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昔々ある所にアリーナ姫というそれはそれはおてんばなお姫様がいたそうだ。
その国の王様は姫のおてんばさに頭を抱える毎日。
ある朝、姫を呼びつけたのだった。
「姫様!アリーナ姫様!お父上がお呼びですぞ!」
ここはサントハイムのお城。
アリーナ姫は王様のところへ向かった。
「おお、アリーナか。じいから聞いたのだが、力試しの旅に出たいと申しているとか。」
「ならぬ。ならぬぞ。お前は女。しかも我が国の姫なのだぞ。」
「怪物どもが住む外の世界へ力試しに出るなど、このわしが許さん!」
「よいな?この城から出てはならぬぞ。では下がってよい。」
じいと呼ばれているブライと話をする。
「姫。少しは女らしくしていただかないと。」
「お亡くなりになったお妃様はとても上品な方でしたのに。」
「姫の教育係としてこのじいは王様に合わせる顔がありませぬぞ。」
家臣のクリフトと話をする。
「ブライ様から伺ったのですが、アリーナ姫は一人旅に出るおつもりとか。」
「どうかそのような無茶をなさらぬように。」
「姫にもしものことがあっては、このクリフト、いや、王様がどんなに嘆かれることか。」
アリーナが3階の東にある自分の部屋に行くと、壁が修理中のようで木が打ち付けられていた。
板で修理してあるだけなので蹴破れそうだ。
アリーナは壁を蹴破って城の外に出た。
城から出るとクリフトとブライが追いかけてきた。
「姫!お一人で旅に出るなどとんでもない!どうしてもと言うならこのじいとクリフトがついて行きますぞ。」
ブライとクリフトが仲間に加わった。
サントハイムから西へ進み、すぐ近くにあるサランの町に着いたアリーナ姫。
そこで装備を整え東北東へ進み、テンペの村に着いた。
テンペの村長と話をする。
「村のため、娘のニーナを生贄に出さねばならんのです。」
「おお、どこかに怪物を退治してくれるような強いお方がおらぬものか。」
アリーナは怪物退治を引き受けた。
「なんと、あなた方が?見たところあまり強そうには・・」
「いや、今はワラにもすがる思い。それがまことなら是非とも神父さんに会ってくだされ。」
村の神父と話をする。
「なんと、怪物退治を?」
「しかし怪物が姿を見せるのは生贄が捧げられた時だけ。」
「それともそなた、生贄の身代わりになっても良いと申されるのか?」
アリーナは頷いた。
「おお、それはまことか。なんとありがたいことじゃ。」
「では早速生贄の籠を呼ぶとしようぞ。」
カゴが教会の前に運ばれてきた。
「さあ、どうかあの籠の中へ。」
アリーナ達は籠の中に入った。
籠が村人によって生贄の祭壇に運ばれ、放置された。
やがて夜になり魔物たちが現れた。
アリーナは魔物たちを倒した。
怪物をやっつけたという知らせはまたたく間に村中に広がった。
そして夜が明けた。
アリーナは教会から生贄の祭壇を抜けて北へと旅を続ける。
しばらく歩くと、フレノールの町に着いた。
町人に話を聞く。
「ここはフレノール。今この町にサントハイムのお姫様が来てるの。」
「早く見に行かなくっちゃ。」
アリーナが言う。
「私の事じゃないと分かってはいるけど、ちょっと腹が立つわね。」
クリフトがもちあげる。
「偽の姫がアリーナ姫にかなうはずはありません。当然ですよね。」
宿屋の2階に行くと、偽の姫がいた。
しかしちょうど人さらいが現れ、偽の姫は人質に取られていた。
人さらいが言う。
「止まれ、それ以上近づくと姫の命はないぞ!」
「しかしこんな宿屋にまさかお姫様が来ているとはな!」
人さらいは偽の姫を連れて逃げていった。
アリーナが言う。
「私の目の前で女の子をさらうだなんて。いい度胸だわ。」
「あいつら絶対に見つけ出して泣いて謝るまでとっちめてやる。」
「あの子、心配だわ。私が捕まったんなら悪者をぶちのめしてすぐに帰ってくるんだけど、あの子は・・」
ブライが同意する。
「姫と我らの名を語ったバチが当たったようですな。」
「少々キツすぎましたが。」
町の南にいる子供と話をする。
「ねえ、さっき犬がこんな手紙をくわえてきたんだ。読んでみるね。」
「姫を返してほしくば、明日の夜、この町の宝、黄金の腕輪を村の墓場まで持って来い。」
町人に黄金の腕輪の在り処を聞く。
「黄金の腕輪は確かにこの町の宝だった。」
「しかしその宝があるばっかりに争いが絶えず、ついにその宝を南の洞窟に封印したそうだ。」
アリーナはフレノール南の洞窟へ向かい、地下2階にあった宝箱から黄金の腕輪を手に入れた。
夜になり、北西部の墓に向かうと人さらいが待ち構えていた。
「どうやら約束の物を持ってきたらしいな。早くこっちへよこしな。」
アリーナは黄金の腕輪を人さらいに渡した。
「確かに受け取ったぜ。じゃあ姫を返してやる。あばよ。」
人さらいは偽の姫を残して逃げていった。
偽の姫と話をする。
「助けてくれてありがとう。あーあ、もうお姫様なんて懲り懲りだわ。」
「ごめんね。あたしほんとはお姫様じゃないの。」
「あたしの名前はメイ。ただの旅芸人よ。」
「お姫様のフリをしたらみんな良くしてくれるからつい調子に乗っちゃっただけ。」
「さあ、お迎えも来たようだし、あたしそろそろ行くわ。」
「お礼にと言ってはなんだけど、この盗賊の鍵をあなたにあげる。」
アリーナは盗賊の鍵を手に入れた。
「じゃあね、本物のお姫様。さようなら。」
こうして偽物の姫メイは町から姿を消した。
そして夜が明けた。
アリーナが言う。
「メイ、行っちゃったわね。もう少し話がしてみたかったな。」
「あー、くやしい。絶対あの時、悪者をギタギタにしてやりたかったのに。」
アリーナはフレノールを出て南西へ進み、砂漠のバザーへたどり着いた。
バザーの中央付近にいる兵士と話をする。
「あ、姫様。探しましたぞ。」
「すぐにお城にお戻り下さい。王様が大変なのです。」
アリーナはサントハイムに戻った。
王様に話しかけると、王様は何か言いたそうにアリーナを見ている。
大臣に話を聞く。
「おお、なんとしたことじゃ。お声が出なくなるとは。」
「このこと、城の他の者には知られぬようにしたがこのままでは。」
「そうじゃ、裏庭の部屋に住むゴンじいなら何か分かるかも知れませんぞ。」
裏庭に行き、ゴンじいに話を聞く。
「なんと王様の声が出なくなったのでございますか。」
「そう言えば詩人のマローニも昔、喉を痛めたとか。」
「しかし今はこの国一番の美しい声。何か知っているかも知れませんぞ。」
隣のサランの町へ向かい、教会の2階ベランダにいる詩人のマローニに話を聞く。
「そうです。マローニは私です。」
「は?何故このように美しい声をしているのかですって?」
「それはさえずりの蜜というエルフの薬を飲んだためでしょう。」
「その昔、旅をしている時、たまたま砂漠のバザーの道具屋で見つけたのでございます。」
アリーナは砂漠のバザーから南西へ向かい、さえずりの塔へ向かった。
さえずりの塔には鍵がかかっていたが、メイにもらった盗賊の鍵を使って中に入ることが出来た。
塔の最上階に行くと、エルフの姉妹がいた。
「きゃ、あなた達人間ね!」
「リース帰るわよ。」
リースが答える。
「はい、お姉さま。」
リースは慌てて、落とし物をしたようだ。
「あ、いけない。薬を落としちゃった。」
リースの姉が答える。
「いいわよ、そんなの。さ、早く!」
エルフの姉妹は何処かへ飛び去っていった。
リースが落とした薬を拾い上げる。
アリーナはさえずりの蜜を手に入れた。
サントハイムへ戻り、王様にさえずりの蜜を飲ませる。
「ん?あーあー。」
「おお、声が出るぞ。治った、治った。」
「そうか、お前たちが。ともかく礼を言おう。」
「実はわしはとてつもなく恐ろしい夢を見たのじゃ。」
「巨大な怪物が地獄から蘇り、すべてを破壊していた。」
「はじめはわしの胸だけにおさめておくつもりだったが、あまりにも同じ夢を何回も見るのだ。」
「なにやら不安になっての。」
「大臣に夢の話をしようとしたとたん、声が出なくなったのじゃ。」
「もしかすると何かが起ころうとしているのかもしれん。」
「アリーナよ。わしはもう止めはせぬ。その目で世界を見てまいれ。」
「ブライにクリフト、アリーナを頼んだぞよ。」
アリーナが言う。
「その目で世界をって、じゃあエンドールに行けるのね。武術大会にも出られるのね。」
「やったわ!さあ、行きましょう。今度は堂々と正門から!」
砂漠のバザーの東にある祠から、エンドールに向かうアリーナ達。
エンドールの城で王様と話をする。
「おお、よくぞ来た。そなたらのことはすでにサントハイム王より聞いているぞ。」
「世界の行く末を案じ、力試しの旅とは。まことに感心なり。」
「そこで頼みがあるのじゃが、武術大会で是非とも優勝してくれい。」
「実はわしも後悔しているのじゃよ。アリーナ姫。どうか頼んだぞ。」
エンドールの姫と話をする。
「お父様が皆に約束をしたために、私は優勝者と結婚しなくてはなりません。」
「でももし優勝者が女の人だったら、私は無理な結婚をしなくてもすむでしょう。」
「お願いでございます。どうか武術大会にでて下さいまし。」
「アリーナ姫様。私は自由に生きているあなたを羨ましく思いますわ。」
玉座の間を出た後、アリーナが言う。
「自由って言ってもまだ始まったばかりなんだけど。ま、細かいことはいいわ。」
「同じ姫として是非とも助けてあげたいのよ。」
アリーナは一人で武術大会に出場した。
5人の対戦相手を倒し、見事に優勝を果たした。
エンドール王が喜ぶ。
「アリーナ姫よ。よくぞ優勝してくれた。心から礼を言うぞ。」
「このことを知らせれば父上のサントハイム王もさぞかし喜ぶはず。」
「ひとまず国に帰り、元気な姿を見せてあげることじゃ。」
アリーナはサントハイムに戻った。
城に入ると、いつもと様子が違っている。
クリフトが言う。
「城にかすかに残るこの禍々しい気配。もしや・・」
アリーナが心配する。
「誰もいない。どういうこと?みんな何処へ行ったの?」
玉座の間にも誰もいない。
ブライが言う。
「これは奇っ怪な。一体どうしたというのじゃ。」
サントハイム王の見た夢とは・・?
そしてサントハイムの人々は一体何処に行ってしまったのか。
その謎を探るため、再びアリーナ姫たちは旅に出たのだった。
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