを蓄えてある奇妙な部屋があるそうなのです。」
「その部屋に行けば奪われたチカラを取り戻せるかも知れませんね。」


ネリスとサジも一緒に連れ、カシム、フーラルと共に再び洞窟へ向かった。
神殿への地下道の入口でネリスが言う。
「正面の扉はフォズ大神官に頂いた鍵で開くはずです。」
「そこでお願いなんですが、ダーマの鍵を少しの間、私に貸して頂けませんか?」


カシムが剣を抜く。
「そんな奴に鍵を渡す必要はない。」
「貴様は一体何者だ。いい加減に正体を現せ。」


ネリスが言う。
「外見は真似できても、仕草や性格までは無理か。人間とは複雑だね。」
ネリスはマンイーターに姿を変えた。
「お前たちを油断させるために女の姿に化けていたってのに早くもバレちまうとはね。」
「ちょうどいいからお前たちはこの場で始末してやるよ。大神官はその後でもいいや。」
主人公は襲いかかってくるマンイーターを倒した。
すると今度はサジが魂の剣を手に持ちカシムに襲いかかる。
「死ねカシム!お前を殺して姉さんの心からお前を追い出してやる!」
カシムはサジの攻撃をかわし、魂の剣を奪った。
「これが魂でつくられた剣なら、持ち主であるサジの身体に再び宿ってみせろ!」
カシムは魂の剣をサジに突き刺した。
魂の剣がサジの身体に吸い込まれ、サジは正気を取り戻した。
「僕はあの魔物に操られていたんだ。」
「魂の剣を持っていると、人を憎もうとする気持ちだけがとめどなく溢れてきて、正気でいられなくなるんだ。」
「だからあんたを殺そうだなんて、これっぽっちも思っていなかった。」


カシムが言う。
「もういい、気にするな。しかしまたしても魂の剣か。」
「まるで人を惑わす魔剣のようだ。」
「この扉の向こうはダーマ神殿へと続いているはずだ。急ぐぞ、主人公。」
「急げばまだネリスを助けられるかも知れん。」


ダーマ神殿への地下道を進んで行く途中で力を取り戻すことができた主人公達は、呪文や特技も使えるようになった。


その奥で悪魔神官アントリアが待っていた。
「ふふふ、よく来たな。だがすでに我等の王を強化するチカラは集まっておる。」
「よって貴様らのチカラを奪う必要も無くなった訳だ。」
「馬鹿な人間どものおかげで思ったより早くチカラが集まりおった。」
「だからと言って生きて神殿の外に出られるなどと思うなよ。」
「貴様ら人間はもはや用済みだ。ここで死んでもらうぞ。」


主人公達は襲いかかってくる悪魔神官アントリアを倒した。
主人公達の活躍により、人間から奪ったチカラで魔王を強化するという計画は失敗に終わった。
その後解放された神官たちの手で、神殿に巣食う魔物は退治された。
ネリスも無事救出され、日を追うごとにダーマ神殿はかつての賑わいを取り戻していった。
そして数日後・・


カシムとフーラルが話をしている。
「後悔しないのか?ここで働きたくてお前なりに頑張ってきたんだろ。」
フーラルが言う。
「やっぱやめとくぜ。盗賊だった俺には宮仕えは向かねえってことがよく分かった。」
「お前には色々と世話を焼いてもらって悪いけど親衛隊には入らねえよ。」
「俺はそろそろ行くぜ。後ろにいる主人公達も達者でな。」
「じゃあなカシム。小僧と姉ちゃんにも宜しく言っといてくれ。」


フォズ大神官と話をする。
「皆様方の協力なくしてダーマの復活はありえませんでした。」
「2度と魔物の侵略を許さぬよう、今後は神殿の守りも強化していきます。」
「幼い子供が大神官を務めるからこのような事態を引き起こした、そう思われぬよう今後は心を入れ替えて頑張っていきます。」
「ありがとう、皆さん。」


サジがネリスと話をしている。
「どうだい、姉さん。戦士になった僕の姿は結構さまになってるだろ。」
「これからは危険だけど実入りの良い仕事をこなして姉さんの病気を治してやるよ。」
「姉さんはどう思ってるか知らないけどさ、これでも僕は結構頼りになるんだぜ。」
「カシムよりずっとね。だから僕をもっと頼ってよ。姉さんのためなら何だってするよ。」


ネリスが言う。
「もうやめてよ。何故そんなにまでして私に尽くしてくれるの?」
「私は自分のために誰かが犠牲になるのは嫌なの。たとえそれが弟であっても。」
「まるで私があなたの人生のお荷物みたいで辛いのよ。」
「サジがいなくたって私は生きてゆけるんだよ。」


サジは無言で走っていった。
サジを追いかけて行くと、神殿の出口でカシムと話していた。
「ネリスを置いていくのか。」


サジが言う。
「これ以上一緒にいても姉さんを苦しめることしか出来ない。だったら僕はいないほうがいい。」
「姉さんとあなたのことは僕には関係ないことだ。」
「・・姉さんのことをよろしく。」
サジはダーマ神殿を出ていった。


現代に戻り、新たに出現した新大陸に向かう。
ダーマ神殿の南にある広場で町を荒らしている山賊軍団をこらしめる。
さらに山賊のアジトに乗り込み、山賊のカシラを倒して「不思議な石版・黄」を手に入れた。


南東にあるメザレの町に行き、町人に話を聞く。
「ニコラの家の遺産に空を飛ぶ魔法の絨毯っていうのがあるんだけどね。」
「どういうわけか、ニコラはいつも村に来た冒険者に絨毯をタダであげちゃうのよ。」


教会にいる老婆に話を聞く。
「今教会として使ってるこの建物は、本当はニコラの家の宝物庫なんじゃ。」
「じゃが村の皆のために建物の一部を貸してくれてるんじゃよ。」
「宝物庫にはご先祖様の遺産が眠っているんじゃ。」
「その遺産の全てを代々管理しているのがニコラの家なんじゃよ。」


シスターに話を聞く。
「飛空石と呼ばれる物を守るのが我等の祖先である神の兵の使命だったのです。」
「魔王に狙われた神の兵は、神の石を埋め込んだ神殿で大空へ飛び立ったのですが、魔王の追手に神殿を落とされ、神の兵の一部は大地を放浪する民になったと聞きます。」


学者風の男性と話をする。
「ここはメザレ。神の兵の末裔の村です。」
「神の兵とは遠い昔、英雄と共に魔王と戦った勇敢な兵士達のことです。」


酒場に入ると、ニコラが男性と話していた。
「ニコラよ、未だに英雄が目覚めないのはこの世が平和だからじゃねえのか?」
ニコラが首を振る。
「違う、そうじゃない。神が英雄を封印したのは魔王に支配されるかもしれない後の世を案じてのこと。」
「神が後の世に生きる僕らのために英雄という希望を残してくださったんだ。」
「ならば本当の平和は英雄を復活させて初めて訪れるとは思わないか?」
男性が言う。
「俺はそうは思わないぜ。何一つ争いなどなく世界は平和そのものだろ。」
「お前の言葉を信じるやつはこの村には一人もいねえよ。」
「たとえ魔法の絨毯をもらえたって、俺は英雄探しなんてゴメンだね。」


ニコラは酒場を出て行った。
ニコラと話していた男性に話しかける。
「なんでニコラがご先祖様の昔話にこだわるのかさっぱり分からねえな。」
「今は大昔と違って平和そのものだってのによ。」


別の男性に話を聞く。
「大昔の戦争で神は魔王に敗れたんだってよ。」
「伝説では魔王も世界を闇に封印した後、力尽きて消えちまったそうだぜ。」


女性と話をする。
「伝説では世界の未来のために神様は自らの手で最強の英雄を封印したそうよ。」
「今でもこの世の何処かでその英雄は目覚めの時を待っているのかしら。」


ニコラの家に行き、話しかける。
「うるさいなあ、もう。今は英雄を復活させることで頭が一杯だってのに。」
「やや、その格好は!もしやあなた方は冒険者なのでは?」
「皆さんを経験豊富な冒険者と見込んでひとつ頼みがあります。」
「まずは僕の後についてきてください。」
ニコラについていくと、地下にある宝物庫に連れていかれた。
「わざわざ来てもらったのは他でもありません。封印された英雄のことです。」
「皆さんも冒険者なら神に封印された英雄の話くらい耳にしたことがありますよね。」
「神は魔王に敗北する直前に自らの手で最強の英雄を封印しました。」
「自分が敗北した後、魔王に対抗できるのはその英雄ただ一人になるからです。」
「滅びゆく神によって未来を託されたその英雄は、復活の時を待ってるはずです。」
「こんな平和な時代に英雄なんて必要ないだろうと、そのように言う人もいます。」
「だけど僕は神の兵の子孫としてどうしても英雄を復活させたいんです。」
「そこでお願いです。これに乗って英雄を探し出して、そして復活させて下さい。」
「この魔法の絨毯があればどんな所へだって行けるはずです。」
主人公は魔法の絨毯を受け取った。
「では宜しく頼みます。必ずや封印された英雄を復活させて下さい。」


町の外に出て魔法の絨毯を使ってみるが何も起きない。


ニコラの屋敷にいるメイドに話を聞く。
「伝説では海に沈んだ都市に人魚の月と呼ばれる宝石があったそうです。」
「人魚の月を見せていただければ皆さんを冒険者と認め、本物の魔法の絨毯をお譲りしましょう。」


主人公は謎の神殿の黄色の石柱の台座に石版をはめ、新しい場所へワープした。
北東に進んでいくと砂漠の城があり、中へ入ると男性に声をかけられた。
「ここで何をしている!」
「・・墓を荒らしに来たのではなさそうだな。」
「見たことなのない姿。お前たちは旅人か?俺の言うことが分かるか?」
「この城は墓場だ。女王に見捨てられた砂漠の民の墓。」
「それを夜ごと荒らしに来る魔物がいる。こらしめてやらねば気が済まん。」
「邪魔だ。村ならこの先、城より南東にある。俺の名を言えば入れてくれる。」
「俺の名はハディート。さっさと立ち去るがいい。」
「女王め・・一人だけ逃げ出すなどと・・」


砂漠の村へ行くと、入り口にいる村人達が話をしていた。
「こうしてはおれぬ・・」
怪我をしている男性が外へ出ようとするのを別の男性が止めに入る。
「待て!無茶だ!そんな身体で村の外へ出る気か。」
怪我をしている男性は止めに入った男性を振り切り、村を出ていった。
「女王様・・命に変えても・・魔物からお救い致します・・」


入り口にいる男性と話をする。
「何?ハディートという若者にこの村のことを聞いただと?」
「ならばよかろう。村で休みたいなら族長様にお願いするんだな。」


村の老人に話を聞く。
「暗い空じゃ。もう何日もお日様を見ていない。きっと神様がお怒りなんじゃ。」
「女王様と城の者を助けも出来ず、ただ身を潜めていたわしらにな。」
「空が暗くなってから母なるナイラは荒れ狂い、魚をとることが出来ない。」
「地下には残り少ない食べ物が蓄えてあるが、族長様の許しなしには近づくことも出来ないんじゃ。」


道具屋の男性と話をする。
「この砂漠もひどいもんさ。城も女王様も魔物にやられちまった。」
「俺も足の古傷がなきゃ死んでたか、ナイラの向こうで働かされていただろうな。」


村の奥の家で族長と話をする。
「こんな時に旅人とはな。ふうむ。城で会った男にこの村のことを聞いたと?」
「ゴホゴホ・・これは失礼した。どうも近頃、体の調子がおかしくての。」
「それでも生きているだけワシは幸せ者じゃ。」
「しかしまだ城に魔物が・・なんということじゃ。」
「お疲れじゃろう。今夜はワシの家に泊まって行くといい。」
「2階の息子の部屋を使いなされ。」


2階のベッドで寝た後、再び砂漠の城へ向かう。
地下に行くとボーンライダーという魔物がいた。
「何だあ?こりゃあたまげた。まだ生き残りがいたとはね。へっへっへ。嬉しいねえ。」
「たまにゃあ生きてるのをいたぶらなくっちゃな!」
その時、ハディートが現れた。
「とうとう見つけたぞ!我等が同胞を汚す者!」
「八つ裂きにしても気が済まん・・」
主人公達の姿に気がつくハディート。
「お前たちは!何をしている。この城へは近づくなと言ったはずだ!」
ボーンライダーが言う。
「おやまあ。今日はいい日だあ。またおもちゃが増えた。」
「ほら来いよ!まとめてかかってきな!」
主人公達はハディートと協力してボーンライダーを倒した。
「待てよ!俺を殺していいのか?」
「ほら見ろ!この首飾りが何だか分かるだろ?」
「お前らの女王様がくれたのよ。俺は女王様のお気に入りだぜ?」
「お前らこの首飾りの持ち主の言うことは何でも聞くんだろ?」
ハディートが言う。
「話はそれで終わりか?」
ハディートはボーンライダーにとどめを刺した。


落ちている首飾りを拾うハディート。
「この首飾りは確かに王家の物。それを魔物にくれてやっただと!」
「それにしてもお前たち、危ないから城に近づくなとあれほど言ったろう。この馬鹿者どもが。」
「砂漠の民の問題にいらぬおせっかいを!・・まあいい。一応礼は言う。」
「さあ、村まで送ろう。俺についてこい。」


ハディートと共に城の出口に向かうと外は猛烈な砂嵐が吹いていた。
「困ったな。外はひどい嵐だ。こうなっては待つより他に方法はない。」
「ふむ、どうせなら・・よし、地下へ戻るぞ。」
再び地下へ戻った。
「待っている間、どうせすることがないだろう。」
「墓を作るのを手伝っていけ。」
「おせっかいなお前たちだ。文句はなかろう?」
時間はかかったが何とか墓を全て作り終えた主人公達。
「そう言えばお前たち。まだ名前を聞いていなかったな。」
主人公達はハディートに自己紹介をした。
「そうか、ふむ。ずいぶん長い旅をしてきたようだな。」
「この砂漠の他にも魔物に苦しめられている人々がいるとはな。」
「だが民の苦しみは魔物のせいだけではない。女王が・・」
「魔物が言っていただろう。女王は命乞いのために首飾りを差し出したと。」
「自らの民を見捨てて己だけが助かろうと・・いや、明日話そう。」
「疲れたろう。少し休むといい。俺が見張っている。」


全ての亡骸は手厚く墓に弔われた。
そして夜が明けた。
「目が覚めたのか。」
「ついこの間まではこの城も立派な城だった。」
「砂漠には昔から魔物がいたが大した数ではない。」
「ところが女王は魔物を砂漠から追い払うため精霊の像を作ると言い出した。」
「男たちは懸命に働き、大地の精霊の像を作った。それが魔物の王に目をつけられた。」
「砂漠は闇に閉ざされ、多くの同胞が命を落とした。精霊の像を守ろうとして。」
「砂漠の民ならば精霊に頼らずとも自らの腕で魔物ぐらい倒せるはず。」
「城が滅ぼされ、仲間たちが死んだのは女王があの像を作ろうとしたからだ。」
「こんなことを言うのは村でも俺一人だがな。」
「外がだいぶ静かになったな。」
「よし、村へ戻るぞ!」


ハディートと共に砂漠の村へ行き、族長の家に入る。
族長がハディートに言う。
「久しぶりじゃな。この村は何とか死人も出ず持ちこたえておる。」
「空が暗くなって久しい。女王様の行方も知れず、村人も不安をつのらせておる。」
「今や希望はお前だけ。どうじゃ?ナイラの流れにいにしえの竜は見い出だせたか?」
「ナイラに眠る神の竜ティラノスの力を借り、悪しき魔物を・・」


ハディートが言う。
「ティラノスはまだ見つからん。」
「魔物が城を荒らしていたことはご存知だろう。」
「魔物はこらしめた。旅人たちの加勢もあってな。ついでに墓もたてておいた。」
「話はこれからだ。魔物はこれを持っていた。」
ハディートは族長に女王の首飾りを見せた。
「女王が先代より受け継いだ砂漠の王者たる証。」
「こともあろうに女王は、それを命乞いのため魔物にくれてやったのだ。」
「あれが女王になってから全ての災いは始まった。これがその証。」
「俺の言ったように精霊の像など作らなければ魔物もやって来なかったのだ。」
「この首飾りは代々の王や女王に受け継がれてきた物だ。」
「砂漠の王者の印。こともあろうにそれを魔物にくれてやっただと?」
「俺はあんなやつが女王だなどとは認めん。全てはやつのせいなんだ。」


2階から老婆が降りてきた。
「母上か?顔色がすぐれないようだが、どこか身体を・・」


ハディートの母親が言う。
「そう、年寄りや病人は歩くことさえままならぬ。私がいい見本です。」
「その上魔物が出ては我ら弱い者は村から一歩も出られぬ。」
「女王陛下は我々女や子供、年寄り、病人のため精霊の像を作られた。」
「我ら弱き者も安心して砂漠で生きられるよう。魔物を滅ぼず像を。」
「そのお方を悪く言うなどとは!・・ゲホゲホ!」
「ハディートや。まこと強き者は心優しき者。」
「ゆめゆめ忘れずに。」


ハディートの母親は2階に戻っていった。
ハディートが言う。
「精霊像は弱い者のため?それが真実だとしても魔物に命乞いをしたのは確かだ。」
「俺には女王は信用出来ん。お前たちもはっきり聞いたろう?」


族長が言う。
「おや?宝石の下に何か挟んであるような。ふむ、なかなか取れないな。」
「むむ、引っかかってうまく外れない。・・むん!」
「おお、外れたぞ。なんだ、この折りたたんだ紙は。」
「読むぞ・・親愛なる我が砂漠の民よ。」
「皆無事でありましょうか。私は変わりありません。」
「忌々しいことに、こちらではとうとう魔王の像が完成してしまいました。」
「空が暗く、河も荒れ狂うようになったのは魔王の像のせいだと魔物たちが言っています。」
「魔物の数も増えたようです。魚や鳥はとれますか。ひもじい思いをしていませんか。」
「今のところ集められた男たちは無事のようですが、いつ用済みとされるのか。」
「男たちが殺される前に私は魔王の像の秘密を探ろうと思います。」
「もし河を元に戻せば逃げ出すのは容易いこと。宝石で見張りは手懐けました。」
「城へよく行くという魔物に首飾りに隠して預けたこの手紙、あなた方に届くことを祈っています。私はご心配なく。」
「愛する砂漠の民へ。女王フェデル。」


ハディートが言う。
「父、ザラシュトロ!俺はもう一度村を出る!」
「必ず古の竜を探し出し、ナイラをさかのぼって女王に直接会うのだ!」


族長ザラシュトロが言う。
「行くが良い。お前に大地の精霊の加護があらんことを。」


ハディートは村を出ていった。
族長ザラシュトロと話をする。
「全く忙しい息子じゃ。さて、どうやら城の魔物をこらしめる手伝いをなさったとか。」
「感謝致しますぞ。これで同胞も安らかに眠れる。」
「皆様の優しき心に砂漠の民を代表してお礼を差し上げよう。」
主人公は砂漠のお守りをお礼に貰った。
「砂漠の民に伝わる大事なお守りじゃ。」
「それを見せれば砂漠の民はあなた方に必ず協力する。」
「天の国の仲間に代わりお礼を。あなた方の旅に神のご加護があらんことを。」


一度現代に戻り、エンゴウから船で南西に進んで発掘現場へ向かった。
発掘現場で学者と話をする。
「その砂漠のお守りは・・まさか!」
「ふむ、そうだ。あの欠片と同じ模様。つまりは、これは円形の・・では皿ではなく・・」
「そうか、ならばこれも・・いや、となると・・」
「ふむふむ、おお!なんということだ!これまでの仮説が!」
「いや、だがこれでは・・ふむ、ふむ。」
「ん?おお、忘れておった。お前たち、そいつを何処で手に入れた?」
主人公は考古学者にこれまでのことを説明した。
「ふむ、確かにこの模様は遥か古代のもの。しかし細工は新しい。」
「時間を超えて?いや、そうとでも考えなければ説明がつかん。」
「信じられん話じゃが、信じてみたくなってきたぞ。」
「よし!わしをお前たちと一緒に連れてゆけ!」
「遥か時を超えた世界をこの目で見られるならば化石などくれてやる!」
主人公は古代の化石を貰った。


学者とともに再び過去の砂漠の城へ向かった。
「おお、ほとんど完全な姿のままじゃ!」
「この様式は・・するとこの時代は・・む、あれは!」
「ううむ、あれはまさか!」
「おおお!素晴らしい。まさかこの目で・・おお、神よ・・」
「ぶつぶつ・・あの碑文から見ても・・つまりは祭りの・・」
「ん?なんじゃお前たち。まだおったのか。」
「わしゃ忙しい。話は後だ。」
「骨なら返さんでいい。この大発見に比べたらどうでもいいわい。」


学者を置いて砂漠の村の族長の家へ向かう。
どうやら族長が倒れてしまったようだ。
「ようやく奥様がお元気になられたというのに、今度は族長が倒れられた。」
「今化物に攻め込まれたらひとたまりもないよ。こんな時にハディート様がいてくれたらねえ。」


ちょうどその時、ハディートが帰ってきた。
「何故か妙な胸騒ぎがしてこの村へ戻ってきた。」
「父は・・まだ息はあるが・・」
族長が意識を取り戻した。
「おお、ハディートか。見ての通りワシはもうじき死ぬだろう。」
「む・・それは・・お客人、その骨を見せてはくれまいか!」
主人公は族長に古代の化石を見せた。
「なんと!・・ハディートよ。お前が小さい頃よく聞かせてやったあの話、覚えておるか?」
「ナイラの聖なる竜、いにしえより生きる大いなる竜は頭に金色の角を持つ。」
「そう、この骨と同じように。やはりもうティラノスは滅んだのか。」
「どうりで見つからんわけだ。もうとっくに滅んで・・そうか・・」
「ハディート、次の族長はお前だ。良いな?」
「ティラノスは見ての通り。女王様をお救いしたいその気持はワシとて同じ。」
「だがもはや手立てはない。ならば砂漠の民の血を絶やさぬことが我らの務め。」
「族長となり村を守るのだ。ワシに代わり、この村を・・よいか・・」
「お客人、頼みがある。」
「族長を務めし者はそのむくろをナイラに流し、母なるナイラに帰る掟。」
「ナイラの者はナイラへ帰る。ワシの葬式のとき、ティラノスの骨もナイラへ・・お願いする・・」
族長は息を引き取った。


ハディートが村人を集める。
「皆よく集まってくれた。礼を言う。」
「誇り高き砂漠の民、その偉大なる族長、父、ザラシュトロは死んだ。」
「掟通り、葬儀は明日ナイラにて行う。皆、明日に備えて各々の家へ戻れ。いいな?」


主人公達は眠れぬ夜を族長の屋敷で過ごした。
風に乗って誰かのすすり泣きが一晩中聞こえていた。
そして夜が明けた。


ナイラの河辺でハディートに話しかける。
「ではこれより我が父、族長ザラシュトロの葬儀を行う。」
「母なるナイラよ。今ここに正しき道を歩みし族長ザラシュトロが帰る。」
「誇り高き砂漠の民、その族長ザラシュトロはまこと正しき道を歩んだ。」
「ならばナイラよ、その腕にザラシュトロのむくろを抱き、天の国へと導け。やがて来る蘇りのその時まで。」
「誇り高き砂漠の民、偉大なる族長、我が父、ザラシュトロ。」
「その意思をここに受け継がんことを誓う!」
族長の棺がナイラの河に流された。
「ティラノスの魂もナイラに帰りたがっているだろう。さあ、骨をナイラへ!」
主人公はティラノスの骨をナイラ河にそっと浮かべた。
すると骨は金色に輝き出し、ティラノスの魂が天から降りてきた。
そして金色の角を2本持つ神の竜ティラノスが復活した。


ハディートが驚く。
「ティラノス?まさか・・いや、これは夢ではない。」
「神よ。初めてあなたに感謝を捧げる。そして他でもない、主人公!お前たちにもだ!」
「お前たちの助けがあってこそ、この奇跡は起きた。」
「だから俺はこの奇跡に賭けてみたい。今、この時に!」
「皆、すまない。ティラノスが現れた今、俺は族長にはなれない。」
「このいにしえの竜でナイラをさかのぼり、女王を助けにゆく!」
「もし女王と共に俺が生きて戻れたなら、その時こそは族長になる。」


ティラノスの背に乗り、ハディートと主人公達はナイラ河をのぼっていった。
そして魔王像の入口にたどり着いた。
魔王像の内部に入り、最上階に登っていくとセトという魔物が待ち構えていた。
襲いかかってくるセトを倒し、魔王像の目にはめられている闇のルビーを外す。
そこへ幽閉されていた女王フェデルが現れた。
「私は長い間この時を待っておりました。」
「魔王像の両目にはめられた闇のルビーこそ、砂漠の封印を司る鍵。」
「悪しき力は今その効力を失い、魔王の像は崩れゆく。」
「皆さん、急いでここから脱出しなければ。」
魔王像が崩れる前に皆で脱出し、ティラノスに乗り元の場所に戻った。


一行は村へと帰り、その晩は女王の帰還と新しい族長の就任を祝う宴となった。
主人公達はハディートと共に砂漠を救った英雄として手厚くもてなされた。
そして夜が明けた。


ハディートと話をする。
「目が覚めたか。今城を直す算段をしていたところだ。」
「いつまでも魔物に荒らされたままにしておくわけにもいかんしな。」
「それはそうと、ティラノスだが、いずこかへ去っていったらしい。」
「あれはもしかすると大地の精霊が我々に遣わした救いなのかも知れないな。」
「まあいい、村からの礼だ。」
「村の貯蔵庫にある宝を好きなだけ持っていくといい。」
「これからの旅に役立ててくれ。」
「お前たちに神と大地の精霊の導きがあらんことを。」


フェデル女王と話をする。
「まあ、ごきげんよう。あなた方には言葉では言い尽くせぬほどお世話に。」
「落ち着きましたらお礼は何なりとさせて頂きますわ。」
「皆私を信じて、長い間待っていてくれました。」
「私は女王として彼らを導かねばなりません。その思いに報いるため。」
「城と村とを建て直し、いずれはもう一度、精霊像を。それが私の願いです。」


村の東にある貯蔵庫から「不思議な石版・黄」を入手した主人公は、砂漠の城で考古学者に話しかける。
「おお、お前さんか。そう言えば礼がまだじゃったな。連れてきてくれてありがとうよ。」
「ところで、勝手を言って悪いがワシはこの世界に残ることにした。」
「なあに、身内もおりゃせん。ワシが戻らなくても誰も困らんよ。」
「発掘の仕事はいつも霧の中を手探りで進んでいくようなもの。」
「じゃが失われた知識、真実の全てがここには残っておる。分かるか?この喜びが。」
「たった数時間で今までの一生よりも多くを学べるのだ。それがどんなに・・ああ、今ワシは幸せだ。本当に何より幸せだ。」
「そうだ、もしも元の時代へ帰ることがあったら、発掘現場の男にこれを渡してくれ。」
「あの男はよく働いてくれた。現場のはしごの前で見張っている男だ。」
主人公は手紙を預かった。
「最後まで世話をかけるな。ありがとう。お前さんの旅の無事を祈ってるよ。」


現代へ戻り、エンゴウから船で南西に進んで発掘現場へと向かう。
発掘現場のはしごの前で見張っている男に手紙を渡す。
「そうか、他の場所でもっとすげえものを見つけたからここへは戻ってこないのか。」
「そうか、じゃあ俺はもうここを見張ってなくてもいいわけだ。寂しいな。」
「ありがとな、あんたら。どっかで先生に会ったら頑張れよって伝えてくれ。」


謎の神殿に行き、黄色の石柱の台座に石版をはめてワープする。
ワープした場所から西に進んでクレージュの村に入った。
クレージュの村には辺り一面、闇の霧が立ち込めていた。
旅の戦士に話を聞く。
「この村に魔王が現れたと聞いてやって来たのだが、なんなのだ。ここの村人たちは。自分こそが魔王だと・・」
「私をバカにしているのか?」


村人たちが集まって何やら話をしている。
「そろそろ誰が真の魔王か決着をつけたいところだな。」
「だがどうやって決める?どんな事をすれば俺様が真の魔王だと証明できる?」
「それについては俺にいい考えがある。村の北にあるご神木を切り倒すんだ。」
「あれを傷つけるとタタリがあると評判だが、真の魔王ならば何を恐れることがあろう。」
「どうだ?この勝負、のってみないか。」
「そうか、ご神木をな。いいだろう、やってやるぜ。」


村長の家に行くと、村長はベッドで寝ていた。
「これは旅のお方。悪いことは言わん。早いとここのクレージュを離れなされ。」
「あんた方も見たじゃろうが、この村の者たちは皆おかしくなってしもうた。」
「かく言うワシも徐々にこの村を包む毒気に身体を蝕まれつつあるのじゃ。」
「ともかくこの村におっては、あんた方の身にもよくない。さあ、早く出ていきなされ・・おお、そうじゃった。あんた方、待って下され。」
「あんた方に一つ頼みたいことがあるんじゃ。」
「このクレージュ村の北にご神木と呼ばれる大きな古木が生えておるのは知っておろう。」
「実はそのご神木の根元に住んでいる風変わりな少女がおるんじゃが、その娘にもこの村の様子を教えて、決してここには近づかんよう伝えてくれんか?」
「面倒とは思うがワシももうロクに動けん。どうか頼まれてくれ。」


クレージュを出て北にあるご神木へ行き、根元の小屋で寝ている女の子に話しかける。
しかし深い眠りについていて、まったく起きる気配がない。
仕方ないのでクレージュに戻ると、村人たちがご神木を切り倒しに向かうところだった。
主人公も後を追い、再びご神木へ向かう。
村人達の中に怪しい男が混ざっていた。
「そうだ、やってしまえ!魔王に恐れるものなど何もないのだ!」


そこへご神木の根元の小屋で寝ていた女の子がやって来た。
「やめて下さい。この木を傷つけないで。」


「うるせえ、小娘が!魔王様に逆らうか!」
女の子は村人の男性に殴り倒されてしまった。


怪しい男に話しかける。
「何だお前達は。邪魔なガキどもめ、私が相手してやる。」
「どういうつもりか知らんが、我が計画の邪魔はさせんぞ!」
主人公は襲いかかってくる怪しい男を倒した。
「チッ!ここでは場所が悪いな。」
「貴様たちのようなガキ共に我が計画が邪魔されるとは。」
「覚えておけ!この礼はいずれ必ずさせてもらうぞ!」
怪しい男は姿を消した。


ご神木を切り倒そうとしていた村人達を追い払い、気を失っている少女を根元の小屋まで運びこんだ。
しばらくすると少女が意識を取り戻した。
「あなた方は?そうだ、ご神木は無事ですか?」
主人公は頷いた。
「そうですか、よかった。ひょっとしてあなた方が私を助けて下さったのね。」
「ありがとうございます・・ゴホゴホ!」
「失礼しました。この森の地下を流れる水脈が汚され、森が、そして私の身体までもが弱っているのです。」
「もしご神木がなかったら、この森も私も、とうの昔に息絶えていたでしょう。」
「ご神木は汚された水を浄化し、大いなる癒やしの力をもたらす神の木ですから。」
「でもまさかクレージュ村の人達がご神木を切り倒そうとするなんて。」
「きっと彼らは魔王の呪いで汚された水を飲んでしまって・・う!ゴホゴホ!」
「今日は少し疲れました。狭いところですが皆さんもどうか休んでいって下さい。」


主人公達は少女の家で一夜を明かした。


「すみません・・身体が辛くて起きるに起きれないんです。」
「申し訳ありませんが、そこの水差しでご神木の朝露を汲んできてもらえませんか。」


エルフの水差しで、神木の朝露を汲んで少女に渡した。
「ありがとうございました。おかげでずいぶん体が楽になりました。」
「それにしても水差しから溢れる程の朝露がとれるなんて、こんなの初めてです。」
「これだけの朝露があれば村の人々を救うことが出来るかも知れません。」
「ご神木の癒やしの力を持つこの朝露ならば、村人の呪いを清められるかも。」
「問題は村人が素直にこれを飲んでくれるかですが。でも試す価値はあると思います。」
「お願いします。どうかこの朝露の力で村人達を救って下さい。」
「私はご神木から離れることが出来ないので、皆さんしか頼れる方がいないのです。」


クレージュ村へ行き、ベッドで寝ている村長に神木の朝露を使った。
「うん?なんじゃ、その水をワシに飲めと?」
「おお、これはご神木からとれた朝露なのか。どれ、ゴクゴク・・」
「ぷはー!すごい!体中にチカラがみなぎるようじゃ。」
村長はベッドから起き上がった。
「これがご神木のチカラ・・いける!これならばきっと村の者たちを元に戻せるぞい。」
「あんた方、もしこの村を救ってくれると言うなら頼みたいことがあるんじゃ。」
「その朝露を全て村の井戸にまいてくだされ。あれは村で唯一つの水源なんじゃ。」
「おまけに外の連中ときたら井戸水ばかり飲みおるからな。きっと上手くいくはずじゃ。」


村の中央にある井戸に神木の朝露を入れようとすると、村人達に阻まれてしまう。
「おや?この井戸に妙なものを入れないで下さいよ。」
「おい、みんな!こいつらが我々の井戸に妙なものを入れようとしてたぜ。」
「ひょっとしたら毒物かも知れんぞ!」


村人達に井戸を囲まれてしまい、神木の朝露を入れることが出来なくなってしまったので再び村長と話をする。
「なぬ?井戸に朝露をまこうとしたら村の者達に邪魔されたじゃと?」
「むむう、いや、まだ方法はあるぞ。あの井戸はこの一体を流れる地下水脈に通じておる。」
「どうにかしてその地下水脈に入れれば、井戸の中までつながっておるはずじゃ。」


ご神木の小屋で女の子に話を聞く。
「そうですか。村人達が妨害を。でも朝露を井戸に入れるのはいい手ですね。」
「たしかあの井戸はこの森の地下水脈につながっているはず。」
「それなら私はご神木の根元に、地下水脈へ通じる穴があるのを知っています。」
「あそこなら村の井戸へ行くことも出来ましょう。穴の入り口へご案内します。」
「ですが気をつけて下さい。地下水脈の中には水を汚した魔王の手下がいるはずですから。」


神木の根元から地下水脈に入って巣食う魔物を倒し、毒沼に神木の朝露をまいた。
地下水脈から井戸を登って村に出てくると、怪しい男が待ち構えていた。
「おのれ、またもや貴様たちの仕業か!ことごとく邪魔をしてくれる!」
「忌々しい人間どもめ。かくなる上はこの村ごと貴様らを焼き尽くしてくれる!」
怪しい男はウルフデビルに姿を変え襲いかかってきた。
主人公達はウルフデビルを倒した。
「おのれ、人間ども自らの手で神木を切らせる計画が・・」
ウルフデビルは消滅した。


村人達は皆、正気に戻ったようだ。
村長と話をする。
「いやはや、どうにか上手くいったようじゃのう。本当にありがとうよ
。」
「あんた方が来てくれなんだら今頃この村とご神木はどうなっていたことやら。」
「ともかく皆さん、さぞお疲れのことじゃろう。」
「村の連中も改めて礼を言いたいだろうし、今夜はワシの家に泊まっていきなされ。」


村長の家で泊まり、翌朝、村の農夫から「不思議な石版・赤」を貰った主人公は神木の小屋で少女と話をする。
「皆さんが来るのをお待ちしておりました。」
「実はご神木と私の正体を聞いて欲しかったのです。」
「この木、ご神木は大いなる癒やしの力を持つという世界樹の、その若木なんです。」
「今のこの木が成長して完全な世界樹となるまでには、あと数百年はかかるでしょう。」
「そしてその日まで、ご神木の成長を助け、見守っていくのがこの私の役目。」
「私はこの森の木々より生まれた妖精なのです。」
「私はこの地に人間が住むずっと以前からご神木と共にありました。」
「実はご神木のタタリの噂を流したのは私なんです。人間がご神木に近づかぬように。」
「私はずっと人間たちを恐れていたんです。今回はそこを魔物に漬け込まれました。」
「でもこれからは、もっと人間を信用して共にご神木を守っていこうと思います。」
「こう思えたのはあなた方や、あの村長さんのおかげです。本当にありがとう。」
「これはほんのお礼の品です。ご神木の枝から作った杖なんですよ。」
主人公は「祝福の杖」を貰った。
「私はご神木を育て、守るという役目のために何度も生まれ変わってきました。」
「ですが木が世界樹となり、私の役目が終わった時にはどうなるのでしょうか。」
「この世界から消えてなくなるのでしょうか。それとも・・」


主人公は現代へ戻り、赤色の石柱の台座に石版をはめ再びワープした。
ワープした場所から東に進んでリートルードの町へ入った。
「ここはリートルードの町。天才建築家、バロック先生が作った時計塔で有名なのよ。」


町の老婆と話をする。
「クリーニ先生はよく出来た人でのう。私たちのような貧しい者にも優しいんじゃよ。」
「それに比べてバロックの悪たれめは天才とか呼ばれていい気になっておる。」
「だいたい昔から鼻持ちならない奴だった。どうして二人の仲が良いのか不思議じゃよ。」


隣りにいる女性にも話を聞く。
「この町で先生と呼ばれているのは、建築家のバロック先生とお医者のクリーニ先生さ。」
「お二人は幼馴染でね。今でも親しいみたいよ。」


時計塔の前にいる男性に話を聞く。
「うーむ、素晴らしい。やはりバロック氏の建設は芸術の極みだな。」
「明日の開通式では最新作の橋がお披露目になる。ワクワクするなあ。」


南西にあるクリーニの家に入る。
クリーニは診察中だった。
「ほんとにこの子はドジなんだから。どうして階段から落ちたりするかねえ。」
エイミという女性が階段から落ちて怪我をしてしまったようだ。
「すみません、女将さん。あたしの付き添いのために宿を空けることになっちゃって。」


クリーニが言う。
「うーん、骨は折れてないけど、こりゃ捻挫しているね。」
「しばらく動かさない方がいい。当分はここで治療に専念してもらうよ。」
女将さんが言う。
「まったく、明日はいよいよ橋の開通式だっていう忙しい時にしょうのない子だよ。」
「いいかい、エイミ。仕事を休むからにはしっかり治して帰ってくるんだよ。」
女将さんはエイミを残して宿屋へ帰っていった。


クリーニと話をする。
「おや、旅の方かい?ははあ、さては君たち、橋の開通式を見に来たクチだね。」
「でも開通式は明日だから、今日のところはこの町の宿屋にでも泊まっていくといいよ。」
「ちょうどさっき出ていった人がこの町の宿屋の女将さんなんだ。」


使用人と話をする。
「宿屋で働いているエイミって、以前は遠くの町で母親と二人暮らしだったんですって。」
「それでクリーニ先生は、エイミの母親のエミリアさんて人と古い友人だったそうなのよ。」
「だから母親を亡くして身寄りのなくなったエイミをこの町に呼んだらしいけど。」
「古い友人ってどの程度の関係だったのかしら。ちょっと気になるわよね。」


バロックの家でバロックと話をする。
「うん?今お前ら時間がどうとかって言ってなかったか?」
「ひょっとして同じ時間が繰り返しているとでも言うんじゃあるまいな。」
「こいつは驚いた。まさか俺と同じ事を感じてる奴がいるとはな。」
「何だか知らんが近頃、毎日同じことを繰り返している気がして苛ついてたんだ。」
「これも天才ゆえの悩みかと思っていたんだが、お前ら凡人が気づくとなると何かあるな。」
「おい、お前ら。鍵を渡すから時計塔の様子を見てこいよ。」
「時計ってのはただ時間を知るためにあるんじゃねえ。人が時間を支配するためにあるんだ。」
「ましてやこの大天才バロック様が作った時計だ。そのチカラは半端じゃねえ。」
「だからこの異常はあの時計塔の時計に故障でも起きたせいじゃねえかと思うんだ。」
「そういう訳でちょっと行ってこいや。別に壊れてても直せとまでは言わねえからよ。」
主人公は時計塔の鍵を受け取った。


鍵を使って時計塔に入り最上階に登ると、怪しいレバーがあったので動かしてみる。
すると時計塔の歯車が止まり、時計が止まってしまった。
時計塔を出ると、町の人々が止まったまま動かなくなっていた。
それを見たマリベルが言う。
「何よこれ。みんな全然動いていない。」
「ひょっとして時間が止まってるの?そんな馬鹿なこと・・」


クリーニの家に行くと地下にクリーニがいた。
クリーニは手紙を持ったまま止まっている。
主人公は手紙を覗き見た。
「この手紙があなたの目にふれる頃には恐らく私はもうこの世にいないでしょう。」
「長年の病を患っており、この日を覚悟はしていましたが、ただ娘のことが気がかりです。」
「あの人の重荷にはなりたくないので、娘には父親のことは教えておりません。」
「古い友人であるあなただけが頼りです。どうか娘の後見をお願いできないでしょうか。」
「厚かましいお願いかとは思いますが、どうか聞き届けてくださいませ。」
「今も変わらぬ友、クリーニへ。 エミリアより」


地下室には不気味な時計塔の絵が飾られている。
時計塔が描かれていたはずのキャンバスの中には奇妙な空間がうごめいている。
すると突然、主人公達は時の狭間へワープした。
時の狭間を進んでいくと、一番奥にタイムマスターがいた。
「む、何だ貴様たちは。どうやって人間がこの時の狭間に。」
「いや、それ以前にどうして貴様ら、時の封印から自由でいられるのだ?」
「ふん、まともに答える気はなさそうだな。」
「まあいいさ。どのみち、ここを知られたからにはタダでは帰さん!」
「閉ざされた時の中で大人しくしていなかったことを後悔するがいい!」
主人公は襲いかかってくるタイムマスターを倒した。
「おのれ、この私がこんなガキ共に・・」
「だが喜ぶのはまだ早いぞ。たとえ私が死んでも刻の封印は解かれることはない。」
「そう、この時の砂時計がある限りはな。フハハハ・・」
「・・あ、余計なことを言ってしまった・・・」
タイムマスターは消滅した。


主人公の目の前に大きな砂時計がある。
この時間の異常に関係しているのだろうか。
主人公は砂時計を壊してみた。
砂時計から時の砂が流れ出す。
主人公は時の砂を手に入れた。


時の狭間を出てリートルードへ戻ると、止まっていた時間が元に戻っていた。


一度宿屋で宿泊し、翌日北西の橋へ向かう。
群集と一緒に町長の話を聞いた。
「・・でありまして、本日この様な開通式が行えることはまことに喜ばしく思われ、この橋の完成を心から祝うものであります。以上。」


橋の左の方でバロックとクリーニが話をしていた。
「バロック、そろそろ打ち明けた方がいいんじゃないか。父親は生きてここにいるってこと。」
バロックが言う。
「余計なお世話だ。エイミの母親も教えないことを望んでいたのだろう。」
「お前の出る幕じゃない。それに俺はあいつを捨てた男だ。どうして今さら。」


「それは・・エイミのことはお前の知らなかったことじゃないか。」


バロックが言う。
「知っていても同じことさ。それに実際、俺は怖いんだ。」
「とにかく俺は名乗り出る気はない。お前も余計なことはするなよ。」
「ああ、開通式の挨拶を忘れてたぜ。」


その後開通式は滞りなく終わり、人々は祝の宴へと移って行った。
主人公達も人々にまじり大いに楽しんだが、そこにバロックとクリーニの姿はなかった。
そして夜が明けた。


橋を通った先にはグリンフレークの町があった。
大きなハーブ園があった町だ。
以前訪れた時より30年ほどの時が流れているようだ。


イワンはリンダと結婚した後、ハーブ園をブドウ園に改造したが見事に失敗。
屋敷の主がカサドールという男性に代わり、元通りのハーブ園になった。
その後カサドールは使用人のカヤと結婚した。


イワンとリンダの間にはエペという息子が生まれるが、イワンに愛想を尽かしたリンダは町を出ていってしまった。


カサドールと結婚した後もイワンに想いを寄せているカヤは夫のカサドールを毒殺しようと試みるが、メイドのチェリよってその事実が発覚する。
イワンとカヤは町を追い出されることになった。


グリンフレークの町を出て北へ進んでいくと、メモリアリーフというハーブ園があった。
30年ほど前にグリンフレークを出たペペが設立したハーブ園のようだ。
ペペは両親を亡くしたリンダという名の少女を養女として一緒に暮らしている。


養女リンダが屋敷にやってきたのはひどいどしゃぶりの夜だった。
ずぶ濡れで入ってくるなり、リンダは大声で泣き出した。
「パパとママが死んじゃった」と。
最初はペペもリンダを修道院に預けるつもりだった。
けれども少女がリンダという名前だと知った時、養女にすることを決めた。


メモリアリーフの側にはギュイオンヌ修道院があった。
グリンフレークを去ったリンダはこのギュイオンヌ修道院でベシアという修道名で生活していた。
身体の弱かったリンダは半年ほど前に病に倒れ、帰らぬ人となった。
リンダの墓はペペのハーブ園が見下ろせる場所にたてられていた。
リンダが死ぬ時、そう願ったようだ。
生前のリンダはその場所に立って、ハーブ園をよく眺めていた。


メモリアリーフに戻り、修道院にリンダの墓があることをペペに伝える。
その後、ペペと一緒にリンダの墓に向かった。
墓石にはこう刻まれていた。
「私はここにいます。ここより永遠にあなたの庭を見守り続けます。」


シスターがペペに言う。
「リンダはあなたに会わす顔がなかったのです。」
「家族を捨ててきた自分を彼女は恥じていました。」


ペペが言う。
「こんなところで君は寂しく死んでいったのか。どうしてなんだ。」
「やはりあの時、なりふり構わず君を連れて町を出るべきだったのか。」
「臆病な私が君を不幸にしたんだな。ごめんよ、リンダ。」
「そこまで私のことを想ってくれていたなんて気づきもしなかった。」


現代に戻り、出現した新大陸へ向かう。
そこにはバロックの最終作品であるバロックタワーがあった。
バロックタワーに入り、最上階に登ると2枚の絵が飾られていた。
「我が愛娘」とタイトルがつけられた絵にはエイミが、「青春の日」とタイトルがつけられた絵にはバロックとクリーニ、そしてエミリアが描かれていた。
石碑の文字を読む。
「私は天才建築家バロック。最後の作品であるこの塔に私の宝を残そうと思う。」
「だが後世の者に我が生涯の宝を知られるのは実のところ気恥ずかしくも思うのだ。」
「だからここで見た2枚の我が宝のことはどうか忘れて欲しい。」
「貴君が情を知る者であることを切に願う。」


謎の神殿へ行き、バロックタワーで手に入れた「不思議な石版・黄」を石柱の台座にはめ、新たな場所へワープする。


ワープした場所から南へ進んでアボンの村に入った。
「この村の端っこにある階段は、岩山を抜けるトンネルの入り口だべよ。」
「トンネルを抜けて南に行くとフズの村。そこから北東へ向かえばハーメリアの町だべ。」


アボンの村で村長の家に泊まる。
翌朝目が覚めると、マリベルが慌てていた。
「なんだか村の中の様子が変なのよ。村の人達が誰もいないの。調べに行くんだからささっと起きてちょうだい!」


村内の隠しトンネル通ってフズの村へ向かう。
「おお、旅の人か。よく来なさった。ここはフズの村だ。」


漁師の男に話を聞く。
「昨日の夜中、楽師の爺さんが浜辺に立って海の方をじっと見つめていたんだ。」
「あの様子はただ事じゃないって感じだったが、一体ありゃ何だったんだろうな。」


別の男性にも話を聞く。
「昨日来た楽師の爺さん、見慣れない奇妙な楽器を持っていたなあ。」
「でもそいつがいい音を出すんだ。まあ爺さんの腕がいいってことだろうが。」
「え?その爺さんが今何処にいるかって?」
「さあ、昨晩は村の宿屋に泊まったみたいだが、まだいるんじゃないか。」


村の宿屋で聞いてみる。
「いらっしゃいませ。・・え?お年寄りの楽師さんが泊まってないかですって?」
「ああ、その人なら今朝早くにたたれましたよ。なんでも北東のハーメリアへ向かうとか。」
「まあ追われるにしても行き先は分かっているのです。そんなに慌てることはありますまい。」
「今日のところはこの村で休んでいかれてはいかがですか?」
宿屋に泊まると、翌朝、村の人達は皆いなくなっていた。


村を出て北東に進みハーメリアの町へ向かった。
「ようこそ旅のお方。ここはハーメリアの町です。」


町の広場に楽師の老人がいた。
町の人々に演奏を聴かせている。
「どうやら一通り町の人々に聴いてもらえたようじゃな。」
「ではそろそろ退散するとしようかの。先を急ぐ身なので、失礼する。」
老楽師は何処かへ行ってしまった。


宿屋に泊まるとその夜明け前、美しい楽器のしらべにふと目を覚ました。
外に出ると、町の人々が怪しい渦に次々と飛び込んでいた。
渦の近くには老楽師がいる。
「どうやらこの町もこれで全員集めることが出来たようじゃな。」
老楽師はそう言うと、自ら渦に飛び込んでいった。
老楽師の後を追って渦へ飛び込むと、山奥の塔にワープした。


山奥の塔の最上階に老楽師がいた。
「どれ、そろそろ始まることじゃな。」
主人公達の姿に気づく。
「おや?あんた達とは何処かで会ったような気が。」
「まあこの大陸の人間は皆、この塔に集めたのじゃから会ったことがあるのも当然か。」
「無理矢理さらってきてあんな所に閉じ込めたことは悪かったと思っている。」
「しかし説明しているだけの時間はなかったんじゃ。」
「何の時間かじゃと?ふむ、もう間もなく始まるはずじゃが・・」
「・・とうとう来たか。見ておれ、今から何が起きるかを。」


町に豪雨が降り、瞬く間に町が水没した。
「見よ、大地が海に飲み込まれていく。村が、町が沈んでいく。」
「わしはトゥーラ弾きじゃが占いも得意でな。いくらか先のことは予知できるのじゃ。」
「そしてこのチカラを魔物たちに苦しめられている人々のために使うと誓いをたてている。」
「恐らくはこの異変も魔物によるものじゃろう。」
「じゃからわしは人々をこの塔に避難させることにしたのじゃ。」
「・・まずいな。予想以上に水の勢いが強い。」
「このままではこの塔も持たんかも知れん。」
「やはり元を断たねば駄目か。じゃがわしに魔物と戦うだけのチカラはもう・・」
「あんた達に頼みがある。」
「ワシはかつて、神を探して旅をするユバール一族のトゥーラの弾き手じゃった。」
「じゃが己の欲のために一族の掟を破り、それゆえ一人一族を離れたのじゃ。」
「以来、その罪を償うため魔物に苦しめられている人々を助けると誓いいをたてておる。」
「じゃが今回は魔物のチカラがこちらの予想を遥かに超えるものじゃった。」
「ワシの考えは甘かった。さりとてワシには魔物と戦えるだけのチカラもない。」
「頼みというのは、まことに勝手なことじゃが、我が誓いをあんた達に託したいのじゃ。」
「あんた達は昔、ワシの一族を何の見返りも求めず助けてくれた若者たちに似ておる。」
「遠い昔のことで姿形は記憶の彼方じゃが、強い意志を宿したあの目だけは忘れまい。」
「あんた達の目は彼らに似ておる。だからこそあんた達に頼みたいんじゃ。」
「この塔の下の階で、万が一に備えて小船を用意しておいた。良かったら使ってくれ。」


小船に乗って塔を出て、西に進むと海面に渦を見つけた。
渦の中に入り海底神殿へ向かう。
神殿の一番奥に進むとグラコスがいた。
「ようやく来たか。脆弱なる人間どもよ。」
「海底都市は我が庭も同じ。貴様らがここに来ることも、その目的も先刻承知済みよ。」
主人公達は襲いかかってくるグラコスを倒した。
「グオオ、馬鹿な。我が負けるというのか。」
「認めんぞ!海の魔神グラコスが人間ごときに敗れるなど・・」
グラコスは消滅した。
海底神殿を出ると、大地を覆っていた水がひいていた。


老楽師に報告する。
「あんた達のおかげでこの大陸の人々は救われた。礼を言うよ。」
「今回のことはとてもワシ一人の手におえるものではなかったようじゃ。」
「人々を救うための旅をしていく年月。ワシも年をとった。ここいらが潮時か。」
「一つの所に落ち着いて我が誓を継ぐも者を育てる。そんな余生もいいかも知れんな。」
「ワシは少々疲れた。あんた達は先に行ってくれ。」
「閉じ込めていた人々にはあんた達が出ていった後、事情を説明しておいたからのう。」
「水がひいたのに気づいて、今頃は自分たちの町や村に帰っているかも知れんな。」
「こいつはワシからのせめてもの礼じゃ。受け取ってくれ。」
主人公は「不思議な石版・緑」を受け取った。
「昔ワシの一族を訪れた旅人が同じ様な石を持っていてな。」
「もしもう一度彼らに会うことがあったら渡そうと思ったんじゃが、それはお前さん達が持っているのがいい気がするんじゃよ。」
「さらばじゃ。縁があったらまた会おう。」


ハーメリアの町に行くと、町の人々からお礼にと「人魚の月」を貰った。
マリベルが言う。
「町の宝と言うだけあってとっても綺麗な宝石ね。」
「そう言えば誰かがこれを探していなかったかしら。」


現代に戻り新たに出現した大陸に向かう。
ハーメリアの町に入ると、アズモフ博士と助手のベックが川で釣りをしている。
「ほらベック君、引いてますよ。頑張って下さい。」
ベックが石版をお堀から釣り上げた。
「ふむ、これは石版ですね。なかなか古い物のようですが、いつ頃のものでしょうか。」
「いやいや、そんなことより今は魚です。ベック君、頑張って下さい。」
今度はベックが魚を釣り上げた。
「おお、間違いありません。やはりここのお堀の魚はこの近海にいるものと同じです。」
「これはこの辺りが昔、海に沈んだことを示すものです。」
ベックが言う。
「やはり伝説に語られる大洪水は本当にあったのですね?」


「ベック君、結論を急いではいけませんよ。まだそこまで断定は出来ませんからね。」
「とりあえずこの研究も1歩前進です。さあ、次の調査に移りましょう。」


アズモフに話しかける。
「ふむ、この石版が欲しいとおっしゃるのですか?」
「そうですね、それならば私からあなた方にひとつ仕事を頼みましょう。」
「この石版は、その仕事をやって頂けたらその御礼にお渡しします。」
「実はこの町の北の山奥に伝説と関係あると言われている古い塔があるのですが、そこには凶悪なモンスターが出るらしく、調査に行きたくとも行けずに困っていたのです。」
「見たところ、あなた達は戦いに長けてらっしゃるようだ。」
「どうかそのお力で塔に巣食うモンスターを退治してもらえないでしょうか。」


町の北にある山奥の塔へ向かうと地下1階にキングスライムがいた。
キングスライムを倒すと分裂し、4匹のスライムになった。
そのうちの1匹が言う。
「くっそー、オイラ達もここまでか・・うん?よく見りゃあ人間じゃないか。」
「おい人間、この塔はオイラ達の住処だぞ。一体何しに来やがった。」
主人公はスライムに事情を説明した。
「ふーん、この塔に巣食うモンスターを倒しに来たって?」
「そりゃきっと、てっぺんにいるアイツのことだな。それならちょうどいいや。」
「もともとこの塔はオイラ達が暮らしてたんだけど、あいつが後から来て乗っ取りやがったんだ。」
「オイラ達もアイツにはすげえ迷惑してるし、倒してくれんならありがたいよ。」
「それにしてもなんだか頼りない連中だよなあ。こんなんで大丈夫かね。ホント。」
「よっしゃ。ここは一つオイラが協力してやろう。戦いは無理でも道案内くらい出来るぜ。」
「オイラ、スラっちって言うんだ。宜しく頼むぜ。」


スラっちと一緒に塔の最上階に登ると、ギガミュータントがいた。
襲いかかってくるギガミュータントを倒し、ハーメリアへ戻りアズモフに報告する。
「そうですか!さすが私が見込んだ方たちだ。やって下さると信じていましたよ。」
「一刻も早く塔の調査に赴きましょう。」


アズモフに「不思議な石版」をお礼に貰った後、一緒に山奥の塔に行く。
すると入り口でスラっちが現れた。
「主人公達じゃないか。なんだよ、そっちのおっさんは。アンタ達の知り合いなのかい?」
「てっきりこの塔を荒らしに来たのかと思ったよ。」
「調査なりなんなり好きにやってくれよ。オイラ達は関係ないもんな。」


謎の神殿に行き、緑の石柱の台座に石版をはめると新しい場所にワープした。
ワープした場所から東に進んで橋を渡り、プロビナの村へ入った。
村に入ったところで突然、男性に止められた。
「おっと待った!お前たちは一体何処から来た!ラグラーズの者か?」
別の男性が言う。
「まあ待てよ、よく見りゃ怪しい者ではなさそうだぞ。」


「ふーむ、どうやら本当に旅の者のようだな。よし、ならば教えてやろう。」
「ラグラーズとはここから南へと海を渡った島にある大国の名だ。」
「近頃そのラグラーズの者が頻繁に侵入してくるので、こうして見張っているのだ。」
「まあ良い。村の中に入るがいい。」
「おかしな真似はするなよ。少し休んで必要なものを揃えたらすぐに旅立つんだ。いいな。」


村の男性に話を聞く。
「そりゃあ数年前までは魔物がこの村の中まで入ってきたこともあっただよ。」
「だけんどあいつら、神父様が女神像を持って来なすってからは村に近寄ることすら出来ねえだ。」
「作物も荒らされなくなったし、まったく大助かりだあよ。」


別の男性にも話を聞く。
「数日前、遥かラグラーズの国から村の長老オルドー様の元に一人の使者がやって来たのです。」
「なんでもラグラーズ王からの手紙を持って来たらしいのですが、一体何が書いてあったのか。」
「長老オルドー様はまだ私達には教えて下さらないのです。」


長老の家に行く。
「ここは長老オルドー様の家だ。」
「長老に挨拶をしに来たのか?なかなか感心な旅の者だな。」
「だがオルドー様は先程何処かへお出掛けになられたようだったぞ。」


使用人の女性に話を聞く。
「さっきまで村の偉い人達が話し合いをしていたのよ。」
「長老のオルドー様と息子さんのラズエル様が激しく言い争っていたらしいわ。」
「なんでも今日が期日だとか、誰かが攻めてくるとか。」
「嫌だわ。まるで戦争でも始まるみたい。」


使用人の男性に話を聞く。
「オルドー様とラズエル様は先程、神父様に会いに教会へと行かれたよ。」
「教会かい?この家の北側にある洞窟を抜けた山のてっぺんにあるのさ。」


洞窟を抜けて山頂の教会へ向かう。
教会に入ると、神父とオルドー、ラズエルの3人が話をしていた。
「よし、今一度このわしからラグラーズ国王を説得してみよう。」


ラズエルが首を横に振る。
「無駄だよ、父さん。あの傲慢なラグラーズ王がそんな話を聞くはずないさ。」
「今さらこんな事を言ってもしょうがないけど、あの女神像さえなかったら・・あんな物さえなかったら、我々はこんな厄介な目にあわずに済んだに違いないんだ。」


そこへ村人の男性が走ってやって来る。
「オルドー様、大変です!村外れの橋の向こうにラグラーズ国の者と思われる軍勢が!」


オルドーが言う。
「何と!早くもやって来おったか!」


ラズエルが教会に飾られている金の女神像を手に取った。
「大丈夫だ。これで争い事も終わりさ。さ、行くぞ!」
ラズエルは村人の男性と一緒に出ていってしまった。


オルドーと話をする。
「ラズエルのやつ。早まった真似をしなければ良いのだが。」


神父に話を聞く。
「お恥ずかしい話ですが、どうして私があのような物を持っていたのか分からないのです。」
「しかし人を守るはずの女神像が災いの種になるとは思ってもみませんでした。」
「お願いです、旅の人。頭に血が上ったラズエル君は今、何をしでかすか分かりません。」
「一刻も早く彼に伝えて下さい。女神像などどうなっても良いが、君が危ない目にあわぬようにと。」


再び洞窟を抜けて村へ戻り、村を出て西の橋に向かう。
ラズエルがラグラーズ国の兵士長に近づく。
「これはあんた達が欲しがっている黄金の女神像だ。」
「これがある限り、またいつかきっと争いが起きる。」
「たとえこれでこの村が魔物に襲われるようになったとしても、同じ血の通った人間たちに襲われるよりずっとマシってものだ。」
「ええい!」
ラズエルは黄金の女神像を橋に叩きつけ、女神像を壊してしまった。
「さあ、あんた達も見ただろう。帰ってラグラーズ王に伝えてくれ。」
「残念ながら黄金の女神像はもうこの世にはない。諦めてくれとな。」


兵士長が笑っている。
「いずれはお前たちの手で始末させようと思っていたが、こうも都合よく行くとはな。」
「お前のおかげで我々の本当の仕事が出来るというものだ。クックック。」
兵士達は魔物に姿を変えた。
「さあ行け!もう恐れるものはない。村ごと焼き払ってしまえ!」


プロビナの村が魔物たちに襲われている。
ラズエルと一緒に再び山頂の教会へ行き、神父と話をする。
「すまないがラズエル君、入ってすぐの所に小さな箱がある。大急ぎでそれを取ってきておくれ。」
ラズエルと一緒に部屋に入ると、神父に部屋の鍵をかけられてしまった。
「神父様、どうしたのです。開けて下さい。」


神父が言う。
「ラズエル君、私は奴らから逃げることは出来そうもない。」
「すべて思い出したよ。昔私は魔物のせいで愛する村を追われたのだ。」
「その上村を出てすぐ奴らに襲われてしまい、逃げる途中で海の中に。恐らく記憶はその時に失ったのだろう。」
「時間がない、私は行く。君たちはここから出てはいけない。音を立ててもいけない。」
「君たちはまだ若い。きっと生き延びるんだ。いいね。」
「さようなら、ラズエル君。そして旅の人。皆に会えて本当に良かった。ありがとう。」


神父は何処かへ行ってしまった。
神父が言っていた小さな箱の中には女神の絵が入っていた。
傷ついた女神が泉の水で傷を治そうとしている様子が描かれている。
「以前神父様が女神像を泉に浸しているのを見たことがあります。」
「神に仕える偉いお方というものは変わった事をするものだと思っていましたが、ひょっとするとこの絵の泉は山頂の泉のことなのかも知れません。」
「だとすると、傷ついた女神というのは・・」


何とか部屋の鍵をこじ開けて外に出ると、村はすでに崩壊していた。
村人達は皆殺しにされたようだ。


西の橋へ行き、壊れた女神像を拾い集め、再び山頂に向かう。
教会の北にある泉の祠に行くと魔物がいた。
「グハハ!危ない危ない。こんな用意がしてあったとはな。」
「あの神父め、洒落たことをしてくれたものよ。」
「だが折角壊れた女神像だ。そのままにしておいてもらおう。」
襲いかかってくる魔物を倒し、女神像を泉に浸す。
すると粉々になった黄金の女神像がもとに戻った。
しかし、倒した魔物が消滅する間際に再び女神像を粉々に砕いてしまった。
マリベルが言う。
「あーあ、女神像は粉々になっちゃって、もう直せないじゃないの。」
「全くもったいないことしてくれてものよね。」


ラズエルが言う。
「ありがとうございました。これで村の皆の敵を討つことが出来ました。」
「皆さんが魔物を倒してくれなければ今頃どうなっていたことか。」
「たとえ記憶は失っていても、神父様はこんな時が来ることを予測していたのでしょう。」
「しかし私のせいで村の人々は・・」
その時、奇跡が起きた。
泉からいくつもの光の玉が飛び出し、死んでいった村人達に光の玉が戻っていく。
村人達は全員生き返った。


主人公は現代に戻りルーラでメザレの町へ行き、ニコラの屋敷にいるメイドに「人魚の月」を見せる。
「これは人魚の月ですね!間違いありませんわ。本で何度も見たんだもの。」
「ああ、なんて美しさでしょう。夢みたいだわ。実物の人魚の月に直に触れることが出来るなんて。」
「これほどの宝を手に入れる冒険者になら魔法の絨毯を譲ってもいいでしょう。」
「亡くなったニコラ様の父上も皆さんにお譲りするのなら納得して頂けるはず。」
「魔法の絨毯は、私とニコラ様の父上しか知らないある場所に保管してあります。」
「お教え致しますのでまずは教会の裏まで来て下さい。」


メイドと一緒に教会裏にある隠し階段から地下へ降り、魔法の絨毯を手に入れる。
するとそこへ、ニコラがやって来た。
「なんてことだ。こんな場所があったとは今の今まで気づきもしなかった。」


メイドが驚く。
「ニコラ様、何故ここに・・」
「彼らに本物の魔法の絨毯をあげました。ニコラ様のは偽物ですわ。」
「私が宝物庫の絨毯を偽物とすり替えて本物をここに隠したのです。」
「英雄を復活させる道のりは長く険しい危険な旅になるはずだから。」
「あなたを旅立たせないためにお父上は私に絨毯を隠すように命じたのです。」


ニコラが言う。
「あれが偽物だったとはな。それほどまでに父さんは僕を心配していたのか。」
「いつも心は揺れていた。英雄を探す旅に出るか、父との約束を守り続けるか。」
「結局どちらにも決められず、絨毯を冒険者に譲り、想いを託すしかなかった。」


メイドが言う。
「なら彼らにお任せしましょう。人魚の月を手にするほどの優れた冒険者に。」


ニコラが驚く。
「子供の頃本で読んだあの伝説の宝を持っているのか!なんてすごい人達なんだ。」
「そうだな、この方達に全てを任せるとしよう。」
「どうか魔法の絨毯を役立てて、封印された英雄を復活させて下さい。」
「僕を欺き続け、お前も辛い思いをしただろうに。長い間、すまなかったな。」
「さあ、屋敷へ戻ろうか。」


オルフィーから魔法の絨毯で北上し、ブルジオの屋敷に行く。
屋敷の使用人に話を聞く。
「今さら言うまでもないけど、ここは世界的な大金持ちブルジオ様の本宅です。」


ブルジオと話をする。
「うむ、いかにもワシが世界一の大金持ちのブルジオその人じゃ。」
「してそなたらは一体何の用があってワシを訪ねて来たのだ?」
「ホットストーンはホンダラという男から買って、我が家の家宝にしてある。」
「封印された英雄の伝説ならワシも詳しいぞ。」
「世界一高い塔のてっぺんで英雄の玉石を掲げると、英雄が蘇るという言い伝えががある。」
「まあ、伝説の英雄なる人物をこの目で見てみたいという気持ちもあるがな。」
「英雄とは一体どんな人物なのか。うう、物好きの血が騒ぐわい。」
「だがこの英雄の玉石だと言われるこのホットストーンは、我が家の家宝にするともう決めたのだ。」
「だからどんな理由があろうともホットストーンを譲るわけにはいかん。」


屋敷を出ようとすると、ブルジオが追いかけてきた。
「待ってくれ、お前たちに一つ話がある。」
「やっぱり英雄の話、ワシは信じることにしたぞ。」
「だがホットストーンを譲ることまでは出来ん。」
「そこでお前たちの旅にワシも同行させて欲しい。」
「旅の途中でホットストーンが必要な時が来たらお前たちに渡そう。」
「悪い話ではあるまい。ワシを連れて行ってくれるか?」
主人公は頷いた。


ハーメリアから魔法の絨毯を使ってブルジオと共に世界一高い塔に向かった。
世界一高い塔の最上階の祭壇でホットストーンを使う。
ホットストーンは金色に輝き出し、上空へ舞い上がる。
するとホットストーンから白髪の老戦士が現れた。
「ここは何処でござろう。」
「わしは、わしは・・そうでござった。」
「最後の決戦を前にして、神がわしを封じたのでござった。」
「後の世のために。」
「世界はどうなったのでござろう。どれだけの月日がたったのか。魔王との決戦の行方は?」
「まだ神はこの世におわすのか?英雄と呼ばれたわしのチカラを必要としておられるのか。」


マリベルが言う。
「あんたの叔父さんが持っていたホットストーンが英雄の玉石だったとはね。」
「あんな人でもたまには役に立つことがあるのね。」


ホットストーンから現れた伝説の英雄と話をする。
「封印されたわしを再び現世に復活させてくれたのはおぬし達でござるな?」
「ありがとう、戦士たちよ。」
「わしはメルビンと申すでござる。戦士たちよ。わしは今すぐ知りたいことがあるのでござる。」
「教えて下さらんか。今世界はどうなってるでござる?魔王は滅んだのでござろうか?」
主人公は世界について知っていることの全てを英雄メルビンに話した。
「何ということだ。我らが神はずっと昔に魔王に滅ぼされていたのでござるか。」
「わしが封印されたのは魔王との最後の戦いの直前のことでござった。」
「神は自らが亡き後、世界が魔王に滅ぼされるのをとても気にかけておられたでござる。」
「それで魔王に対抗できるチカラを秘めたわしを後の世のために封じたのでござる。」
「今にして思えば、神はあの時すでに敗北を悟っていたのでござろうな。」
「ところで主人公殿。主人公殿のお話でどうしても納得できない部分があるのでござるよ。」
「魔王が神を滅ぼしたのに、何故世界はおぬしの言うように静けさに満ちているのでござろう。」
「何やら嫌な予感がするのでござる。わしは今すぐ世界の様子を調べたいでござる。」
「そこでお願いでござる。わしを主人公殿のお仲間に加えさせて下さらんか。」
主人公は頷いた。
「ありがたい。今日から主人公殿が我が剣の主でござる。」
メルビンが仲間に加わった。
「それではいざ、参ろう!」


ブルジオと話をする。
「おい、主人公。その爺さんは本当にお前の探していた英雄なのか?」
「お前自ら直に確かめたのだから嘘ではなさそうだな。」
「うーむ、残念無念。もっと若くて凛々しい英雄を期待しておったのに。」
「主人公よ、ワシは一人で屋敷へ帰ることにするぞい。」
「ホットストーンを失ったのは残念だが、いいものを見させてもらったよ。」
「あんな珍しいものはいくら大金を積んだとしても見られるものではないしな。」
「ワシは満足しているよ。ただ心残りなのはその英雄だ。」
「ワシとしてはもっと絵に描いたような美男か美女を想像しておったのだがな。」
「もしその英雄が美形なら使用人に加えてもいいと考えていたんだが。」
「まあお前たちはお前たちの冒険の旅を続けてくれ。」
「わしはのんびり一人旅と洒落込むよ。じゃあな、さらばだ。」


謎の神殿に行き、赤色の石柱の台座に石版をはめると新たな場所にワープした。
ワープした場所から西に進んでルーメンの町に入る。
町に入った途端、魔物が現れた。
「おい、そこの奴、止まれ!」
「お前たち、一体何者だ!何処から来たんだ?」
「この辺りは封印されていて誰も入って来れないはず。」
「怪しい奴らめ。ボルンガ様に報告してやる。そこを動くなよ。」
「まあ、いいか。こんな奴らさっさとやっつけてしまおう。」
「手柄を立てればボルンガ様からご褒美が貰えるかも知れないからな。」
主人公達は襲いかかってくる魔物を倒して町の中に入り、町人に話を聞く。
「あんたら、魔物たちに手を出しちまったようだな。」
「悪いことは言わないから奴らのボスに見つからないうちに早く何処かに逃げた方がいいぜ。」


別の男性と話をする。
「ここは光なき町ルーメン。」
「闇のとばりに包まれてからすでにどれだけの時間が流れ過ぎたでしょう。」
「でもそんな事はもうどうでもいいかも知れません。」
「どうせ私たちに未来などないのですから。」


町の女性と話をする。
「見てご覧。あちらこちらに空いている地面の穴はヘルバオムの残した傷跡だ。」
「この町に住みついているあんな魔物たちとは訳が違う。本当に恐ろしい化物だったよ。」


旅の商人と話をする。
「ああ、皆さん。聞いて下さい。私は旅の商人です。」
「あの日ヘルバオムという恐ろしい化物に追われ、この町へと逃げ込みました。」
「やれやれ助かったと思ったら、今度は闇の封印とやらに巻き込まれてしまって。」
「私は世界一ついていない男なんですね、きっと。」


老人に話を聞く。
「あの封印の日、わしらが本当に恐れたのは魔王の封印などではなかった。」
「まことの脅威はヘルバオム。人を食らう恐るべき食人樹じゃ!」
「ヘルバオムの命の源は太陽の光。」
「それが故に、この辺りの一体が闇に包まれるとヤツはヘナヘナとしぼみ始めてのう。」
「命の源である光を失ったヘルバオムは、なんともあっけなく滅びてしまったのじゃよ。」


西の端にある井戸へ入り、中にいるシスターに話を聞く。
「闇のドラゴンが羽ばたいた時、空に闇のとばりが生まれ、町は暗闇に閉ざされたのです。」
「そして闇のドラゴンは魔物たちが町の西に作った塔のてっぺんに降り立ちました。」
「そこからずっと見張っています。何も出来ない私たちを。」


中央の屋敷へ行き、2階に行くとボルンガがいた。
「ぬぬ?なんだお前は。その身なりからするとどうやらこの町の人間ではないな?」
「闇の封印の中に外から入り込んでくるとは、どうやら只者ではなさそうだ。」
「のちのち面倒なことになる前に、このワシがギッタギタにしてくれるわ!」
主人公達は襲いかかってくるボルンガを倒した。
「ぐは!このワシが負けるとは・・たかが人間と思い油断したか。」
「だがワシを倒した所で何も変わりはせぬ。」
「塔にいる闇のドラゴンを倒さぬ限り、お前たちとて永遠の闇の中よ。ぐわっはっは・・ぐは!」
ボルンガは消滅した。


この屋敷の持ち主の男性がやって来る。
「今沢山の魔物たちが飛び去って行くのが見えたので慌てて戻ってきたのですが、もしやあなた方がアイツラを追い払ってくださったのですね?」
「ありがたいことです。何とお礼を言ったら良いのやら。」
「これでまた自分の家で暮らすことが出来るのですね。ああ、夢のようですよ。」


部屋のタンスから闇の塔の鍵を手に入れた主人公は、ルーメンの西にある闇のドラゴンの塔へ向かった。
塔の最上階にいる闇のドラゴンを倒すと封印は解き放たれ、闇のとばりも消えた。
辺りが次第に明るくなっていく。


現代に戻りエンゴウから魔法のじゅうたんで北へ進み、新しく出現したルーメンの町へ入ると、何故か町は滅び、廃墟と化していた。
それを見たマリベルが言う。
「何か変だわ!」
「これって一体どうなっちゃったの?」
「ちゃんとあの時町を救ったはずなのに。」
「早く戻りましょ。もう一度もとのルーメンに行ってみるのよ!」


再び過去のルーメンへ戻ると、町はヘルバオムの根っこに襲われていた。
町の井戸から洞窟へ入り、洞窟内の一番奥にいるヘルバオムの本体を倒す。
ヘルバオムは全てのエネルギーを使い果たし、朽ち果てた。
これで2度と蘇ることはないだろう。


町に戻り、屋敷の男性と話をする。
「あ、みなさん。やっつけたヘルバオムの根っこにこんな虫がくっついてたんですよ。」
「地面の中で寝ていたところを起こされたので、怒ってあいつに噛み付いたんじゃないですかね。」
「見たこともない変わった虫でしょ?慣れたらなんだか可愛くて。チビィって名前を付けたんです。」
「あれ、チビィ。お前さっきより大きくなったかい?・・そんなわけないか。」
「よし、チビィ。ジャンプの練習だ。それ、ピョンピョン!」


再び現代に戻り、現代のルーメンの町へ向かう。
町はまだ廃墟と化したままだった。
マリベルが言う。
「この町って一体どうなっちゃってるの?」
「やっとの思いであの恐ろしいヘルバオムを倒したっていうのに。」
「早く戻りましょ。もう一度元のルーメンに行ってみるのよ!」


過去のルーメンの町に行き、屋敷の男性に話を聞く。
チビィが2m程の大きさになっている。
「おお、あなた方は。この町を救って下さった勇者殿じゃないですか。」
「そう言えばまだ名乗っていませんでしたな。私はシーブルといいます。」
「そしてそこにいるのが我が自慢のペット、チビィ。」
「ヘルバオムの根っこに張り付いていたのを見つけて飼い始めたんですが、わずかの間にみるみる成長しましてね。これもたっぷり愛情を注いだ成果ですかな。」
「はっはっは。・・おや?どうかしましたかな、皆さん。顔が引きつってますぞ。」
「まあ、町の者や皆さんが恐れる気持ちも分からんではありませんがね。」
「でも慣れれば本当に可愛いもんなんですよ。」
「私にはもうチビィのいない生活なんて考えられませんね。」


町の人々がやって来た。
「シーブルさん、今日は私ら町の代表としてあんたに話があるんです。」
「率直に言いましょう。そこの巨大な虫、そいつをどうにかしていただきたいんです。」
「あんたはたいそうそいつを可愛がってるようだから始末しろとまでは言いません。」
「だけどそんな化物が町の中にいたんじゃあ、みんなが迷惑するんです。」
「どこか山の中にでも捨ててきてもらいたいと言うのがこの町の住人の意思です。」


シーブルが言う。
「私はチビィを手放す気はないよ。それにチビィは化物じゃない。」
「チビィは私の家で飼っているんだ。町の者たちに文句を言われる筋合いじゃない。」
「チビィは賢くて気の優しいやつなんですよ。」


町の人が怒り出す。
「こんな虫けらに賢いも優しいもあるもんですか!いい加減に目を覚ませ!」
町の人はそう言うと、シーブルを殴りつけた。
それを見ていたチビィが町の人達に襲いかかる。
「やっぱり凶暴なモンスターだったんだ!」
町の人達は逃げ帰った。


シーブルが言う。
「チビィや。私を守ろうとしてくれたのかい?ありがとう、嬉しいよ。」
「でもな、今のやり方はまずかったかも知れんぞ。」
「あの連中、間違いなくチビィのことを誤解したな。まずいことにならねばいいが。」


屋敷を出ると、町の人達が集まっていた。
「シーブルさんがあのオバケ虫を手放す気がないなら、もはやヤツを退治するしかありませんな。」
「少々強引な手段になりますが、町の人間の安全には変えられません。」
「なに、シーブルさんもヤツを倒してしまえばきっと目を覚ましますよ。」
「問題は誰がヤツを実際に退治するかですな。」
「あのオバケ虫はあれでなかなか手強そうです。誰か腕の達つ人はいないものか。」
「うん、そうだ。この仕事、皆さんにお願いできませんか。」
「闇のドラゴンやヘルバオムさえ倒してしまった皆さんならこの仕事、申し分ない。」
「どうです?今度もまたこのルーメンの平和のためにやって頂けませんか?」
主人公は首を振った。
「やはりそうですか。まあ、考えてみれば虫のいい話ですからな。」
「分かりました。あの化物のことは私らで解決しましょう。」
「なーに、あんな虫1匹、皆さんの手をわずらわせるまでもありませんよ。」


マリベルが言う。
「なんか雲行きが怪しくなってきたわね。」
「これはちょっとシーブルさんに相談したほうがいいんじゃないかしら?」


屋敷に戻り、シーブルに相談する。
「ええ!町の者達がチビィを退治しようとしてるですって?」
「何ということだ。まさか彼らがそこまで思いつめていようとは。」
「どうすればいいんだ。このままではチビィが・・何とかしなくては。」
「こうなっては仕方がない。連中の最初の申し出どおり、山にチビィを放しましょう。」
「先にチビィを逃してしまえば、まさか彼らもそれを追ったりはしますまい。」
「チビィと別れるのは身を裂かれる思いですが、生きてさえいてくれれば。」
「よし、そうと決まれば早速準備にかからねば。皆さんにも協力してもらいますぞ。」


主人公達はチビィを逃がすための準備を手伝った。
そして真夜中になった。
「ふう、準備をしていたらすっかり遅くなってしまいましたな。」
「しかし白昼堂々、チビィを連れ出すわけにもいきませんでしたからね。」
「さあ参りましょうか。これ以上モタモタしていたら連中が来るかも知れませんからね。」
「とりあえずは近くの丘に向かうことにしましょう。」


近くの丘にチビィを残して町に戻ると、悲鳴が聞こえてきた。
チビィに似た虫が沢山出現し、町の人達を襲っている。
チビィ似た虫をすべて倒してまわり、シーブルと話をする。
「助かりました。それにしてもこいつは一体・・」
「チビィが仲間を呼んだなんてことは絶対にないはずだが。」
「それにチビィはもっと可愛いし、こんな凶暴じゃないし。」


チビィに似た虫が次々と現れ、倒してもキリがない。
そこへチビィが現れ、虫の大群を追い払う。
しかしチビィは力尽きて死んでしまった。


虫の大群に襲われたルーメンはチビィによって救われた。
人々は助かったことを喜び、同時に自分たちの過ちに気づいた。
そして夜が明けた。


シーブルが言う。
「ねえ、主人公さん。私はチビィに何かしてやれたんでしょうか。」
「チビィが私にしてくれたことに見合うだけの何かを。」


現代に戻り、ルーメンの町に行くと町は滅びていなかった。
町を探索し、「不思議な石版・赤」を手に入れた主人公は、謎の神殿の赤色の台座に石版をはめて新たな場所にワープした。


ワープした場所から東に進んでラグラーズ城へ入る。
「ここラグラーズは長年軍事国家として世界にその名を轟かせてきました。」
「ですがマーディラスとの戦争に敗れて以来、すっかり国が元気をなくしてしまったようです。」


女性に話を聞く。
「このお城は1年前、敵国との戦争によってこのような姿になってしまいました。」
「まだまだ完全ではありませんが、これでもずいぶん元の綺麗な姿に戻った方ですわ。」


城の兵士に話を聞く。
「ここラグラーズでは古くより剣術こそ最高のチカラとして重んじてきた。」
「しかし魔法を重んじるマーディラスに敗れた今ではその理屈はもう通らないな。」
「敵国とは言えマーディラスの魔法兵士たちの戦い方は実に見上げたものだった。」
「あれだけ圧倒的なチカラを持ちながら、ほとんど人を殺さなかったのだからな。」


ラグラーズの国王と話をする。
「敵国マーディラスはわずか10年前、一度は我が国に敗れたはずの国だったのだ。」
「それがこの数年で全く驚くほどマーディラスは強い国へと変わってしまった。」
「マーディラスがあれ程に強くなったのは新しい若い王のチカラのためと聞くが。」
「どんな男かは知らんが、出来ることなら戦場以外の場所で会いたかったものだな。」


マーディラスの城下町に入り、教会の神父ディノに話を聞く。
「私の名はディノ。以前は王室付きの神父として城に仕えていました。」
「しかし王の考えが分からなくなり、半年ほど前、私は城を出たのです。」
「今の王はおかしいのです。国の強化だけならまだしも、触れてはならないはずの・・いえ、何でもありません。今の話は聞かなかったことにして下さい。」


教会のシスターに話を聞く。
「神父のディノ様がこの教会に来られたのは今から半年ほど前のこと。」
「以前はお城に仕えておられて、現王とは幼馴染だったという噂まである方なのです。」


教会に礼拝に来ていた老婆に話を聞く。
「今の王が父の座を継いで2年。新しい王はとにかく国の強化にチカラを注いだのじゃ。」
「敵国に勝つためと思えば国民も皆、はじめは新しい王の考えに従ったが、ラグラーズを倒し敵などいない今となっても王は国の強化をやめようとせん。」
「今の王にはもうついていけん。まるで悪魔にでもつかれてしもうたかのようじゃ。」


町にいる魔法使いに話を聞く。
「この国では優れた魔法使いだけが城や研究所に仕えることができ、裕福な生活を約束されます。」
「そのためそこで魔法の練習をするミクワという少女のように、多くの者が魔法使いになりたがるのです。」


ミクワに話しかける。
「あれ、失敗しちゃたみたい。」
「でも時々成功するからお兄ちゃんたち、急に話しかけると危ないかもよ。」


マーディラス城の門番の兵士に話しかける。
「ここはマーディラスの王城だ。見かけない顔だが、この城に何か用でも・・は、もしや!メディルの使いとはお前たちのことか?」
何の事か分からないが、主人公はとりあえず頷いた。
「おお、そうであったか。ならば王が待っておいでだ。急いで王のもとへ・・と言いたいところだが、メディルの使いがこのような少年だとはやはり信用できんな。」
「よし、今から王に確認してくるゆえ、戻るまで城の中ででも待っているがいい。」


城の中に通された主人公は北西の塔の3階へ行き、皇太后と話をする。
「私はこの国の皇太后。つまり今の王の母親。」
「いきなりですまぬが、そなたらは旅の者か?」
「そうか、ならばそなたらに頼みたいことがある。まずは話を聞くがいい。」
「この城の南に我が国と深い親交のある大神殿がある。」
「しかし息子はある日、大神殿との間に関所などを作り、一方的に交流をやめてしまった。」
「理由はどうあれ、このままでは息子は孤立していくばかり。放っておくわけにもゆかぬ。」
「そこでだ、大神殿の主である大神官にひとつ書状を届けて欲しいのだ。行ってくれるな?」
皇太后から書状を受け取った主人公は、城を出て南にある大神殿へ向かった。
大神殿の2階で大神官に書状を渡す。
「おお、これはボウズの母君からの手紙ではないか。」
「ふむ、なるほどのう。やはりあの関所はボウズの仕業であったか。」
「まあいかにもあのボウズのやりそうなことじゃわい。」
「とまあ、それはさておきじゃ。旅の者、ご苦労であった。」
「で、ご苦労ついでにもう一つ頼まれてはくれんかのう。」
「詳しくは秘密なんじゃが、ワシは今とっても重要な魔法の研究をしておるのじゃ。」
「とにかく重要なんじゃが、残念ながら完成に必要な材料がどうしても一つだけ足りん。」
「この神殿から西の先に岩山に囲まれた洞窟があってな。」
「その洞窟の奥に眠る星空の結晶をお前さん達に取ってきて欲しいのじゃ。」


主人公は西の洞窟に向かい、洞窟の奥で星空の結晶を手に入れ戻ってきた。
「おお、これぞまさしく星空の結晶。よし、これで全ての材料が揃ったわい。」
「主人公、ご苦労じゃったな。礼のかわりにそなたらにもこの魔法のことを話しておこう。」
「何処かで聞いたかも知れんが、今のマーディラス王にはちょっと良からぬ噂があるんじゃ。」
「なんでも王は究極の魔法を現世に復活させようとしているらしいなどとな。」
「究極の魔法とは、そのチカラの強大さのあまりかつて大陸をも吹き飛ばしたという恐怖の魔法。」
「そんな噂が本当ならば当然王を止めねばならん。ワシは王のもとへと出向いた。」
「だが王はシラをきるばかりでワシの話など聞く耳もたん。そしてついには怒り出しよった。」
「そんなこんなで王はこの神殿との間に関所なんぞを作りよったというわけじゃ。」
「そこでじゃ、ワシは万が一の場合に備え、究極魔法をも封じる魔法を研究しておったのじゃ。」
「苦労はしたが、どうやらその魔法も完成間近じゃ。もはや恐れることもなかろう。」
「おお、そうじゃ。お前さんたちにはこれを授けておこう。」
主人公は大神官の書状を受け取った。
「それさえあれば、たとえ王とてお前さん達と会うことを拒むことは出来んはずじゃ。」
「お前さん達は城に戻り、王の魔法の完成が少しでも遅れるよう仕向けて欲しい。」
「ワシはこっちの魔法の完成にチカラを尽くすゆえ、宜しく頼むぞ。」


マーディラスへ戻ると、ミクワがメラを連発して放っていた。
「わわわ!止まらないよー!誰か!助けてー!」


黒いフードをかぶった魔法使いがミクワに近づく。
「娘、魔法使いになりたいのか?」
「そうか、ならば俺が魔法の使い方を教えてやろう。」
「覚えておくといい。これがメラゾーマという呪文だ。」
黒いフードの魔法使いがミクワにメラゾーマを放とうとする。
「やめろ!」
そこへディノが止めに入る。
ディノは黒いフードの魔法使いが放ったメラゾーマをまともに受けてしまった。
「ほう、この呪文をくらってまだ息があるとは。」
「今ここで死なせてやっても良いが、あいにく私も急ぐ身でな。せいぜい痛みにあえぐがいい。」
黒いフードの魔法使いは去っていった。
ミクワがディノに駆け寄る。
「神父様!ごめんなさい、私のせいで。」
ディノが言う。
「うう、いや、私なら大丈夫だ。」
「私のことよりもミクワ、お前こそ怪我はなかったろうな?」
「怪我がなかったのなら何よりだ。しかし・・流石にかなりこたえたようだ。このままではいかんな。」
「そこの方、すみませんが私に肩をかして教会まで行って頂けませんか。」


主人公はディノを教会まで連れて行った。
「ありがとうございました。あなた方のおかげで命拾い致しました。」
「それにしてもあの男は何者だったのでしょうな。どうやら城に向かったようだが。」
「信じたくないですが、あの男も王と関わりのある人間でしょうか。だとしたら、幼き少女を殺そうとする男と関わり合う、それが今のゼッペルということか。」
「いやすみません。一方的に話しては何の事か分かりませんね。」
「ゼッペルというのはこの国の王のことです。あなた方には事情をお話しましょう。」
「私と現王ゼッペルは実は幼馴染だったのです。」
「そして幼馴染はもう一人いました。彼女の名前はルーシア。」
「花が好きで鳥が好きであどけなくよく笑うごく普通の少女でした。」
「しかし私たち3人が一緒に過ごせたのはわずかに8歳の時まででした。」
「3人で遊んでいた時、ラグラーズ軍の兵が攻めてきて町が制圧されてしまいました。」
「その時にルーシアが私たちの目の前で殺されてしまい、ゼッペルは囚えられてしまった。」
「その後、我が国はこの戦争に敗れ、ラグラーズの配下国となりました。」
「そして10年後、ゼッペルは自らが王となり、とうとうラグラーズを倒したのです。」
「ですがこの国は今も平和にはなっていません。」
「なぜなら王は今究極の魔法と呼ばれる危険な魔法に手を出そうとしているからです。」
「究極の魔法とはかつて大陸を吹き飛ばし、賢者によって封印されたという破滅の魔法。」
「何故今になってそんな魔法が必要なのか、私には王の気持ちが分からないのです。」


マリベルが言う。
「神父さんの話で王様も可愛そうってのはよく分かったけど、だからって危険な魔法に手を出すことの理由が何か分かんないのよね。」


城の入口で書状を見せて中に入る。
玉座の間に行くと、先程の黒いフードをかぶった魔法使いとゼッペル王が話をしていた。
「さあ、お探しの物です。どうぞ手に取ってお確かめ下さい。」
黒いフードの魔法使いが1冊の本をゼッペル王に差し出す。
本を受け取ったゼッペル王はそれを見て驚く。
「なんと!うむ、これは真の・・」
「にわかには信じがたいな。まさかこんなものがまだこの世に残っていようとは。」
「まことにご苦労であった。いずれ使者より礼を送らせよう。」
黒いフードの魔法使いは帰っていった。
ゼッペル王が主人公達に気づく。
「貴様らは何者だ!ここは旅人ふぜいの入って良い場所ではないぞ!」
「なに?大神官より究極の魔法の研究をやめさせるよう頼まれただと?・・あの年寄りめ。」
「とにかく!大神官にも言ったが、そんな無駄な研究など誰もしておらん。」
「つまらん取り越し苦労に他人を巻き込むなと今度はあの年寄りに伝えておけ!」
「究極の魔法は伝説の中に眠る魔法だ。そうやすやすと実現できるものではない。」
「それが分かったらお前たちもさっさとここから出ていくのだ!」


大臣に話を聞く。
「メディルの使いはあらゆる書物を呼んだと言われる博識なる賢者だ。」
「私がその者にある魔法の書を探すよう命じたのだが、どうも様子がおかしい。」
「前にあった時はもっと弱々しい男だったはずだが、今日の姿はまるで別人のようだ。」


城下町に戻ると黒いフードの魔法使いが待ち伏せていた。
「ここで見張っていて正解だったようだな。」
「俺が誰か分かるか?他人の名だがメディルの使いと言えば分かるかも知れんな。」
「お前らに教えてやろう。王が研究していた究極の魔法はもう間もなく完成する。」
「そして王はその呪文をクチにし、やがて強いチカラに支配され、破壊の神へと姿を変えるだろう。」
「破壊の神はこの大陸にある全てを滅ぼす。家も人もそしてついには己自身も。」
「どうして俺がお前にこんな話をするか分かるか?」
「何故ならお前は破壊の神の姿を見ることなく、今ここで死ぬ運命だからだ。」
黒いフードの魔法使いは魔物に姿を変え襲いかかってきた。
しかし主人公は返り討ちにした。
「ぐはあ、馬鹿な。私がこんな連中に敗れるなど。」
「しかし残念だったな。もはや王の魔法を止めることは誰にも出来ん。」
「この目で見ることが出来んのは口惜しいが・・生まれるのだ。全てを飲み込む破壊の神が。」
「破壊神となった王の手によって、お前らもこの大陸と共に消え去るがいい。」
そう言うと魔物は消滅した。


魔法研究所の中へ入り地下室へ行くと、巨大な魔法窯の前にゼッペル王がいた。
「いいところに来たな。お前にも見せてやろう。神さえも息を呑む究極のチカラ。」
ゼッペルが呪文を唱える。
「賢者の封印を解き放ち、長き眠りから今こそ甦れ。」
巨大な釜が闇の光を放つ。
「うおお、感じるぞ。今この身に究極のチカラが宿ったことを。」
「生まれ出でよ。究極魔法マナスティス。」
巨大な魔法窯の光が止んだ。
「なんだ、この体中にみなぎわたるチカラは。」
「見えるか私の姿が。手に入れたぞ、何者にも屈しない最強のチカラを。」
「ルーシア、これで負けない。これで何からもお前を守り通せる。」
「これで二度とお前を恐怖にさらすこともない。」
「・・うああ!なんだ、このチカラは・・」
ゼッペル王は魔物に姿を変えた。
「どうしたことだ。何も見えん。暗闇が襲いかかってくる・・」
主人公達はゼッペル王と戦うが負けてしまった。
「滅びるがいい・・この地にある何もかも・・」
魔物に姿を変えたゼッペル王は何処かへ行ってしまった。


そこへ大神官が現れ、呪文で主人公達の傷を回復してくれた。
「うむ、どうやら王の魔法は完成してしまったようじゃな。」
「このままでは王は破壊神となり、本当にこの大陸を・・」
「とにかくワシについてまいれ!」


大神官と一緒にゼッペル王を追いかける。
「おまえさん方、しかと見ておれよ。これこそワシが研究をしとった魔法じゃ。」
「すべての魔法の効果を無に帰す呪文、マジャスティス!」
「その聖なるチカラでボウズに宿った悪しきチカラも振り払うのじゃ!」
ゼッペル王にマジャスティスの呪文が炸裂したが、まだ魔物の姿のままだ。
「おまえさん方、すまん。どうやらワシの魔法はまだ完全ではなかったようじゃ。」
「ヤツはまだ生きておる。このままではこの地の危険もまだ去ってはおらん。」
「頼む、ワシに代わり奴にトドメを!」


主人公はマジャスティスの呪文でチカラか弱まったゼッペル王を倒した。
ゼッペル王の姿が元に戻った。
「ぐはあ!これまでか・・」
「何者にも屈しないチカラ・・すまない、俺はルーシアを守ってやれなかった・・」


かくして究極魔法はその威力を見せることなく再び長き封印の眠りにつくこととなった。
究極魔法をめぐり傷ついた者たちはそれぞれに癒やされ、お互いの迷いを消せないままにそれぞれの夜を過ごした。
そして夜が明けた。


皇太后が言う。
「まったくもってそなたらには世話になったな。息子の怪我も幸いそう深いものではない。」
「息子はまだ横になっているが目は覚めておるだろう。よければ出発の前に話しかけて行かれよ。」


ゼッペル王と話をする。
「旅の者、お前たちには礼を言わねばならんな。」
「お前たちの働きがなければ今頃この国は本当に滅んでいたかも知れん。」
「私は子供の頃からずっと悔み続けて来たのだ。」
「自分の力が足りないばかりに友の命を守ってやれなかったことをな。」
「そして私は決めた。もう二度と何者にも屈しない強い力を手に入れるのだと。」
「そうすることが幼き友へのせめてもの償いだと思っていた。」
「しかしそんな考えは綺麗事だったのかも知れん。」
「私がチカラを望んだのは友のためなどではなく、弱かった自分への言い訳に過ぎないのだ。」
「迷惑をかけた国の者たちには、私は借りを返していかねばならんな。」
「罪滅ぼしになるかは分からんが、今後は平和のためにチカラを尽くしていこうと思う。」
「では旅の者、またいつかこの国を訪れるがいい。」
「私はお前たちが来る日を楽しみにしながらゆっくりと国造りに励むとしよう。」


大神殿に行き、大神官と話をする。
「実はワシが使った魔法をお前さん達にも伝授しようと思っとったのじゃがな、見ての通りであの魔法はまだ不完全だったのじゃ。」
「あの魔法が完全なら究極魔法じゃろうとすぐに効果を打ち消したはずじゃからな。」
「そういう訳でわしは今後もここであの魔法の研究を続けようと思っておる。」
「そしていずれあの魔法が完全になったらその時こそお前さん達に授けよう。」
「それまで楽しみにしておれ。では必ずまた来るのだぞ、主人公。」


現代に戻り新しく出現した大陸へ向かい、マーディラスの南にある大神殿に向かった。
大神殿の地下にある大神官の墓を調べる。
「知恵あるものよ。汝にさらなる知恵を授けよう。」
「わたしマーディラス大神官が一生をかけて研究した究極の魔法。」
「もはやこの国ではこの魔法を使う者はいないが、後の世のためにこれを残そう。」
「その身にかけられし全ての呪文を打ち消す魔法、マジャスティス。」
「願わくば清き心の者がこれを使うように。」
主人公はマジャスティスの呪文を覚えた。


久しぶりにフィッシュベルに戻ると、漁師が走ってやって来た。
「主人公達、ここにいたのか。」
「詳しい話は後です。とにかくマリベルお嬢さん、すぐ一緒に来て下さい!」
「アミットさんが急に病に倒れちまいまして・・それで村の漁師たち皆でお嬢さんのことを探してたんですよ。」


アミット邸に向かうと神父がアミットの診察をしていた。
「とりあえずアミット殿は命は取り留めた。だが何ぶん危険な病に間違いない。」
「こんな時じゃ。せめてお前がこれ以上アミット殿に心配をかけてはならんぞ。」
「しばらくは父のそばにいてアミット殿を安心させてやれ。それが何よりの薬になる。」


メルビンが言う。
「しばらくマリベル殿はお父上のところにおられるのが良いでしょうな。」


自宅に戻り、父親のボルカノと話をする。
「おお、主人公。・・そうか、アミットさんは持ち直したか。良かった。」
「心配には違いないが俺達がジタバタしてもこればかりはどうにもならん。」
「せめてアミットさんが早くに回復されることを祈るしかあるまいな。」
「それはそうと、実はお前たちに聞きたいことがあったのだ。」
「以前、ここより北西の海で漁をしていた時、近くの大陸にテントで暮らす人々を見つけてな。」
「見た所、旅の民族だったようだが、お前たちはそんな人々を見なかったか?」
主人公は頷いた。
「おお、やはり知っていたか。」
「先日、城の調査団の連中からそんな場所に人はいないはずだと言われてな。」
「あるいは見間違いでもしたのかと自分の目を疑っていたのだ。」
「お前も見たというのなら、やはりあれは見間違いではなかったのだろう。」
「調査団の連中が調べた後に、あの地に流れ着いたか・・恐らくそんな人々なのだろうな。」


フィッシュベルから魔法の絨毯を使って北西へ進み、ユバール族のテントへ向かう。
ユバール族の男性に話を聞く。
「僕たち一族の代表となる踊り手は今回のアイラでちょうど10代目。」
「中でも2代目のライラという人は、かなりの踊り手だったらしい。」
「アイラは伝説のその踊り手にあやかって名付けられたんだけど、いや、とんでもないじゃじゃ馬さ。」


ユバール族の女性に話を聞く。
「今日は大事な儀式の日だって言うのに盛り上がらないわね。」
「まあ肝心のアイラが乗り気じゃないんだから無理もないけど。」
「それに腕のいいトゥーラの弾き手だってまだ見つからないし。」


族長のテントからアイラが駆け出してくる。
「待ちなさい、アイラ!まだ儀式は終わっておらぬ!」
アイラは何処かへ行ってしまった。
族長に話を聞く。
「おお、旅のお方じゃな。これは見苦しいところをお見せしたのう。」
「まったくアイラは何が気に入らんというのか。」
「こうしてわしが自らトゥーラの弾き手もかってでているというのに。」
「一族を代表する踊り手を名誉と思わんとは。これも時代と言うものなのかのう。」


集落を南へ抜け、西にある崖へ行くとアイラがいた。
「誰?あら、なんだ。さっき私たちの村を訪ねてきてた旅の人ね。」
「てっきり村の誰かが追いかけてきたのかと思ったわ。」
「こんにちは。私はアイラ。旅の人が私に何か用?」
「ははーん、さては族長様に頼まれて来たんでしょ。あなたも人がいいわね。」
「でもお生憎様。私は踊り手の跡継ぎになるつもりはないの。」
「悪いけど私のことは放っておいて頂戴。じゃあね。」


アイラは村へ戻っていった。
主人公も村へ戻り、村の人に話を聞く。
「アイラは西の崖っぷちにいただろ?」
「あの崖っぷちには、この地に落ち着いてから作ったアイラの両親の墓があるんだよ。」
「俺達ユバールは死んでも墓を作らないのがしきたりなんだけど、アイラが作りたいって言ってね。」


族長のテントに行くとアイラが来ていた。
「ではどうしても探しにゆくと言うのか?アイラよ。」


アイラが言う。
「だって族長様。神の祭壇が見つからない今、踊り手はまだ必要ないはずです。」
「だから諦めないで探し続けたいんです。何処かにいるトゥーラの名手を。」


族長の隣りにいる女性が言う。
「でもね、アイラ。伝説の弾き手の血筋の者は、もうはるか昔に絶えてしまったかも知れない。」
「これまで探し続けても手がかり一つ見つからなかったのだから。」


「いえ、私は信じています。大地のトゥーラがある限り、弾き手もきっと現れると。」
アイラが主人公達の姿に気づく。
「あら?あなた方は旅の・・仲間の!」
「そうです、族長様!私にはこの旅の仲間もいるんだから安心ですわ。」


族長が驚く。
「何?旅の仲間じゃと?しかし、その方々は確かここに訪ねて来たばかりの・・」


アイラが言う。
「ええ、会ったばかりですけど私たちのことをとても良く理解してくれて。」
「一緒に大地のトゥーラを弾きこなせる名手を探してくれるんだったわよね?」
主人公は話を合わせて頷いた。
「お聞きの通りですわ、族長様。」
「旅慣れたこの方々が一緒なら安心でしょう?」
「もし神の祭壇のあった湖が見つかるなら、なんとかそれまでに弾き手を探したいの。」
「そうしたら私、今よりずっと心を込めて踊れるような気がする。」
「じゃあそういうことで出発しようかしら?」
「皆が寝ている夜に出発するのが大げさにならなくていいしね。」
「では族長様、行ってまいります。」


族長が言う。
「まったく、お前は子供の時からこうと言い出したら聞かんのだから。」
「その性格は一体誰に似たのやら。」
「じゃがアイラよ。お前が我らの使命を誰よりも大切に考えていることも知っておる。」
「ここはお前を信じ、我ら一族に伝えられる大地のトゥーラを預けよう。」
「これはかつて神の祭壇に供えられた大地のトゥーラ。」
「神の復活の儀式のために使うものじゃ。」
「伝説の弾き手の子孫がもし生き残っておれば、このトゥーラを弾きこなすことが出来よう。」
「もしお前の目にかなう弾き手に出会ったら、このトゥーラを弾かせてみるがいい。」


アイラは大地のトゥーラを受け取った。
「ありがとうございます。確かにトゥーラをお預かりします。」


アイラと共にアイラの両親の墓に立ち寄る。
「ここは私の両親とご先祖様のお墓。」
墓の中から一本の剣を取り出す。
「そしてこの剣は代々守り手の血筋に伝わってきた神の剣。」
「刃の先の方に紋章のような飾りがあるでしょう?これは神の守り手の証らしいわ。」
「何でも伝説の守り手として有名だったご先祖様が見つけた物なんですって。」
「その人、元は何処かの国の王子様だったとか言う変わった経歴の持ち主なのよね。」
「ともかく私が剣を持つと族長様がいい顔をしないからここに収めておいたんだけど。」
「これからの旅には多分役立つでしょうから持ってゆくわ。」


アイラが仲間に加わった。
「あ、そうそう。主人公に大切なものを渡すのを忘れるとこだったわ。」
「これはご先祖様からずっと私の一族に伝わってきたものなの。」
主人公は「不思議な石版・緑」を受け取った。
「さあ、出発しましょう!」


謎の神殿に行き、アイラに貰った石版を緑色の石柱の台座にはめると新しい場所にワープした。
ワープした場所から北に進んで聖風の谷へ向かう。
「聖風の谷へようこそ。ここは自由に空を舞うリファ族の暮らす谷よ。」
「自由に空を舞うなんて他の種族の人には信じられないかしら?」
「見ていてね。嘘じゃないってことを目の前で証明してあげるから。」
リファ族の女性は背中についた大きな白い羽を羽ばたかせ、空中に飛び上がった。
「どう?これで嫌でも信用するしかないでしょ?じゃ、ゆっくりしていってね。」


先へ進むとリファ族の族長と老婆が言い争いをしている。
「なんべん言ったら分かるんじゃ!あんな石ころ、リファ族には不要のものじゃ!」
「それをわざわざ危険を冒して取りに行こうなど、族長の考えることとは思えんわい!」
族長が言う。
「神の石は必要なものだ。あの石はこの谷に止まない風を与えて下さった。」
老婆が言い返す。
「その止まない風というのがそもそも不要と言っとるんじゃ。」
「地に足を付き、時に自然の風に乗り空を舞う。それがリファ族の本来の生き方じゃろう。」


族長が言う。
「今はもう母さんの頃とは違うんだ。今風が止んだらリファ族の者は生きていけない。」


老婆は族長の母親だったようだ。
「なら勝手にするがいい!あんな無意味な石ころのために好きなだけ谷の人間の命を危険にさらすがいい。」
「馬鹿な族長を持って、谷の連中はつくづく不幸じゃわい。」
族長の母親は何処かへ行ってしまった。


族長と話をする。
「おお、旅の方ですか。来た早々お恥ずかしい所をお見せしてしまいましたね。」
「実は最近この大陸で困ったことが起き、その事で今も母ともめていたのです。」
「こんな時に谷に来られたのも何かの縁、折角ですので私の話を聞いて下さい。」
「この谷より北に我らリファ族が代々守り続けて来た神殿があるのですが、半月ほど前、その神殿に急に黒雲が舞い降り、そこから魔物が次々と現れ出したのです。」
「神殿の人々は逃げ出しましたが、その時に神の石という石を神殿に残して来てしまったのです。」
「神の石というのはこの谷に止まない風を運ぶ石。このままではいつ谷の風が止んでしまうか。」
「そこでどうにか神の石を取り戻すために神殿に向かう精鋭を探していたのですが・・そうだ、見た所あなた方は相当に腕が立ちそうだ。」
「お願いです。我らに代わり北の神殿より神の石を取ってきてはくれませんか?お礼は致しますので、宜しくお願いします。」


リファ族の女性に話を聞く。
「さっきもフィリアちゃんが一人で花を摘んでいたわ。」
「他の村で暮らしていれば普通の子なのに、リファ族の谷で暮らすなんてかわいそうよね。」


リファ族の男性に話を聞く。
「フィリアちゃんはこの谷に住むたった一人のリファ族ではない人間。」
「ある雨の日に族長の家の前に捨てられていて、族長がそのまま引き取って育てているとか。」
「何処の誰が捨てたのか知りませんが、世の中にはひどい親がいるもんですね。」


族長の母親に話を聞く。
「20年も前じゃったかの。空から光る石がゆっくりと落ちてきたんじゃ。」
「驚いた谷の者たちはその石を神の石などと呼び、すぐに神殿に祀ったんじゃ。」
「その日以来、この谷の風は片時も休むことなく吹き続けるようになった。」
「若い連中は止まない風を喜んだが、私には不気味な出来事としか思えんかった。」
「自然を裏切ってまで風に頼れば、いずれ必ず破滅が訪れる。そう思えたんじゃ。」
「しかし、私の話など誰も聞く耳を持たん。実の息子でさえな。」


主人公はリファ族の神殿に向かい最奥へと進んでいった。
するとそこに闇の魔神が待ち構えていた。
「この黒雲の中、こんな所まで来るやつがいるとは驚いたな。」
「だが残念ながらここから先に通すわけにはいかん。」
主人公達は襲いかかってくる闇の魔神を倒した。
「ウググ、そんな馬鹿な。俺様がこんな連中に敗れるなど・・」
「しかしこれでこの黒雲が晴れると思ったら大間違いだ。」
「この地に真の恐怖が来るのはまだまだこれからだ。クックック・・」
闇の魔神は消滅した。


奥の扉に入ると、神の石が祀られていた。
主人公は神の石を手に入れた。


聖風の谷に戻り、族長の家に入るとフィリアと族長の母親が話しをしていた。
「今風が止まろうものならこの谷もおしまいじゃ。」
「だがもしもそうなってもフィリア、お前だけは地に足をついて生きていける。」
「いいね、谷の風が止んでもお前だけはきちんと生き抜くんだよ。」


フィリアが言う。
「もう、またその話?大丈夫だよ。谷の風は絶対に止んだりしないよ。」
「神の石さえ取り戻せば谷の風は止まないってお父さんがそう言ってたもの。」


「いいや、それは間違いじゃ。谷の風を守っているのはあんな石ころなどではない。」
「むしろあの石ころがなければリファの人間は風が止むことに怯える必要もなかったのじゃ。」
「あの石ころが止まない風など運んでこなければな。」


フィリアが言う。
「お婆ちゃん、その話はもう終わろ。もうすぐお父さんが帰ってくるよ。」


族長の母親と話をする。
「お父さんが好きというフィリアの言葉を聞くと胸が苦しくなってきよる。」
「あんな男の何が父親じゃ。私は心底恥ずかしいわい。」


族長が帰ってきた。
「おお、あなた方。もしやその手にあるのは・・」
「おお、これぞまさしく神の石!旅の方、心から感謝致しますぞ。」
「これで谷の風も安心だ。それでは私の方も約束を果たさねばなりませんな。」
「今宵は盛大な宴を設けましょう。旅の方、どうぞ存分に楽しんで下さい。」


神の石を取り戻したリファ族の人々の喜びは大きかった。
そのためか主人公達をもてなす宴は予想以上に盛大をきわめた。
しかし一部の人々は神殿の黒雲が消えないことにまだ小さな不安を抱いていた。
そして夜が明けた。


再び族長の家に行くと族長と族長の母親がもめていた。
「いい加減に口を開いたらどうなんだ、母さん。神の石を何処にやった。」


族長の母親が言う。
「フィリアに渡したのさ。花を摘みに行くついでに川にでも投げ捨ててくれって言ってね。」


「馬鹿な!とにかくすぐにフィリアを止めなくては!」
家を出ていこうとする族長を母親が止める。
「馬鹿はおまえさん一人で充分じゃわい。」
「私がそう言ったからってフィリアが本当に石を捨てるとでも思っておるのか。」
「あの子のことじゃ。後で私に気づかれんようにこっそりおまえさんに返すに決まっとる。」
「誰も傷つけんように必死に気を使ってな。あの子はそういう子じゃ。」
「フィリアは身寄りのない自分を育ててくれたと思い込んで本当にお前に感謝しておる。」
「そんなフィリアのことも信じれんのならおまえさんは最低の人間じゃ。」


族長の家を出て神殿の前に差しかかると、空が闇に包まれ谷の風が止まった。
谷の一番上まで上がって行くと、フィリアが崖から落ちそうになっていた。
主人公は何とか助けようとしたが間に合わなかった。
「もう駄目・・腕が・・」
フィリアは崖から落ちてしまった。しかし途中で身体が光に包まれ空中に浮いた。
ゆっくりと下まで降りていくフィリアを見届けた主人公は、下まで追いかけて行った。
「主人公さん、私を助けようとしてくれたのね。どうもありがとう。」
「どうして助かったのか分からないけど、落ちると思ったらこの石が急に温かくなって。」
「これも神の石の力なのかなあ。」
「それより風が止まってお父さんたちの事が心配だよ。私行かなくちゃ!」


再び族長の家に行き、フィリアと話をする。
「風が止んだせいで谷の人はみんな動けなくて苦しんでいるわ。」
「主人公さん、お願いです。この谷をもう一度助けて下さい。」


族長の母親が言う。
「主人公たち、フィリアを連れてきてくれたのね。ありがとう。」
「あんた達に頼みたいことがあるんだ。」
「この谷の風が止んでしまったのは、神殿にある精霊様の像が黒雲に包まれたためなんだ。」
「精霊様の像は昔からこの谷の聖なる風を守ると言われておる。」
「すなわち、今一度神殿に向かい、精霊様の像から忌々しき黒雲を取り払って欲しいのじゃ。」
「しかしね、精霊様の像はリファ族の者しか近づけないよう特別な扉で守られておる。」
「そこでじゃ、フィリア。あんたがこの方達について行き、その扉を開くんじゃ。」
「フィリア、一度しか言わない。よく聞くんだよ。」
「あんたは拾い子なんかじゃない。ちゃんとこの家に生まれたリファ族の血を持つ者なのさ。」
「神様が何を思ったのかは知らないよ。だけどね、あんたはそういう身体で生まれてきたんだ。」
「しかもその事を家の恥だと思い必死に隠そうとするような馬鹿な父親の元にね。」
「その男を恨もうが何しようがあんたの勝手だよ。だけどね、今のあんたにはやることがある。」
「この谷の人間を助けることが出来るのはあんただけなんだ。フィリア、頼んだよ。」


フィリアと共に再びリファ族の神殿へ向かい奥へ進んでいくと、固く閉ざされた扉があった。
「この扉がリファ族にしか開けられない扉ね。」
「つまりこの扉を開けられることがリファ族であることの証。」
「お願い、開いて・・」
フィリアが念じると、扉が音を立てて開いた。
「開いた・・私もリファ族の一人だったなんて。」
「何だか信じられないけど、とにかく今は先を急がなくちゃ。」


扉の奥に進んでいくと精霊の像があった。
精霊の像に黒雲をかけている魔物ヘルクラウダーを倒す。
「ぐふ・・馬鹿な。貴様らは一体・・」
「私が油断していたのか・・いや、そんなはずはない。」
「人間とは何だ・・信じ合い、チカラを束ね・・」
ヘルクラウダーが消滅し、空を覆っていた黒雲が消え去った。


族長の家に戻る。
「おお、フィリア。それに主人公達も。よくぞ無事で戻ったね。」
「あんた達のおかげで谷に風が戻った。本当に心から感謝するよ。」
「ところでフィリア、今回のことではお前にはいろいろ辛い思いをさせたね。」
「お前は間違いなくリファ族の人間だよ。それははっきり分かっただろう?」
「私もお前の父親と一緒さ。気づかれないように今までずっと隠してきたんだ。」
「ごめんよフィリア。どうか私たちのことを恨まないでおくれよ。」


フィリアが言う。
「やだなあ、私は誰も恨んだりなんてしないよ。」
「だって私は嬉しいもの。自分がお父さんの本当の子だって分かって。」


「フィリアや。あんたが本当はリファ族だってことは私から谷の皆に言っておくよ。」


「私、ちょっと試したいことがあるんだ。」
フィリアはそう言うと、神の石を使って空中に浮き上がった。


族長の母親が驚く。
「驚いたよ、フィリアや!なるほどね、その石はただの石ころじゃないね。」
「その石さえあればお前もこれからは引け目を感じる必要はないよ。」
「フィリアや、その石は今日からお前が持っておいで。なに、誰にも文句は言わせないさ。」
「何しろあんたがいなかったら、谷の者は死に絶えてたかも知れないんだからね。」


フィリアが言う。
「私、石はいらないよ。」
「だって私もリファ族だよ。それだけでもう充分だし。」
「神様に貰ったまま、自然のまま生きたいよ。これってお婆ちゃんが言ったことだよ。」
「でもこの石は私が貰っとくね。」
「主人公さん達にこの谷を助けてもらったお礼がしたいの。」
「この石は私を飛ばせたり風を起こしたり不思議なチカラが沢山あるわ。」
「主人公さん達ならきっと旅の途中でこの石を役立ててくれるよ。」
「じゃあ主人公さん、この石、きっと何処かで役立ててね。」
主人公はフィリアから神の石を受け取った。
「それじゃ、主人公さん。また谷に遊びに来てね。絶対約束だよ!」


現代に戻り、新しく出現した大陸を探索すると「不思議な石版・黄」を見つけた。
謎の神殿に行き、黄色の石柱の台座に石版をはめると新しい場所にワープした。
ワープした場所から南に進んでレブレサックの村へ入る。
畑を耕している男性に話を聞く。
「お日さまが霧に隠れたんじゃ畑は育たねえよ。しょうがねえ。」
「でも他に出来ることもないからさ。俺は耕すんだ。」


老婆に話を聞く。
「うちの子はね、この忌々しい霧はきっと魔物のせいだって。」
「そう言って魔の山へ行っちまったんですよ。魔物をやっつけてやるってね。」
「それが、それっきり。ああ、どうして魔物なんてこの世にいるんだい。」


そばにいる娘に話を聞く。
「兄さんは山の魔物をやっつけるって出てったきり。」
「一緒に行った神父様も木こりの夫婦もそれっきり戻らない。」
「あたしには父さんと母さんがいるけど、ルカスは一人になっちゃったの。」


村の男性に話を聞く。
「珍しいな、旅の人かい?」
「この村の教会は魔物に乗っ取られちまったのさ。」
「逃げ出したシスターが村長さんの家にかくまわれてるぜ。全く可愛そうに。」


村長と話をする。
「しばらく前から教会に住みついている魔物。やつを退治して頂けませんか。」
「この霧も村の外に出る魔物達もあやつの仕業。奴さえ倒せば・・」
「お願いします。どうかチカラを貸して下さい!」


お墓のすぐ南にあるルカスという少年の家に行く。
「僕はルカス。父さんと母さんはお墓の下さ。だからこの家は僕一人。」
「一人だって平気さ。だってこの女神様が守ってくれるもの。」
ルカスの前には黄金の女神像がある。
「僕の母さんの家にずっと伝わる像なんだ。」
「母さんもいつもお祈りしていた。」
「災いや魔物からみんなを守って下さいねって。」
「君たちもお祈りするといいよ。」
「恥ずかしいけどさ、この像、ちょっと母さんに似てるんだ。」
「それに魔物退治に行く前、母さんが私の代わりにこの像が僕を守ってくれるって。」
「だから教会の化物も僕には手を出せないんだ。」
「村のみんなは教会の魔物をやっつけるって言ってるよね。」
「僕だって父さんと母さんのかたきは討ちたいよ。」
「でも僕、あいつがそんなに悪いやつとは思えないんだ。そりゃ魔物だけどさ。」
「ただ、やっつけちゃっていいのかなって。あいつ、まだ何もしてないし。」
「そりゃ父さん達を殺したのかも知れないけど・・でも、もしかしたら、あいつは魔物なんかじゃなくて・・」


主人公は村の北の高台にある教会へ向かった。
確かに教会には魔物が住んでいたが、何故か魔物は神父の格好をしている。
話しかけても悲しそうにこちらを見ているだけで何も話さない。


主人公は村長に魔物は悪い魔物じゃなさそうだと伝えた。
「なんだと!まさか魔物の味方をすると言うのか?」
「そうか、そういうことだったのか。」
「お前達が魔物の仲間とは。まんまと騙されたよ。」
主人公達は村長宅に駆けつけて来た村人達に取り囲まれ、魔の山に連れて行かれた。
村と魔の山を隔てる関所に鍵をかけられ、閉じ込められてしまった。


仕方がないので魔の山を登っていくと、頂上に神父の男性がいた。
「もうじき村の奴らがアイツを殺してしまうだろう。アイツさえ死ねば・・」
主人公達の姿に気づく神父の男性。
「おや、どうしました。こんな山奥に。道に迷ったのですか?」
「こんな所にいてはいけません。魔物に食われてしまいますよ。」
「そう、あの村の人達のようにね。」
「魔物を倒し、山からこの霧を追い払うため、村の人達はやって来た。」
「そうしてあっという間に頭から魔物に食われたのです。何にも出来ないうちにね。」
「弱い人間のくせに魔物に逆らうからこうなるのです。」
「あの神父も村人達と一緒に魔物退治にやって来た。」
「仲間たちは次々に死んでゆき、それでも神父は諦めず立ち向かってきた。」
「だから私は言った。村を守りたいなら私と取引しないかと。」
「私と姿を取り替え、おぞましい魔物の姿になって生きるならば、お前の生きている限りは村を襲わずにいてやろうと。」
「このボトク様とな、約束したんだよ!魔王様の配下、ボトク様とな!」
神父は魔物に姿を変えた。
「ところがだ。お優しい神父様は村人に殺されちまうのさ。」
「あっはっは。約束通りそれまでは村の奴らにゃ手は出さねえよ。」
「馬鹿な村人達だ。自分を守ってくれていた神父を自分の手で殺すんだぜ!」
「さて、ここまで聞いたんだ。タダで帰れると思うなよ。」
「俺様の楽しみを邪魔するやつは殺してやる!」


主人公達は襲いかかってくるボトクを倒した。
「畜生・・人間ごときに・・」
「あの神父が殺されるはずだったのに・・」
ボトクは消滅した。
村を覆っていた霧が晴れ、辺りが明るくなった。


関所の鍵を壊し村に戻ると、魔物の姿をした神父が広場で磔にされていた。
「はっはっは。化物め。もうおしまいだ。これから火を付けてやる。」
その時、神父の姿が元の人間の姿に戻った。
主人公が村の人達に事情を説明する。
「そうか、神父様は村を守るために・・」
神父は教会に運ばれて行った。
「旅の方、あなた方には申し訳ないことをした。」
「全ては魔の山の魔物の仕業だったとは。」
「我々は明日の朝、皆で神父様に謝りに行こうと思います。」
「それで許してもらえるとは思えませんが・・」


教会に行くと、神父の側にルカスが黄金の女神像を持って看病しに来ていた。
「これ、持ってきたんだ。母さんの女神像。」
「きっと女神様が神父様を助けてくれる。」
「神父様は何一つ悪いことなんてしてないんだから。」
「きっと、女神様がきっと・・」


夜が更けた頃、神父が意識を取り戻した。
ルカスは疲れて眠っているようだ。
「旅の方でしたね。ゴホッゴホッ。」
「一つ頼みを聞いて頂けませんか。」
「皆が気づかぬうちにこの村を出たいのです。」
「でも情けないことに足元がおぼつかないのです。」
「村の入口まで付き添って頂けませんか。どうぞお願い致します。」


ルカスを起こさぬよう、村人に気づかれぬよう、神父を村の入り口に連れていった。
「不思議にお思いでしょう。村を出るなどと。」
「旅の方のおかげで村人も私も救われました。」
「私にかかっていた魔物の呪いは解けた。しかし村人の心は・・」
「霧が晴れようとも彼らの心は未だ苦しみの中です。」
「もし私がこのまま村に留まるならば、村の人々はいつまでも私の姿を見る度に苦しむでしょう。」
「彼らに罪はない。全ては魔物の仕業というのに。」
「苦しみの日々は霧と共に消えるべきなのです。」
「霧と共に、私と共に。」
「ここは良い村でした。村人も皆良い人ばかりでした。私は忘れますまい。」
「旅の方、あなた方にもお世話になりました。ありがとうございます。」


ルカスが目を覚まして追いかけて来た。
「神父様!そんな身体で何処へ行くんです!」
「どうして神父様が出ていかなければならないのですか!」
「・・僕にはよく分からないけど・・どうしても行くんですね。」
ルカスは黄金の女神像を神父に渡した。
「母さんがいつも祈ってた。魔物や災から守ってくれるようにって。」
「神父様が村を出るなら、その旅をきっと、きっとこの女神像が守ってくれるから。」
「どうか神父様、女神像を一緒に連れて行ってよ。」
「僕は大丈夫。いつまでも子供じゃない。」


神父が言う。
「ありがとう、では私も祈りましょう。あなたとお母さんがそうしたように。」
「いかなる魔物や災いからも人々を守ってくれるように、女神像に祈りを捧げましょう。」
「ずっとずっと祈り続けましょう。一日も休むことなく。」
「この村と旅人に、そしてルカス、あなたに神のご加護がありますように。」
神父は村を旅立っていった。


現代に戻り、新しく出現した大陸に向かう。
レブレサックの村を探索し「不思議な石版・青」を見つけた主人公は、謎の神殿に行き青色の石柱の台座に石版をはめた。
新たな場所にワープし、そこから西に進んでコスタール城に入る。
「ここはコスタール。海に浮かぶ港の国だ。」
「しかし今は魔物に支配され、この城も町も牢獄のようなもの。」
「何処からやって来たは知らぬが、こんな場所に立ち寄っても仕方なかろう。早々に帰られよ。」


城下町で鍵のかかっていない家に入り、そこに住む女性に話を聞く。
「裏の家は鍵がかかっていたでしょう。今夜は満月だから怖がっているんです。」
「うちはお婆ちゃんが教会に行ってるからまだ鍵を開けてますけど。」


酒場にいる戦士に話を聞く。
「海賊マール・デ・ドラゴーンのことを知ってるか?」
「かつては最強と呼ばれた海賊だが、王が総領のシャークアイと契約してこの国の海軍になってもらったのさ。」
「そうすれば海の魔物に恐れることなく貿易船が出せるからな。」
「けどそのせいで、かえって魔物の親分に目をつけられてこの有様よ。」


教会でお祈りをしている女性に話しかける。
「宿屋の女将なら私だけど、うちの宿に泊まりたいのかい?」
「でも今はいくら商売でもおすすめ出来ないねえ。」
「王様の許可でもあれば別だけどさ。」


玉座の間で王様と大臣が話をしている。
「すまぬが今は大切な話をしているところなのじゃよ。」
「え?ここの宿屋に泊まりたいですと?」
「しかしこの国には魔物の呪いがかかっておりますのじゃ。」
「ここに留まってその災いを受けるようなことがあっては・・。」
王様が言う。
「まあ待て、大臣よ。この旅のお方はあの闇の海を越えて来られたのだろう。」
「何か余程、腕に覚えがあるに違いない。」
「むしろこの国が閉ざされた今、旅人は歓迎すべきなのではないかな?」
大臣が言う。
「しかし王様。今宵は満月ですぞ。もしあれを見られたら我が国の名に傷がつくのではありませぬか?」
王様が言う。
「この期に及んで傷も何もなかろう。」
「それにこの新たな出会いが何か良いことのきっかけになるやも知れん。」
「旅のお方、ゆっくり話をお聞きしたいところだが、もう夜も遅い。」
「今夜は宿に泊まるなどして疲れを癒やされるが良かろう。」


宿屋に泊まりベッドで寝ていると、夜中に女性の叫び声がして目が覚めた。
外に出ると女性が魔物に話しかけている。
「ああ、私の赤ちゃん!ママのことが分かるでしょう?」
女性が魔物に近づくと、魔物に攻撃をされてしまった。
女性の旦那が駆け寄る。
「大丈夫か、シエラ!だから言ったろう?この子にはもう俺達の事も分からないんだ。」
シエラが痛みに苦しみながら言う。
「ええ、でもこの子は私たちの赤ちゃんなのよ。諦めるなんて出来ないわ。」
魔物は何処かへ行ってしまった。
それを見たシエラが泣き崩れる。
「ああ、あなた・・どうしてこんな事に・・ううう。」


その様子を見ていた兵士に話を聞く。
「このような事をただじっと見ているしか出来ないとは、兵士として情けない限りだ。」
「これでもうこの国は子供を産もうなんて考える者は一人もいなくなってしまうだろう。」
「旅慣れたあなた方なら魔物を恐れることもないかも知れませんが、あの魔物はシエラさんの娘の変わり果てた姿。どうか見逃してやって下さい。」


玉座の間に行き大臣に話を聞く。
「やはり我が国の悲劇を見られてしまいましたな。」
「5年ほど前、我が国が闇に封印されて以来、生まれる子供に呪いがふりかかり始めたのじゃ。」
「生まれて最初の満月の夜にその子の姿がおぞましい魔物に変えられてしまうという。」
「そして自分の親の顔も分からなくなり、何処か闇の先へ去ってゆくのじゃ。」
「こんな事が信じられようか。」
「全く、これでは人の心まで暗闇に閉ざされてしまう。何とかしなくては。」


城にいる老人に話を聞く。
「大灯台の聖なる種火はエンゴウの火山よりもたらされたもの。」
「しかしこの国が闇に閉ざされた今、エンゴウの国に行くのは不可能じゃ。」
「大灯台が生き返れば、せめて永遠の闇からは解放されそうな気がするんじゃがのう。」


城の寝室にアニエスという女性が寝ていた。
とても綺麗な若い女性だが、苦しそうな顔をして眠っている。
側にいるメイドに話を聞く。
「アニエス様は我が国の王がキャプテン・シャークアイ様よりお預かりした大切なお方。」
「ご病気でお休みのところですのでどうぞお静かにお願い致します。」
すると突然アニエスが目を覚ました。
そして主人公の顔を見て言う。
「うーん、あなた、シャークアイじゃない?」
「あら私・・ごめんなさい。昔の夢を見ていたものだから。」
メイドが言う。
「こちらのアニエス様はご病気のため療養中で、時々熱にうなされるようなのです。」
「なるべくそっと、お静かにお願い致しますね。」


兵士に話を聞く。
「我が王はご自分の悲しみなどあまり口にはされませんが、かつてコスタールが魔物に襲われた時、最愛の奥様を亡くされたのです。」
「ですから同じ思いを親友にさせたくないとお考えになったのでしょう。」
「シャークアイ様があの決死の船出をなさった時、アニエス様を我が国に預かったのです。」


城の2階ベランダにいる楽師に昔話を聞く。
「こうして暗い海を眺めていても目を閉じればかつての幸せな日々が思い出されるようです。」
「私はコスタール国の楽師として長い間皆さんと暮らし、そして旅を共にしてきました。」
「特に我が国の誇る海軍マール・デ・ドラゴーンとの船旅は最高の思い出です。」
「そう、今でもこのさざ波に混ざって、あの時の賑わいが聞こえてくるようです。」
「アニエス様はかつて何処かの国の王女様だったとも言われるお方。」
「そんな高貴な生まれのアニエス様が何故、嵐に揉まれる海賊生活を長い間続けておられるのか。」
「お国を捨ててまでシャークアイ様についてこられた理由は何なのでしょうか。」
「アニエス様はこう言っておられた。」
「夫を愛するのはシャークアイ様がコスタール王に惹かれるのと同じ理由だと。」
「シャークアイ様が魔物と戦い海を守ってきたのは名声や欲のためじゃなく、王が国を守ろうとしているのと同じだと。」
「アニエス様は赤子を身籠られ、やむなくコスタール国に残りました。」
「子供が生まれたらまたシャークアイ様と船に乗ると約束して。」
「その後シャークアイ様は魔物との決戦のため旅立たれましたが、まだ帰ってきておられません。」


翌朝、王様に呼ばれたので玉座の間へ向かう。
「おお、これは皆さん。朝早くからお呼び立てして申し訳ない。」
「昨夜の事件は皆さんもご覧になったと大臣から聞いているが。そう、まさにあれが我が国の悲劇なのだ。」
「しかし学者の調べでその悲劇にも終わりを告げられそうな方法が見つかりつつある。」
「どうも北の大灯台に秘密があるらしい。」
「魔物にされた子供たちが北の大灯台に向かっていくという噂は前からあったのだが、闇の炎に支配されて以来、大灯台の中は暗闇に閉ざされて一歩も進むことが出来ないのだ。」
「しかし学者の考えた方法なら暗闇の中でも子供たちの後を追うことが出来るという。」
学者の話を聞く。
「実はこの国のずっと東の洞窟にホビット族の集落があります。」
「彼らは洞窟の地底深くにある不思議な光苔を太陽の代わりにして生活しておるのです。」
「そこで私は考えました。その光苔を魔物にされた子供の足につければ後を追えるのではと。」
「光苔は暗闇で光りますから、その光る足跡を追えば大灯台の中も歩くことが出来ます。」
「しかしチャンスは数回だけ。魔物にされた子供は数日間だけこの国に戻ってきますが、その後は身も心も魔物になって2度と戻りません。」
「ですからその前に光苔を入手しなければ。」
王様が言う。
「本来ならこちらから出向いてホビット族の長にお願いする所なのだが、実はわしがホビット族の長にひどく嫌われているため、我が国の者の頼みは聞いてくれないのだよ。」
「そこで皆さんをかなり腕の立つ旅人と見込んでお願いなのだが、コスタールの者に代わってホビット族に光苔をくれるよう頼んではくれまいか?」
「皆さんがどうやってここまで来たかは知らぬが、これも神のお導きかも知れん。」
「どうか宜しく頼みます。」


コスタールを出て、東にあるホビット族の洞窟へ向かう。
洞窟を進んでいくと、奥にホビット族の集落があった。
「わしらはホビット族。コスタール王妃の亡き後、人間とは縁を切って暮らしている。」


族長の部屋で族長と話をする。
「ふん、何やら外が騒がしいと思ったら人間が迷い込んどったか。」
「わしらホビットになんぞ用でもあるのか?」
「はん?コスタール王が嫌われてるから代わりに来ただと?」
「ふん、別にわしゃヤツを嫌っちゃいねえよ。」
「コスタール王の所に嫁にいった娘のシュクリナのことはどうにも仕方ねえことだ。」
「けどよ、分かるだろ?シュクリナは本当に可愛い娘だった。」
「一族の皆も慕っておったし、周りの者を幸せな気持ちにする不思議な魅力があった。」
「コスタール王、そして人間を恨むことで少しでも悲しみを抑えるしかねえのさ。」
「シャークアイがやられたってのは知ってたが、そんな事になってるとはな。」
「光苔ならこの洞窟のさらに奥に生えとるが今は難しいぞ。」
「何しろ魔物の親玉が光苔を気に入って貪り食っとるからな。」
「あんたら、危ない目にあってもいいんならこの洞窟のさらに深くまで行ってみな。」
「光苔は水際の側の壁にびっしり生えとるはずだ。」


洞窟の奥へ進んで行くとガマデウスという魔物がいた。
「ああ、うめえ。こりゃたまらんぜよ。」
「なんぜよ?貴様らは。どうも臭いと思ったら人間か。」
「しかしまだコスタールにここまで来る元気のある奴がいたとはのう。」
「あまりうまそうじゃないが、褒美におまんらを食ってやるぜよ。」
主人公は襲いかかってくるガマデウスを倒した。
「何故このワシが・・ぐは!」
「ワシに勝ったからっていい気になったらいかんぜよ。」
「まだまだおまんらが考えもつかぬようなごっつい大物が・・ぐは!」
ガマデウスは消滅した。


壁を調べて光苔を手に入れた主人公はホビット族の長老に報告した。
「あんたらが手に入れたその光苔には娘のシュクリナの気持ちがこもっている。」
「あの光苔をあそこまで育てたのはシュクリナだったからよ。」
「いや、まさにシュクリナはわしらホビットの太陽だった。そう、今でもな。」
「せめてその光苔で、あの娘のカタキをとってやってくんな。」


コスタールへ戻ると、ちょうど魔物が町に現れていた。
主人公は光苔を魔物の足元にまいた。
光苔を足につけた魔物は何処かへ去っていった。
それを見ていた兵士が言う。
「どうやら光苔はうまく魔物の足についたようですね。いや、間に合ってよかった。」


王様に報告する。
「主人公殿、恥を忍んでお願いだが、次は大灯台へ向かって欲しい。」
「北の大灯台の祭壇には今も闇の炎が灯されているという。」
「もしそこまで辿り着けたなら、まずは闇の炎を消さなくてはならん。」
「それにはこの世界の何処かで取れる七色の雫という湧き水が必要らしいのだ。」
「詳しいことはそこの学者に聞いて欲しい。」
「とにかく、くれぐれもご用心されたい。宜しく頼みましたぞ。」


学者に話を聞く。
「七色の雫とは七色の入江という聖なる場所を満たす海水のことを言います。」
「ですから七色の入り江へ行けば簡単に手に入るはずです。」
「七色の入り江と言えば、最近有名な学者が次のように書き記しています。」
「この世の中心の海に浮かぶ小さな無人島に七色の入り江は存在する。」
「清き水に讃えられたその水面は、悪しき心を癒やし、深き眠りへといざなうという。」
「しかし七色の入り江へたどり着いた者はいない。そこは神の領域なのだろうか、と。」
「しかし主人公さんほどの旅人なら、もしや七色の入り江を見たことがあるのでは?」


一旦現代に戻り、謎の神殿向かう。
謎の神殿の地下道を通った先に七色の入り江はあった。
以前ホンダラから貰った「すごい聖水」のビンで七色の雫を汲み、再び過去のコスタールへ向かった。
北にある大灯台へ行き、光苔の足跡をたどって最上階へ登っていく。
最上階にある祭壇に灯る闇の炎を七色の雫を使って消すとバリクナジャが現れた。
「ふん、やっとここまで来おったか。全く待ちくたびれたわい。」
「そろそろ赤ん坊の相手をするのも飽きたしな。」
「少しは骨のあるやつがこの国をうろついとるようだと知り、楽しみにしておったところよ。」
「それにしても遅い!お前ら遅すぎる!」
「ゆっくり楽しんで殺そうと思っていたが、もう一気に終わっちまえ!」
主人公は襲いかかってくるバリクナジャを倒した。
「ああ、何故だ、何故この俺が!」
「しかしコスタールが復活してもシャークアイの船は氷漬けのまま。ぐわっはっは!」
バリクナジャは消滅した。
すると、魔物になっていた赤ん坊達が元の姿に戻った。
赤ん坊達を連れてコスタール国に戻り、王様に報告する。
「おお、皆さん。よくぞご無事で戻られた。」
「本来ならひとまず祝宴をと言いたいところだが、実は心配なことが起きてのう。」
「なんとアニエス殿がいなくなってしまわれたのじゃ。」
「書き置きがあって、それには心配しないようにと書いてあったようだが。」
「もしや大灯台の魔物を倒した仕返しで魔物に捕まったのではないかと心配でな。」
「かくなる上は一刻も早くエンゴウから聖なる種火を持って来て封印から脱出せねばなるまい。」
「封印が解かれれば魔物のチカラも尽き、アニエス殿も戻ってくるのではないだろうか。」
「主人公殿、いきなりで本当にすまぬが、ここにエンゴウへの親書を用意した。」
主人公はコスタール王の親書を受け取った。
「親書をエンゴウの村の村長に渡して欲しい。さすれば聖なる種火をくれるはずじゃ。」
「あなた方ならエンゴウへ行くことも可能であろう。」
「その間にわしらはなんとかアニエス殿をお探ししなくては。」


現代へ戻り、エンゴウで村長に親書を手渡した。
「我々に出来ることならご協力致しますぞ。」
主人公は聖なる種火を手に入れ、再びコスタール北にある大灯台に向かった。
最上階で聖なる種火を使うと大灯台に聖なる火が灯り、闇の封印が解けた。
コスタール国へ戻り王様に報告する。
「主人公殿、そして皆さん。本当によくやって下さった。」
「数年前、闇に封印された時にはもはやこれまでかと諦めかけたものだったが、かつてのシャークアイ達の不屈の精神を忘れず、今日の日を諦めなかったことがあなた方との出会いを導いたのではないかと思う。」
「我がコスタール国を代表して心より感謝申し上げる。」
「どうお礼をすればよいのか分からぬが、この品を受け取ってはくれまいか。」
「これはマール・デ・ドラゴーンの一族を率いる総領に代々伝えられるという伝説の剣。」
「かつてシャークアイが最後の戦いに出航する前夜、お守りにとわしにくれたものだ。」
「これは主人公殿のような方にこそ使っていただくべきであろう。」
「アニエス殿はまだ見つかっておらぬが、ここにおられれば同じことを思うに違いない。」
主人公は水竜の剣を受け取った。


そこへ一人の老人が現れた。
「名乗るほどのものでもないが、わしゃ海底の王。水の精霊様にお仕えする者じゃ。」
「ふむ、お前さん達、アニエスを探しておったじゃろう?じゃから伝言を伝えにな。」
「単刀直入に言おう。アニエスは今、海の中におる。」
「アニエスはもうずいぶん前から神に祈っておった。どうしてもシャークアイに会いたいとな。」
「じゃが、かの船は永遠の呪いの氷の中。」
「たとえ魔王が滅んでも氷が解けるのは数百年も先のことになろう。」
「当然その時にはアニエスもお前さん達も生きてはおらぬ。」
「じゃがアニエスは願った。シャークアイが目覚める時までどうしても生きていたいと。」
「その思いははるか海底のわしのところまで届いたものじゃ。」
「わしゃ大したチカラはないが、海に生きる者にならこの手で命を与えることも出来る。」
「アニエスは決心した。その身を海に生きる者とし、永遠に夫を待ち続けることを。」
「そこの勇士達が大灯台の魔物を倒し、この地への封印のチカラが弱まった時、わしはアニエスを迎えに来たのじゃ。」
「アニエスは一旦人魚となり永遠の命を与えたが、また人間に戻すことまでは出来ん。」
「しかしこれでアニエスはシャークアイの目覚めを見守ることが出来る。」
「コスタール王、そして皆さん。今まで本当に有難うと、そう伝えてくれと言っておった。」
「アニエスのことを悲しまないでやってくれ。ではわしゃこれで帰るぞ。」


大臣が言う。
「お待ちくだされ、お聞きしたいことが!」
「この地が封印された時失われたアニエス殿のお腹のお子は?」


海底王が言う。
「ふむ、そうじゃな。マール・デ・ドラゴーンは遥か昔、水の精霊の力を受け継いだと言われる一族。」
「しかもその総領には代々その身に精霊の紋章を持つ者がなったと言われておる。」
「ならばアニエスの子、つまりシャークアイの子は精霊様の守りを受けておるかも知れん。」
「こりゃわしの勘でしかないが、シャークアイの子は魔王に奪われたのではなく、精霊様が守られたのではあるまいか。」
「おそらく何処か安全な時代へ運命を託されたのかも知れんが。」
「わしゃ本来、人間の世界へ首を突っ込むことは禁じられておるのでな。」
「実のところまではよく分からんのじゃよ。」
「ともかくこれでこの地の封印は解かれた。お前さん達に精霊様のご加護があるよう。」
海底王は姿を消した。


城の灯台にも聖なる種火が灯り、コスタール国は平和を取り戻した。
王様が言う。
「旅の途中で気が向いたらまたいつでも立ち寄って下され。」
「そう言えばシャークアイの思い出話などもほとんどしていなかったしのう。」
「え?この国の楽師からシャークアイ達のことを少し聞いたと?」
「はて、確かに昔はこの国に腕の良い楽師がいたが、彼は病に倒れて今はおらぬ。」
「そうか、不思議な力を持つそなた達のことだ。おそらく夢にでも見たのであろう。」
「ともかく今回のこと、心よりお礼申し上げる。」


現代に戻り、魔法の絨毯でフォーリッシュの北東にある祠へ向かう。
祠の祭壇で神の石を使うと、上空に浮上する天上の神殿にワープした。
天上の神殿の入口にいる兵士に「神の石」を見せる。
「なんと、まことに地上より神の石を持つ者が現れるとは。」
「しかしもはや時は遅すぎたかも知れぬが。」
「ともあれ神に導かれし方々よ。我ら生き残りの神殿へようこそ。」


神殿の中にいる兵士に話を聞く。
「我ら神の兵の神殿へようこそおいで下さいました。」
「我々の祖先は神の力でこれら上空の神殿へと逃され魔王より守られました。」
「しかし支柱を支える神の石のチカラが少し足りずに落ちてしまった神殿もあるのです。」


男性に話を聞く。
「おお、これは神に導かれし方々よ。我らの希望は絶えてはいなかった。」
「しかし時間は残り少ない。どうかこの先の神殿にある復活の台座を完成させて下され。」


神官に話を聞く。
「神は魔王との決戦の時、我等の祖先、神の兵の一族を小さな神殿へ逃しました。」
「それから4つの神殿に神の石を埋め込み、浮遊のチカラを注ぎ、はるか上空へと封印したのです。」
「しかし魔王のチカラは強大で、神はすべての力を神の石へ注ぐことは出来ませんでした。」
「そのため、やがてひとつの神殿が地上へと落ちてゆき、そしてまたもう一つ。」
「現在残っているのはここと、この先にある復活の台座の神殿。その二つだけなのです。」


楽師に話を聞く。
「あなたにはこの音無き音楽が聞こえますか?」
「この神殿の4つの竜に抱かれし神の石が互いのチカラを寄せ合う命の響き。」
「もし4つの神殿がすべて揃っていたなら想像を超えるチカラが生まれたことでしょう。」


女性に話しかける。
「私は神の祭事を取り仕切っていた一族の生き残り。あなた方に大切なものを授けましょう。」
「これは神の催事の時、我等一族の踊り子が身につけた神聖な衣装です。」
主人公はしなやかに輝く美しい衣を受け取った。
よく見るとそれは清き衣だった。
「清き衣は私たちの祖先が聖なる七色の水で染めた糸を使って織り上げたもの。」
「選ばれし踊り子だけが身につけることを許されます。どうか大切にお持ち下さい。」


主人公は本棚を調べた。
「神の兵とは神と共に、そして英雄と共に魔王と戦った一族。」
「その神の兵を上空へ逃がすとは、神はやはり魔王への敗北を予感されていたのか。」
「今一度真実を問いたいものだが、我々一族の神殿もすでに二つが失われ、長い時の間で祖先の記憶も次第に薄れてきてしまっているのだ。」


学者風の男に話しかける。
「神殿を浮かび上がらせている神の石はそれぞれのチカラが影響しあって成長します。」
「もし4つの神殿が上空に残されていたのなら、かなりのチカラを蓄えていたはずです。」
「しかし残っているのは、こことあと一つのみ。」
「今の神の石のチカラでは互いを浮かせ続けるだけで精一杯でしょう。」


北の神殿の中にある復活の台座に世界各地から集めた謎の石版をはめると過去の世界にワープした。
ワープした先にあった神殿は地上に落ちていた。
地上に落ちた神殿の中に入り、女性に話を聞く。
「私たち神の兵の生き残りはこれらの神殿ごとはるか上空へ封印されてしまいました。」
「しかし神の石のチカラが弱かった私達の神殿はここに落ちてきてしまったのです。」
「私達はなんとか助かりましたが、もっと昔に落ちていった神殿の人々はどうなったことか。」


兵士に話を聞く。
「おお、旅の方ですね。あなた方は神と魔王の戦いがどうなったかご存知ですか?」
「まあ結果は世界のこの様子を思えば想像がつきます。」
「僕たちにはもう何の希望も残されていないのだろうか。」


老人に話しかける。
「うむ?あなた方は・・」
「その手にお持ちのその輝きは・・それはまさしく神の石!」
「なるほど。神はまだ我々に道を示されるのか。」
メルビンが言う。
「ご老人、あなたはもしや神の兵士長ではござらぬか?お年は召しておられるが。」
老人が驚く。
「何ですと?あなたはまさか・・英雄メルビン殿!しかしまるであなたはあの時のままじゃ。」
「そうか。やはり神があなたをも封印しておられたのじゃな。」
メルビンが言う。
「おおせの通り。そしてワシが封印を解かれたと言うことは復活への道も近いはずでござる。」


老人が言う。
「ふむ、まこと神は多くの奇跡を残されたものじゃ。」
「今はこの奇跡を信じ、神の石を持つあなた方に復活の願いを託そう。」
「この湖の蓮の花にいざなわれ、洞窟を越えた先に神の紋章の台座がある。」
「そこで神の石を天にかざせばこの神殿ともう一つ落ちた神殿の神の石が影響しあって、二つの神殿が再び上空へと戻るチカラを取り戻すやも知れん。」
「そして上空に4つの神殿が揃ったなら、必ずや新たな何かが生まれるじゃろう。」


神殿の奥からサンゴの洞窟へ向かい最奥に進んでいくと聖なる祭壇があった。
主人公は祭壇にある神の紋章の台座に神の石をかざした。
すると地上に落ちていた2つの神殿が上空へと浮上していく。


現代の天上の神殿に戻ると、4つの神殿が上空に浮上していた。
神殿の中央には神の石の巨大な結晶がある。


南の神殿の2階にいるシスターに話しかける。
「はじめは小さな光でした。」
「4つの神殿から放たれる神の石のチカラは、その中央の空で一つの実を結び、遥かな時をかけて大きな命を作り上げたのです。」
「神の石はただの石ではありませぬ。そこには命が宿り、人々の祈りを運ぶでしょう。」
「さあ、飛空石の声に耳を傾けて御覧なさい。」


4つの神殿の中央にある巨大な神の石の結晶が動き出す。


「聞こえましたね?あの飛空石はあなた方が世界にもたらしたもの。」
「自由にお使いなさい。運命は今、あなた方の手に委ねられました。」


主人公達が巨大な飛空石に近づくと、飛空石の中に吸い込まれていった。
主人公達は空を駆ける神の石、飛空石を手に入れた。


リートルードから飛行石で南へ進み、化石の発掘現場へ向かう。
発掘現場の奥へ進めるようになっていたので進んでいくと、最下階に台座があった。
その台座に触れると、魔空間の神殿へワープした。
神殿の一番奥に進んでいくと、魔王オルゴ・デミーラがいた。
「神の作りし木偶人形よ。その身に宿りし命を投げうってまで神に恩義を果たすというのか。」
「我は倒れぬ。我は死なぬ。我こそは万物の絶対的存在なり。」
「我に従うこそ誇りなり。我に逆らうとは過ちなり。」
「木偶人形よ。その愚かなお前たちに今一度考える時間を与えよう。」
「それぞれの生ける場にて苦痛を受け入れつつ、人生を閉じるのもよい。今すぐこの場で死ぬのも良い。」
「愚かな木偶人形よ、お前たちの命は何処まで行ってもお前たちのもの。神のために使うべきものではない。」
「我の言葉の意味、死をもって知るがいい!」
主人公達は襲いかかってくる魔王オルゴ・デミーラを倒した。
「ぐおお!この私がまさか・・木偶人形ごときを相手に・・油断したとでも言うのか・・」
「我は魔族の王なり!そして全ての存在を司る絶対的存在なり!」
「たとえこの身は落ちようとも、貴様ら人間ごときにこの魂までも消し去ることは出来ん。」
「この魂までは・・な・・」
魔王オルゴ・デミーラの肉体が消滅した。


天上の神殿のシスターに報告する。
「いくつもの時を越え、よくぞ魔王を亡き者として下さいました。」
「あなた方の決して諦めない心と勇気が世界に平和をもたらしたのです。」
「主人公殿、覚えておいででしょうか。」
「あなたが旅立った時、世界にはただ一つの島しかなかったこと。」
「魔王に貶められたこの世界をあなたがこうして正しき道に連れ戻して下さったのです。」
「しかし神の運命づけたあなた方の役目はこれですべて終わったわけではありません。」
「今こそ再び世界に神を目覚めさせるのです。」
「神の眠る場所は水の底に沈む神殿。地上に戻るための扉は開いておきました。」
「さあお行き下さい。私達はここから復活の時を見守っています。」


天上の神殿に出現した旅の扉に入ると謎の神殿へワープした。


グランエスタード城に行き、1階にいるバーンズ王と話をする。
「うむ、よく見えたな。」
「ちょうど食事も終えたところだ。皆も席に着くがよかろう。」
「過去にないほど今の世界は平穏な空気に満ちておる。そして何より今のそなた達らの顔。大きな達成感とこの上もない充実感をひしひしと感じるぞ。」
「主人公に訪ねよう。そなたらの旅はこれで全て終わったのか?」
主人公は横に首を振った。
「ふむ、なんと!魔王の手によって滅ぼされた神を再び目覚めさせるだと!」
「そしてそのために伝説のトゥーラの弾き手を探すというのか。」
「ならば北西の王国では音楽などの文化が盛んだと聞くが、何か関係があるかも知れんな。」
「いずれにせよ、神が目覚めれば世界は永遠の平和を手に入れることになろう。」
「そしてそれはきっとキーファの願いでもある。さあ、気をつけて行くのだぞ。」


マーディラス城下町へ行き、広場にいるグレーテ姫と話をする。
「今日この良き日、ようやくトゥーラ弾き世界一を決める大会を開くことが出来る。」
「めでたいのう。これほど胸がときめくのは久方ぶりじゃ。」
「では皆の者、これよりトゥーラ弾き世界一を決める大会を始める!」
沢山の楽師達が大地のトゥーラに挑んだが誰も弾きこなせるものはいなかった。
なかなか伝説の弾き手は見つからず、グレーテ姫も観客達も苛立ち始めていた。
そして最後の楽師も大地のトゥーラを弾くことは出来なかった。
そこへ老楽師が現れた。
「グレーテ姫様!恐れながら姫様。今一度私めにチャンスを下さいませぬか。」
「この場に集まった者の中に必ずや大地のトゥーラを弾きこなせる者がおります。」
「どうかその者に今一度試させて下さいませぬか。」
「万一弾けなかった時には、この老ぼれの首をはねて下さいませ。」


グレーテ姫が言う。
「そこまで申すか。よかろう。では今一度だけ試してみるが良い。そのほうが弾くのか?」


老楽師が言う。
「いえ、私ではなく・・ヨハン。さあ弾きなさい。お前なら出来るはずだ。」


ヨハンは見事に大地のトゥーラを弾きこなした。
見事大地のトゥーラを奏でたヨハンと主人公を囲んで、その夜は盛大な宴が催された。
ヨハンは大地のトゥーラで様々な曲を奏で、大いに場を盛り上げた。
そして次の朝、グレーテ姫に呼び出され玉座の間に向かった。
「これでめでたく伝説のトゥーラ弾きが見つかった。わらわも満足じゃ。」
「ヨハンとやら。この者たちを助け、見事我等が神を目覚めさせよ。」


ヨハンが言う。
「森に捨てられてたオイラをここまで育ててくれた師匠に楽させてやりたいんだ。」


ヨハンと共にユバール族の集落に向かった。
「おお、主人公さんじゃないか。」
「いや、たまげたよなあ。伝説の湖が本当に存在してたとは!」
「ん?その後ろの兄さんが抱えているのは大地のトゥーラじゃないか。」
「ということはついに見つかったんだな!伝説の弾き手の子孫が!」
「おっと、こうしちゃいられねえ!さあ、早く族長様の所へ!」


族長と話をする。
「おお、なんということじゃ!この湖が見つかったばかりか続いて弾き手まで現れるとは!」
「弾き手が見つかったならばすぐにも儀式と言いたいところじゃが、祭壇は湖の底に沈められておる。」
「ともかくまずはこの湖の水を引かなくては。それには主人公殿の協力も必要じゃ。」
「湖の水を引くにはそこの洞窟の奥へゆかねばならん。」
「しかし洞窟にはまだ魔物が巣食っており、我々には入ることが出来ないのじゃ。」
「洞窟の奥の仕掛けに必要な大地の鈴はアイラ達に託すとしよう。さあ、この鈴を。」
主人公は大地の鈴を受け取った。
「これは我等が神の子の証。この鈴を洞窟の奥の祭壇に捧げれば、湖の封印が解けよう。」


主人公は湖の洞窟の最奥に進み、一番奥の石碑で大地の鈴を使うと、湖の水が引き、神の祭壇が現れた。
族長が言う。
「主人公殿、アイラ、そして皆さん。ここまで本当にご苦労様じゃった。」
「こうして神の復活の儀式が行えるのは、まさに皆様のおかげじゃ。」
「おそらくこの世界には主人公殿の働きを知らぬ人も多きことじゃろうが、わしはそのすべての人々に代わって心より礼を申し上げたい。」
「主人公殿、そして皆さん、本当にありがとう。あなた方こそ真の神の子かも知れんのう。」
「さて、いよいよ儀式を始めたいと思うが、その前にアイラにこれを。」
「これはご先祖様より代々預かってきた清き衣。」
「神の踊りを踊る巫女が身につけるべきものじゃ。」
「おや?なんと!すでに清き衣は持っておったのか?」
「そんな馬鹿な・・わしらの他にその衣を持つ人々なぞ・・」
「そうか!まさかと思ったが、古文書にあった神の一族の生き残りがおったのか!」
「するとアイラはその方々とも会ったというのだな?ふむ、まこといい経験をしたものよ。」
「アイラよ、一族の想い、いや世界中の人々の想いを込めた踊りを期待しておるぞ。」
「かつて我等の先祖は儀式に失敗したとの記録が残っておる。」
「それは大地のトゥーラが金色に輝く時との、その言い伝えを読み間違ったため。」
「金色に輝く時とは、おそらくこの夕日を照り返し、黄金色に輝く時。」
「わしらはそう理解した。さあアイラよ。そしてヨハンよ。今こそ儀式の時じゃ!」
「いざ始めようではないか。我等の声よ。永き時を眠る神に届きたまえ。」


儀式が始まった。
アイラが清き衣を纏って踊り、黄金に輝くトゥーラをヨハンが奏でた。
祭壇が青白く輝き、神が復活した。
「おお、私はどんなにこの時を待ちわびたことか。」
「私は神。この世のあらゆるものを創造し、見守る全知全能の神。」
「私は目覚めた。私の子供らよ。もう迷うことはない。」
「そなたらの運命はこれで平和なこの世に委ねられた。」
「この世の全ての悪しきものは消し去らねばなるまい。」


メルビンが言う。
「おお、神よ。どんなに再会のこの日を待ちわびたことか。」
「神よ、長き眠りの中でお忘れか?わしはメルビン。」
「かの戦いの後、神の封印によりこの世に命を託された者でござる。」
「神よ、かつてともに戦いし邪悪の者がついに滅んだことはご存知であろう。」
「これからは神に仕え、この平和な世を守ってゆけるのでござるな?」


神が言う。
「メルビン、そうかメルビンか。とても懐かしい名じゃ。」
「むろん覚えておるとも、メルビン。そなたを忘れようはずもない。」
「私が目覚めたからにはこの世のため尽くさねばならぬ事が大いにある。」
「そなた達には後ほど私の言葉を伝える使いの者を送るとしよう。」
「それまでは各々、故郷の地へ戻り、この平和を喜び合うがいい。」
神はその場から姿を消した。


主人公はフィッシュベルに帰郷した。
グランエスタード城へ行き、バーンズ王に報告する。
「魔王によって失われた大地を蘇らせ、その魔王さえも討ち倒し、神をも復活させたその働き、見事である。」
「国中、いや、世界中の者皆がそなた達を褒め称えるだろう。」


その夜、グランエスタード城では盛大な宴が催された。
フィッシュベルや近隣の人々も呼ばれ、宴は夜通し続いた。
人々は神に永遠の平和を願ったのだった。
そして月日は流れた。
主人公達は以前のように平和な生活を送っていた。
やがてある日の朝。
グランエスタード城に呼ばれた主人公は玉座の間に向かった。
バーンズ王の元にクリスタルパレスから神の使い来ていた。
「ほう、お前が王の話にあった主人公という者か。」
「王の話が真実であれば、お前は素晴らしいチカラを持つということになるが、私にはそうは見えぬな。ただの若者としか思えぬが。」
「我々はこの島を統治するグランエスタードの王に会いに来たのだ。」
「我等が神の居城たるクリスタルパレスの完成とご神託を伝えに。」
「バーンズ王には私達と共にクリスタルパレスへとおもむいて頂く。」
「クリスタルパレスでは各国の代表者の方々に神からの啓示が与えられるのだ。」


バーンズ王と話をする。
「神の使いの方々よ。この者が先程話した主人公と申す者じゃ。」
「クリスタルパレスに向かうにあたり、この主人公と近衛兵のアイラを連れて行きたい。よろしいかな?」


飛空石に乗りクリスタルパレスへ向かう。
クリスタルパレスにはメルビンがいた。
「久しいのう、主人公。しばらく見ないうちに少し背が高くなったでござるか?」
「アイラもますますべっぴんさんになったでござる。」
「さて主人公、積もる話もあるがわしは行かねばならぬでござるよ。」
「どうも外で暴れているやつがおるようでござる。」
「ここの守りはおぬし達に任せたでござる。ではごめん!」


最上階の祭壇に皆が集合すると神が降臨した。
「我は神なり。全てを知り全てをなす神なり。」
「我が子らよ、聞くが良い。魔は滅び平和は訪れた。」
「しかし聞け、そして我と心を共にせよ。」
「武器を捨てよ。全ての武器を捨て、争いを止めよ。」
「殺生を止めよ。たとえ魔の者といえど命ある者。」
「これを無益に殺めるなかれ・・む・・」
「そこの戦士たちよ。邪悪なる波、感じとられん。我に捧げよ。」
主人公は闇のルビーを神に捧げた。
「聞け、我等が子らよ。我と心を共にせよ。」
「我を崇めよ。我は絶対にして無二の神なり。我より他に神は無し。」
神は姿を消した。
神との謁見は終わった。
集まった各国の代表者たちはそれぞれの国へと帰っていく。
神の言葉を重く胸に受け止めながら。
クリスタルパレスの外に出るとホンダラが来ていてメルビンと話をしている。
「だから俺は真面目にお祈りに来ただけなんだって。しつこいな、あんたも。」
「あんただって俺を知らないわけじゃないだろが。主人公の叔父だぞ、叔父。」


メルビンが言う。
「知っているでござるよ。だからこそ城内へ入れるわけにはいかぬでござるな。」


ホンダラが主人公の姿に気づく。
「主人公じゃねえの。」
「なあ、お前からもこの堅物に頼んでくれよ。城に入れてもらえるようにさ。」
「ひと目でいいから神さんに会ってみてえんだよ。」
「何?もう終わった?せっかくの金づるが・・」
「そうとなりゃもうここに用はねえな。あばよ、主人公!」
ホンダラは帰っていった。


メルビンが言う。
「ところで主人公殿。神の言葉を主人公殿も聞いたでござろう。」
「わしには今一つ神の真意がはかりかねるでござる。何故あのようなことを・・」
「何にせよ、わしはまだこの城に残るでござるよ。」
「主人公殿達も気をつけてお帰り下され。」


神官のネビラがやって来た。
「メルビン殿。我が神がお呼びだ。」
「今しがた再びおいでになられたのだ。メルビンを呼べとな。」
メルビンはクリスタルパレスに入っていった。


主人公達が飛空石に乗りグランエスタードへ帰る途中、突然、闇の雷が大地を襲った。
グランエスタードの外には魔物の群れが押し寄せている。
フィッシュベルに行きマリベルを仲間に加えた主人公は、謎の神殿に向かった。
賢者の像に近づくと、何処からか声が聞こえてくる。
「主人公!そこにいるのは主人公殿でござるか!」
「わしでござる!メルビンでござる。」
「主人公殿に伝えたいことがあるでござるよ。」
「主人公殿達が神の城を去った後、大変なことが起こったでござる。」
「何と神はいくつかの地を邪悪なものとしてこの世界より消し去ったのでござるよ。」
「グランエスタードもその中に含まれてござった。」
「わしは神にお伺いを立てたが、その席で反逆者の汚名を着せられてしまい、今は遠いコスタールの地に身を隠しているのでござる。」
「そこから聖戦士のチカラで心話を使ってそちらに声を送っているでござるよ。」
「わしも今回のことは納得がいかないでござるから色々と調べてみた。」
「この世には精霊と呼ばれる神に近い存在がいるという話を聞いたでござる。」
「その精霊ならば神の真意が分かるのではないかと思うでござるよ。」
「精霊は地水火風の四元素を守護するらしいので、それにゆかりのある地を探すでござる。」
「わしの勘が正しければ、精霊は神によって落とされたそちらの地にいるでござるよ。」
「わしはこちらで精霊について調べてみるでござる。」
「また何かあったらこちらから声を掛けるでござる。」


謎の神殿の中へ入り、左にある赤の旅の扉に行くが旅の扉が使えなくなっている。
するとまたメルビンの声が聞こえてきた。
「もしやと思うがそちらの島から他の地へ飛ぶことが出来ぬのではあるまいか?」
「島の神殿にあった4つの旅の扉は、恐らくは精霊の元へとつながるものでござるのだろう。」
「聖なる炎が消えたせいで旅の扉のチカラもなくなってしまったのでござろう。」
「そこでわしの出番でござる。なんとこのコスタールには聖なる炎があるらしいのでござるよ。」
「それを手に入れられれば、わしのチカラでそちらへ送ることが出来ると思うでござる。」


メルビンは大灯台の最上階で聖なる種火を手に入れた。
「聖なる種火を手に入れたでござるよ。」
「早速そちらへ送ってみるでござる。」
メルビンから聖なる種火が送られ、赤の旅の扉の燭台に炎が灯った。
使用できるようになった赤の旅の扉に入るとエンゴウの炎の山にワープした。
炎の山の最下層に行けるようになっていたので進んで行き、最奥にある祭壇で祈ると炎の精霊が復活した。
「長い眠りであった。あれから一体どのくらい月日が流れたのかも分からぬ。」
「人間よ、貴様たちがこの俺を目覚めさせたのか。」
「俺は炎の精霊、神ではない。」
「俺は何よりもチカラを持った者が好きだ。」
「貴様たちのチカラを俺に見せてみろ。この俺を討ち倒してみろ。」
主人公は炎の精霊との戦闘に勝利した。
「なに!この俺がここまで追い詰められるとは。」
「俺が眠っている間に人間も強くなったものよ。」
「ふむ、この大陸は大陸ごと切り取られて何処かに閉じ込められているようだな。」
精霊は炎のチカラで大陸の封印を解こうとするが上手くいかない。
「なに!俺のチカラが通じないとはどういうことだ。」
「む、この地を覆う邪悪な波動はまさか、ヤツが・・」
「であるならば、この俺一人のチカラでは足りないな。」
「地水火風四つのチカラが集まれば何とか出来るはずだ。」
「他の精霊たちはまだ眠っているようだな。」
「彼らと関係のありそうな場所を訪れてみるといいだろう。」
「ふむ、大きな神殿がもう一つ閉じ込められているようだな。」
「時が満ちるのを見守るにはちょうど良い場所のようだ。」
「俺はそこで全ての精霊の目覚めを待つとしよう。」
炎の精霊はダーマの神殿に移動した。
主人公はその場に残された炎のアミュレットを手に入れた。


主人公は謎の神殿に戻り、フィッシュベルへ向かった。
フィッシュベルの沖合に大きな海賊船が停泊している。
アミットの船で海賊船に乗り込むと、この船はマール・デ・ドラゴーンの海賊船だった。
中にいるシャークアイと話をする。
「主人公殿と皆さんのこれまでのことはアミット殿よりお聞きした。」
「実を言うと我々は訳が分からぬままこの世界を漂っていたのだが、アミット殿の話と皆さんのことで大体の現状は理解したつもりだ。」
「しかし正直言ってまるで信じがたい話だった。」
「我々の船が遥か数百年もの間、氷漬けにされていたなどと。」
「だがありえぬことではない。魔王には不可能なことなどなかったかも知れんからな。」
「主人公殿。あなた方の努力で救われた国が沢山あると聞いた。」
「そしてコスタールの国もその中のひとつ。それはまことの話か?」
「ならばコスタールの王から我が一族に伝わる水竜の剣を預かっておられよう。」
「あれは我が一族の始祖が水の精霊より授かったこの世にただ一つの宝剣。」
「我々が最後の決戦へと旅立つ朝、俺がコスタール王に預けたものだ。」
「コスタール王なら必ず我が一族の無事を願い、あなた方にその剣を託したはず。」
「あなた方のこれまでの旅が真実ならば、その水竜の剣を見せて貰えるだろうか?」
主人公は水竜の剣をシャークアイの目の前ににかざした。
「これは確かに・・やはり全て真実であったか。」
「ではわが妻、アニエスも遥か数百年も前に・・」
「主人公殿、少し二人で話がしたい。俺についてきてくれ。」


主人公はシャークアイと船の甲板に出た。
「さて、これまでのことは我々も概ね理解した。問題はこれからどうすべきかだ。」
「我々はどうやら闇の世界に落とされたようだが、ここからどう脱出するか。」
「まあ幸い、この世界では我が船にかけられた呪いの氷はその役目をなさないらしい。」
「あの忌まわしき決戦の時より数百年もの時が流れたなど信じたくはなかったがな。」
「わが妻アニエスとも、もう会えぬか・・」
「主人公殿。今一度水竜の剣をかかげてみてはくれぬか。」
主人公は水竜の剣をかかげた。
しかしシャークアイの目は水竜の剣ではなく、主人公の腕を見つめている。
「む、その腕のアザはやはり!」
「それは間違いなく水の紋章のかけら。そなたはやはり・・」
その時、水竜の剣が空中に浮かび上がった。
「う、なんだ?腕が燃えるように熱く・・」
主人公とシャークアイの腕が青白く光り輝き、その輝きが水竜の剣に吸い込まれる。
主人公とシャークアイの紋章のかけら同士が合わさり、完全な水の紋章が空中に現れた。
「私の声が聞こえますね?あなた方は神が残し給うた最後の遺産。」
「しかしこの闇の世界に封じられたままではその出会いも虚しいものとなるでしょう。」
「主人公。あなたはすでにこの闇の中で炎の精霊を目覚めさせました。」
「そのチカラがあれば大地の精霊、そして風の精霊をも目覚めさせることが出来るでしょう。」
「私は水の精霊。長い眠りの中であなた方をずっと見守ってきました。」
「そして今、目覚めの時を待っています。」
「炎、大地、そして風、それら3人の精霊達を目覚めさせたなら、水竜の剣を持ち、七色の入り江までおいでなさい。そして炎、大地、風の3つの力を合わせ、祈るのです。」
「水は命を生み、大地は命を育て、風は命を運び、炎は命を栄えさせ、そしてまた命は水に還る。」
「すべての力が合わさった時、あなた方は闇の世界から解き放たれるでしょう。」
「私は水の精霊。深き海の底で目覚めの時を待っています。」


水の紋章が空中から消え、水竜の剣が主人公の手元に戻る。
「なんということだ。俺の腕にあったアザが消えている。」
「そうか、まさしく俺の見た夢は真実の予言であったか。」
「主人公よ。どうやら俺達一族の役目はそなたに引き継がれたらしい。」
「その腕には完全なる水の紋章が浮かび上がっているであろう。」
「これでゆく道は決まった。」
「お互い迷っている時間はなさそうだ。早速その道の先へ向かうとしよう。」


主人公は船を降り謎の神殿に向かうと、黄色の旅の扉が使えるようになっていた。
旅の扉に入ると砂漠の城へワープした。
女王と話をする。
「神は私に言いました。恐ろしく禍々しい声で。」
「そこにあったのか、と。」
「そしてすぐに地中から現れた魔物に神殿は襲われ、闇のルビーが奪われました。」
「皆が信じる神がよもや・・」
「救い主様、皆様も闇のルビーを神にお預けになったのですね。」
「なんということ・・」
「砂漠を救うための方法に一つ心当たりがあります。」
「いにしえよりこの砂漠を守り、我等と共にある大いなるチカラ。」
「この砂漠の何処かに眠る大地の精霊ならばきっと魔を追い払ってくれるはず。」


大地の精霊像のそばにある地底ピラミッドへ向かい、中で4つの宝石を入手した後、西のオアシスへ向かう。
宝石を大地に捧げると大地の精霊が復活した。
「人間よ。私を目覚めさせたのはお前たちだな。」
「お前たちのその知恵と勇気を認め、お前たちのチカラとなろう。」
主人公はこれまでのことを大地の精霊に話した。
「そうか。確かに我々精霊のチカラが必要なようだ。」
「そして世界にはお前たちのチカラもまた必要なようだな。」
「分かった。まずはこの砂漠に大地の加護を授けよう。」
大地の精霊はチカラを砂漠の大地に送った。
「これでいい。砂漠の民はもう苦しむことはないだろう。」
「だがお前たちも知っている通り、まだこの大陸を地上へ戻すことは出来ない。」
「私の仲間たち、全てを目覚めさせ、チカラを合わせれば、再び光あふれる地上へこの砂漠は戻れるだろう。」
「それが出来るのは主人公、お前たちだけなのだ。」
「私はお前たちがダーマの神殿と呼ぶ場所で時を待つ。」
「お前たちのため、もし私のチカラが必要になったならこれを使って私に呼びかけるといい。」
主人公は大地のアミュレットを受け取った。


謎の神殿に戻り、緑色の扉の旅の扉に入るとリファ族の神殿にワープした。
リファ族の神殿の奥ある風の精霊像の前に向かうと大人になったフィリアが現れた。
「主人公さん達、お久しぶりです。私のことが分かりますか?」
「あれからずいぶんと時が経ちました。」
「少女だった私がこうして大人になるくらい。」
「あなた達が谷を去ってから私は様々なことを学び、そして知ったのです。」
「あなた達が何処から来て何を目指しているのか。」
「私がどうして翼を持たずにこの世に生まれてきたのか、その訳も。」
「私は我等リファ族の持つ最後の翼としてあなた方の時代に託される宿命だったのです。」
「さあ主人公さん。今こそ世界をお救い下さい。」
「そしてどうか我が子孫をその手でお守り下さいませ。」
主人公達は上空にあるリファ族の村に飛ばされた。
リファ族の女性に話を聞く。
「おや?見ない顔だね。さてはあんたら下から来た人達だね。」
「ここはリファ族の生まれた村。下の人がここを訪れるなんざ、ずいぶん久しぶりだねえ。」
「下の人はリファ族の歴史なんてもう覚えてやしないんだろう?」
「かつてこの地に生まれたリファ族は長い歴史の中で2つの暮らしに別れたのさ。」
「この地に留まり先祖の伝えを守る者。広い大地を求め、下の世界に降りていった者。」
「そしてリファ族が上と下に別れた時、精霊様はそれぞれ私達に託したのさ。」
「下の世界には風の精霊の像。私達には風のローブ。」
「そしてこの二つが合わさる時、風の精霊様は目覚め、我等にチカラをお貸し下さる。そんな言い伝えも一緒にね。」
「けれど下のリファ族はいつしか翼を失い、像とローブが合わさることは二度とないって聞いてたんだけど、現にこうしてやって来たのよね。」
「まあ、あの族長の言葉を素直に信じた私が間違ってたのかも知れないね。」


族長と話をする。
「ふむふむ、なんと。風の精霊様を目覚めさせるため風のローブが欲しいだと?」
「分かった。ならばすぐに風のローブを渡そう・・と言いたいところだがな。」
「残念なことに風のローブははるか昔、風の迷宮から現れた魔物に奪われてしまったのだ。」


主人公は風の迷宮に向かい、奥へと進んで行った。
迷宮の最奥に着くと、ネンガルという魔物が風のローブを守っていた。
「人間がいるってことは私もとうとうここから出られる日が来たというわけね。」
「それをわざわざ伝えに来てくれるなんて、あなた達って親切な人間ね!」
「そうね、じゃあ伝えてくれたお礼に何かしなくちゃならないわね。」
「え?私が持っているローブが欲しいですって?冗談よして。」
「これは私の大切な宝物なのよ。」
「そうねえ、それじゃあいいこと思いついたわ。」
「あなた達を一番最初に私の美しいボディのための栄養にしてあげる。」
主人公達は襲いかかってきたネンガルを倒した。
「そんな、私が人間ごときに負けるなんて。」
「もういいわよ。風のローブでも何でも持って行けばいいじゃない!悔しい!」
ネンガルは消滅し、主人公は風のローブを手に入れた。


地上に戻り、風の精霊像に風のローブをまとわせると、風の精霊が復活した。
「うーん、なんかまだちょっち眠いかも。」
「あんたらがアタシを起こしたってわけなのね。」
主人公はこれまでの経緯を話した。
「ええ?炎の精霊からみんなを起こせって言われて来たって?」
「なるほど、非常事態ってわけね。」
「それじゃ、アタシのチカラもあんたらに貸すってことで。」
主人公は風のアミュレットを受け取った。
「アタシのチカラが必要な時にはそのアミュレットを使えばすぐに現れるわ。」
「それじゃあたしはとりあえずダーマの神殿に行ってればいいのね。」
「じゃ、とにかくそんなわけでまた会いましょ。」


謎の神殿へ戻り、フィッシュベルに停泊中のマール・デ・ドラゴーンへ向かう。
マール・デ・ドラゴーンに入り、シャークアイと話をする。
「とうとう待ちかねた時が来たようだ。」
「すでに目覚めし精霊たちのオーラがこの船を包んでいる。」
「さあ主人公殿。水竜の剣をかかげ、精霊たちのチカラを受け止めてくれ!」
主人公は水竜の剣を取り出し、頭上高くかかげた。
すると水竜の剣に精霊たちのチカラが宿り、剣から青白い光が放たれる。
その光は消えずに一つの場所を指している。
「よし!道は示された!準備はいいな?」
マール・デ・ドラゴーンは光の指し示す場所に向けて移動した。
「ここは・・やはり七色の入り江が水の精霊の源であったか!」
水竜の剣が浮かび上がり、七色の入り江に吸い込まれていく。
そして水の精霊が長い眠りから目覚めた。
「私は水の精霊。長い眠りの中であなた方をずっと見守ってきました。」
「はるか永き時を越え、あなた方の強き光を受け止めるこの瞬間まで。」
他の精霊たちも集まってきた。
「勇気ある者達よ。今ここに炎、大地、風、水4つのチカラが集いました。」
「さあ共に帰りましょう。この闇の封印を解き放ち、私達の世界へ!」


精霊たちのチカラにより封印されてた大陸が復活した。


水の精霊の声が聞こえる。
「主人公、私の声が聞こえますね?」
「闇に落とされた大陸はすべてこの世界に復活しました。」
「けれど主人公、あなた方や我々精霊の役目はまだ終わったわけではありません。」
「あの闇の世界に精霊の源までを陥れたその理由を神に問わねばなりません。」
「その前にこれを渡しておきましょう。」
主人公は水のアミュレットを受け取った。
「それは私のアミュレットです。さあ、あなた方も我々精霊についておいでなさい。」
主人公達は精霊たちのと共にクリスタルパレスに向かった。
精霊たちが神に問う。
「神よ、我々の姿がお目に届きましょう。」
「我々を闇に落とされしはまことにあなたのお力か?」
「ならばあなたは決して神ではありますまい!」
神が降臨した。
「我を呼び覚ましはそなたらか?」
「ならば今一度己自身を振り返るが良い。」
「この世にまこと必要なのは、神であるこの私のチカラ。」
「私こそが人々の願いを現実とし、人々に喜びをもたらすことが出来るのじゃ。」
「そなたらのように必要なきものは捨て置かれるが真実。」
「さあ、もう思い残すことはなかろう。再び闇の中で安らかな眠りにつくがよい。」
精霊たちが協力して神に抵抗する。
「う、この光は・・おぬし達、この神に逆らうと・・ぐはあ!身体が!」
神が真の姿を現した。
神の正体はなんと、滅んだはずの魔王オルゴ・デミーラだった。
「なるほど、お前たち精霊はただの神のお供ではなかったか。」
「まあよい。所詮神の真似事などほんの暇つぶしに過ぎぬ。」
「しかしお前たちのチカラもこれほど使い果たしてしまってはもはや抜け殻と同じこと。」
「後に残るは虫けらのような人間どもと神に操られし愚かな英雄のみ。」
「私に手を触れることも叶うまい。」
魔王オルゴ・デミーラは闇の波動で精霊たちを吹き飛ばし、姿を消した。


そこへメルビンが現れる。
「おっとと、危ない所だったでござる。」
「おお、主人公殿。皆も大丈夫でござるか?」
「いや、とんでもないことになったでござる。」
「あの神はどうにも信じることが出来ぬと思っていたが、まさか魔王であったとは。」
「今すぐにでも魔王を追って、この居城に乗り込みたいのはやまやまだが、この高さではとても入口まで辿り着くのは無理でござる。」
「ここはひとまずグランエスタードへ戻って、飛空石で出直すがよかろう。」


クリスタルパレスは禍々しい姿に変わり、ダークパレスとなっていた。
飛空石に乗りダークパレスへ乗り込む。
ダークパレスを奥へ進んでいくと、最奥に魔王オルゴ・デミーラがいた。
「我は魔族の王にして絶対無比の存在なりき。」
「万物の長たるは我以外には無し。」
「神に造られし木偶人形どもよ。まだそれが分からぬのか。」
「かつてお前たちが神と崇めし者は我が永劫の闇に葬り去った。」
「愚かなる者よ。そなたらに我を崇める他、生きる道は無いのだ。」
「我の名はオルゴ・デミーラ。万物の王にして天地を束ねる者。」
「さあ来るが良い。我が名をそなたらの骸に永遠に刻み込んでやろう。」
主人公達は魔王オルゴ・デミーラを倒した。
「我が何故にこの様な木偶人形共に・・我の身体が崩れてゆく・・」
魔王オルゴ・デミーラは消滅した。


その後・・
シャークアイは無事アニエスとの再会を果たしたようだ。


主人公は平和になった世界で父親のボルガノと共に漁に出かけた。
いつものようにマリベルもついてくる。
仕掛け網を引き上げると1枚の石版が混ざっていた。
石版に書かれた文字を読む。
「親愛なる主人公へ。」
「俺は今、ユバールの民ライラ達と旅をしている。」
「お前達と別れて、一体どれくらい経っただろうか。」
「あの日以来、ジャンも姿を消したままだ。」
「俺はユバールの守り手としてライラと結婚した。」
「もしこれをお前が見つけることがあったなら、親父達に伝えて欲しい。」
「キーファは元気にやっていると。」
「そして主人公。どんなに離れていても俺達は友達だよな! キーファより」